【R18本編完結&番外編更新中】この雨が上がったら一緒にコーヒーを飲みませんか?

silverchaff

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本編

★初恋の痛み4

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 朝香の発言はまさに「覚悟」の二文字が似合っていた。

「もうっ、可愛い顔でそんな事言われたら我慢できないっ……」

 勤勉な大学生である向日葵さんにもそれが伝わらない訳がなく……

「ひゃ」

 朝香の身体は向日葵さんの逞しい腕に抱き抱えられ

 ストン

 と、部屋のシングルベッドに仰向けで寝かされる。

(えっ……)

 驚いている朝香の視界には、天井の照明と向日葵さんの顔が映る。
 逆光でも彼の顔や耳が赤くなっているのがハッキリと分かったし

「あーちゃん、顔真っ赤だよ」

 照れ臭さを掻き消す意味で、わざとこちらへ揶揄いの言葉をかける彼の真意が

「っ……」

 熱い指先が朝香の頬に触れた直後に、ジワジワと伝わっていった。

(向日葵さん……興奮してるんだ)

 今の彼は、昨夜と同じ。

「昨日と同じ事……していい?」

 違う点は、朝香にきちんと了承を得ている点だ。

(向日葵さんは私の体にキスしたくてたまらなくなってるんだ……)

 彼の欲望の深さをまだよく知らない朝香にとって、その返答は勇気を要する。
 けれど、ここまで話し合ったのだから「否」とは言えなかった。

「うん、いいよ。いっぱいチュッて、して」

 昨夜だってビックリしてしまっただけであって嫌だと感じたのではない。

「ありがと……大好き」

 向日葵さんの安堵した笑み

「あっ……」

 妖しく撫でる熱い指や掌

「くすぐったい?」

 Tシャツをめくる衣擦れ音

 肌に振り掛けてくる温かな吐息

 その全てが朝香にとって刺激の強いものであったが

「ううん……エリさんみたいに、おっぱいチュッってして♡」

 勇気を出してそう懇願した。

 大好きな向日葵さんを悲しませたくないと思うし、何より求められているというのが心地良いと感じたのだ。

「ちょっと……萎える事言わないでよあーちゃん。あれは俺が情けなかったっていうか、男の欲望に勝てなかったっていうか……」

 だから、顔をしかめて恥ずかしそうに話す彼を愛らしいと感じるし

「なえてるの? そうは思えないけどぉ」

 彼の股が盛り上がっていて硬さや熱さを帯びているのを揶揄いたくなるし

「んもうっ……あーちゃんエッチな小説読み過ぎだってば」

 処女なのに性器の性質に理解がある点を今度は向日葵さんが揶揄ってきて

「ふふっ」
「ふふ」
「ふふふっ」

 互いに赤面しながらクスクスと笑い合う。

「んもー、あーちゃんとこうしてるだけで楽しいのに」
 
 向日葵さんは朝香の体をギュウッとハグしながら耳元で優しい言葉を囁いてくれたのに……

「おっぱい触ったりキスしていいんだって許可されたらさ、止められなくなっちゃうよ?」
「んやぁん♡」

 直後にセクシーな物言いになり、朝香を悶えさせる。

「可愛い声ぇ♡」

 向日葵さんの両手はブラごと朝香の胸を包むと、大きさや形を確かめるかのようにゆるゆる動く。

「んあぁ」

 それだけなのに朝香の体温は上昇し、体がよじれていく。

「逃げないで。まだ何もしてないんだから」
「っ……してるもぉん」
「かわい♡ あーちゃんめちゃくちゃ可愛い♡」

 向日葵さんの唇は朝香の耳たぶにくっついている。

「ぁぁ……んあぁ」

 胸全体をマッサージされてるかのように緩く揉まれてるのも心地良いのだが、何より耳に囁かれている声や吐息がかなり刺激的で、彼が「可愛い」と褒める度にビクンと大きく震えてしまうのだ。

「おっぱい見せて♡」

 朝香の反応を一通り楽しんだらしい向日葵さんは、また朝香を仰向けにさせるタイミングで背中のホックを外してきた。

(向日葵さんの指ってすごい……無駄な動きがないよぅ)

 朝香はドキドキしながらも頭を働かせ自分が何をされているのかをキチンと理解しようとしていた。仰向けに体勢が変わると共にブラを外され乳房が開放されていくまで1秒とかからない。そのスマートな指の動きに彼の経験っぷりを感じてしまうし、彼が「エッチな意味での野獣」と揶揄される意味も少し理解する。

(私のおっぱい……どう見えてるのかな?)

 官能的なシーンが多い小説をよく読む朝香だが、自分の胸が世間的に良いものかそうでないのかの判断を今までつけた事がなかった。ボリュームの観点なら、ブラのサイズで把握出来るが物語で表現されるところの「豊かな胸」「綺麗な胸」というのが具体的にどのような乳房を指すかまでは理解出来ていなかった。

(エリさんほど大きくないとは思うんだけど……)

 よって、比較対象は「向日葵さんが図書館コピールームでリップ音を立てた玄川絵梨の乳房」となってしまう。
 ホテルで睦み合う事がなくなったというのに、衣服をはだけさせデコルテを露わにした瞬間、向日葵さんは男の欲望を抑えきれずむしゃぶりつくしかなかったという。

(私のおっぱいは向日葵さんを満足させられるのかな……)

 朝香は不安でたまらなかった。
 大好きだから求められたいし、玄川絵梨に負けたくない気持ちもある。

「…………」

 不安を抱えている最大の理由は、この沈黙であった。

「……」

 さっきまでスマートな動きを見せていた向日葵さんが静止し視線だけ朝香の乳房に注いでいるからだ。

「えっと……ひまわりさ」

 沈黙に耐えられなくなった朝香が彼を呼び掛けるのと

「ピンクの乳首、舐めたいし吸いたいし噛みたいぃ」

 向日葵さんが感想を呟くのがほぼ同時で

「え」

 気が付いたら彼にガバッと強く抱きつかれ金髪ウェーブの髪によって首をくすぐられる。


 
 

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