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絵に描いた結婚生活と、性格の不一致

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 「格」一文字を抜いただけなのに、花ちゃんの舌の動きとあいまって物凄くエロい言葉に聞こえる。花ちゃんとしてもそういう意味で僕に訊いてきたんだろうけど。

「ほら、結局私って性の意味で捨てられちゃったから。性格も一致してたとも言えなかったし……」
「あぁ……」

(弟でしかも童貞の未成年に、なんて破廉恥はれんちな質問をしてくるんだろう)

 呆れはしたけれど、僕は傷心している姉を慰めようと……ちゃんと弟としての立場から

「性格の不一致イコール性の不一致って、あり得るかもね」

 冷静に意見を述べ、度テーブルの上に放置したアイスのカップをまた手にして花ちゃんがやっていたようにプラスチックスプーンでカリカリと引っ掻き、チョコミントクリームをかき集めていく。

「あり得る……よね、やっぱり」
「何の経験も無い僕が言える身分ではないけどね。
 でもほら、男ってに純粋な部分あるから。性が不一致と一度感じてしまったら、それ以外の面もちょっとずつ歯車が合わなくなっていくような……」
「……」
「仕方ないんだと思うよ。一度そう思っちゃったら家族計画にも前向きになれないだろうし」
「……」
「もちろん、花ちゃんが悪いって意味じゃない。お互いの歯車が合わないと機能しないんだから」

 花ちゃんと同じく、僕もスプーンに溜まったアイスだったものをパクンと口に含んで、
花ちゃんが僕のミントグリーンを見ながら味わい嚥下えんげしたように、舌でその味を心ゆくまで堪能しゆっくりと喉の奥へと流し込んだ。

(僕と花ちゃんとの歯車は……どうなんだろう? 姉弟だから向き合う事すら叶わないのかな)

「じゃあ、別れたのは仕方ないよねぇ」
「……そうだね、仕方ないかも」

 それだけ、人と人との恋愛感情は、単純であり複雑だ。

(僕なら、花ちゃんの歯車にしっかりと噛み合う自信があるんだけどなぁ……)

 仕方なさそうに微笑み話をまとめた花ちゃんの表情を見て……僕も顔では同調しつつも、下半身はそれとは別に、ジワジワと熱を持ち始めていた。





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