【完結】花を愛でる犬に、僕はなりたい

新年を共に慶び、真綿の中で愛を育む

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「えっ？ 縁結びって、ダメ？」
「なんで縁結び限定なんですか！ ……はなっ……えっと、あ、姉は離婚したばかりだし……ねぇ？」
「そっ！！ そうですよぉ！ いきなり次の恋探すとか、今は全然！！」

　僕も花ちゃんもいきなり次のご縁を求めようとする姿勢は良くないのではないかとユリさんに訴えたんだけど

「あらぁ～縁結びって恋愛だけじゃないのよ？ 仕事も人との出会いもご縁だし。『全体運を上げる』って発想に至らないのかしらねぇ、イマドキの若い子達は」

……なんて、ユリさんは僕達を揶揄からかい意地悪そうにニヤニヤ笑い出す。

「「んなっ！！」」

　これには僕達もしてやられたと思い、再度ユニゾンして赤面するしかなかった。

「ふふふ。お花ちゃんも弟さんも本当に可愛いわね♪」
「揶揄わないで下さいよ恵里子さんっ」
「そうですよ、本当に……」

　フフフ笑いを続けるユリさんに僕も花ちゃんも互いに顔を見合わせては恥ずかしがる。

（っていうか、他人のユリさんの前で姉弟きょうだいが2人共恥ずかしがるこの状況ってヤバくないかな？）

「まぁ、リアルな事言うなら本気で縁結びしてた方がいいと思うわよ。
　特に接客業はご縁の連続だもの。せっかく昨年末ギリギリに掴んだ私達の縁や仕事の縁、これからもお花ちゃんが幸せで居られるようにしっかり繋いでらっしゃい。
　弟さんは今学生さんかしら。学生さんだって出会いは大事よ？ 色んな人との出会いが自分を強く大きくさせるし、その逆もしかりよ」

　僕達を意地悪く揶揄うけれど、かけてくる言葉はやはり僕の知ってるユリさんらしく優しくて温かい。

「そうですよね……行ってみようかなぁ、縁結びの神社。離婚で縁が切れちゃったばかりだし、新しい縁を結べるようにしないと」

　そしてユリさんの温かい言葉に感化され、花ちゃんの目には希望の光が灯る。

「そうそう♪ その意気よお花ちゃん！！ 後で神社リストアップしてメッセージ入れるわね♪ ついでに私とお花ちゃんのご縁も強くしっかり結んでおいてね！！」
「ふふっ♪ そうですね！それもしておきます！」

　僕がユリさんの言葉をご主人様から言われているのと同義だとしっかり受け止めているのと同じく、花ちゃんも真面目顔のユリさんの言葉にうんうん笑顔で頷いていて、少し微笑ましい気持ちにもなった。