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細い身が絡まり合い、一本の紐となる

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 花ちゃんとの会話でまた『普通だよ』を言おうとしたけど、すぐに口を閉じた。

 僕の『普通』は本来の事じゃない。その裏には『花ちゃんを手に入れて逃したくない』という黒い気持ちがあった。
 花ちゃんに好かれる為なら僕は甘い言葉を何だって言えたし、花ちゃんが気持ちよくなる為なら僕は犬の行為を勤務外でも出来たんだと思う。

 それは自分の「好き」を姉弟関係を濁してまで花ちゃんにかけてきた罪深い行動だ。その行動を目の前の花ちゃんは『宝物』とも『特別』とも言ってくれているんだから、感謝の言葉や態度を示すのは僕の方だと恥じた。

「僕の方が花ちゃんに感謝しているよ。だってこんな僕を今でも全部受け入れて笑顔でいてくれるんだから」

 僕は花ちゃんに、自分の出来得る『優しく好かれそうな表情』を作ってその言葉を告げる。

「勿論だよ。太ちゃんがしてくれる事もタイチがしてくれる事も両方とも大好きだから、全部全部受け入れるよ」

 花ちゃんが飼い主と飼い犬としての触れ合いをノリノリで付き合ってくれた理由が理解出来た。

(花ちゃんは濃い血の繋がりを1番に理解しているんだ……。
 僕達はきょうだいだから、本来なら愛し合ってはいけない関係だから)

「ありがとう……すごくすごく嬉しいよ」

 花ちゃんは賢い女性だ。「僕」を「太ちゃん」「タイチ」と分ける事で、僕達のこの強い想いをり合わせ成立させようとしている。

(こんな風に花ちゃんに触れる時は「タイチ」か……うん、僕もちゃんと分けるようにしよう。僕達の愛を成立させる為に)

「私も嬉しい」
「僕ね、ワンコだけど飼い主の花ちゃんしか愛さないからね」
「うん、私もタイチだけを愛すよ」
「でも、弟の僕も忘れないでね」
「当たり前だよ♡ 太ちゃんもタイチも愛してるから♡」
「うん♡ 僕も、飼い主の花ちゃんも姉の花ちゃんも愛するからね♡」
「ふふっ♡」
「花ちゃんを今までで1番可愛がって、愛してあげる。凌太になんか負けないから」
「また凌太って呼び捨てにするんだから……」
「呼び捨てでいいよあんな男っ! ゴムの用意も花ちゃんにさせてさぁ! やっぱり僕は凌太が大嫌いだ!!」
「ゴムはまぁ……ね。確かに友達にその話題出したら引いてて、更にお金も私のお小遣いから出してるって言ったらドン引きされちゃった」
「そりゃするでしょ! 人でなしだよあんな男!! しかも不倫までして花ちゃんを傷つけまくってさぁ!!」

 持って帰ったゴムの商品名を花ちゃんが知ってた件で段々いたたまれない気分に陥ったそのエピソードを思い起こしながら僕は凌太を強い口調で毒づいた。

「っ……」

 直後に怖がる表情を花ちゃんが見せてきた事に気付いて、僕はハッとして可愛い頭を撫で安心させる。

「ごめん花ちゃん、僕にとっては最低人間でも花ちゃんにとっては好きになった人だもんね……もうこの話はしないよ」
「ううん、私が単に弱い人間だから。これからは太ちゃんやタイチに好かれるような人間にならなくちゃね」

 眉を下げながらも微笑む花ちゃんを、僕は健気だと思うしエッチな気分も同時に沸き立つ。

「もう充分好きだから花ちゃんは何もしなくていいよ。僕のキスやペロペロを受け入れてくれればそれでいいんだよ」
「んあああっ……」

 我慢ならなくなった僕は花ちゃんの胸に吸い付いて、ふわふわしている頂点がツンと硬く勃ち上がるまで舌先で弄った。

「きゃあああん♡」

 急に襲ってきた刺激に花ちゃんは耐えられなくなったのか、弓形ゆみなりに大きく仰反り身体をビクンビクン揺らす。

「花ちゃんもうイッちゃった?」
「不意打ちだったんだもん」
「不意打ちでイクなんて余計にエロいよ花ちゃん♪」
「やぁんまた不意打ちぃ……」

 再開した胸の愛撫に花ちゃんは可愛らしいき声を出した。

「不意打ちは花ちゃんの方だよ……可愛くてエッチな声出しちゃって」

 僕の興奮へまた下半身へ血液を送らせ、熱く硬く勃ち上がらせる。

「タイチの、また元気になってる……」

 脚を絡めていた所為で、花ちゃんにそれが即バレしてしまった。

「花ちゃんが僕のペロペロを欲しいなら、ゴムを着けなきゃね」
「私が着けてあげる」

 花ちゃんは2回絶頂した気怠けだるさを声に表しながら、先程一つ切り離したハート柄の可愛らしい個装を取り出して袋の端を破った。

「いいよ、自分でも出来るし」
「ホント? 向きとかあるんだよ?」
「童貞でも知識はあるんだよ」
「ワンコなのに?」
「賢いからね、僕はっ!」
「得意気になっちゃって♪ホントに可愛いんだからタイチは♡」

 花ちゃんは僕の頭を撫で額にチュッとキスをすると「私に任せて」とばかりに手慣れた様子でスルスル被せていく。
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