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16歳のリョウとチワワの僕と、白い花
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しおりを挟む「そう……そうね、いい指遣いよリョウ」
次の日になり、今日から僕の担当する枠を一つ減らしてご主人様から技術的な事を教わる。
てっきり最上階のご主人様のプレイルームで研修が始まるのだとばかり思っていたから、お客様の見送り直後にご主人様が直々に僕の部屋に入ってきた事にとても驚いた。
ご主人様と僕は今、普段お客様を癒すベッドの上に体を乗せ、僕は自らの指をご主人様の言われた通りに動かしていた。
「んん……強さもちょうどいいわね」
「このくらいだと、痛がるお客様もいらっしゃいますよね?」
「そこはリョウがお客様の表情を読み取って加減すればいいんじゃない?あなたは察しの良い子だから相手が望む強さにピタッと合わせてくれるもの。心配しなくても大丈夫よ」
「ありがとうございます」
ヌルヌルとしたものが僕の10本指に纏い照明の光によってキラキラと白く反射する……それからその指の動きによってヌルヌルしたものは、無駄なものが何一つ無いご主人様の肌を同じくキラキラと白く輝かせ艶かしい状態へと変化させていった。
「独特な香りもありますし、変な気分になってしまうといいますか……頭がクラクラしてきました」
「あら?リョウみたいな子が嗅いだ事ないだなんて変ね。自分の部屋でガールフレンドちゃんと嗅いだりしない?」
「いえ……」
「私と会う時にいつも香るでしょう? 今日は特別な事何一つしてないもの」
「そう……でしたっけ?」
この部屋でご主人様と言葉を交わすだけでも緊張するのに、研修の名目でご主人様を癒してあげないといけないとなるとつい余計な力が入ってしまう。
「判断が鈍ってるのかしら……これは思ったよりも時間がかかるかもしれないわね」
指を滑らす力は強めていないものの、やはり漂う香りが僕の鼻を刺激して集中出来ていない気がする。
「すみません、少し休憩させて下さい」
「仕方ないわね……」
僕はご主人様の肌から指を離して休憩を乞うと、ご主人様は深い溜め息を吐きながら了承してくれた。
「僕に休憩を了承して下さりありがとうございます……すみませんが手を洗わせて下さい」
僕はベッドから降りるなり頭を下げ、急いでシャワールームへ駆け込み洗面台で指についた強い香りを洗い流していった。
「……仕方ないわね。じゃあ続きは明日にしましょう」
手を洗い終え戻ってくると、ご主人様もベッドから降りてタイトスカートの乱れを直している。
「本当にすみません」
「まぁ、リョウの緊張も理解してるのよ。確かにこの部屋で教えるだなんて一言も言わなかったから」
「一番最初にアロマオイルを教わった時は事務室でしたし、ご主人様の部屋で勤務終わりに見学とかしていましたから」
自分の不甲斐なさを申し訳なく思いつつも、言い訳に聞こえるかもしれない自分なりの言い分も述べてみると、ご主人様はやや呆れた顔をしていた。
「でも考えてみなさい。結局はこの部屋で施術するんだから、ここに私が来た方が好都合な訳でしょう?特にリョウの部屋は色々と備わっているのだから」
「そう……ですよね」
(冷静に考えてみれば分かるんだ。何もかもご主人様の言う通りだという事を……)
ご主人様はまた溜め息を吐いて
「少し話をしましょう」
と言いベッドの端に腰掛けた。
「はい、ありがとうございます」
僕は彼女と肩を並べて腰掛け、情けをかけて下さった事に感謝の意を述べる。
「……私がアルコール無しでしかも飼い犬と横並びに座って会話するの、すっごく珍しいから感謝しなさい」
「感謝してます、とても。すごく嬉しいです」
目のやり場に困って自分の膝の方に目線を向けていると、視界の端でご主人様が足を組み直しタイトスカートから覗く美脚がスルリと動く。
下着がチラ見する事は決してないんだけど、先程まで僕が触れていた部分を直視してはいけない気がして思わず顔を背けた。
「嬉しいのか嬉しくないのか、どっちなの?」
僕の指を白く光らせた、あの独特な芳香と同じように、ご主人様の艶かしい声が僕を攻める。
「嬉しいですがなんか照れ臭いというか恥ずかしいと言うか」
「お客様の前でそんな態度とっちゃダメよ」
「重々承知しています」
「特にリョウはとっても可愛い子なんだから、隙を見せると相手を付け上がらせてしまう」
「!」
そして艶かしい声と共に色白の細長い指が僕の股間に向かい、まるで勃起しているかどうか確認するような触り方をしてきた。
「うん、合格ね」
「えっ?」
僕の股間を確認したご主人様の判断に、僕は当然の事ながら驚いて顔を上げた。
(僕のこの状態が合格って……どういう意味なんだろう?)
僕の見つめる先に確認出来るご主人様の表情はとても真面目だ。
「それ……60分キープ出来る自信はある?」
それから僕の股間を指差しながら、やはり真面目な表情で僕に訊いてきた。
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