巻き込まれた少年

15

馬車に揺られること、一時間くらいだろうか。馬車が止まり、扉が開く。



「お疲れ様でした。ここが、居住地になります」



従者が話しかけてくる。




「そうなんですね、ありがとうございます」




アースが礼を言いながら、馬車から降りる。それにローカルが続く。
その場所に、唖然とする。




「庭がある、えっ、一軒家」



ローカルの言葉にアースは、何も言葉がでない。




「おい、アース。凄いな」



「うん、凄い」



ようやく、アースはそれだけ言う。




「驚いた」




それにアースは頷く。



「ああ、驚いたな」



アースが言う。平民の彼らからすれば、厚待遇だった。大きく広い屋敷みたいな家に、庭付き。アースは、掃除が大変そうだな、と場違いな思いまで駆け巡る。




「この屋敷の管理は、わたくしがする事になっております。わたくし、オリブァーと申します」




一緒に来ていた執事が言う。




「オリブァーさん、ですね」



「オリブァー、と。呼びすてで」



微笑む姿は隙がない。



「わかりました。オリブァー」



「よろしく、オリブァー」



アースが言うと、ローカルも言う。それにオリブァーは鷹揚に頷く。




「はい。お二人が過ごしやすい環境を、お作りしたく思います。では、こちらに」




と、案内すべくオリブァーは、アースとローカルを屋敷に誘った。