転生魔王と転生勇者

十六夜

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魔王の力と家族

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ー魔王城・魔王執務室ー
それは彼が相変わらず執務室で作業をしているときにおこった。彼は、魔王としてリオンとの関係修復のための家臣会議の計画書を制作している時だ。

「、、、はぁ、陛下。いい加減にして本業に専念してください。これでは国が回りませんよ。」

「ウォーデン!貴様、父親が我の本業でないと申すか!それに、会議の計画書、予算案、行政案、全て一通り目を通し、各部署に我の意見を述べて回しておるわ!」

ウォーデンは目眩がした。何故この仕事のやる気をいつも出してくれないのか?どうして家族の事となると、ここまで熱くなるのか?自分も二児の父親だが、目の前にいる支えるべき主君の行動は、息子の為に国を動かす。正直、おかしい。  馬鹿げている。

(それとも他になにか、、、)


ウォーデンはサタンがここまで狼狽もとい、発狂する案件を知っている。同じことが昔にもあったからだ。

「陛下、メリー様と何かありましたか?」

「なefなj6!」

(もう、何を言っているかすら、わからん。)

ウォーデンは腹に急激な痛みを覚えたが、長年の経験から決して顔には出さない。

「ありがちなところだと、イシュメール様は生きている。それを捜索が終了してからも言っていたのは、メリー様達でしたね。あの葬儀に至っても、メリー様の目を醒まさせる為と仰り、、、イシュメール様が生きて帰って来た。陛下の面目は丸潰れ、家族を信じない人が棄てられてもねぇ、、、」

「ウォーデン、、、貴様、我を、、、」

サタンはウォーデンからの口撃で正に、虫の息だった。それでも、何か言い返さないとと思ったサタンが口を開いた瞬間、執務室の扉が勢いよく開いた。

「しっ失礼します!」

入って来たのは魔装鎧。鎧の模様からして近衛部隊の者だと二人は理解した。

(近衛部隊がここまであわてるのはおかしい。)

魔装鎧はウォーデンを無視しあわてた様子でサタンに話しかける。ウォーデンは魔装鎧の報告を聞き驚きを見せるサタンを見ながら思考を巡らせていた。



我はこの報告を受け、驚きを隠せなかった。
近衛兵がここに来ることは無くはない。しかし、それは巡回のためだ。部屋には入りはしない。しかし、この魔装鎧はあわててここに入り、ウォーデンを無視して我の隣へ来た。魔族の中でも規律を最も重んじる魔装鎧が。我は何も言わずその報告に耳を傾けた。

「陛下、イシュメール様が禁書の間に入り生還されたとの事です。」

ウォーデンには聞こえないよう、我だけに喋ったのだろう。しかし、我の顔は馬鹿正直に出してしまったらしい。ウォーデンが何か探る顔をしている。
禁書の間の秘密は司書、魔王、そして近衛部隊の一部でしか知らされていない。たとえウォーデンでも知られる訳にはいかない。

「ウォーデン、会議は中止だ。用事ができた後を頼む。」

「陛下?陛下!」

ウォーデンの叫びが聞こえるがそれを無視し、我と魔装鎧は禁書の間へと向かった。

ー魔王城・禁書の間
禁書の間に着くと、イシュメールは魔装鎧に介抱されているところだった。

「イシュ、、、メール、、、イシュメール!!!」

「ぐっ、」

「大丈夫か?怪我は、意識はあるか!」

「う、、、勝手に殺した事にしておいて、今更そんな態度とられても演技にしか見えませんよ、陛下」

イシュメールから父上ではなく、陛下と呼ばれ我の心は傷付いた。しかし、今はそれどころではない。 

「親が子の心配をしないわけが無いだろ!いい加減にしろ、 」

我が続けようとすると、いきなりイシュメールが大声を上げた。

「いい加減にするのは貴方だ!僕は貴方の言う通りに、サーペントも狩った。しかし、待っていたのは僕が死んだとされたこと!僕は家族を忘れた事はなかった。母上も、姉上たち、、、いやクロエ姉様とエル姉様も!でも、貴方とカリン姉様は忘れようとした!それがどれだけ苦しかったか、解るのかよ、あんたに!、、、ハァハァハァ。」

息を切らしながら我に心情を打ち明けたイシュメール。しかし、我は本当の事を理解できなかった。

「イシュメール、何を!お前は正に神童。我を越えし存在なのだぞ!」

「いい加減にしなさい!」

イシュメールとの口論中に甲高い声が響いた。我は、忘れていた彼女のいることを。
メリー、我妻。

「静まりましたね。あなた?イシュメールが無理をしていることを知っていましたか?」

「なっ」

「イシュメールにあなたは何と言ってきましたか?我を越えよ。ずっとそれだけでしたよね?それがイシュメールにどれだけ苦痛か理解できなかったのですか?」

実際のところは無理するギリギリのラインだったので、正直そこまでの無理ではない。そう言おうとすると、後ろから口を押さえつけられた。しかし、それに敵意はなくイシュメールはその手の主に身を委ねた

「イシュメール、今は休んでね。」

(エ、、、ル、、、ね、、さん)

僕は急激な眠気に誘われ意識を失いました。

ー魔王城・禁書の間
私はエル。エルメス・リ・レントヴゥルム。
レントヴゥルム 王国第三王女です。
禁書の間に私の弟であるイシュメールが入ったという報せをを受けて、お母様、クロエ姉様、カリン姉様と共に禁書の間へと来たのですが、

「いい加減にしろ!」

中からお父様とイシュメールが言い争う声が聞こえてきました。クロエ姉様が今にも飛び出して行きそうな勢いで、止めるのに本当に苦労しました。
しかし、だんだんと話の内容が掴めて来るにつれ、
カリン姉様はうつむき、下唇を噛んでいました。そんなカリン姉様に対し、私はいたたまれない気持ちになりました。カリン姉様はイシュメールを探したかった。でも、立場が許さなかった。だから忘れようとした。むしろ、忘れなれなかった私達がおかしいというのに、、、。お父様とイシュメールの口論はより激しさを増すかと思われた時、

「いい加減にしなさい!」

お母様の声が響きました。お父様は仰天した様子で、お母様に頭を垂れています。
イシュメールがまたやんちゃをすると思ったので、後ろからイシュメールの口を塞ぎ、

「(スリープ)イシュメール、今は休んでね。」

私の腕の中でイシュメールは眠りにつきました。
イシュメールが寝てからは、お母様がお父様に対し、反論を一切許さない口激を始めました。
そこに、クロエ姉様も参戦し二対一の戦いに。
カリン姉様はどちらにも付かず、最終的に私がお母様陣営に参戦したことでお父様は白旗を上げました。最後に「永遠に口をきかない!」と叫んだ時のお父様の絶望した顔は、実に清々し、、、
イシュメールの無念をはらせたと思いました。
あっ、つい笑みが。

ー魔王城・禁書の間
始めてでした。エル姉さんのこんなにも恐ろしい表情を見たのは。わらっています、しかし、それは笑うではなく、嗤う。まるで、ブタを見るかのように冷たい目を陛下に向けていました。

「姉、、、エル姉さん?」

「あら?おはようイシュメール、、、(サーペントでも一時間は眠るのに)元気ある?お姉ちゃんが添い寝や看病してあげるよ。」

「い、、、いえ、大丈夫です。」

エル姉さんは昔から僕と関われなかった、クロエ姉さん、カリン姉さんの代わりに、遊んでくれたり、怪我の治療をしてくれたりしました。しかし、溺愛しすぎなんですよね。稀に、僕の世話係のハンナよりも早く起こしに来ることも、何故か膝枕していることも多数。番人いわく、僕は家族の中でも母上と遊べる時間や、一緒にいる時間が短かったそうです。だから、姉妹で世話をしていたそうですが、クロエ姉さんとカリン姉さんは仕事柄来れず、エル姉さんがよく来ていたということで、、、でも膝枕は懐かしいですね。

「まぁ、いいです。陛、、、父上、母上、御姉様方、僕はこれからレントヴゥルムを出ようと思っています。」

「「「なっ!なんだってぇぇぇぇ!!!!!」」」

まぁ、驚かれますよね。でも、、、

「僕がよく本を読みに大図書館に来ていたことは知っていますよね、僕はそこでこれを見つけました。、、、少しお待ちを、取って来ます。」

「「「まっまて!」」」

呼び止められましたが無視します。
さて、皆はどんな顔をするかな?
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