転生魔王と転生勇者

十六夜

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息子、旅に出る

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ー魔王城・禁書の間
僕が戻ると何故か戦闘体勢の近衛部隊と父上、クロエ姉さんとカリン姉さんがいました。

「どうしたんです?母上とエル姉さんはどこに?
出かける前に挨拶をしたいのですが、、、。」

父上に説明を求めると一言、予想していた返事が帰ってきました。

「行かせん。イシュメール、これ以上家族(我)を(の)悲しませ(好感度を下げ)はしない。」 

「何故か腹立つ理由が隠れているような気もしますが、、、まぁいい。」

「近衛部隊!イシュメールを取り抑えよ!」

「「「はっ!」」」

「どけよ。」

「「ぐうぅ、、、。」」

ー魔王城・禁書の間・サタンsideー
なっ!何故だ。何故なこんな事に!我の近衛部隊は軍の中でも生粋の実力者達だ。それがまったく動こうとしない。一体、、、こんな事を出来たのは2人しかいない。そしてそれは確信となった。イシュメールの瞳が赤く変色している。

「イシュメール、、、貴様、何処でその力を手にした!その魔眼を!」

ー魔王城・禁書の間ー
「魔眼、それを持つ者が現れた時、我等を救う救世主、あるいは我等を滅ぼす悪魔になる。ふっ、こんなのただの迷信です。父上、貴方が迷信深いとは、、、。」

皮肉まじりにそう言うと、父上は力が抜けたようにその場に座り込んだ。

「いいや、迷信ではない。我の父は事実。勇者と戦った。それに、我等魔王は元々、魔眼を持たなくとも人間達が騒ぐ勇者と同等かそれ以上の力を有している。そして、魔眼が現れる世代には必ず勇者が現れた。、、、勇ましい者か、ふざけるな。そんな存在にお前を殺させはしない。」

「父上?」

「イシュメール、我は父上としてお前を誇りに思う。、、、お前達も良いだろう?イシュメールは我々が思う以上に強くなった。」

父上がそう言うと何もない空間から四人が現れました。

「イシュメール、お前。」

クロエ姉さんが何か言いたそうな姿で、、、

「?皆さんは勘違いしてませんか?私は出ていくといっても帰って来ない訳ではありませんよ?」

「「へ?」」

「実はですね。禁術の中に時越えと言う呪文が有りました。最初は魔力が足りなかったのですが、今ではレッドサーペントを越える魔力があります。これなら約20年位は過去へ行けます。そして、人間大陸へ渡り自分の修行をしたいのです。そうすれば僕も成長できますしね。それに、家族を捨てる理由はありませんよ?」

父上達は何か拍子抜けしたような顔を見せると笑顔で頑張ってこいと言ってくれました。

「「行ってらっしゃい。イシュメール」」 

「行ってきます。」 

僕は行く前に最後の忘れ物を取りに行きました。

ー魔王城・イシュメール自室

「ふぅ、イシュメール様大丈夫かな?」

私はハンナ、イシュメール様の忠実なメイド。
イシュメール様が何時来ても良いよう、ケーキとティーセットを準備している。イシュメール様が準備してくれたテーブルにと二つの椅子。その片方に座り、待つ。それがイシュメール様のご指示だ。

「、、、まるで夫の帰りを待つ妻みたいだわ。って私は何を考えているの?イシュメール様は、、、」

「僕がなんですか?ハンナ」

「キャッ!」

いきなり後ろから声をかけられ、私は椅子ごと後ろに倒れようとするところを、イシュメール様に助けられました。

「ぐぬぬぬ、ハッハンナ!子供の体では、、、大人を支えるのはきついです!」

「もっ、申し訳ありません!!」

「くっ、リオンの肉体が羨ましいですね。
、、、もう大丈夫でしょうし、ハンナ貴女に聞きたい事があります。僕が共に来て欲しいと言えば、貴女は共に来てくれますか?」

イシュメール様は神妙な顔つきで私に問いかけてきました。、、、答えは決まっています。

「イシュメール様、私は貴方様のメイドです。イシュメール様が死地に赴くのならば、私もお供します。それに、自分の身は守れます。」

「、、、どうやら本気のようですね。嬉しいです、ハンナ。貴女が来てくれる事に。さぁ、僕の手をとってください。」

イシュメール様の手を握ると、私は転移魔法の光に包まれた。

ーメシア共和国・首都メサイヤー

「イシュメール様、ここはいったい?」

「人間の国、メシア共和国の首都メサイヤです。
ハンナ、メイド服での移動は目立ちます。先にブティックを覗きましょう。」

イシュメール様に連れられ、私は生まれて始めてのブティックに来ました。、、、だって仕方ないんです。レントヴゥルムではブティックのような華やかな服を売るお店とは無縁でしたし、それに!

「ハンナ、お好きなのを。」

ブティックの中はまるで上流階級が着るような、美しい服が多くありました。

「イシュメール様!しかし、、、お値段もありますし、、、」

「ハンナ、大丈夫です。申し訳ない!」

「はいはい、なんでしょう?」

イシュメール様が声をかけると宝石を身につけた正に成金趣味と言う男が現れました。

「、、、洗脳。」

イシュメール様は私の前で禁術とされる魔法を大胆に唱えました。

「いっイシュメール様!魔力探知に引っ掛かってしまったらどうするのです!」

「ハンナ、大丈夫です。あくまでも人間に限りますが、魔法使いは一握りしかいません。それに、魔力結界をはっているので、父上ぐらいですよ。これに気付けるのはね。さて、亭主。君の持っている宝石、商品、全財産を渡しなさい。」

イシュメール様がそんな事を言うと店の亭主はただ「はい」と言いながら両手でやっと乗せられる程の宝石箱、大きめの皮袋にはパンパンになるほどの金貨が入っていました。本当は犯罪だと思うのですが、かつての戦争では私のお祖父さんも殺されてしまったらしいので、これぐらいは可愛い物ですよね。それに亭主は服まで脱ごうとして、それを慌てて止めるイシュメール様は正に可愛いんです。眼福
でした。

「しかし、ハンナすごいですよ。この店はどうやら武具も扱っているようです。ふふっ、大量ですね。ハンナ、ドレスを着せてあげたいのですが、申し訳ありません。されらで我慢してください。僕は少し行くところがあります。それでは。」

イシュメール様はそう言うと、店の裏口から誰にもバレないように外へ出て、人混みへと消えていきました。イシュメール様が言ったソレらは魔族の職人の中でも、中の上と言うもので、軽い装飾もあり、使えない訳ではありません。その中にはまるで私の為に有るような装備が有りました。

黒銀の胸当て

その中の一つに私に合うものが有りました。私の胸は大きくも小さくもないいたって普通。なので前は悲しいけど問題なし、横のサイズも完璧。黒銀の中に白薔薇の装飾もあり、中々に美しい。

「よりにもこんなものまで、、、」

籠手仕込み魔力刀。魔力の媒体となる物に魔力を込めるとそこから自分の思ったの長さの刃が出てくるというものです。魔力刀の展開中は魔力を消費するものの、私は魔族。魔力回復の速度は消費速度よりも速いため実質、敬遠刃を形成可能です。しかもそれを仕込み刃に利用するとは、、、。しかも、バレないように偽装まで、、、これは暗殺用ね。それが何故ここにあるかは考えないでおきましょ。後は沼も比較的大丈夫な膝まである黒のブーツ、ズボンでいいわね。そんなこんなで、結構な時間がたち、、、

「うん、完璧。」

頭にはメイド服の名残でヘッドドレスをカチューシャへと変え、見た目も動きやすさを目安に、全体を黒で固めて、、、これじゃまるで騎士ね。でも!
イシュメール様をお守りするのなら、、、

「ハンナ、、、メイド服もきれいですけどその服装もきれいです。まるで黒騎士ですね。」

「イシュメール様、そのお言葉とても嬉しいです。有難うございます!」

「ハンナ、僕は仕事も荷支度も終わっています。さぁ、行きますよ。もう一度、聞きます。引き返すなら今ですよ。僕達は禁術によって時間を越えることになります。行く時間は今より約20年程前の世界です。それでもいいですか?」

「イシュメール様、私は貴方についていきます。」

「その覚悟、その気持ちに感謝を。ありがとう、ハンナ。、、、行きますよ。我を願う時へと後れ、
テンプス。」

イシュメール様が呪文を唱えると、私達は激しい光と浮遊感に包まれた。
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