転生魔王と転生勇者

十六夜

文字の大きさ
26 / 30

クラス

しおりを挟む
ーレジアナ魔術学園・1年A組ー
俺とレイが連れられた教室はたった6人しかいない。でもそれはこの学園では当たり前だ。

「あー、俺はリオン・カンナヅキ。こいつの兄だ。宜しくな。」

「ふんっ、私はレイ・カンナヅキ。彼の姉よ。宜しくね。」

「まぁまぁ、二人ともそう邪険にならないで。」

俺達が編入するクラスに入り、最初に挨拶を求められた。この学園は実力で別れていて、Aクラスは最高ランクだ。まぁ、俺達の実力なら当たり前なんだがしかし、レイのこの態度、イシュメールの奴には無しで、俺だけかよ!

「それでは、リオン君とレイさんに質問がある方、どうぞ!」  

教師がそういうと、生徒は手をあげるか?と思われたが、あげたのは一人だけだった。

「では、私が先に失礼します。私は、セリエ教会の聖女、タニア・アーリアと申します。、、、単刀直入に聞きます。お二人はあれほどの実力を有しながら、なぜここに来たのですか?この学園には将来有望視されている方が多くいます。それを、、、。」

「、、、あのさ?真面目な話中に悪いけどよ、同じ女子生徒ならこの聖女様の惨劇、教えてやるべきだぜ。、、、ぷっ、、、くふっ、、、。」

「なっ、なんです!何なんですか!」

「先生、これ気づかなかったの?」

レイが教師に対して質問しているが、本気で気付いていなかったらしく、ため息を吐いている。

「、、、あのね。タニアさん、落ち着いて聞いてね。その、、、ねスカートの、、、後ろが、、。」

レイが近付いて聖女と何か話している。、、、だいたいわかる。聖女は顔を赤くしながら、プルプルと震えている。可愛そうに。俺はとりあえず、上着を聖女に被せ、レイの隣に戻った。

「、、、達は。」

「なんだ?」

「貴方達は、私の服装を知っていながら!なぜ言わないのです!」

振り返って怒鳴ってやがる。聖女様の惨劇を知っていながら言わない。そりゃ、怒るわな。助ける義理もない。もっと言うと、起こる相手が正しい。これで俺達に文句を言えば俺は彼女の評価をかなり下げたが、理解はできているのだろう。

「聖女様、私達がこの学園に来た理由?そんなのどうでも良いでしょう。強いて言うなら、傭兵でしょうか、私の叔父でもあるジョッシュは高名な傭兵です。それに感化され、強くなりたい。しかし、傭兵には知識も必要です。だから来ました。他に理由は必要ですか?」

レイが無言で聖女を睨み付けている。しかし、聖女はレイの方を見ずに俺の方ばかり見ている。正直、美少女と呼べる存在に視線を向けられるのは、嫌いじゃない。しかも、それが敵対や蔑み以外なら尚更だ。とりあえず、笑顔を返すとレイに足を本気で踏まれた。しかもレイに視線を向けると、まだ聖女を睨んでいる。

「まっ、まぁ取り敢えず、、、あれ?ずいぶんと長い間話し込んでしまったようですね。一時間目の授業はこれにて終了です。レイさん、リオン君、君達はこれから相手いる席をご利用下さい。タニアさん、」 

「起立、」

ザッ

「礼!」

サッ

聖女の掛け声で挨拶が終了した。たかが挨拶なのだが、ふざける奴は一人もおらず綺麗だった。

「リオン、リオン・カンナヅキ、でしたよね?」

「ん?聖女か、ジャケットは今日はもう良いぜ。お前に貸すよ。下は問題無いんだろ?」

聖女は顔を赤くしながらコクりと頷いた。へぇ、以外に可愛いとこあるな。

「それより、次の魔法はどこでやるんだ?」

「はっはい、そうでしたね。皆さんも移動しているようですし、私達も行きましょうか。リオン・カンナヅキ。」

「、、、あのなぁ?リオン君、とかリオンで良いぜ。フルネームはちょっと違和感有るんだ。」

「それでは、リオン君と。それと私の事は、、」

「タニアだろ?せ・い・じょ・様」

それから田和いもない話を続けながら、俺達は次の授業へと向かった。


ーレジアナ魔術学園・廊下

「迷った。、、、あーー!もう!リオンは聖女に鼻の下伸ばすし、お兄ちゃんには会えないし、学校で道に迷うし!もうやだ!」

正直、お兄ちゃんと同じ顔をしているリオンは腹立たしい。かつて私を虐めたこともあるからだ。前はイシュメールと呼んでいたけど、今のお兄ちゃんの名前がイシュメールになったから彼奴をリオンと呼ぶ。腹立たしい理由は簡単だ。お兄ちゃんと同じ顔、同じ声で女を口説いている。お兄ちゃんはもっと落ち着いた声をしているけど、似てるし、、、。

「お兄ちゃん?」

私は当分会えないと思っていたお兄ちゃんを学園で見つけた。勿論、ダッシュ!

「お兄ちゃん!!」

「ふふっ、寂しかったのですか?」

「うん、寂しかった。お兄ちゃんには会えないし、リオンは聖女に鼻の下伸ばすし、、、。」

そこで私は思った。優しく抱き締めてくれるこの暖かさ、昔のお兄ちゃんと同じだ。でも、、、私の記憶の限りだと、会えないはず、、、。

「えっ?」

「レイさん、でしたよね?もうすぐ私の授業が始まります。申し訳ありませんが、、、よっと。」

よりにもよってメール先生に抱き着いていた。しかも、先生にお姫様抱っこまでされてる!私は直ぐに両手で顔を隠した。、、、だってきっと顔が赤くなってたと思うから。
両手の隙間からメール先生の顔を張れないよう見る。何処と無く、お兄ちゃんに顔が似ている。

「レイさん、教室に着きましたよ。下ろしますね。」

私を包んでいたその手は、優しく、大きかった。

ーレジアナ魔術学園・第8講義室

「えー、今回の授業としてまず魔法使いとしての基礎の基礎。魔力とは何かを聞いていこうと思います。、、、サーシャさん、お願いします。」

「はい、魔力とは魔法の根源です。」

「正解です。では、魔法を強くするには?」

「はい!」

「ライアス君、お願いします。」

「ワンランク上の魔法を唱えるです。」

まるで初歩の初歩だな。ばあちゃんに聞いたことも同じじゃないか。

「、、、ライアス君、不正解です。リオン君、君は解るようですね。」

「魔力を濃縮することだ。魔力を小さく濃縮すれば、魔力消費を抑えられ、威力も上がる。」

「そうですね。たとえば、、、これです火球!」

この男、俺に向かってファイヤボールをやりやがった。しかも、魔力を限界まで圧縮したやつを!

「マジックガード!」

「この通り、魔力を限界まで圧縮した火球はかなりの火力を有しています。そして彼の魔力障壁を見てください。」
 
あの教師に言われて全員が膝まずいている俺を見る。くっ、敗者を見せてなんになるんだよ!

「彼の魔法障壁はこの火球を防ぐためにこれ程分厚い魔法障壁を使用しています。魔法障壁でも魔力を濃縮すれば通常の暑さでもあれぐらいの火球は防げます。さぁ、皆さ」

教師が言い終わる前に教師の顔にファイヤボールが直撃した。

「はっ!やべぇな、確かに威力があがってやがる。さて、この教師の顔は焼けたかな、、、」

「キャーーー!!!」

「てめぇ!何してやがる!」

「何って、僕の服を焦がした屑はお仕置きだろ?
お前も僕の服が焦げる原因を作った奴だよな?」

くそっ、ファイヤボールをもろに受けたからか体が動かねぇ。レイ、助けてくれ。俺はそう懇願する視線を向けるが、帰ってきたのは前を見ろ。だった。
あんの、、、やろ、、、なに?

「全く、子供がいるとは。名前は、ゼノン・ティーガル。ティーガル議員の愚息、これはお父上は本気で勘当しますね。ロイド、ハロルド、今の映像はティーガル議員に見せていましたか?」

「メール司教、ティーガル議員に繋ぎます。」

「ふん、動けねぇだろガキ。」

ハロルド司教がゼノンと呼ばれる野郎を捕縛し、ロイド司教は俺を治療してくれた。メール司教はなにか魔法を唱えると、目の前に高級そうな椅子に座った男性とその隣に美しい女性が現れた。両方とも良く見ると、目の下に隈ができている。

「ティーガル議員、ティーガル夫人、これがご子息様です。何かありますか?」

「司教様、私は、いえ私達は息子の育て方を間違えたのでしょうか?私は、女神セリエに会わせても問題ない子を育てたつもりでした。しかし、そこにいるのはたかが服装が汚れた位で威張り散らし、貴方に不意討ちをし、傷付くものを痛め付けようとする。」

「ちっ父上、これには訳が!」

「黙れ、私は息子の様子がおかしいと学園から相談を受けていた。しかし、家では一切そんな雰囲気はない。学園なら何かある。いや、何もあってほしくない。その気持ちで、司教様に調べるよう頼んだのだ。、、、貴様は、ティーガルの名に相応しくない。、、、司教様。」

「ゼノン、私は、もう貴方を息子と思わない。
、、、司教様。」

「ゼノン君は法律により裁かれるでしょう。もしかしたら、いや、もしかしなくても更に被害者が居てもおかしくない。子供とは言え、犯罪奴隷行は免れないでしょう。」

「嫌だ!嫌だ!離せ!離せ!」

「黙れガキ!」

「ぐばっ!」

ハロルド司教がゼノンを殴って気絶させ、手錠と猿具わをはめている。

「ロイド、警備隊に連絡し犯罪者の裁判をお願いしてください。罪状は民間人への暴行及び、司教の殺害未遂です。」

「ハロルドは今回の件でティーガル夫妻に対しての護衛を聖銀十字団から5名向かわせて下さい。」 

メール司教はてきぱきと指示を開始し、ゼノンは消えた。

「さて、授業を再開しましょう。」

俺は、この男メール司教だけは、敵にまわさない。
いま、そう誓った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

異世界ビルメン~清掃スキルで召喚された俺、役立たずと蔑まれ投獄されたが、実は光の女神の使徒でした~

松永 恭
ファンタジー
三十三歳のビルメン、白石恭真(しらいし きょうま)。 異世界に召喚されたが、与えられたスキルは「清掃」。 「役立たず」と蔑まれ、牢獄に放り込まれる。 だがモップひと振りで汚れも瘴気も消す“浄化スキル”は規格外。 牢獄を光で満たした結果、強制釈放されることに。 やがて彼は知らされる。 その力は偶然ではなく、光の女神に選ばれし“使徒”の証だと――。 金髪エルフやクセ者たちと繰り広げる、 戦闘より掃除が多い異世界ライフ。 ──これは、汚れと戦いながら世界を救う、 笑えて、ときにシリアスなおじさん清掃員の奮闘記である。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜

サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。 〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。 だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。 〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。 危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。 『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』 いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。 すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。 これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。

転生先はご近所さん?

フロイライン
ファンタジー
大学受験に失敗し、カノジョにフラれた俺は、ある事故に巻き込まれて死んでしまうが… そんな俺に同情した神様が俺を転生させ、やり直すチャンスをくれた。 でも、並行世界で人々を救うつもりだった俺が転生した先は、近所に住む新婚の伊藤さんだった。

家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜

奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。 パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。 健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。

薬師だからってポイ捨てされました~異世界の薬師なめんなよ。神様の弟子は無双する~

黄色いひよこ
ファンタジー
薬師のロベルト・シルベスタは偉大な師匠(神様)の教えを終えて自領に戻ろうとした所、異世界勇者召喚に巻き込まれて、周りにいた数人の男女と共に、何処とも知れない世界に落とされた。  ─── からの~数年後 ──── 俺が此処に来て幾日が過ぎただろう。  ここは俺が生まれ育った場所とは全く違う、環境が全然違った世界だった。 「ロブ、申し訳無いがお前、明日から来なくていいから。急な事で済まねえが、俺もちっせえパーティーの長だ。より良きパーティーの運営の為、泣く泣くお前を切らなきゃならなくなった。ただ、俺も薄情な奴じゃねぇつもりだ。今日までの給料に、迷惑料としてちと上乗せして払っておくから、穏便に頼む。断れば上乗せは無しでクビにする」  そう言われて俺に何が言えよう、これで何回目か? まぁ、薬師の扱いなどこんなものかもな。  この世界の薬師は、ただポーションを造るだけの職業。  多岐に亘った薬を作るが、僧侶とは違い瞬時に体を癒す事は出来ない。  普通は……。 異世界勇者巻き込まれ召喚から数年、ロベルトはこの異世界で逞しく生きていた。 勇者?そんな物ロベルトには関係無い。 魔王が居ようが居まいが、世界は変わらず巡っている。 とんでもなく普通じゃないお師匠様に薬師の業を仕込まれた弟子ロベルトの、危難、災難、巻き込まれ痛快世直し異世界道中。 はてさて一体どうなるの? と、言う話。ここに開幕! ● ロベルトの独り言の多い作品です。ご了承お願いします。 ● 世界観はひよこの想像力全開の世界です。

処理中です...