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1st season 第四章
085 神話
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遥か昔、気の遠くなる程ずっとずっと昔。
ここでは無いどこか、そのこことは異なる世界で最初の生命が誕生した。
生命は育ち、やがて、神々に近しい姿をした「人」と呼ばれる者達が現れ始めた。
人の出現を祝福した神界は、その世界を見守る為に、幾柱かの神々を遣わされた。
大地の恵みに、荒れ狂う嵐に、人々は神の存在を感じ、最初の信仰が生まれた。
神殿に集い、捧げられる祈りは確かな神力となり、神々の元に届けられた。
神々はその神力を用い、この、奇跡の箱庭が壊れてしまわぬよう、常に見守り続けた。
マナ溜まりの穢れはこれを祓い、異界との扉が開けばこれを封じ、燃え盛る太陽が星を飲み込まんとすればこれを抑え、世界の維持に心血を注いだ。
人々もまた今日の糧に感謝し、明日の糧を願い、神々への祈りを欠かす事は無かった。
やがて地には人が満ち、国が生まれ、人々の祈りも変わっていった。
ある日の事、神殿に跪く一人の男がこう祈った。
「慈悲深き神よ!どうか我が子を病からお救い下さい!」
その願いを一柱の神が聞き入れた。
またある日の事、別の男がこう祈った。
「偉大なる神よ!悪しき獣より人々を護る力をお与え下さい!」
その願いもまた、神々の一柱により叶えられた。
そしていつからか、神殿は願いを訴える人々で埋め尽くされるようになった。
「神よ!私の思いは真剣です!どうかあの御方の元に嫁がせて下さい!」
「神よ!我が婚約者には他に想い人がいます!どうかその男を忘れさせ、私と幸せな家庭を望ませて下さい!」
「神よ!かつて我が国の領土であったかの土地を、再び我が手にお戻し下さい!」
「神よ!我が国を攻め取ろうとする野蛮なかの国に神の裁きを!」
「神よ!私を街一番の富豪にしてください!」
「神よ!私を世界一の富豪にしてください!」
もはや神々は願いを聞き入れなかった・・・否、叶えようにも叶えることが出来なかった。
誰かの願いを叶えれば、他の誰かの願いを踏みにじることとなる。
「神に慈悲は無いのかっ!」
「神は我らを見捨てられたっ!」
「我が妻を救わなかった神よ!私は貴方を呪いますっ!」
感謝の祈りを捧げるものは次第に減っていった。
それどころか怨嗟の言葉で神殿を汚すものまでが現れた。
祈りが齎す神力は枯渇し、神々の力は衰えたが、それでも世界は見放されなかった。
だが、神々は見落とした。
全てを見守るに足る神力が無かったのだ。
ほんの小さな綻び、たった一人の錬金術師が世界を壊した。
「神は私の願いを聞き入れなかったが、半生を費やし、ついに完成した!この術によって私は世界の富豪となるっ!」
男は錬金術師だった。
世界中の塵を集め、純金に変える魔法陣を完成させたのだ。
半生をかけてかき集めた魔石を連動させ、男は魔法陣を発動させた・・・が、男が世界一の富豪になる事は無かった。
純金の山が出現するはずだった男の眼前には、銀色に輝く金属が巨大な山を出現させていた。
それは銀では無かった。
そして、異変はすぐに現れた。
最初は味覚だった。
草木は変色し、全ての食べ物から味が消えた。
どれほどの富豪であっても、二度と美食を楽しむことは出来ない。
人々は食欲を失い、街からは活気が失せ、いたずらに戦火だけが立ち昇った。
人はその戦火すら維持できなくなった。
第二の異変だ。
剣など用いずとも、転んだだけで骨が砕けるようになったのだ。
もはや人は、戦いなど出来る種族では無くなった。
そして第三の異変が蔓延する。
子供が生まれなくなったのだ。
ここに至り、人々は神の裁きを思い出す。
処女、子供、数え切れぬ程の生贄が神殿に捧げられた。
これが決定打となった。
元より神々は裁きなど下していない。
そして神力を補充する最大の場、神殿はもはや生贄達の怨念で使い物にならない。
神々は完全に力を失い、神界へと引き戻された。
神の居なくなった世界。
その空はこじ開けられ、様々な異界から異形の者達が押し寄せた。
抗う力を失った人々が絶滅するに時は要さず、世界の覇権をめぐって異界の者同士が争い続ける地獄絵図が描き出された。
そしてそれも長くは続かない。
無秩序に開かれた界門が干渉しあい、閃光とともに世界は消えた。
錬金術師が描いたのは、金では無く亜鉛を集める魔法陣だった。
たった一文字の間違い。
そのたった一つの金属が自然から消えただけで、人は人としての肉体を維持できなくなる。
幸運にも、この世界にはまだ神々が居る。
たった一文字の間違いが起こらないよう、日々見守って下さっている。
今日も変わらず大地が有り、見上げればそこに空がある。我らはそれに感謝する。
###### 神理教 異界神話 ######
「「「・・・」」」
「あっ、主殿?コレは本当の話なのか?」
「いやっ、俺の空想。でも、だいたいこんな感じであってます?ホルジス様?」
「・・・驚きです。さすがかの世界の住人。我々が言いたかった事を見てきたかのように・・・カインさん、あちらの世界ではコレが常識なんですか?」
「いえ、どっちかって言うと異端な考え方ですかね?ホルジス様との会話から想像しました」
「ねぇ?ほんとに亜鉛?が無くなったらこうなるの?」
「あー、まぁ、なるな。この世界では知られていないけど、人間の体には膨大な種類の金属が必要なんだ。それは食べ物から摂取してる。だから食べ物が偏ると、体に異常が起こる」
「亜鉛なんて、真鍮作るくらいしか使いみちがねぇと思ってたな・・・」
「でもホルジス様達、本当はこういう人類マターよりも、もっと根源的なシステムを守ってるんじゃないですか?それこそ『亜鉛が舌を維持する』っていう前提が無効とかになっちゃわないように・・・例えば『火が熱を発する』というルールが反故になってしまわないように?」
「・・・そこまで想像しましたか・・・その通りですね。我々は基本、個体や種族単位の問題に干渉しません。我々の価値観で取捨選択を押し付けるのでは意味が無いと考えるからです。ですが連続性を無視した巨大な突然の変異は、『場』そのものが無くなってしまうようなケースと同等の損失と考え、未然に防ぎます」
「目的・・・は、さすがに教えてもらえませんよね?」
「そうですね。それはさすがにアウトです。」
「ねぇ?あたし、かなり怖くなっちゃったんだけど?この世界、大丈夫なの?」
「大丈夫なように『神理教』広めるんじゃん?ですよね?ホルジス様?」
「はい。まったくもってその通りです。いますぐ『聖教』の経典をこちらに差し替えたいくらいですね」
「わたし・・・ナザリア様に沢山お願いしちゃいました・・・」
「まぁ、みんなそうじゃん?お願いそのものが悪いってわけじゃ無いだろうし」
「はぁ・・・おれっちの常識がどんどん崩れていく・・・」
「うん。じゃ、常識が崩れたところで、絵本担当の二人はお絵かきね?話は結局俺が書いたけど、こっからは二人でよろしくね?」
「はいっ!アリス、がんばりますっ!」
「・・・おれっちに絵とか・・・上手くは描けないからなっ?期待すんなよっ?」
「いやぁ~、完成が待ち遠しいですね?カインさん!」
「原版が出来ればガンガン刷れますよ!紙もがっさり集めましたし」
「いやいや教皇様様です!楽しみにしてますよ~」
「うん。こういうのは皆で少しずつやることが大事だよね。じゃ、今日の会議はここまで~」
この一ヶ月後、神理教の聖典となる『異界神話』の印刷が開始された。
ここでは無いどこか、そのこことは異なる世界で最初の生命が誕生した。
生命は育ち、やがて、神々に近しい姿をした「人」と呼ばれる者達が現れ始めた。
人の出現を祝福した神界は、その世界を見守る為に、幾柱かの神々を遣わされた。
大地の恵みに、荒れ狂う嵐に、人々は神の存在を感じ、最初の信仰が生まれた。
神殿に集い、捧げられる祈りは確かな神力となり、神々の元に届けられた。
神々はその神力を用い、この、奇跡の箱庭が壊れてしまわぬよう、常に見守り続けた。
マナ溜まりの穢れはこれを祓い、異界との扉が開けばこれを封じ、燃え盛る太陽が星を飲み込まんとすればこれを抑え、世界の維持に心血を注いだ。
人々もまた今日の糧に感謝し、明日の糧を願い、神々への祈りを欠かす事は無かった。
やがて地には人が満ち、国が生まれ、人々の祈りも変わっていった。
ある日の事、神殿に跪く一人の男がこう祈った。
「慈悲深き神よ!どうか我が子を病からお救い下さい!」
その願いを一柱の神が聞き入れた。
またある日の事、別の男がこう祈った。
「偉大なる神よ!悪しき獣より人々を護る力をお与え下さい!」
その願いもまた、神々の一柱により叶えられた。
そしていつからか、神殿は願いを訴える人々で埋め尽くされるようになった。
「神よ!私の思いは真剣です!どうかあの御方の元に嫁がせて下さい!」
「神よ!我が婚約者には他に想い人がいます!どうかその男を忘れさせ、私と幸せな家庭を望ませて下さい!」
「神よ!かつて我が国の領土であったかの土地を、再び我が手にお戻し下さい!」
「神よ!我が国を攻め取ろうとする野蛮なかの国に神の裁きを!」
「神よ!私を街一番の富豪にしてください!」
「神よ!私を世界一の富豪にしてください!」
もはや神々は願いを聞き入れなかった・・・否、叶えようにも叶えることが出来なかった。
誰かの願いを叶えれば、他の誰かの願いを踏みにじることとなる。
「神に慈悲は無いのかっ!」
「神は我らを見捨てられたっ!」
「我が妻を救わなかった神よ!私は貴方を呪いますっ!」
感謝の祈りを捧げるものは次第に減っていった。
それどころか怨嗟の言葉で神殿を汚すものまでが現れた。
祈りが齎す神力は枯渇し、神々の力は衰えたが、それでも世界は見放されなかった。
だが、神々は見落とした。
全てを見守るに足る神力が無かったのだ。
ほんの小さな綻び、たった一人の錬金術師が世界を壊した。
「神は私の願いを聞き入れなかったが、半生を費やし、ついに完成した!この術によって私は世界の富豪となるっ!」
男は錬金術師だった。
世界中の塵を集め、純金に変える魔法陣を完成させたのだ。
半生をかけてかき集めた魔石を連動させ、男は魔法陣を発動させた・・・が、男が世界一の富豪になる事は無かった。
純金の山が出現するはずだった男の眼前には、銀色に輝く金属が巨大な山を出現させていた。
それは銀では無かった。
そして、異変はすぐに現れた。
最初は味覚だった。
草木は変色し、全ての食べ物から味が消えた。
どれほどの富豪であっても、二度と美食を楽しむことは出来ない。
人々は食欲を失い、街からは活気が失せ、いたずらに戦火だけが立ち昇った。
人はその戦火すら維持できなくなった。
第二の異変だ。
剣など用いずとも、転んだだけで骨が砕けるようになったのだ。
もはや人は、戦いなど出来る種族では無くなった。
そして第三の異変が蔓延する。
子供が生まれなくなったのだ。
ここに至り、人々は神の裁きを思い出す。
処女、子供、数え切れぬ程の生贄が神殿に捧げられた。
これが決定打となった。
元より神々は裁きなど下していない。
そして神力を補充する最大の場、神殿はもはや生贄達の怨念で使い物にならない。
神々は完全に力を失い、神界へと引き戻された。
神の居なくなった世界。
その空はこじ開けられ、様々な異界から異形の者達が押し寄せた。
抗う力を失った人々が絶滅するに時は要さず、世界の覇権をめぐって異界の者同士が争い続ける地獄絵図が描き出された。
そしてそれも長くは続かない。
無秩序に開かれた界門が干渉しあい、閃光とともに世界は消えた。
錬金術師が描いたのは、金では無く亜鉛を集める魔法陣だった。
たった一文字の間違い。
そのたった一つの金属が自然から消えただけで、人は人としての肉体を維持できなくなる。
幸運にも、この世界にはまだ神々が居る。
たった一文字の間違いが起こらないよう、日々見守って下さっている。
今日も変わらず大地が有り、見上げればそこに空がある。我らはそれに感謝する。
###### 神理教 異界神話 ######
「「「・・・」」」
「あっ、主殿?コレは本当の話なのか?」
「いやっ、俺の空想。でも、だいたいこんな感じであってます?ホルジス様?」
「・・・驚きです。さすがかの世界の住人。我々が言いたかった事を見てきたかのように・・・カインさん、あちらの世界ではコレが常識なんですか?」
「いえ、どっちかって言うと異端な考え方ですかね?ホルジス様との会話から想像しました」
「ねぇ?ほんとに亜鉛?が無くなったらこうなるの?」
「あー、まぁ、なるな。この世界では知られていないけど、人間の体には膨大な種類の金属が必要なんだ。それは食べ物から摂取してる。だから食べ物が偏ると、体に異常が起こる」
「亜鉛なんて、真鍮作るくらいしか使いみちがねぇと思ってたな・・・」
「でもホルジス様達、本当はこういう人類マターよりも、もっと根源的なシステムを守ってるんじゃないですか?それこそ『亜鉛が舌を維持する』っていう前提が無効とかになっちゃわないように・・・例えば『火が熱を発する』というルールが反故になってしまわないように?」
「・・・そこまで想像しましたか・・・その通りですね。我々は基本、個体や種族単位の問題に干渉しません。我々の価値観で取捨選択を押し付けるのでは意味が無いと考えるからです。ですが連続性を無視した巨大な突然の変異は、『場』そのものが無くなってしまうようなケースと同等の損失と考え、未然に防ぎます」
「目的・・・は、さすがに教えてもらえませんよね?」
「そうですね。それはさすがにアウトです。」
「ねぇ?あたし、かなり怖くなっちゃったんだけど?この世界、大丈夫なの?」
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「まぁ、みんなそうじゃん?お願いそのものが悪いってわけじゃ無いだろうし」
「はぁ・・・おれっちの常識がどんどん崩れていく・・・」
「うん。じゃ、常識が崩れたところで、絵本担当の二人はお絵かきね?話は結局俺が書いたけど、こっからは二人でよろしくね?」
「はいっ!アリス、がんばりますっ!」
「・・・おれっちに絵とか・・・上手くは描けないからなっ?期待すんなよっ?」
「いやぁ~、完成が待ち遠しいですね?カインさん!」
「原版が出来ればガンガン刷れますよ!紙もがっさり集めましたし」
「いやいや教皇様様です!楽しみにしてますよ~」
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