10 / 19
悪魔の10円玉
しおりを挟む
10円玉を拾った。
神様が交番に届けるように、耳元で囁いた。
懐に入れちゃいなよ。
悪魔が、囁いた。
10円玉を握った少年は、立ちすくんだ。
たかが10円玉じゃないか、誰も取りに来ないよ。
悪魔が言った。
その10円玉で、電話をかけようとしていたかもしれないじゃん。
チロルチョコや、うまい棒を買おうとしていた子供かもしれないよ。
神様が言った。
少年は、迷った。
この10円玉があれば、天国にいるママに電話出来るかなぁ。
神様が言った。
そんなことをしても、天国のママは喜ばないよ。
少年は、目がしらを熱くした。
じゃあ、神様と悪魔さんで、相談して正解を決めてよ。
少年は、心の中で叫んだ。
神様と悪魔は、話し合った。
どちらも、譲らなかった。
神様は、少年に良い行いをしてほしかった。
悪魔は、少年に悪の道を進んでほしかった。
やがて、空がどんよりと曇りだし、大雨になった。
落雷が落ちる。
すごい風だ。
神様と悪魔の、世紀の戦いが始まった。
たかが、10円玉の事で。
悪魔の方が優勢になった。
神様は、少年の未来を霊視した。
ブラジルのファベーラ出身の少年は、父と日本に出稼ぎに来ているが、少年はブラジルに帰り、成長してマフィアのボスになっていた。
神様は悪魔に消された。
そして、神様は居なくなった。
少年が老人になった頃。
少年だった老人は、何もかも、すべてを手に入れていた。
もう、その老人に逆らう者はいなかった。
歳をとり、隠居した老人の前に、1人の少年が遊んでいた。
悪の限りをつくした老人は、その少年を眺めて若さを懐かしんだ。
ふと、老人が少年だった頃の、10円玉のことを思い出した。
すべてが、そこから始まった。
老人は、自分の人生を悔やんだ。
何でも奪い、殺し合い、裏切った人生だった。
涙が、老人の頬をつたった。
あー、神様。
お許し下さい。
何でも罰は受けます。
私の人生は、酷いものでした。
いっときも、枕を高くして眠れたことなどありませんでした。
周りは、みんな敵だらけでした。
友人など、たったの1人も居ない人生でした。
私の人生、神など....
突然、雷が鳴ったとおもいきや。
空が真っ青に、透き通った。
老人は少年になった。
手を開くと、10円玉が握りしめられていた。
少年は、駆け足で交番に行った。
fin
神様が交番に届けるように、耳元で囁いた。
懐に入れちゃいなよ。
悪魔が、囁いた。
10円玉を握った少年は、立ちすくんだ。
たかが10円玉じゃないか、誰も取りに来ないよ。
悪魔が言った。
その10円玉で、電話をかけようとしていたかもしれないじゃん。
チロルチョコや、うまい棒を買おうとしていた子供かもしれないよ。
神様が言った。
少年は、迷った。
この10円玉があれば、天国にいるママに電話出来るかなぁ。
神様が言った。
そんなことをしても、天国のママは喜ばないよ。
少年は、目がしらを熱くした。
じゃあ、神様と悪魔さんで、相談して正解を決めてよ。
少年は、心の中で叫んだ。
神様と悪魔は、話し合った。
どちらも、譲らなかった。
神様は、少年に良い行いをしてほしかった。
悪魔は、少年に悪の道を進んでほしかった。
やがて、空がどんよりと曇りだし、大雨になった。
落雷が落ちる。
すごい風だ。
神様と悪魔の、世紀の戦いが始まった。
たかが、10円玉の事で。
悪魔の方が優勢になった。
神様は、少年の未来を霊視した。
ブラジルのファベーラ出身の少年は、父と日本に出稼ぎに来ているが、少年はブラジルに帰り、成長してマフィアのボスになっていた。
神様は悪魔に消された。
そして、神様は居なくなった。
少年が老人になった頃。
少年だった老人は、何もかも、すべてを手に入れていた。
もう、その老人に逆らう者はいなかった。
歳をとり、隠居した老人の前に、1人の少年が遊んでいた。
悪の限りをつくした老人は、その少年を眺めて若さを懐かしんだ。
ふと、老人が少年だった頃の、10円玉のことを思い出した。
すべてが、そこから始まった。
老人は、自分の人生を悔やんだ。
何でも奪い、殺し合い、裏切った人生だった。
涙が、老人の頬をつたった。
あー、神様。
お許し下さい。
何でも罰は受けます。
私の人生は、酷いものでした。
いっときも、枕を高くして眠れたことなどありませんでした。
周りは、みんな敵だらけでした。
友人など、たったの1人も居ない人生でした。
私の人生、神など....
突然、雷が鳴ったとおもいきや。
空が真っ青に、透き通った。
老人は少年になった。
手を開くと、10円玉が握りしめられていた。
少年は、駆け足で交番に行った。
fin
0
あなたにおすすめの小説
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
課長と私のほのぼの婚
藤谷 郁
恋愛
冬美が結婚したのは十も離れた年上男性。
舘林陽一35歳。
仕事はできるが、ちょっと変わった人と噂される彼は他部署の課長さん。
ひょんなことから交際が始まり、5か月後の秋、気がつけば夫婦になっていた。
※他サイトにも投稿。
※一部写真は写真ACさまよりお借りしています。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる