魔術師の少女が仕事にも恋愛にも全力でぶつかっていくお話。

imu

文字の大きさ
26 / 53

ノアの日常。

しおりを挟む
---<食事>---

セシリーと一緒に食堂に来る。

皿を2枚持ち、セシリーの分と自分の分の料理を取って行く。

セシリーは肉があまり好きではないため、魚と野菜が中心だ。

「ノア団長、あれも食べたいです。」

そう言って指差すのは果物が並ぶ場所。

相変わらず好きだなぁ、と側にある薄桃色の髪を見下ろす。

「果物はぁ、これを食べてからねぇ。」

綺麗に盛った皿を渡せば、ゲッと嫌な顔。

「ふふっ、セシリーの苦手な野菜入れちゃったぁ。」

そう言えば、キッと睨まれた。

そんな顔しても可愛いだけなのにねー、と不貞腐れるセシリーに笑った。





---<薬草>---

「あ、マンリョウが足りなぁい。」

薬草を保管している棚を除けば、今から作ろうとしているポーションに必要な薬草が足りなかった。

さて、どうしようかと辺りを見渡せば、ちょうどいい所に目的の人物がいた。

「セシリー!マンリョウ採ってきてぇ。」

「え⁉︎なんで私なんですか⁉︎」

「えー?可愛いからかなぁ?」

そう、怒るセシリーに言えば、は?意味わかんないんですけど。となんとも可愛くない反応。

「良いからー、早く行って来なよー。」

そう言って手に魔力を込めれば、セシリア行って来まーす!と元気の良いお返事。

うんうん、行ってらっしゃーい。と植物園に向かう背に手を振れば、アリア副団長からあまりセシリアをいじめないであげてください。と言われる。

心外だなぁ。立派な愛情表現なのにぃ。と今は閉じられた扉を見つめた。

「さて、どのくらいで帰ってくるかなー。」

どうせ、どっかで寄り道をするのだ。

40分したら迎えに行こうと決め、薬草の下ごしらえを開始した。





---<王宮>---

「あ、ノア団長。」

「ルシヨンじゃーん。最近良く会うねぇ。」

「そうですね。…今日はレオン団長に用事ですか?」

「いやぁ、違うよー。第一王子に呼ばれてるのー。」

「あぁ、なるほど。薬草関連のもの好きですからね。」

「そうだねぇ。」

「じゃあ、俺はこれで。…失礼します。」

「あ、ちょっと待ってぇ。」

「はい?」

「この間は、ケーキのお土産ありがとうねぇ。」

「あ、いえ。ちょうど街で見かけたもので。」

「うんうん、美味しかったよぉ。」

「あぁ、それは良かっt」

「ただぁ、セシリーにはその時ちょうどお使いに行かせててー、食べさせれなかったのぉ。」

「…え?」

「ごめんねぇ。あ、でもみんな美味しいって言ってたよぉ。」

「………。」

「じゃぁまたねぇ。」




「………ぜんっぜん良くないんだけど…。」






---<遠征>---

「ギャッ!いつの間に私の後ろに…⁉︎」

「わわっ!…ギャァァァァ‼︎虫!虫!」

「あっ!シャロン様ー!ご無事ですかー⁉︎怪我はありませんかー⁉︎」

「うわぁ…魔獣の血がついてしまった…。」

「あ!魔獣発見!ここから先は、このセシリアを倒さないと進めないわよ!」

「ふっふーん!見たか!これが私の実力だ!」





「ふふっ、セシリーは今日も可愛いねぇ。」

「…ノア団長。セシリアばかり見てないで、仕事してもらって良いですか。」






---<似た者兄妹きょうだい>---

「…あれ、ノア団長、ピアス変えたんですか?」

「あ、シャロンー。そうだよぉ、綺麗でしょー?」

「…セシリアとお揃いですか。」

「ふふっ、流石だねぇ。あたりだよぉ。」

「セシリアの耳にも貴方と色違いのピアスを見かけたので。」

「……よく見てるねぇ。」

「そうですかね。…それにしても、本当に仲良いですね。」

「ふふっ、僕に嫉妬されてもねぇ。…あ、ちなみにぃ、このピアス、セシリーが勝ってくれたんだよぉ。」

「……。」

「いつも素っ気ない態度もかわいいけどぉ、こう言う所はもっと可愛いよねぇ。」

「……………。」

「あ、でねぇ、この間はー、」

「…………………。」






---<遠征2>---

「セシリーがいないとぉ、やる気が出なーい。」

「…なんか前似たような台詞を聞いた気がする。」

「はぁ、もう早く終わらせて帰りましょー。」

「あぁ、そうだな。じゃあまず俺が、」

「えぇ?そんな時間も惜しいですよー。僕がぁ行って来まーす。」

「あ、ちょっと待て!ノア!」





「ふぅー。…さぁ、早く帰りましょーかぁ。」

「…なぁ、ノア。俺は今、お前が信じられないよ。」



しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない

しろこねこ
ファンタジー
田舎の小さな村・セデル村に生まれた貧乏貴族のリナ5歳はある日魔法にめざめる。それは貧乏村にとって最強の魔法、リペア、修復の魔法だった。ちょっと説明がつかないでたらめチートな魔法でリナは覇王を目指……さない。だって平凡が1番だもん。騙され上手な父ヘンリーと脳筋な兄カイル、スーパー執事のゴフじいさんと乙女なおかんマール婆さんとの平和で凹凸な日々の話。

【完結】巻き込まれたけど私が本物 ~転移したら体がモフモフ化してて、公爵家のペットになりました~

千堂みくま
ファンタジー
異世界に幼なじみと一緒に召喚された17歳の莉乃。なぜか体がペンギンの雛(?)になっており、変な鳥だと城から追い出されてしまう。しかし森の中でイケメン公爵様に拾われ、ペットとして大切に飼われる事になった。公爵家でイケメン兄弟と一緒に暮らしていたが、魔物が減ったり、瘴気が薄くなったりと不思議な事件が次々と起こる。どうやら謎のペンギンもどきには重大な秘密があるようで……? ※恋愛要素あるけど進行はゆっくり目。※ファンタジーなので冒険したりします。

転生した子供部屋悪役令嬢は、悠々快適溺愛ライフを満喫したい!

木風
恋愛
婚約者に裏切られ、成金伯爵令嬢の仕掛けに嵌められた私は、あっけなく「悪役令嬢」として婚約を破棄された。 胸に広がるのは、悔しさと戸惑いと、まるで物語の中に迷い込んだような不思議な感覚。 けれど、この身に宿るのは、かつて過労に倒れた29歳の女医の記憶。 勉強も社交も面倒で、ただ静かに部屋に籠もっていたかったのに…… 『神に愛された強運チート』という名の不思議な加護が、私を思いもよらぬ未来へと連れ出していく。 子供部屋の安らぎを夢見たはずが、待っていたのは次期国王……王太子殿下のまなざし。 逃れられない運命と、抗いようのない溺愛に、私の物語は静かに色を変えていく。 時に笑い、時に泣き、時に振り回されながらも、私は今日を生きている。 これは、婚約破棄から始まる、転生令嬢のちぐはぐで胸の騒がしい物語。 ※本作は「小説家になろう」「アルファポリス」にて同時掲載しております。 表紙イラストは、Wednesday (Xアカウント:@wednesday1029)さんに描いていただきました。 ※イラストは描き下ろし作品です。無断転載・無断使用・AI学習等は一切禁止しております。 ©︎子供部屋悪役令嬢 / 木風 Wednesday

人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―

ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」 前世、15歳で人生を終えたぼく。 目が覚めたら異世界の、5歳の王子様! けど、人質として大国に送られた危ない身分。 そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。 「ぼく、このお話知ってる!!」 生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!? このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!! 「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」 生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。 とにかく周りに気を使いまくって! 王子様たちは全力尊重! 侍女さんたちには迷惑かけない! ひたすら頑張れ、ぼく! ――猶予は後10年。 原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない! お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。 それでも、ぼくは諦めない。 だって、絶対の絶対に死にたくないからっ! 原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。 健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。 どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。 (全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)

不倫されて離婚した社畜OLが幼女転生して聖女になりましたが、王国が揉めてて大事にしてもらえないので好きに生きます

天田れおぽん
ファンタジー
 ブラック企業に勤める社畜OL沙羅(サラ)は、結婚したものの不倫されて離婚した。スッキリした気分で明るい未来に期待を馳せるも、公園から飛び出てきた子どもを助けたことで、弱っていた心臓が止まってしまい死亡。同情した女神が、黒髪黒目中肉中背バツイチの沙羅を、銀髪碧眼3歳児の聖女として異世界へと転生させてくれた。  ところが王国内で聖女の処遇で揉めていて、転生先は草原だった。  サラは女神がくれた山盛りてんこ盛りのスキルを使い、異世界で知り合ったモフモフたちと暮らし始める―――― ※第16話 あつまれ聖獣の森 6 が抜けていましたので2025/07/30に追加しました。

弟に前世を告白され、モブの私は悪役になると決めました

珂里
ファンタジー
第二王子である弟に、ある日突然告白されました。 「自分には前世の記憶がある」と。 弟が言うには、この世界は自分が大好きだったゲームの話にそっくりだとか。 腹違いの王太子の兄。側室の子である第二王子の弟と王女の私。 側室である母が王太子を失脚させようと企み、あの手この手で計画を実行しようとするらしい。ーーって、そんなの駄目に決まってるでしょ!! ……決めました。大好きな兄弟達を守る為、私は悪役になります!

偉物騎士様の裏の顔~告白を断ったらムカつく程に執着されたので、徹底的に拒絶した結果~

甘寧
恋愛
「結婚を前提にお付き合いを─」 「全力でお断りします」 主人公であるティナは、園遊会と言う公の場で色気と魅了が服を着ていると言われるユリウスに告白される。 だが、それは罰ゲームで言わされていると言うことを知っているティナは即答で断りを入れた。 …それがよくなかった。プライドを傷けられたユリウスはティナに執着するようになる。そうティナは解釈していたが、ユリウスの本心は違う様で… 一方、ユリウスに関心を持たれたティナの事を面白くないと思う令嬢がいるのも必然。 令嬢達からの嫌がらせと、ユリウスの病的までの執着から逃げる日々だったが……

処理中です...