7 / 8
第6話 記憶
しおりを挟む
「父さん!」
俺?さっきの記憶と同じだ
「父さん!僕ね!クリスマスと一緒の誕生日だから2個お願いごとできるんだあ!」
小さい俺は、顔がぼやぼやとした人の膝に寝転がっていた
そして、幸せそうな顔をして満面な笑みでその男の人を見ている
「あらあら
じゃークリスマスはサンタさんが来るから
いい子にしてなきゃダメよ」
そう母さんは笑いながら、小さい俺を見ていた
俺が、覚えている時の母さんの顔じゃなかった
俺が知っている母さんはいつも病院の病室で、俺を見て弱々しい微笑みをしていた
でも、俺の知っている父さんを見るといつも生きている意味がないような顔をして…
1度だけこんなことを言われたことがある
「恭太は…あの人にそっくりね」
それは、俺が何歳の頃の話だろう
3年生の頃だったような
俺は、その時冗談じゃないと思った
あんな殺人鬼の顔と似ているなんて嫌だと
その血が俺の体内に流れているだけでも嫌なのに
俺は、小学生の頃にはもう知っていた
殺人をしていると
確か母さんが、死ぬ前に警察に突き出したんだっけ?
それが丁度俺の中学の入学式
それまでなぜ突き出せなかったのか
それは母さんが重い病気になったのもあいつのせいだから
あいつは、殺人鬼なうえ俺の大事なものまで奪った
あいつが、元々身体の弱い母さんを殴ったりしていたから…
俺はそれをただ呆然を見ていた
最低だよな…でもその時はすごく怖くて…
その時確か…「お前がなんでもするって言ったから!結婚したんだろ!
もうちょっと自分を立場をわきまえろ」
そう1度だけ、言っていたっけ?
どういう意味だったんだろう
とりあえず俺は母さんの幸せそうな顔を見たことがない
だから、今見ている母さんは幸せそうだった
というより、この家族はみんな笑顔だ
俺は、母さんがいなくなった日から心から笑えなくなった
この頃の俺はなんでこんなに笑えているんだ?
そして場所が変わる
「ハッピバースデートゥーユー」
そう電気を消して母さんと俺の知らない父さんと、俺で手を叩いて歌っていた
俺が目にしたものは幸せオーラが漂った家族の絵面で何故か泣きそうになってしまう
そして、プレゼントを開けようとする俺
でも、そこでまた場所が変わり何が入っていたのかはわからずその日の小さな俺は自分の部屋で爆睡していた
「ガタッ!」大きな物音がして小さな俺は、
リビングへと向かっていった
すると母さんは小さな俺を抱きしめ必死に守る素振りをした
俺の知らない父さんは首をざっくりいって目の前で死んでいる
「夢なら覚めてくれ!」と大きな声で言った
「かは!はぁはぁはぁ」
その声と同時に目を開けた
呼吸困難になる前に呼吸を整えようと深呼吸を必死に繰り返した
「ふぅ」
俺は瞬きをゆっくりした
しばらくすると呼吸は全然苦しくなくなり
周りを見渡す
それよりここはどこだ?
来たことがないような場所
ゆっくり顔を横にすると俺の手を握った泉さんが寝ていた
「い…ずみさん?」
さっきまで荒かったせいか、呼吸は浅いまま
クソ…
「ん?」
そう言って泉さんは、目を擦りながら起きた
そして俺を見ると「恭太!」と悲しそうな嬉しそうな顔をして「良かったぁ」
と優しく微笑んだ
それは、夢の中にいた母さんのような優しい目
「暖かい」と俺は小さな声で呟いた
「本当によかった…」
俺の手を握って、下を向いて泣き始めた
「え?」俺は思わず声を出した
泉さんが泣いてるところなんか初めて見たからだ
「わりぃ
あはは…すっげー嬉しくて涙止まんないや」
と言ってくる
彼は本当に心配してくれていたのだろう
「泉…さんって
そんな顔を…して、泣くんで…すね」
俺は口元が緩み思わず笑みを零した
体を見ると包帯はグルグルまきになっていて
かなりざっくり行かれたからなのか
まだ血は滲んだまま
「え?」
と泉さんは驚いた顔で俺を見た
「どう…したん、ですか?」
そう聞く
「親子揃って同じことを言うなんて」
と泣きながら泉さんは笑った
「それ…より、あれ…から何日
いっだぁ!」
ダメだ
喋ると付けられた傷がすごく痛い
「無理に喋らなくていい
やっと治ってきた傷だ…」
そう言われる
やっと?俺はそんなに寝ていたのか?
「死神は寝て回復する
俺の傷は、1日で治った
でもお前は致命傷だった後一歩数センチ深かったらこの世にはいない存在になっていた」
嘘だろ…
「俺…何日、寝ていた…んですか」
そう言う
「3日だ」
その瞬間、空中に飛ばされたような強い風に押しつぶされるような感覚に襲われた
3日…だって?
「彩芽!」
俺は、ばっと起き上がった
「うっうぅぅ」
付けられた傷が馬鹿みたいに痛くてたまらない
「あっ…が
はぁはぁ」
俺は勢いよく起き上がったせいかめっちゃくちゃ傷が痛くて
今度はゆっくり寝転がった
「まあまあ焦るな
大丈夫だ今でも、戦っている」
そういうのもあるけれど、違う意味で色々心配だ
「あと一日で、お前のその傷の痛みは引くはず
それまで安静だ…分かったな大丈夫だから」
そう言い聞かされる
今わがままを言ったところで、聞いては貰えないだろう
それに俺のこの傷じゃ今立ち上がることがやっとだろう
「分かりました」
俺はそう言った
「それよりここはどこですか?」
やっと普通に喋れるようになってきた
本当に、少しずつ痛みが引いていくことに言葉を失ってしまう
まあ所詮この体も化け物だからな
俺はゆっくりグイッと起き上がった
今度は痛くはなく、少しズキズキするくらい
「ここか?」
とても綺麗な部屋だった
幽霊でも人間のものは触れる
だから俺はベッドで寝ていた
触れれないのは人間そのものだけ
それが悲しい
ガチャ
向こうのドアが開いた
誰か入ってきた?
「恭太!」
俺は思わずポカンとしてしまう
びっくりしたのだ
「朔夜…」
俺は泣きそうになった
そうここは、思い出した
朔夜の家だ
「そこの泉さんでしたっけ?
その人がそこの家の前で、マントを被せた時にちょうど俺が帰ってきて…死んだかと思った」
とわんわん泣きながら俺の元で泣き始める
触れれないのに抱きしめようとまでする
あーほんとに心配してくれてたんだな
ありがとう
「恭太、お前なんの夢を見ていたんだ?」
ドキッとした
そんなこと聞かれるなんて思ってもいなかったからだ
「なんでもないですよ」
思わず、そう話を逸らそうとした
理由は分からないけれど
思い出したくないからだ
正直俺は何を思い出したくないのかも分からない
「嘘をつくな
お前はこの3日ずっとうなされていた
父さん、母さんってずっと言っていた
なんの夢を見ていたんだ?」
俺そんなにうなされていたのかよ
もう話は逸らせないと思って俺は言うことにした
「子供の頃の夢です
あれは、本当に夢だったんでしょうか
音も色も全てが鮮明でした
なのに今は、ぼやぼやっとしています」
朔夜は、首を傾げて顔を顰めた
そりゃあそうだ
俺の言っていることはかなりおかしい
「恭太…
お前は今から言う全てを受け止めきれるか?」
泉さんは、俺に悲しげな真面目な顔をした
子供の頃の記憶
何故か消えてしまっている
あの俺の5歳の時の誕生日の前から
「はい、教えてください」
俺は頭を下げた
聞くのが怖くてたまらないのに、震えているのになんで頑張って聞こうとしているのか俺は不思議で不思議でたまらなかった
「俺はここにいない方がいいですかね」
朔夜は俺たちを見て立ち上がろうとする
でも泉さんは何故か止めた
君にも聞いて欲しいと
「恭太お前の父親は、石井達海じゃない」
その瞬間背筋が凍るような冷たいものが走った
俺の父親では無い?
もうここで、泉さんの言っていることが全く分からなくなっていた
「お前の父親は霧島って言うんだ」
霧島?
俺の本当の名前は霧島恭太?
なのか?
「お前が見た夢は、夢なんかじゃない
全て〝記憶 〟だ」
記憶?
その言葉を聞いた途端
頭の中でノイズ音がした
まるで頭はラジオのよう…
調節が合わなかったら、ちょっとしか声は聞こえない
そんな感じだ
「恭太…あのな
お前はここに来る時、瑞悪の夢を見たはずだ」
「見ました」そう言った
確かに見たよ
でもあの時の記憶が曖昧なんだ
「瑞悪って、あの夢を見させる死神でしたっけ?」
そう言えば、朔夜も見たんだったな
「なんの夢だったか覚えているか?」
そう言われてみれば…
あれ?思い出せない?
「教えてやるよ
全てを…」
俺は静かに息を飲んだ
朔夜もだいぶ緊張しているよう
「ちょうどこれは、お前の誕生日の日だ」
確かさっきの夢で見た記憶?
「お前は5歳の誕生日の時
クリスマスプレゼントと誕生日プレゼントを同時に貰い、嬉しがっていた
その5歳の誕生日までお前は幸せものだったんだ」
頭がキーンと音を鳴らした
やめろと、言っているよう
胸がはち切れそうなほどの苦しみが来て、
呼吸がどんどんおかしくなってくる
「その誕生日の日の夜
霧島は殺されたんだ
石井達海にな」
ドキッとした
心臓が痛くなった
誰かに鷲掴みにされるような痛み
頭の嫌な音が離れない
その音が消えて欲しくて俺は頭を振った
そして頭の中の嫌な音が無くなり俺は質問をし
「なんで、母さんは殺されなかったんですか?」
そう言うと、泉さんの顔はますます曇った
そして悲しそうな目をして俺を見た
「美菜は、石井達海と結婚すると言ったからだよ」
「え?」
思わぬ理由で変な声が出た
「え?え?待ってください!
恭太は、俺の親を殺した殺人鬼じゃないんですか?」
朔夜はだいぶ戸惑っていた
俺だってそうだ
こんな大事なことなんで忘れているのかすら、思い出せない
思い出そうとすればするほど、頭の中で変な音がなりやまない
「あぁそうだよ
彼の親は霧島って言う名前の親だよ」
朔夜は、一筋の涙を流していた
「おっ俺は、」
続きは分かっていた
自分が、中学の時のゲームの時責めたことを悔やんでいるのだ
酷いことをいっぱい言ったと
謝ろうと口を開いたので俺は、人差し指で
口を塞いだ
「大丈夫…何も言うな」
一言だけそう言った
朔夜は、号泣し続けた
「それでその続きは…」
そう言うと、泉さんは少し顔を顰めた
「うーん口で説明するより、思い出した方が早そうだな」
そう言った
「どういう…」
俺は、ちんぷんかんぷんで全然分からなく
頭を抱える
「瑞悪を呼んでくるよ」
泉さんはそう言うとその場から消えてしまった
朔夜はずっと泣いていた
「朔夜?」
俺は朔夜に話しかけた
名前を呼ぶと顔を上げて、ぐちゃぐちゃになった顔で俺を見る
「ひでぇ顔」そう言って俺は少し笑った
「恭太、ごめん
俺何も知らず」
「もう何も言うな
俺だって自分自身のことなのに覚えてないんだ
だから、お前は悪くない」
そう言った
「あぁありがとう」
鼻をすすりながら
ニコッと笑った
「連れてきたぞ」
泉さんが帰ってきた
隣には着物を来た瑞悪
相変わらず綺麗な人だ
なのにたまに見せる、嫌な笑顔は本当に似合わない
「あら、この子は確か」
瑞悪は、少しびっくりした様子で笑った
「朔夜くん?だっけ?」
そう言った
「瑞悪、よく覚えているな
何人もあれからいっぱい来たのによ」
そう言うと俺の方を髪を揺らしながら見た
顔をはっとした顔にしてすぐ微笑んだ
「これは、失礼いたしました恭太様」
正座をしてお辞儀をした
着物のするような音が耳をくすぐった
「そういえば、その翼どうした?」
朔夜が俺の翼を指さして不思議そうな顔をした
「これは神様の象徴だ」
泉さんが簡単に説明をした
朔夜は納得したような顔をして、もう一度俺を見る
「この翼
すっげー綺麗だな」
そう満面の笑みをした
ほわーんとふわふわするような感じになる
「それより、瑞悪
俺の記憶を呼び起こしてくれ!」
俺は決心した
例えどんな結果であろうと受け止めると
「瑞悪、俺にも恭太の全てを教えてくれ」
朔夜が頭を下げた
俺のことで頭を下げる友達
その姿は、すごく頼もしくかっこいいと思った
礼の仕方は完全に警察がするようなもの
「瑞悪…俺は」
「あなたが!」
俺の言葉に割って入って瑞悪が喋りだした
「あなた自ら忘れたいと願ったのにですか?」
ドクン…
重力に負けそうなくらいの重みが俺の全身にかかった
なんだ?
頭にまたノイズ音が流れる
「ごめんね…ごめんね恭太」
かあ…さん?
そして現実に引き戻される
今のはなんだ?
「まあいいでしょう
あなたの記憶を見せます
いいですね?」
「うん」
朔夜と俺は2人で深く頷いた
「あなたの名前は〝恭太〟よ」
母さんの声だ
隣にはまた俺の知らない父さんがいる
相変わらず顔はぼやぼやとしたまま
「あれ…恭太の父さんか?」
朔夜がそう言う
俺たちの声はトンネルにいるように響いて
こだまする
「多分な」と俺は答えた
「あなたにそっくりだわ」
母さんが赤ちゃんの俺を抱いて、そう言う
俺は手を伸ばしてずっと笑っている
「そうだな」
俺の知らない父さんが喋った
その時初めて聞いた
何度も夢て見ていた割には母さんの声しか聞こえなかった
俺の知らない父さんの声
つい最近似てるような声を聞いたような
場面が変わった
「父ちゃん!抱っこ抱っこ」
小さな俺は、少し大きくなっていた
「母ちゃん!大好きー!」
えへへと言いながら笑う俺
癒されるような顔
「恭太…大丈夫か?」隣にいた朔夜が俺の背中をさすった
ブワッと涙が溢れ出てくる
涙は海のように荒れ、止まらない
そこから俺の5歳の誕生日まで物語は進んだ
「もうすぐ誕生日会だぁ!」
4歳の俺は、家の中で大はしゃぎしている
そして、誕生日会を始める
みんなで手を叩いて笑い合う
それは俺が見た夢と全く一緒
そしてプレゼントを開ける
1個目は、誰でも欲しがりそうなものだった
確かあれは小さい頃にどうしても欲しかったラジコンカーだったかな
「昔の恭太ってあんなんだったんだな」
朔夜がそう呟く
「俺もびっくりだ」
そう言った
こんなに笑っているとは思わなかった
幸せそうだったのになんで俺は今こんなに辛いんだろう
小さい俺がもうひとつのプレゼントを開けた
開けると、小さな俺がとても付けれるようなものでは無い大きな指輪
指輪なんて、もらったっけ?
そもそもこの記憶自体ほんとに忘れてしまっている
今見ているこれはまるで初めて見る俺の人生の映画みたいだ
「お母さん、お父さんこれは?」
小さな俺は首を傾げ不思議そうな顔で指輪を見つめ続けた
「これはね、恭太を守るおまじないがかかった指輪よ」
「ゆびわ?」
「そう、指輪よ
ほらみて」
母さんは、指輪の裏を見せた
そこにはローマ字で〝恭太〟と書いてあった
この指輪は、俺はどこにやったんだ?
そういえば、右手の薬指だけほかの指より細いんだったな
今まで、そんなに気にしなかったけれどこれはなんだ?
「どこにいても何をしていても、付けていなさい
ぶかぶかなら、身につけとくのよ
何があっても守ってくれるし、願いを叶えてくれる」
「ほんとぉ!?」
小さな俺が目をキラキラさせて母さんを見続ける
「えぇ、本当よ」
母さんは微笑んだ
そして小さな俺は、指輪を手にして
寝床へと歩いて行った
「これがお前の、記憶か?
お前が自ら忘れたいと思うほどでもないぞ?」
朔夜が俺を見て、きょとんとした形相で見てくる
「ここからなんだ…」
俺は小さく呟いた
ガタン…
朔夜は気を抜いていたのか体をビクッと跳ねさせびっくりした様子でまた見始めた
「お父さん?お母さん?」
小さな俺は、リビングへと向かう
目を擦りながら、ゆっくりと目を開けた途端
小さな俺は、目が覚めたのか目をぱっちりあける
それも、恐怖を感じたような顔をして
「見ちゃダメ!」
母さんが小さな俺に抱きついた
めっちゃくちゃ泣きじゃっくたようで、顔は涙でぐちゃぐちゃ
母さんは見ちゃダメって言った割には、母さんの肩から俺の目が出ているためガッツリ見えている
鮮明な赤い血
こんな時まで父さんの顔は見えなかった
そして、その殺人鬼は紛れもない
石井達海
朔夜は石井達海を見た途端目の色を変えた
恐怖のような憎しみで溢れ出しそうな目だった
「お前らが!
俺の事裏切らなければ…俺はもっといい人生を送れたかもしれないのに」
そう石井は目に涙を溜める
「私達が何をしたって言うのよ!
何も知らないわよ!」
母さんは、精一杯声を張り石井に訴えかけた
石井は涙を流しながら母さんを睨み続けた
「確かにお前は何も知らない
言わなかったよ俺は
お前に惚れていたからな」
「だったらなんで!」
母さんは俺を抱きしめながら震えている
「お前の夫が!
お前の友達が!裏切ったんだよ!」
母さんはゆっくり石井を見た
石井は何故か泣いていて苦しそうな顔をする
「お前の夫はな、俺が借金なことを知った上で
言うことを聞くよう脅したんだ
俺の妹を囮にしてな」
俺はゾクッと冷たいものが背筋に走った
囮ってどうゆう事だよ
「俺の妹をお前の夫は!売ろうってしてたんだよ!
それで金を稼ごうって!」
「そんなの嘘よ!
あの人は!あの人は!
そんな人じゃない!」
母さんは反論するのに精一杯だった
俺の本当の父さんは、果たして本当にそんなことをしたのかと考えて考える
朔夜は隣でびっくりした顔をしている
すると「まさか、俺の新しい家族も石井達海に関わっていたってことか?」
と震えた声で言う
「滝沢達も結婚してよ!
あいつら見て見ぬふりしてた!
それが許せなかった!」
そう朔夜言った途端苗字を出すからびっくりする
「恭太…嘘だよな?
お前の記憶が間違ってんじゃないのか?」
朔夜はなんとも言えない引きつった笑いをしながら俺に嘘だと言ってくれと言わんばかりの目で俺を見る
「俺には分からない」
そう答える他なかった
「思い出した!
あなたを騙していたのは私たちじゃない!
あなたが借金をしていた相手でしょ?
私の夫や、友達は完済できるよう頑張った
あなたの妹は自分から働きたいと言った!
だから!脅してたわけじゃない!
みんなあなたの思い過ごしよ!」
きっと母さんが言っている方が正しい気がする
石井達海は、幻覚を見ているのだ
きっと…きっとそうだよな?
「そんなはずない!
あいつらはおれを蔑んでいた
そのガキをよこせ!
そんな子供がいるから優しかったお前はおかしくなった!」そして、石井は小さな俺を引っ張った
母さんは離れないように抱きしめ「いや!」と叫んでいた
「なんでもするから!この子だけは!
この子は私の全てなの!」
俺はいつの間にか泣いていた
泣くしかなかった
「じゃー、一緒にいろよ
結婚しろそしたら助けてやる」
と石井は言った
何故結婚したかったのは分からない
でも惚れていたと言っていたからきっとそれだと思った
小さな俺は泣くことも無くただひたすら母さんと父さんに貰った指輪を握り締めた
そして、初めて小さな俺の心の声が聞こえた
〝あぁ神様どうか僕の幸せを返してください〟
そこからは母さんを虐待する日々
ただひたすら、毎日のように聞こえる悲鳴を耳を抑えて泣くことしか出来なかった
そんなある日のシーン
母さんは思い病気にかかって、もうあと一週間で死ぬという時
母さんはずっと病院にいた母さんは家へと帰ってきた
その場所へと景色が変わった時何故か胸騒ぎがしてならなかった
そして心臓が痛くなる
「どうした?恭太?」
朔夜は俺の顔を覗き込む
「汗びっしょりだぞ」
そう言われて気づいた
俺は額に汗を垂らしていた
「いや大丈夫だ」
俺はそう答えた
そして母さんが家に入った途端
目の前の記憶の母さんと共に俺と朔夜もびっくりしたであろう
石井は寝ている小さな俺をまたぎナイフを突きつけていた
そして母さんの前で頬から首にざっくり
その瞬間俺の顔にも傷が着いた
血は出ず、痛々しい傷
「恭太それ…」
俺の顔を見て朔夜はびっくりしていた
「あぁ俺も思い出した
俺はこれの傷が嫌で記憶を消してもらったんだ
これが俺の本当の顔だよ」
俺は、笑った
思い出さない方が幸せだったかもしれない
笑うのでさえ辛い
そして、俺たちは瑞悪に記憶を消してもらったところまで見た
俺の傷を消してもらい
みんなからも俺の傷を忘れてもらい
俺も、前の父さんのことを忘れさせて貰った
だから何も覚えていなかったんだ
「はぁ」
俺は現実世界へと引き戻され
深いため息を着いた
「これが俺が忘れたかった記憶か?」
俺は瑞悪に質問をした
「いいえ…これはあなたが勝手に作り替えた記憶です
これを」
瑞悪の手にあったのは俺が貰った指輪だった
「これに本当の出来事が全て入っています」
そう言った
これが真実?
見たい…でも見るのが何故か怖かった
自分で作りかえた記憶でさえも悲しく痛いものだったから
俺は恐る恐る指輪を受け取り自分の指にはめた
今の俺にはもうピッタリだった
その瞬間走馬灯のように全てを思い出した
「思い出したか?」
そう泉さんに聞かれた
「愚かな男だ」
俺の第一声はこの言葉だった
全てを思い出した
石井達海は愚かな男だ
自分が人を殺したあと毎晩のように声を殺して泣く声が響いていた
俺は、確かに母さんを虐待してたりしたことは許せなかった
だけど、この男はちゃんと悔やんでいた
人を殺めてしまったことを
そんな父さんに同情してしまっていたこと
きっと、父さんは1度集めていた金が銀行から消えていた
そして言われたのだ
お前の友達が盗んだんじゃないかとでも
でも本当は借金取りが勝手に銀行から金を取り出し面白がっていたのだと思う
父さんもきっと途中から気づいていたはずだ
そいつらが、詐欺師だったことに
そしてそいつらは妹しかいない父さんを嘲笑っていたのだ
父さんは、もう精神が追いやられすぎて正しい判断が出来なかったんだ
金が用意出来ないなら妹をうるとでも言われ
精神はボロボロになっていきついに
「もう友達殺したら?
そしたら許してあげるよ」こう言われたのだ
妹を売られたくない一心で間違った方向に行ってしまっているのだろう
間違いだと気づいていたはずだ
でも気づいてないふりをして妹を解放して欲しかったのだ
きっと、父さんが母さんに言っていた
裏切ったは、精神的に追いやられていた上妹が働きたいと言ったのも知らなかったから、
本当に売られるのではないかと思ったんだ
そして全てが終わった途端正常に戻った
これが俺の父さんの全てだと思った
何故か父さんの記憶も一緒に流れ込んできたようだった
でも真実を知れて良かったと心の底から思った
「はぁ」と俺は少しため息を着いた
「大丈夫か?」
3人は俺を見て心配そうな顔をさせる
「石井達海は…
俺のことをちゃんと愛してくれていた」
俺は、今まで恨んできた男に愛されていたのだ
そんなことも知らず1人で突っ走ってきた
「昔、あの男は俺に言ったんだ」
「何を?」朔夜が険悪な顔をして見てくる
そうだよな…
自分の両親を殺されているのだ
「俺の父さんは、ちゃんと悔やんでいた
人を殺してしまったことを自分の妹を守りたい一心でお金を頑張って作ったんだ
それも、借金取りに変なことを吹き込まれたのだろうな」
俺は下を向いてゆっくり話した
朔夜が怒っても仕方ないと思った
殴られても何されても仕方ないと…
「ある日俺に父さんは話した
借金が完済出来たと…後は俺が警察に行って自首して死ぬまでだ…と」
朔夜は真剣に俺の話を聞いていた
「そして、もうひとつは
この傷は」
俺は顔についた傷を、触りながら喋った
「母さんに付けられたものなんだ」
朔夜や泉さんは目を見開いた
そりゃあびっくりするだろう
石井に付けられたと思っていた傷は実は俺を産んだ実の母親が付けたもの
「あれは、母さんがもう1週間で死ぬと言われて家に帰ってきた時
俺は寝ていたんだ」
その時のことはよく覚えている
父さんは、みんなを殺したことを悔やみ
母さんを重い病にかからせてしまったこと、自分の罪の重さに耐えられず自ら死のうとしていたこと…
その光景はなんとも言えない儚さがあった
ベランダにでて月明かりに照らされてキラキラ光る涙を流す父さんは儚かった
俺はこの殺人者に同情していたんだ
人を殺したことは許せない
だけど、父さんは父さんなりに一生懸命生きて妹を守りきったことになんだかモヤモヤするものが俺を襲ったんだ
この次の日の話だったからよく覚えている
「俺は、寝ている時にお母さんに上に乗られた
さっき俺は作りかえたという記憶で見たのと同じように…
その時の感覚で俺は起きた」
泉さんと朔夜は俺の目を見て聞いてくれていた
それはまるで俺の全てを受け入れてくれるような感じ
「上にはぽたぽた涙を流す母さんがいた
俺は、なぜ上に乗られているのかも分からず母さんに手を伸ばした
その瞬間だった
母さんは俺の頸動脈を切ろうとしたんだろうな
でも、少し躊躇したのか死ななかったんだ」
そう母さんは俺をまっすぐ見ながら切ったんだ
俺は何が起こっているのか分からず、ただ思考が止まった
数秒して痛いと体が叫んだ
血はドバドバ出て止まる気配がない
俺は泣きながら母さんに叫んだんだ
「俺は母さんに何度もなんで?と泣きながら言い続けた
母さんは俺の言葉を無視し、大きくナイフを振り上げた時
母さんは俺に言ったんだ」
〝ごめん…ごめんね恭太〟
2人の脳に直接聞こえたのだろう
俺の言霊が発動したのだ
そう聞こえた途端2人は背筋をぶるっと震わせた
「ごめん…ごめんね恭太
もう耐えられないの、恭太も一緒に死のうね
と母さんは言ったんだ」
「美菜がか?」泉さんはびっくりしたのだろう
惚れていた女がまさか、実の息子を殺そうとしていたのだから
「泉さんの気持ちは分かります
俺だって何かの間違いであって欲しかった
あんなに愛してくれていた母さんが俺を殺そうとしたことを後ろめたかった
だから瑞悪に記憶を消して貰い指輪を預かって貰った」
俺は下を向きながら喋った
あまり思い出したくない
俺はきっと、当時殺されそうになってしまった事実が信じれないほど辛かった
だから、記憶を消し指輪を預かって貰い傷を無いものにした
俺は耐えられなかった
俺は気づけば泣いていた
ボロボロと大粒の涙が流れていく
「あれ?なんで泣いてんだろ
もう泣かないって決めたんだけどな」
俺はそう呟いた
「殺されそうになったとお前は言ったけど
その傷を付けられた後どうなったんだ?」
朔夜は俺を見た
真っ直ぐ見てくれる目
俺はこの目が好きだ
俺をしっかり見てくれている目は嘘がないからだ
「父さんが止めたんだ」
朔夜と泉さんは唖然とする
「言いたいことは分かります
でも助けてくれた
母さんは父さんに殺意むき出しだったからか
ナイフを突きつけていた
でも父さんがその手でナイフをぎゅっと掴んで止めた
父さんの手からは血がぼたぼた垂れながら
母さんはそこで倒れ込んだ」
そう母さんが腕を大きく振り上げた時父さんがその手でつかんだ
そして、父さんの事も殺そうとしたんだろうな
必死に刺そうとしていた
「その時父さんは、人を殺すことがどれだけのことが分かるか?そう言ったんだ」
その途端母さんの動きが止まった
「そして、母さんの動きが止まったところで父さんは俺をおぶって病院に連れていった
連れていく途中ありがとうそう言って
あいつは自ら自首したんだ」
泉さんと朔夜は何故か泣いていた
なぜ泣いているのか全く理解が出来なかった
「恭太ごめんな
なんかお前の父さんのこと全部悪いって決めつけて」
と朔夜は言った
泉さんも何故かうなづいた
そして口を開いた
「その指輪は必ずお前を守ってくれるだから持っとけ」
そう言った
「そういえば結局俺の本当のお父さんって誰なんですか」
俺が首を傾げながら言うと、泉さんと瑞悪は
同時に俯いた
そして、暗い顔をして俺を見た
「お前の本当の父さんは…」
泉さんは苦しそうな顔をして次の言葉を言おうとしない
そんな俺が驚く人なのか?
「誰なんで」
「霧島雨音よ」
俺は一瞬思考が止まった…
俺?さっきの記憶と同じだ
「父さん!僕ね!クリスマスと一緒の誕生日だから2個お願いごとできるんだあ!」
小さい俺は、顔がぼやぼやとした人の膝に寝転がっていた
そして、幸せそうな顔をして満面な笑みでその男の人を見ている
「あらあら
じゃークリスマスはサンタさんが来るから
いい子にしてなきゃダメよ」
そう母さんは笑いながら、小さい俺を見ていた
俺が、覚えている時の母さんの顔じゃなかった
俺が知っている母さんはいつも病院の病室で、俺を見て弱々しい微笑みをしていた
でも、俺の知っている父さんを見るといつも生きている意味がないような顔をして…
1度だけこんなことを言われたことがある
「恭太は…あの人にそっくりね」
それは、俺が何歳の頃の話だろう
3年生の頃だったような
俺は、その時冗談じゃないと思った
あんな殺人鬼の顔と似ているなんて嫌だと
その血が俺の体内に流れているだけでも嫌なのに
俺は、小学生の頃にはもう知っていた
殺人をしていると
確か母さんが、死ぬ前に警察に突き出したんだっけ?
それが丁度俺の中学の入学式
それまでなぜ突き出せなかったのか
それは母さんが重い病気になったのもあいつのせいだから
あいつは、殺人鬼なうえ俺の大事なものまで奪った
あいつが、元々身体の弱い母さんを殴ったりしていたから…
俺はそれをただ呆然を見ていた
最低だよな…でもその時はすごく怖くて…
その時確か…「お前がなんでもするって言ったから!結婚したんだろ!
もうちょっと自分を立場をわきまえろ」
そう1度だけ、言っていたっけ?
どういう意味だったんだろう
とりあえず俺は母さんの幸せそうな顔を見たことがない
だから、今見ている母さんは幸せそうだった
というより、この家族はみんな笑顔だ
俺は、母さんがいなくなった日から心から笑えなくなった
この頃の俺はなんでこんなに笑えているんだ?
そして場所が変わる
「ハッピバースデートゥーユー」
そう電気を消して母さんと俺の知らない父さんと、俺で手を叩いて歌っていた
俺が目にしたものは幸せオーラが漂った家族の絵面で何故か泣きそうになってしまう
そして、プレゼントを開けようとする俺
でも、そこでまた場所が変わり何が入っていたのかはわからずその日の小さな俺は自分の部屋で爆睡していた
「ガタッ!」大きな物音がして小さな俺は、
リビングへと向かっていった
すると母さんは小さな俺を抱きしめ必死に守る素振りをした
俺の知らない父さんは首をざっくりいって目の前で死んでいる
「夢なら覚めてくれ!」と大きな声で言った
「かは!はぁはぁはぁ」
その声と同時に目を開けた
呼吸困難になる前に呼吸を整えようと深呼吸を必死に繰り返した
「ふぅ」
俺は瞬きをゆっくりした
しばらくすると呼吸は全然苦しくなくなり
周りを見渡す
それよりここはどこだ?
来たことがないような場所
ゆっくり顔を横にすると俺の手を握った泉さんが寝ていた
「い…ずみさん?」
さっきまで荒かったせいか、呼吸は浅いまま
クソ…
「ん?」
そう言って泉さんは、目を擦りながら起きた
そして俺を見ると「恭太!」と悲しそうな嬉しそうな顔をして「良かったぁ」
と優しく微笑んだ
それは、夢の中にいた母さんのような優しい目
「暖かい」と俺は小さな声で呟いた
「本当によかった…」
俺の手を握って、下を向いて泣き始めた
「え?」俺は思わず声を出した
泉さんが泣いてるところなんか初めて見たからだ
「わりぃ
あはは…すっげー嬉しくて涙止まんないや」
と言ってくる
彼は本当に心配してくれていたのだろう
「泉…さんって
そんな顔を…して、泣くんで…すね」
俺は口元が緩み思わず笑みを零した
体を見ると包帯はグルグルまきになっていて
かなりざっくり行かれたからなのか
まだ血は滲んだまま
「え?」
と泉さんは驚いた顔で俺を見た
「どう…したん、ですか?」
そう聞く
「親子揃って同じことを言うなんて」
と泣きながら泉さんは笑った
「それ…より、あれ…から何日
いっだぁ!」
ダメだ
喋ると付けられた傷がすごく痛い
「無理に喋らなくていい
やっと治ってきた傷だ…」
そう言われる
やっと?俺はそんなに寝ていたのか?
「死神は寝て回復する
俺の傷は、1日で治った
でもお前は致命傷だった後一歩数センチ深かったらこの世にはいない存在になっていた」
嘘だろ…
「俺…何日、寝ていた…んですか」
そう言う
「3日だ」
その瞬間、空中に飛ばされたような強い風に押しつぶされるような感覚に襲われた
3日…だって?
「彩芽!」
俺は、ばっと起き上がった
「うっうぅぅ」
付けられた傷が馬鹿みたいに痛くてたまらない
「あっ…が
はぁはぁ」
俺は勢いよく起き上がったせいかめっちゃくちゃ傷が痛くて
今度はゆっくり寝転がった
「まあまあ焦るな
大丈夫だ今でも、戦っている」
そういうのもあるけれど、違う意味で色々心配だ
「あと一日で、お前のその傷の痛みは引くはず
それまで安静だ…分かったな大丈夫だから」
そう言い聞かされる
今わがままを言ったところで、聞いては貰えないだろう
それに俺のこの傷じゃ今立ち上がることがやっとだろう
「分かりました」
俺はそう言った
「それよりここはどこですか?」
やっと普通に喋れるようになってきた
本当に、少しずつ痛みが引いていくことに言葉を失ってしまう
まあ所詮この体も化け物だからな
俺はゆっくりグイッと起き上がった
今度は痛くはなく、少しズキズキするくらい
「ここか?」
とても綺麗な部屋だった
幽霊でも人間のものは触れる
だから俺はベッドで寝ていた
触れれないのは人間そのものだけ
それが悲しい
ガチャ
向こうのドアが開いた
誰か入ってきた?
「恭太!」
俺は思わずポカンとしてしまう
びっくりしたのだ
「朔夜…」
俺は泣きそうになった
そうここは、思い出した
朔夜の家だ
「そこの泉さんでしたっけ?
その人がそこの家の前で、マントを被せた時にちょうど俺が帰ってきて…死んだかと思った」
とわんわん泣きながら俺の元で泣き始める
触れれないのに抱きしめようとまでする
あーほんとに心配してくれてたんだな
ありがとう
「恭太、お前なんの夢を見ていたんだ?」
ドキッとした
そんなこと聞かれるなんて思ってもいなかったからだ
「なんでもないですよ」
思わず、そう話を逸らそうとした
理由は分からないけれど
思い出したくないからだ
正直俺は何を思い出したくないのかも分からない
「嘘をつくな
お前はこの3日ずっとうなされていた
父さん、母さんってずっと言っていた
なんの夢を見ていたんだ?」
俺そんなにうなされていたのかよ
もう話は逸らせないと思って俺は言うことにした
「子供の頃の夢です
あれは、本当に夢だったんでしょうか
音も色も全てが鮮明でした
なのに今は、ぼやぼやっとしています」
朔夜は、首を傾げて顔を顰めた
そりゃあそうだ
俺の言っていることはかなりおかしい
「恭太…
お前は今から言う全てを受け止めきれるか?」
泉さんは、俺に悲しげな真面目な顔をした
子供の頃の記憶
何故か消えてしまっている
あの俺の5歳の時の誕生日の前から
「はい、教えてください」
俺は頭を下げた
聞くのが怖くてたまらないのに、震えているのになんで頑張って聞こうとしているのか俺は不思議で不思議でたまらなかった
「俺はここにいない方がいいですかね」
朔夜は俺たちを見て立ち上がろうとする
でも泉さんは何故か止めた
君にも聞いて欲しいと
「恭太お前の父親は、石井達海じゃない」
その瞬間背筋が凍るような冷たいものが走った
俺の父親では無い?
もうここで、泉さんの言っていることが全く分からなくなっていた
「お前の父親は霧島って言うんだ」
霧島?
俺の本当の名前は霧島恭太?
なのか?
「お前が見た夢は、夢なんかじゃない
全て〝記憶 〟だ」
記憶?
その言葉を聞いた途端
頭の中でノイズ音がした
まるで頭はラジオのよう…
調節が合わなかったら、ちょっとしか声は聞こえない
そんな感じだ
「恭太…あのな
お前はここに来る時、瑞悪の夢を見たはずだ」
「見ました」そう言った
確かに見たよ
でもあの時の記憶が曖昧なんだ
「瑞悪って、あの夢を見させる死神でしたっけ?」
そう言えば、朔夜も見たんだったな
「なんの夢だったか覚えているか?」
そう言われてみれば…
あれ?思い出せない?
「教えてやるよ
全てを…」
俺は静かに息を飲んだ
朔夜もだいぶ緊張しているよう
「ちょうどこれは、お前の誕生日の日だ」
確かさっきの夢で見た記憶?
「お前は5歳の誕生日の時
クリスマスプレゼントと誕生日プレゼントを同時に貰い、嬉しがっていた
その5歳の誕生日までお前は幸せものだったんだ」
頭がキーンと音を鳴らした
やめろと、言っているよう
胸がはち切れそうなほどの苦しみが来て、
呼吸がどんどんおかしくなってくる
「その誕生日の日の夜
霧島は殺されたんだ
石井達海にな」
ドキッとした
心臓が痛くなった
誰かに鷲掴みにされるような痛み
頭の嫌な音が離れない
その音が消えて欲しくて俺は頭を振った
そして頭の中の嫌な音が無くなり俺は質問をし
「なんで、母さんは殺されなかったんですか?」
そう言うと、泉さんの顔はますます曇った
そして悲しそうな目をして俺を見た
「美菜は、石井達海と結婚すると言ったからだよ」
「え?」
思わぬ理由で変な声が出た
「え?え?待ってください!
恭太は、俺の親を殺した殺人鬼じゃないんですか?」
朔夜はだいぶ戸惑っていた
俺だってそうだ
こんな大事なことなんで忘れているのかすら、思い出せない
思い出そうとすればするほど、頭の中で変な音がなりやまない
「あぁそうだよ
彼の親は霧島って言う名前の親だよ」
朔夜は、一筋の涙を流していた
「おっ俺は、」
続きは分かっていた
自分が、中学の時のゲームの時責めたことを悔やんでいるのだ
酷いことをいっぱい言ったと
謝ろうと口を開いたので俺は、人差し指で
口を塞いだ
「大丈夫…何も言うな」
一言だけそう言った
朔夜は、号泣し続けた
「それでその続きは…」
そう言うと、泉さんは少し顔を顰めた
「うーん口で説明するより、思い出した方が早そうだな」
そう言った
「どういう…」
俺は、ちんぷんかんぷんで全然分からなく
頭を抱える
「瑞悪を呼んでくるよ」
泉さんはそう言うとその場から消えてしまった
朔夜はずっと泣いていた
「朔夜?」
俺は朔夜に話しかけた
名前を呼ぶと顔を上げて、ぐちゃぐちゃになった顔で俺を見る
「ひでぇ顔」そう言って俺は少し笑った
「恭太、ごめん
俺何も知らず」
「もう何も言うな
俺だって自分自身のことなのに覚えてないんだ
だから、お前は悪くない」
そう言った
「あぁありがとう」
鼻をすすりながら
ニコッと笑った
「連れてきたぞ」
泉さんが帰ってきた
隣には着物を来た瑞悪
相変わらず綺麗な人だ
なのにたまに見せる、嫌な笑顔は本当に似合わない
「あら、この子は確か」
瑞悪は、少しびっくりした様子で笑った
「朔夜くん?だっけ?」
そう言った
「瑞悪、よく覚えているな
何人もあれからいっぱい来たのによ」
そう言うと俺の方を髪を揺らしながら見た
顔をはっとした顔にしてすぐ微笑んだ
「これは、失礼いたしました恭太様」
正座をしてお辞儀をした
着物のするような音が耳をくすぐった
「そういえば、その翼どうした?」
朔夜が俺の翼を指さして不思議そうな顔をした
「これは神様の象徴だ」
泉さんが簡単に説明をした
朔夜は納得したような顔をして、もう一度俺を見る
「この翼
すっげー綺麗だな」
そう満面の笑みをした
ほわーんとふわふわするような感じになる
「それより、瑞悪
俺の記憶を呼び起こしてくれ!」
俺は決心した
例えどんな結果であろうと受け止めると
「瑞悪、俺にも恭太の全てを教えてくれ」
朔夜が頭を下げた
俺のことで頭を下げる友達
その姿は、すごく頼もしくかっこいいと思った
礼の仕方は完全に警察がするようなもの
「瑞悪…俺は」
「あなたが!」
俺の言葉に割って入って瑞悪が喋りだした
「あなた自ら忘れたいと願ったのにですか?」
ドクン…
重力に負けそうなくらいの重みが俺の全身にかかった
なんだ?
頭にまたノイズ音が流れる
「ごめんね…ごめんね恭太」
かあ…さん?
そして現実に引き戻される
今のはなんだ?
「まあいいでしょう
あなたの記憶を見せます
いいですね?」
「うん」
朔夜と俺は2人で深く頷いた
「あなたの名前は〝恭太〟よ」
母さんの声だ
隣にはまた俺の知らない父さんがいる
相変わらず顔はぼやぼやとしたまま
「あれ…恭太の父さんか?」
朔夜がそう言う
俺たちの声はトンネルにいるように響いて
こだまする
「多分な」と俺は答えた
「あなたにそっくりだわ」
母さんが赤ちゃんの俺を抱いて、そう言う
俺は手を伸ばしてずっと笑っている
「そうだな」
俺の知らない父さんが喋った
その時初めて聞いた
何度も夢て見ていた割には母さんの声しか聞こえなかった
俺の知らない父さんの声
つい最近似てるような声を聞いたような
場面が変わった
「父ちゃん!抱っこ抱っこ」
小さな俺は、少し大きくなっていた
「母ちゃん!大好きー!」
えへへと言いながら笑う俺
癒されるような顔
「恭太…大丈夫か?」隣にいた朔夜が俺の背中をさすった
ブワッと涙が溢れ出てくる
涙は海のように荒れ、止まらない
そこから俺の5歳の誕生日まで物語は進んだ
「もうすぐ誕生日会だぁ!」
4歳の俺は、家の中で大はしゃぎしている
そして、誕生日会を始める
みんなで手を叩いて笑い合う
それは俺が見た夢と全く一緒
そしてプレゼントを開ける
1個目は、誰でも欲しがりそうなものだった
確かあれは小さい頃にどうしても欲しかったラジコンカーだったかな
「昔の恭太ってあんなんだったんだな」
朔夜がそう呟く
「俺もびっくりだ」
そう言った
こんなに笑っているとは思わなかった
幸せそうだったのになんで俺は今こんなに辛いんだろう
小さい俺がもうひとつのプレゼントを開けた
開けると、小さな俺がとても付けれるようなものでは無い大きな指輪
指輪なんて、もらったっけ?
そもそもこの記憶自体ほんとに忘れてしまっている
今見ているこれはまるで初めて見る俺の人生の映画みたいだ
「お母さん、お父さんこれは?」
小さな俺は首を傾げ不思議そうな顔で指輪を見つめ続けた
「これはね、恭太を守るおまじないがかかった指輪よ」
「ゆびわ?」
「そう、指輪よ
ほらみて」
母さんは、指輪の裏を見せた
そこにはローマ字で〝恭太〟と書いてあった
この指輪は、俺はどこにやったんだ?
そういえば、右手の薬指だけほかの指より細いんだったな
今まで、そんなに気にしなかったけれどこれはなんだ?
「どこにいても何をしていても、付けていなさい
ぶかぶかなら、身につけとくのよ
何があっても守ってくれるし、願いを叶えてくれる」
「ほんとぉ!?」
小さな俺が目をキラキラさせて母さんを見続ける
「えぇ、本当よ」
母さんは微笑んだ
そして小さな俺は、指輪を手にして
寝床へと歩いて行った
「これがお前の、記憶か?
お前が自ら忘れたいと思うほどでもないぞ?」
朔夜が俺を見て、きょとんとした形相で見てくる
「ここからなんだ…」
俺は小さく呟いた
ガタン…
朔夜は気を抜いていたのか体をビクッと跳ねさせびっくりした様子でまた見始めた
「お父さん?お母さん?」
小さな俺は、リビングへと向かう
目を擦りながら、ゆっくりと目を開けた途端
小さな俺は、目が覚めたのか目をぱっちりあける
それも、恐怖を感じたような顔をして
「見ちゃダメ!」
母さんが小さな俺に抱きついた
めっちゃくちゃ泣きじゃっくたようで、顔は涙でぐちゃぐちゃ
母さんは見ちゃダメって言った割には、母さんの肩から俺の目が出ているためガッツリ見えている
鮮明な赤い血
こんな時まで父さんの顔は見えなかった
そして、その殺人鬼は紛れもない
石井達海
朔夜は石井達海を見た途端目の色を変えた
恐怖のような憎しみで溢れ出しそうな目だった
「お前らが!
俺の事裏切らなければ…俺はもっといい人生を送れたかもしれないのに」
そう石井は目に涙を溜める
「私達が何をしたって言うのよ!
何も知らないわよ!」
母さんは、精一杯声を張り石井に訴えかけた
石井は涙を流しながら母さんを睨み続けた
「確かにお前は何も知らない
言わなかったよ俺は
お前に惚れていたからな」
「だったらなんで!」
母さんは俺を抱きしめながら震えている
「お前の夫が!
お前の友達が!裏切ったんだよ!」
母さんはゆっくり石井を見た
石井は何故か泣いていて苦しそうな顔をする
「お前の夫はな、俺が借金なことを知った上で
言うことを聞くよう脅したんだ
俺の妹を囮にしてな」
俺はゾクッと冷たいものが背筋に走った
囮ってどうゆう事だよ
「俺の妹をお前の夫は!売ろうってしてたんだよ!
それで金を稼ごうって!」
「そんなの嘘よ!
あの人は!あの人は!
そんな人じゃない!」
母さんは反論するのに精一杯だった
俺の本当の父さんは、果たして本当にそんなことをしたのかと考えて考える
朔夜は隣でびっくりした顔をしている
すると「まさか、俺の新しい家族も石井達海に関わっていたってことか?」
と震えた声で言う
「滝沢達も結婚してよ!
あいつら見て見ぬふりしてた!
それが許せなかった!」
そう朔夜言った途端苗字を出すからびっくりする
「恭太…嘘だよな?
お前の記憶が間違ってんじゃないのか?」
朔夜はなんとも言えない引きつった笑いをしながら俺に嘘だと言ってくれと言わんばかりの目で俺を見る
「俺には分からない」
そう答える他なかった
「思い出した!
あなたを騙していたのは私たちじゃない!
あなたが借金をしていた相手でしょ?
私の夫や、友達は完済できるよう頑張った
あなたの妹は自分から働きたいと言った!
だから!脅してたわけじゃない!
みんなあなたの思い過ごしよ!」
きっと母さんが言っている方が正しい気がする
石井達海は、幻覚を見ているのだ
きっと…きっとそうだよな?
「そんなはずない!
あいつらはおれを蔑んでいた
そのガキをよこせ!
そんな子供がいるから優しかったお前はおかしくなった!」そして、石井は小さな俺を引っ張った
母さんは離れないように抱きしめ「いや!」と叫んでいた
「なんでもするから!この子だけは!
この子は私の全てなの!」
俺はいつの間にか泣いていた
泣くしかなかった
「じゃー、一緒にいろよ
結婚しろそしたら助けてやる」
と石井は言った
何故結婚したかったのは分からない
でも惚れていたと言っていたからきっとそれだと思った
小さな俺は泣くことも無くただひたすら母さんと父さんに貰った指輪を握り締めた
そして、初めて小さな俺の心の声が聞こえた
〝あぁ神様どうか僕の幸せを返してください〟
そこからは母さんを虐待する日々
ただひたすら、毎日のように聞こえる悲鳴を耳を抑えて泣くことしか出来なかった
そんなある日のシーン
母さんは思い病気にかかって、もうあと一週間で死ぬという時
母さんはずっと病院にいた母さんは家へと帰ってきた
その場所へと景色が変わった時何故か胸騒ぎがしてならなかった
そして心臓が痛くなる
「どうした?恭太?」
朔夜は俺の顔を覗き込む
「汗びっしょりだぞ」
そう言われて気づいた
俺は額に汗を垂らしていた
「いや大丈夫だ」
俺はそう答えた
そして母さんが家に入った途端
目の前の記憶の母さんと共に俺と朔夜もびっくりしたであろう
石井は寝ている小さな俺をまたぎナイフを突きつけていた
そして母さんの前で頬から首にざっくり
その瞬間俺の顔にも傷が着いた
血は出ず、痛々しい傷
「恭太それ…」
俺の顔を見て朔夜はびっくりしていた
「あぁ俺も思い出した
俺はこれの傷が嫌で記憶を消してもらったんだ
これが俺の本当の顔だよ」
俺は、笑った
思い出さない方が幸せだったかもしれない
笑うのでさえ辛い
そして、俺たちは瑞悪に記憶を消してもらったところまで見た
俺の傷を消してもらい
みんなからも俺の傷を忘れてもらい
俺も、前の父さんのことを忘れさせて貰った
だから何も覚えていなかったんだ
「はぁ」
俺は現実世界へと引き戻され
深いため息を着いた
「これが俺が忘れたかった記憶か?」
俺は瑞悪に質問をした
「いいえ…これはあなたが勝手に作り替えた記憶です
これを」
瑞悪の手にあったのは俺が貰った指輪だった
「これに本当の出来事が全て入っています」
そう言った
これが真実?
見たい…でも見るのが何故か怖かった
自分で作りかえた記憶でさえも悲しく痛いものだったから
俺は恐る恐る指輪を受け取り自分の指にはめた
今の俺にはもうピッタリだった
その瞬間走馬灯のように全てを思い出した
「思い出したか?」
そう泉さんに聞かれた
「愚かな男だ」
俺の第一声はこの言葉だった
全てを思い出した
石井達海は愚かな男だ
自分が人を殺したあと毎晩のように声を殺して泣く声が響いていた
俺は、確かに母さんを虐待してたりしたことは許せなかった
だけど、この男はちゃんと悔やんでいた
人を殺めてしまったことを
そんな父さんに同情してしまっていたこと
きっと、父さんは1度集めていた金が銀行から消えていた
そして言われたのだ
お前の友達が盗んだんじゃないかとでも
でも本当は借金取りが勝手に銀行から金を取り出し面白がっていたのだと思う
父さんもきっと途中から気づいていたはずだ
そいつらが、詐欺師だったことに
そしてそいつらは妹しかいない父さんを嘲笑っていたのだ
父さんは、もう精神が追いやられすぎて正しい判断が出来なかったんだ
金が用意出来ないなら妹をうるとでも言われ
精神はボロボロになっていきついに
「もう友達殺したら?
そしたら許してあげるよ」こう言われたのだ
妹を売られたくない一心で間違った方向に行ってしまっているのだろう
間違いだと気づいていたはずだ
でも気づいてないふりをして妹を解放して欲しかったのだ
きっと、父さんが母さんに言っていた
裏切ったは、精神的に追いやられていた上妹が働きたいと言ったのも知らなかったから、
本当に売られるのではないかと思ったんだ
そして全てが終わった途端正常に戻った
これが俺の父さんの全てだと思った
何故か父さんの記憶も一緒に流れ込んできたようだった
でも真実を知れて良かったと心の底から思った
「はぁ」と俺は少しため息を着いた
「大丈夫か?」
3人は俺を見て心配そうな顔をさせる
「石井達海は…
俺のことをちゃんと愛してくれていた」
俺は、今まで恨んできた男に愛されていたのだ
そんなことも知らず1人で突っ走ってきた
「昔、あの男は俺に言ったんだ」
「何を?」朔夜が険悪な顔をして見てくる
そうだよな…
自分の両親を殺されているのだ
「俺の父さんは、ちゃんと悔やんでいた
人を殺してしまったことを自分の妹を守りたい一心でお金を頑張って作ったんだ
それも、借金取りに変なことを吹き込まれたのだろうな」
俺は下を向いてゆっくり話した
朔夜が怒っても仕方ないと思った
殴られても何されても仕方ないと…
「ある日俺に父さんは話した
借金が完済出来たと…後は俺が警察に行って自首して死ぬまでだ…と」
朔夜は真剣に俺の話を聞いていた
「そして、もうひとつは
この傷は」
俺は顔についた傷を、触りながら喋った
「母さんに付けられたものなんだ」
朔夜や泉さんは目を見開いた
そりゃあびっくりするだろう
石井に付けられたと思っていた傷は実は俺を産んだ実の母親が付けたもの
「あれは、母さんがもう1週間で死ぬと言われて家に帰ってきた時
俺は寝ていたんだ」
その時のことはよく覚えている
父さんは、みんなを殺したことを悔やみ
母さんを重い病にかからせてしまったこと、自分の罪の重さに耐えられず自ら死のうとしていたこと…
その光景はなんとも言えない儚さがあった
ベランダにでて月明かりに照らされてキラキラ光る涙を流す父さんは儚かった
俺はこの殺人者に同情していたんだ
人を殺したことは許せない
だけど、父さんは父さんなりに一生懸命生きて妹を守りきったことになんだかモヤモヤするものが俺を襲ったんだ
この次の日の話だったからよく覚えている
「俺は、寝ている時にお母さんに上に乗られた
さっき俺は作りかえたという記憶で見たのと同じように…
その時の感覚で俺は起きた」
泉さんと朔夜は俺の目を見て聞いてくれていた
それはまるで俺の全てを受け入れてくれるような感じ
「上にはぽたぽた涙を流す母さんがいた
俺は、なぜ上に乗られているのかも分からず母さんに手を伸ばした
その瞬間だった
母さんは俺の頸動脈を切ろうとしたんだろうな
でも、少し躊躇したのか死ななかったんだ」
そう母さんは俺をまっすぐ見ながら切ったんだ
俺は何が起こっているのか分からず、ただ思考が止まった
数秒して痛いと体が叫んだ
血はドバドバ出て止まる気配がない
俺は泣きながら母さんに叫んだんだ
「俺は母さんに何度もなんで?と泣きながら言い続けた
母さんは俺の言葉を無視し、大きくナイフを振り上げた時
母さんは俺に言ったんだ」
〝ごめん…ごめんね恭太〟
2人の脳に直接聞こえたのだろう
俺の言霊が発動したのだ
そう聞こえた途端2人は背筋をぶるっと震わせた
「ごめん…ごめんね恭太
もう耐えられないの、恭太も一緒に死のうね
と母さんは言ったんだ」
「美菜がか?」泉さんはびっくりしたのだろう
惚れていた女がまさか、実の息子を殺そうとしていたのだから
「泉さんの気持ちは分かります
俺だって何かの間違いであって欲しかった
あんなに愛してくれていた母さんが俺を殺そうとしたことを後ろめたかった
だから瑞悪に記憶を消して貰い指輪を預かって貰った」
俺は下を向きながら喋った
あまり思い出したくない
俺はきっと、当時殺されそうになってしまった事実が信じれないほど辛かった
だから、記憶を消し指輪を預かって貰い傷を無いものにした
俺は耐えられなかった
俺は気づけば泣いていた
ボロボロと大粒の涙が流れていく
「あれ?なんで泣いてんだろ
もう泣かないって決めたんだけどな」
俺はそう呟いた
「殺されそうになったとお前は言ったけど
その傷を付けられた後どうなったんだ?」
朔夜は俺を見た
真っ直ぐ見てくれる目
俺はこの目が好きだ
俺をしっかり見てくれている目は嘘がないからだ
「父さんが止めたんだ」
朔夜と泉さんは唖然とする
「言いたいことは分かります
でも助けてくれた
母さんは父さんに殺意むき出しだったからか
ナイフを突きつけていた
でも父さんがその手でナイフをぎゅっと掴んで止めた
父さんの手からは血がぼたぼた垂れながら
母さんはそこで倒れ込んだ」
そう母さんが腕を大きく振り上げた時父さんがその手でつかんだ
そして、父さんの事も殺そうとしたんだろうな
必死に刺そうとしていた
「その時父さんは、人を殺すことがどれだけのことが分かるか?そう言ったんだ」
その途端母さんの動きが止まった
「そして、母さんの動きが止まったところで父さんは俺をおぶって病院に連れていった
連れていく途中ありがとうそう言って
あいつは自ら自首したんだ」
泉さんと朔夜は何故か泣いていた
なぜ泣いているのか全く理解が出来なかった
「恭太ごめんな
なんかお前の父さんのこと全部悪いって決めつけて」
と朔夜は言った
泉さんも何故かうなづいた
そして口を開いた
「その指輪は必ずお前を守ってくれるだから持っとけ」
そう言った
「そういえば結局俺の本当のお父さんって誰なんですか」
俺が首を傾げながら言うと、泉さんと瑞悪は
同時に俯いた
そして、暗い顔をして俺を見た
「お前の本当の父さんは…」
泉さんは苦しそうな顔をして次の言葉を言おうとしない
そんな俺が驚く人なのか?
「誰なんで」
「霧島雨音よ」
俺は一瞬思考が止まった…
0
あなたにおすすめの小説
「婚約破棄された転生令嬢ですが、王城のメイド五百人に慕われるメイド長になりました。なお元婚約者は私のメイドに土下座中です」
まさき
恋愛
社畜OLとして過労死した私は、異世界の令嬢・アリア・ヴェルナーに転生した。
目が覚めたら、婚約破棄されていた。
理由は「地味で面白みがない」から。
泣く暇もなかった。翌朝、王城のメイド採用面接に向かった。
最初は鼻で笑われた。雑用係からのスタートだった。
でも——前世で叩き込まれた仕事術と、一人ひとりの話を聞く姿勢で、少しずつメイドたちが集まってきた。
厨房が変わった。リネンが変わった。王城全体が変わっていった。
そして就任スピーチで宣言した。
「500人全員の名前を、覚えます」
冷酷と噂される王太子は、静かに見ていた。
悪役令嬢は妨害を仕掛けてきた。
元婚約者は——後悔し始めていた。
婚約破棄された令嬢が、500人に慕われるメイド長になるまでの物語。
なお元婚約者は、私のメイドたちの前で土下座中です。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
隠れた花嫁を迎えに
星乃和花
恋愛
(完結済:本編8話+後日談1話)
結婚式を控えた同居中の婚約者・リリィには、ひとつだけ困った癖がある。
それは、寝癖が直らないだけで、角砂糖を落としただけで、屋敷のどこかに“こっそり”隠れてしまうこと。
けれど、完璧超人と噂される婚約者・レオンは、彼女が隠れるたび必ず見つけ出し、叱らず、急かさず、甘く寄り添って迎えに来る。
「本当に私でいいのかな」——花嫁になる前夜、ベッドの下で震えるリリィに、レオンが差し出したのは“答え”ではなく、同じ目線と温かな手だった。
ほのぼの王都、屋敷内かくれんぼ溺愛ラブ。
「隠れてもいい。迎えに行くから。」
エリート警察官の溺愛は甘く切ない
日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。
両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
拾った年上侯爵が甘え上手すぎて、よしよししてたら婚約することになりました
星乃和花
恋愛
⭐︎火木土21:00更新ー本編8話・後日談8話⭐︎
王都の市場で花屋をしているリナは、ある朝――
路地裏で倒れている“美形の年上男性”を拾ってしまう。
熱で弱っているだけ……のはずが、彼はなぜか距離が近い。
「行かないで」「撫でて」「君がいると回復する」
甘えが上手すぎるうえに、褒め方までずるい。
よしよし看病してあげていたら、いつの間にか毎日市場に現れるようになり、
気づけば花屋は貴族の面会所(?)になっていて――
しかも彼の正体は、王都を支える侯爵家の当主だった!?
「君は国のために必要だ(※僕が倒れるから)」
年上当主の“甘え策略”に、花屋の心臓は今日ももたない。
ほのぼの王都日常コメディ×甘やかし捕獲ラブ、開幕です。
冷酷騎士様の「愛さない」は一分も持たなかった件
水月
恋愛
「君を愛するつもりはない」
結婚初夜、帝国最強の冷酷騎士ヴォルフラム・ツヴァルト公爵はそう言い放った。
出来損ないと蔑まれ、姉の代わりの生贄として政略結婚に差し出されたリーリア・ミラベルにとって、それはむしろ救いだった。
愛を期待されないのなら、失望させることもない。
契約妻として静かに役目を果たそうとしたリーリアは、緩んだ軍服のボタンを自らの銀髪と微弱な強化魔法で直す。
ただ「役に立ちたい」という一心だった。
――その瞬間。
冷酷騎士の情緒が崩壊した。
「君は、自分の価値を分かっていない」
開始一分で愛さない宣言は撤回。
無自覚に自己評価が低い妻に、激重独占欲を発症した最強騎士が爆誕する。
以後、
寝室は強制統合
常時抱っこ移動
一秒ごとに更新される溺愛
妻を傷つける者には容赦なし宣言
甘さ過多、独占欲過剰、愛情暴走中。
さらにはリーリアを取り戻そうとする実家の横槍まで入り――?
自己評価ゼロの健気令嬢と愛が一分も我慢できなかった最強騎士。
溺愛が止まらない、契約結婚から始まる甘すぎる逆転ラブコメ
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる