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第11話 仲里エリカ〜真宮葵になる前のあたし
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「それじゃあ、来週の日曜日にまたここでね!」
うん、と言葉を返した男の子はあたしの名前を聞いてきた。
そういえば名前を言ってなかったかも。
「エリカ、仲里エリカ」
あたしも名前を聞こうとしたら、男の子はありがとう、とだけ言って池袋駅の改札へと走っていってしまった。
「まっ……」
いいかぁ……会う約束はしているし、そのときでもいいかな。
スマホを持っていたら、こんな煩わしい思いをしなくて済むのになぁ……家は中学校を卒業してからじゃないと持たせてもらえないんだもの。厳しすぎない?
でも……まさか、このあたしから男の子をデート? に誘うなんて……誘う前にダウジングで占うべきだったかな?
こんな行動に出てしまうなんて、これもパパが仕事で来られなくなったせいだ。せっかく楽しみにしていたのに!
今朝のダウジングの結果は最高だったよね?
ペンデュラムはおもいきり右回りに回転していたし……正解は左回りだったのかな?
今までハズレることなんて無かったのに、今日はなんだか調子悪いみたい。
「もうっ!」
待ち合わせでよく利用されているイケフクロウと言われている石像の前で、大きめな声を上げたあたしに、人々の視線が向けられているのが肌で感じられる。
きっと、変な奴だと思っているんだよね。あたしには分かる。
でも、そんなこと気にしない。人にジロジロと見られるのは幼い頃から慣れているし、どうせあたしのことなんて知らない人たちだ。
このあとどうしよう? まだ帰るには早い気もするし、せっかくここまで来たんだもの、もう少し遊んでいきたい。
さっきの男の子とはゲームセンターや家電量販店ばかりだったから、洋服とかは全然見られなかったし買い物もしていきたいな。
うん。ショッピングモールのパルロから見ていこう! ここから歩いてすぐだしね!
「パルロ~パルロ~♪」
あたしは鼻歌まじりに、知らない人たちの視線を再び浴びながら店へと向かった。
◇
パルロの地下にあるファッション街は女子向けのブランドがあって、以前から気になっていた白のゆるだぼなトップスを見つけたから、それを購入した。
しかも、思っていたより安く買えてめっちゃ嬉しい! 家に帰ったらミニ丈のパンツと合わせてみよう。
他にも色々と欲しいものは沢山あるけど、あまり買うと親に怒られちゃうかもだし、今度また来たときにしようかな……我慢、我慢!
パルロを出たあたしは少し喉も乾いてきたので駅前にあるファストフード店へ入ることに決めた。
店内は人がいっぱいで、席が空いているか怪しい感じだけど、きっとどこへ行っても同じだろうし、そのままレジでポテトとアイスティーを頼んだ。
もちろんミルクとガムシロップもつけてね。
ショップの袋を肩にかけ、トレイの端を両手でつかむ。
店内を見渡した感じ、やっぱり満席状態だ――と、思って眺めていると二人席の椅子が一つ空いているのを見つけた。
そこにはあたしと同じ十五歳くらいの、メガネをかけた黒髪ボブの女の子が一人で座っている。
テーブルの上を見る感じ、一人分のトレイしか置かれていない。それも端に避けられていて、広げられたノートへなにかを一生懸命に書いている。
勉強かな? とりあえず同席するような相手はいない感じだ。
相席は嫌がられるかも知れないけど、他の席はしばらく空きそうにもない……。
だめもとで声をかけてみよう。
断られたら……うん。そのとき考えればいいかな。
「あの、ここ座ってもいいですか?」
女の子の前に立ち、声をかける――と、メガネの子は顔を上げ、少し驚いた表情であたしの顔をじっと見つめて、ど、うぞ、と小声で返事をしてくれた。
「やった! ほんとに? ありがとう!」
良かったぁ……これでゆっくり出来そう。
うん、と言葉を返した男の子はあたしの名前を聞いてきた。
そういえば名前を言ってなかったかも。
「エリカ、仲里エリカ」
あたしも名前を聞こうとしたら、男の子はありがとう、とだけ言って池袋駅の改札へと走っていってしまった。
「まっ……」
いいかぁ……会う約束はしているし、そのときでもいいかな。
スマホを持っていたら、こんな煩わしい思いをしなくて済むのになぁ……家は中学校を卒業してからじゃないと持たせてもらえないんだもの。厳しすぎない?
でも……まさか、このあたしから男の子をデート? に誘うなんて……誘う前にダウジングで占うべきだったかな?
こんな行動に出てしまうなんて、これもパパが仕事で来られなくなったせいだ。せっかく楽しみにしていたのに!
今朝のダウジングの結果は最高だったよね?
ペンデュラムはおもいきり右回りに回転していたし……正解は左回りだったのかな?
今までハズレることなんて無かったのに、今日はなんだか調子悪いみたい。
「もうっ!」
待ち合わせでよく利用されているイケフクロウと言われている石像の前で、大きめな声を上げたあたしに、人々の視線が向けられているのが肌で感じられる。
きっと、変な奴だと思っているんだよね。あたしには分かる。
でも、そんなこと気にしない。人にジロジロと見られるのは幼い頃から慣れているし、どうせあたしのことなんて知らない人たちだ。
このあとどうしよう? まだ帰るには早い気もするし、せっかくここまで来たんだもの、もう少し遊んでいきたい。
さっきの男の子とはゲームセンターや家電量販店ばかりだったから、洋服とかは全然見られなかったし買い物もしていきたいな。
うん。ショッピングモールのパルロから見ていこう! ここから歩いてすぐだしね!
「パルロ~パルロ~♪」
あたしは鼻歌まじりに、知らない人たちの視線を再び浴びながら店へと向かった。
◇
パルロの地下にあるファッション街は女子向けのブランドがあって、以前から気になっていた白のゆるだぼなトップスを見つけたから、それを購入した。
しかも、思っていたより安く買えてめっちゃ嬉しい! 家に帰ったらミニ丈のパンツと合わせてみよう。
他にも色々と欲しいものは沢山あるけど、あまり買うと親に怒られちゃうかもだし、今度また来たときにしようかな……我慢、我慢!
パルロを出たあたしは少し喉も乾いてきたので駅前にあるファストフード店へ入ることに決めた。
店内は人がいっぱいで、席が空いているか怪しい感じだけど、きっとどこへ行っても同じだろうし、そのままレジでポテトとアイスティーを頼んだ。
もちろんミルクとガムシロップもつけてね。
ショップの袋を肩にかけ、トレイの端を両手でつかむ。
店内を見渡した感じ、やっぱり満席状態だ――と、思って眺めていると二人席の椅子が一つ空いているのを見つけた。
そこにはあたしと同じ十五歳くらいの、メガネをかけた黒髪ボブの女の子が一人で座っている。
テーブルの上を見る感じ、一人分のトレイしか置かれていない。それも端に避けられていて、広げられたノートへなにかを一生懸命に書いている。
勉強かな? とりあえず同席するような相手はいない感じだ。
相席は嫌がられるかも知れないけど、他の席はしばらく空きそうにもない……。
だめもとで声をかけてみよう。
断られたら……うん。そのとき考えればいいかな。
「あの、ここ座ってもいいですか?」
女の子の前に立ち、声をかける――と、メガネの子は顔を上げ、少し驚いた表情であたしの顔をじっと見つめて、ど、うぞ、と小声で返事をしてくれた。
「やった! ほんとに? ありがとう!」
良かったぁ……これでゆっくり出来そう。
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