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第60話 好きになった女の子
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――とき。
うー、眠い……。
――春時。
真宮……さん?
「春時……」
耳へ届く声――まぶたを開くと、長いまつ毛で目鼻の整った美少女が俺をじっと見つめていた。
――!?
「な、仲里さんっ! ななな、なにやってるの! どうして俺のベッドに!?」
「なにって、春時を起こしにきたんだよ。みんな、一階でまってるよ?」
彼女は身を起こすと慌てて飛び起きた俺へ向かって冷静に口を開いた。
「それなら普通に起こしてくれたらいいのに。ベッドに入り込むなんて真宮さんみたいなこと……を……」
ま、まてよ。この口調……。
そ、そうだ! 真宮さんと仲里さんは昨日、水族館で元の姿に戻れたんだった。
どうりで大胆な行動をするわけだ。
中身はあの真宮さんなんだから。
昨日のことだし、寝起きなのもあって頭の中が混乱してしまう。
――春時?
「ねぇ、春時どうしたの?」
「えっ! な、なんでもないよ。と、とにかく俺のベッドへ勝手に入るのはやめてくれ、心臓に悪い」
「えー、別にいいじゃない、彼女なんだし。ねね春時」
「ん?」
「大好きだよ♡」
上目遣いで俺を真っ直ぐと見つめてくる彼女。
窓からの光にミルクティーベージュの髪が照らされ美しく輝いている。
「ばっ!」
や、やばい……仲里さんのビジュアルはもともとめちゃ好みだし、そんな彼女に積極的にこられると緊張感が半端ない。
真宮さんの見た目のときは、ただ恥ずかしいって思いだけが強かったけれど、今はそれとは違う感情だ。
心臓がバクバクしている。
入れ替わっていたときの仲里さんのイメージが強いからほんと戸惑ってしまう。
でも、目の前にいる彼女が本来の仲里エリカなんだ。
中学のとき、池袋で出会って好きになった女の子――。
俺はこの子に校舎の屋上で告白をしたんだ……あれ? その相手が、俺を好きだといってくれている――これって、もう……。
「春時、はやく下に行こうよ。お腹すいちゃった」
「お腹……」
枕元に置いていたスマホを手に取り時間を確認すると、もう午前十時を過ぎている。
朝食というには少し遅い気がする。
昼食には早いしブランチってところか。
「今日の朝食は果奈ちゃんが作ってくれたみたいだよ?」
「えっ、果奈が?」
「うん。なにを作ったかは食べる直前までのお楽しみなんだって」
「ふーん」
「楽しみだよね。ゴマ塩まだ残ってたかな?」
まみ……違った。仲里さんはなんにでもゴマ塩をかけそうだな。
それにしても果奈の手料理か……食パンに焦げた炒り卵がのっているビジュアルしか想像できないんだけど。
「ちょっと俺、顔を洗っていくから仲里さんは先にリビングへいっててよ」
「あたしが洗ってあげようか?」
「遠慮しておきます……」
「あはは。わかった、それじゃあ先にいってるね!」
仲里さんは笑顔でいうと、そのまま部屋を出ていってしまった。
階段を走って降りる音が聞こえてくる。
「そんなに急いで降りなくてもいいだろうに……」
ふぅ、目覚めがいいのか、悪いのかわからない状況だったな……正直、元に戻った彼女にまだ慣れていなくて違和感がある。
――水族館の帰り、真宮さんと仲里さんは電車のなかで、突然わんわんと泣き出して大変だった。
何年も他人の身体へ入ることになって、ときにはそれを演じなくてはいけない状況をずっと続けてきたんだ。
そこから開放されて色々な想いがこみ上げてきたのだろう。
周りの乗客はなにごとかと怪訝な目を向けてきていたけれど、俺は二人をそっと見守った。
妹の果奈は遊びつかれたのか眠ってしまい到着するまで俺の肩でぐっすりだった。
果奈は二人の入れ替わりのことをどう思っているのだろう。
はじめて彼女たちと会ったときは、信じていないようだったから、今も入れ替わっているとは思っていないのかもしれない。
うーん、今回は性格が変わったのを目の当たりにしているわけだから、なにかを感じていると思うんだけどなぁ……。
「とりあえず、洗面所にいくか。みんなをまたせてしまっているし」
部屋を出るとドアベルの音が家内に響いた。
宅配かな……果奈が朝食のメニューを頼んでいたとか? でも仲里さんは手料理だって話していたしな。
足早に階段を降りて玄関のドアを開ける――と、なにかにぶつかったような感じを受けたが目の前には誰もいない。
「あれ? おかしいなぁ」
「痛っぁあああぃ……」
足元から声がするので目をやると、そこには空色髪の少女の頭頂部があった。
両手で顔を押さえてしゃがみ込んでいる。
「えっと……どちら様……」
ん? 白いセーラー服……この子どこかでみたことがあるような……。
うー、眠い……。
――春時。
真宮……さん?
「春時……」
耳へ届く声――まぶたを開くと、長いまつ毛で目鼻の整った美少女が俺をじっと見つめていた。
――!?
「な、仲里さんっ! ななな、なにやってるの! どうして俺のベッドに!?」
「なにって、春時を起こしにきたんだよ。みんな、一階でまってるよ?」
彼女は身を起こすと慌てて飛び起きた俺へ向かって冷静に口を開いた。
「それなら普通に起こしてくれたらいいのに。ベッドに入り込むなんて真宮さんみたいなこと……を……」
ま、まてよ。この口調……。
そ、そうだ! 真宮さんと仲里さんは昨日、水族館で元の姿に戻れたんだった。
どうりで大胆な行動をするわけだ。
中身はあの真宮さんなんだから。
昨日のことだし、寝起きなのもあって頭の中が混乱してしまう。
――春時?
「ねぇ、春時どうしたの?」
「えっ! な、なんでもないよ。と、とにかく俺のベッドへ勝手に入るのはやめてくれ、心臓に悪い」
「えー、別にいいじゃない、彼女なんだし。ねね春時」
「ん?」
「大好きだよ♡」
上目遣いで俺を真っ直ぐと見つめてくる彼女。
窓からの光にミルクティーベージュの髪が照らされ美しく輝いている。
「ばっ!」
や、やばい……仲里さんのビジュアルはもともとめちゃ好みだし、そんな彼女に積極的にこられると緊張感が半端ない。
真宮さんの見た目のときは、ただ恥ずかしいって思いだけが強かったけれど、今はそれとは違う感情だ。
心臓がバクバクしている。
入れ替わっていたときの仲里さんのイメージが強いからほんと戸惑ってしまう。
でも、目の前にいる彼女が本来の仲里エリカなんだ。
中学のとき、池袋で出会って好きになった女の子――。
俺はこの子に校舎の屋上で告白をしたんだ……あれ? その相手が、俺を好きだといってくれている――これって、もう……。
「春時、はやく下に行こうよ。お腹すいちゃった」
「お腹……」
枕元に置いていたスマホを手に取り時間を確認すると、もう午前十時を過ぎている。
朝食というには少し遅い気がする。
昼食には早いしブランチってところか。
「今日の朝食は果奈ちゃんが作ってくれたみたいだよ?」
「えっ、果奈が?」
「うん。なにを作ったかは食べる直前までのお楽しみなんだって」
「ふーん」
「楽しみだよね。ゴマ塩まだ残ってたかな?」
まみ……違った。仲里さんはなんにでもゴマ塩をかけそうだな。
それにしても果奈の手料理か……食パンに焦げた炒り卵がのっているビジュアルしか想像できないんだけど。
「ちょっと俺、顔を洗っていくから仲里さんは先にリビングへいっててよ」
「あたしが洗ってあげようか?」
「遠慮しておきます……」
「あはは。わかった、それじゃあ先にいってるね!」
仲里さんは笑顔でいうと、そのまま部屋を出ていってしまった。
階段を走って降りる音が聞こえてくる。
「そんなに急いで降りなくてもいいだろうに……」
ふぅ、目覚めがいいのか、悪いのかわからない状況だったな……正直、元に戻った彼女にまだ慣れていなくて違和感がある。
――水族館の帰り、真宮さんと仲里さんは電車のなかで、突然わんわんと泣き出して大変だった。
何年も他人の身体へ入ることになって、ときにはそれを演じなくてはいけない状況をずっと続けてきたんだ。
そこから開放されて色々な想いがこみ上げてきたのだろう。
周りの乗客はなにごとかと怪訝な目を向けてきていたけれど、俺は二人をそっと見守った。
妹の果奈は遊びつかれたのか眠ってしまい到着するまで俺の肩でぐっすりだった。
果奈は二人の入れ替わりのことをどう思っているのだろう。
はじめて彼女たちと会ったときは、信じていないようだったから、今も入れ替わっているとは思っていないのかもしれない。
うーん、今回は性格が変わったのを目の当たりにしているわけだから、なにかを感じていると思うんだけどなぁ……。
「とりあえず、洗面所にいくか。みんなをまたせてしまっているし」
部屋を出るとドアベルの音が家内に響いた。
宅配かな……果奈が朝食のメニューを頼んでいたとか? でも仲里さんは手料理だって話していたしな。
足早に階段を降りて玄関のドアを開ける――と、なにかにぶつかったような感じを受けたが目の前には誰もいない。
「あれ? おかしいなぁ」
「痛っぁあああぃ……」
足元から声がするので目をやると、そこには空色髪の少女の頭頂部があった。
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