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第63話 開けてくれない?
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ダイニングテーブルに残されたトーストの食べかけへ手を伸ばす仲里さんを横目に、俺は真宮さんのことが心配になってしまい二階へと向かった。
真宮さんと仲里さんは元の身体に戻ったことで、衣類はそのままにして部屋を交換している。
本来の姿になったのだから洋服やその他の小物は自身にあったものを使うことになるので、当然の行動なのだろう。
出来れば自分の意思で選んだ部屋を使いたかっただろうけれど、配達で運ばれた仲里さんの洋服の量が多く、それを移動させる労力を考えたら、部屋を交換するだけにした方が楽という結論に至ったらしい。
別に急ぐわけでもないし、ゆっくり日をかけて移動させればいいと意見をしたら、仲里さんから貴重な夏休みをそんなことで消費したくないと秒で返された。
仲里さんは真宮さんと入れ替わっていたとき、あの部屋を気に入っていたように感じていたのだけれど、もう思い入れはないのだろうか……量があるとはいえ洋服の移動なんて、そんなに時間のかかるものでもないと思うのだけど。
まぁ、お気に入りだったウサギの落書きは果奈が消してしまったし、その絵もスマホの中に納められているから、今は問題ないのかも知れない。
真宮さんの部屋の前に立ち、ドアをノックした――反応がないので、もう一度だけ試してみる。
「真宮さん、ちょっと話があるんだ……開けてくれない?」
声をかけながら再びドアを叩いても反応はない。
少し時間をおいた方がいいのかも……。
――ガチャ。
部屋を背にした途端、ドアの開く音がしたので振り返る――と、ドアの隙間から真宮さんの姿が見えた。
「あの……なにか、ご用ですか……」
目が合うと、彼女はそのままゆっくり言葉を返してきた。
「えっと、その……食事も途中だったし、真宮さん体調でも悪いのかと思ってさ」
正直、なにか別の理由だとは思うけれど、俺は思いついた言葉を口にした。
「……そうですか、ご心配おかけしました。でも、大丈夫ですから」
「そ、そう……」
「はい」
な、なんだか気まずいな……でも、このまま放っておける雰囲気じゃないんだよなぁ……。
「あ、あのさ、少し話できないかな?」
「……なにを話すのですか?」
「なにって……いや、真宮さん元気がなさそうに見えるし」
「別にそんなことはないですけど。外見が変わったからそう見えるんじゃないですか?」
「え? どういう意味?」
「どうでしょうね。今までは仲里さんの姿でしたから中身は地味でも、あの綺麗な容姿がそれを補ってくれていたと思うので」
「そんなこと……」
突然、なにを言い出して……いったいどうしたっていうんだ。
「もういいですか? 私、やることがありますから、これで失礼します」
「まって!」
部屋へ戻るため、ドアを閉めようとする彼女の手を止める。
「あの、離していただけますか?」
「真宮さん、なにかあったんじゃないのか? 俺でよければ話を聞くからさ。とにかく少し話せない……ん?」
ふと、ドアの隙間から部屋のなかの様子が目に入る――妙にスッキリとしているというか、どこか違和感がある。
「きゃっ! は、早見くんっ、ちょっとまって!」
嫌な予感がして真宮さんを押しのけ強引に部屋へ入る。
なかを見回す――と、部屋のクローゼットは開けられ、洋服は全てダンボールへ押し込まれていた。
床に置かれた大きなバッグも開かれ、同じようにものが押し込められた状態だ。
これじゃあまるで……。
「真宮さん、これってなにをしているの? 掃除ってわけじゃなさそうだけど」
「……」
「黙っていたら分からないよ。なにかあったのなら話してほしい」
「あの、早見くん……早見くんは、もう私に用はないんじゃないですか?」
――え?
「真宮さん、なにを言って……」
真宮さんと仲里さんは元の身体に戻ったことで、衣類はそのままにして部屋を交換している。
本来の姿になったのだから洋服やその他の小物は自身にあったものを使うことになるので、当然の行動なのだろう。
出来れば自分の意思で選んだ部屋を使いたかっただろうけれど、配達で運ばれた仲里さんの洋服の量が多く、それを移動させる労力を考えたら、部屋を交換するだけにした方が楽という結論に至ったらしい。
別に急ぐわけでもないし、ゆっくり日をかけて移動させればいいと意見をしたら、仲里さんから貴重な夏休みをそんなことで消費したくないと秒で返された。
仲里さんは真宮さんと入れ替わっていたとき、あの部屋を気に入っていたように感じていたのだけれど、もう思い入れはないのだろうか……量があるとはいえ洋服の移動なんて、そんなに時間のかかるものでもないと思うのだけど。
まぁ、お気に入りだったウサギの落書きは果奈が消してしまったし、その絵もスマホの中に納められているから、今は問題ないのかも知れない。
真宮さんの部屋の前に立ち、ドアをノックした――反応がないので、もう一度だけ試してみる。
「真宮さん、ちょっと話があるんだ……開けてくれない?」
声をかけながら再びドアを叩いても反応はない。
少し時間をおいた方がいいのかも……。
――ガチャ。
部屋を背にした途端、ドアの開く音がしたので振り返る――と、ドアの隙間から真宮さんの姿が見えた。
「あの……なにか、ご用ですか……」
目が合うと、彼女はそのままゆっくり言葉を返してきた。
「えっと、その……食事も途中だったし、真宮さん体調でも悪いのかと思ってさ」
正直、なにか別の理由だとは思うけれど、俺は思いついた言葉を口にした。
「……そうですか、ご心配おかけしました。でも、大丈夫ですから」
「そ、そう……」
「はい」
な、なんだか気まずいな……でも、このまま放っておける雰囲気じゃないんだよなぁ……。
「あ、あのさ、少し話できないかな?」
「……なにを話すのですか?」
「なにって……いや、真宮さん元気がなさそうに見えるし」
「別にそんなことはないですけど。外見が変わったからそう見えるんじゃないですか?」
「え? どういう意味?」
「どうでしょうね。今までは仲里さんの姿でしたから中身は地味でも、あの綺麗な容姿がそれを補ってくれていたと思うので」
「そんなこと……」
突然、なにを言い出して……いったいどうしたっていうんだ。
「もういいですか? 私、やることがありますから、これで失礼します」
「まって!」
部屋へ戻るため、ドアを閉めようとする彼女の手を止める。
「あの、離していただけますか?」
「真宮さん、なにかあったんじゃないのか? 俺でよければ話を聞くからさ。とにかく少し話せない……ん?」
ふと、ドアの隙間から部屋のなかの様子が目に入る――妙にスッキリとしているというか、どこか違和感がある。
「きゃっ! は、早見くんっ、ちょっとまって!」
嫌な予感がして真宮さんを押しのけ強引に部屋へ入る。
なかを見回す――と、部屋のクローゼットは開けられ、洋服は全てダンボールへ押し込まれていた。
床に置かれた大きなバッグも開かれ、同じようにものが押し込められた状態だ。
これじゃあまるで……。
「真宮さん、これってなにをしているの? 掃除ってわけじゃなさそうだけど」
「……」
「黙っていたら分からないよ。なにかあったのなら話してほしい」
「あの、早見くん……早見くんは、もう私に用はないんじゃないですか?」
――え?
「真宮さん、なにを言って……」
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