28 / 117
〜シンデレラガール〜
大門の攻防
しおりを挟む
レンと信者たちがにらみ合いを続ける中、アークガルド王は堂々と大門の上に立ってアスペルド教団の信者たちの前に現れた。
アークガルド王を見た信者たちは一斉にどよめいたが、ロマノフが右手を上げると徐々にどよめきが収まった。大門前がシーンと静まり返る中、ロマノフが喋り始めた。
「アークガルド王よ、おとなしくティアラをこちらに差し出す決心がつきましたか?」
「アスペルド教団よ。悪いがティアラを差し出すことなどできない」
「な……何だと! それではアークガルド王国はこのアスペルド教団と戦争をするということでよろしいのですか?」
「そういうことになるな」
「馬鹿な! アークガルドの民が大勢死ぬことになるのだぞ!」
ロマノフは狼狽した。自分の予想ではアークガルド王は、おとなしくティアラを差し出すと思っていたのに予想と違う相手の反応に思わず叫んだ。
「あなたは愚かな王として歴史に汚点を残すことになるのだぞ! それでも良いのか?」
アークガルド王は狼狽しているロマノフとは対象的に堂々とした口調で答えた。
「確かに戦争になれば多くの民を犠牲にした王として歴史に名を刻むことになるだろう。多くの人から蔑まれ笑いものにされ後世に愚かな王として語り継がれることになるだろう」
アークガルド王は右手を胸に当て大声でアスペルド教団の信者たちに言った。
「アスペルド教団の者共よ! 儂を見ろ! お前たちの目の前の男の顔がそんな覚悟もできていない顔に見えるのか! 誰がなんと言おうともティアラは渡さん! たとえ貴様たちと戦争をしてもこの決断は変わることはない」
「な……何という愚かなことを……覚悟しろよ! この先、後世まで、俺とあんたは笑いものになるぞ」
ロマノフはそう言うと信者たちに命令した。
「アスペルド教団の敬虔な信者たちよ! 我らの神の命によりアークガルドを攻め滅ぼすぞーー!!」
「「「うぉおおおおーーーー!!」」」
ロマノフが大声で叫ぶと城の周りを取り囲んでいた信者たちが一斉に両手を上げて唸り声を上げた。いよいよ戦争が始まると、その場に居た誰もが覚悟をした。
「やめてーーー!!」
私は気がつくと大門の上で叫んでいた。
「お……お前……いつの間に……」
アルフレッドが私を大門の下に連れて行こうと近づいて来たので、私は大門の上の手すりの上に立った。
「おい! 待て! バカ野郎!!」
アルフレッドの手が届く寸前で大門の上から飛び降りた。大門の上は地上から30メートルはあるので、大怪我するだろうが、構わないと思った。
「あぶない!!」
レンはそう言うと飛び降りた私を受け止めようとしてくれていた。大門の中間まで来た時に宙に浮いている感覚があった。気がつくと私の落下速度がゆっくりとなっていて体から光が出ているのを感じた。
「な?……何だあれは? ま……まさか?」
「おお! セイントアウラ(聖女のオーラ)だーーー!!」
「こ……これは……聖女様の誕生だーーー!!」
私は体から流れ出るオーラを感じながらゆっくりと地上に降りていた。アスペルド教団の信者たちは私の降りてくる姿をみて口々に聖女様!と叫んでいた。
地上のレンが両手を広げて私を受け止めてくれた。私はそのままレンに抱きしめられていた。
「ティアラ! 大丈夫か?」
「ええ。ありがとう」
「全く、お前は相変わらず、無茶なことをするな」
「ごめんなさい、私のせいでこのまま戦争が始まってしまうと思うと居ても立っても居られなかったの」
「馬鹿だな。お前は何も心配することはないんだ。俺が守ってやると言っただろ」
「ありがとう、レンでも私をこのまま教団に連れて行って」
「は? 何を言ってるんだ! そんなことはできるわけないだろ!」
「レン。お願い……。私はこの世界に来て本当に今までにないくらい。みんな優しくしてくれて充実した生活ができたのがすごく嬉しかった。この国の人を私のせいで不幸にしたくないの、お願い私一人の命で救えるなら本望だわ」
「分かったよ。ティアラ。それがお前の望みなら俺が連れて行ってやるよ」
「本当に? ありがとうレン」
「その代わり俺もずっと一緒だからな」
「え? だめよ。私一人で行くわ。あなたは生き残って妹さんの面倒見てあげて」
「だめだ。お前とどこまでも一緒に行くんだよ。たとえ地獄に落ちるとしても一緒だ!」
「なんで? あなたは私の分まで生きて、お願いよ!」
「まだ気づかないのか?」
「え?」
「お前が居ない世界に生きても意味がないからだよ!! お前の居ない未来に何の希望も持てないからだよ!!」
レンの腕の力が強くなって私は強く抱きしめられた。
「いいんだよ。ティアラ。一人ぼっちで行かせやしない。寂しいだろ。俺と一緒に行こう」
私はレンの優しさに包まれた。このまま腕の中でいつまでも優しさに包まれていたいと思った。
『ドドドド!』
いきなり馬車が人混みをかき分けてロマノフと私達の間に割って入って来た。
アークガルド王を見た信者たちは一斉にどよめいたが、ロマノフが右手を上げると徐々にどよめきが収まった。大門前がシーンと静まり返る中、ロマノフが喋り始めた。
「アークガルド王よ、おとなしくティアラをこちらに差し出す決心がつきましたか?」
「アスペルド教団よ。悪いがティアラを差し出すことなどできない」
「な……何だと! それではアークガルド王国はこのアスペルド教団と戦争をするということでよろしいのですか?」
「そういうことになるな」
「馬鹿な! アークガルドの民が大勢死ぬことになるのだぞ!」
ロマノフは狼狽した。自分の予想ではアークガルド王は、おとなしくティアラを差し出すと思っていたのに予想と違う相手の反応に思わず叫んだ。
「あなたは愚かな王として歴史に汚点を残すことになるのだぞ! それでも良いのか?」
アークガルド王は狼狽しているロマノフとは対象的に堂々とした口調で答えた。
「確かに戦争になれば多くの民を犠牲にした王として歴史に名を刻むことになるだろう。多くの人から蔑まれ笑いものにされ後世に愚かな王として語り継がれることになるだろう」
アークガルド王は右手を胸に当て大声でアスペルド教団の信者たちに言った。
「アスペルド教団の者共よ! 儂を見ろ! お前たちの目の前の男の顔がそんな覚悟もできていない顔に見えるのか! 誰がなんと言おうともティアラは渡さん! たとえ貴様たちと戦争をしてもこの決断は変わることはない」
「な……何という愚かなことを……覚悟しろよ! この先、後世まで、俺とあんたは笑いものになるぞ」
ロマノフはそう言うと信者たちに命令した。
「アスペルド教団の敬虔な信者たちよ! 我らの神の命によりアークガルドを攻め滅ぼすぞーー!!」
「「「うぉおおおおーーーー!!」」」
ロマノフが大声で叫ぶと城の周りを取り囲んでいた信者たちが一斉に両手を上げて唸り声を上げた。いよいよ戦争が始まると、その場に居た誰もが覚悟をした。
「やめてーーー!!」
私は気がつくと大門の上で叫んでいた。
「お……お前……いつの間に……」
アルフレッドが私を大門の下に連れて行こうと近づいて来たので、私は大門の上の手すりの上に立った。
「おい! 待て! バカ野郎!!」
アルフレッドの手が届く寸前で大門の上から飛び降りた。大門の上は地上から30メートルはあるので、大怪我するだろうが、構わないと思った。
「あぶない!!」
レンはそう言うと飛び降りた私を受け止めようとしてくれていた。大門の中間まで来た時に宙に浮いている感覚があった。気がつくと私の落下速度がゆっくりとなっていて体から光が出ているのを感じた。
「な?……何だあれは? ま……まさか?」
「おお! セイントアウラ(聖女のオーラ)だーーー!!」
「こ……これは……聖女様の誕生だーーー!!」
私は体から流れ出るオーラを感じながらゆっくりと地上に降りていた。アスペルド教団の信者たちは私の降りてくる姿をみて口々に聖女様!と叫んでいた。
地上のレンが両手を広げて私を受け止めてくれた。私はそのままレンに抱きしめられていた。
「ティアラ! 大丈夫か?」
「ええ。ありがとう」
「全く、お前は相変わらず、無茶なことをするな」
「ごめんなさい、私のせいでこのまま戦争が始まってしまうと思うと居ても立っても居られなかったの」
「馬鹿だな。お前は何も心配することはないんだ。俺が守ってやると言っただろ」
「ありがとう、レンでも私をこのまま教団に連れて行って」
「は? 何を言ってるんだ! そんなことはできるわけないだろ!」
「レン。お願い……。私はこの世界に来て本当に今までにないくらい。みんな優しくしてくれて充実した生活ができたのがすごく嬉しかった。この国の人を私のせいで不幸にしたくないの、お願い私一人の命で救えるなら本望だわ」
「分かったよ。ティアラ。それがお前の望みなら俺が連れて行ってやるよ」
「本当に? ありがとうレン」
「その代わり俺もずっと一緒だからな」
「え? だめよ。私一人で行くわ。あなたは生き残って妹さんの面倒見てあげて」
「だめだ。お前とどこまでも一緒に行くんだよ。たとえ地獄に落ちるとしても一緒だ!」
「なんで? あなたは私の分まで生きて、お願いよ!」
「まだ気づかないのか?」
「え?」
「お前が居ない世界に生きても意味がないからだよ!! お前の居ない未来に何の希望も持てないからだよ!!」
レンの腕の力が強くなって私は強く抱きしめられた。
「いいんだよ。ティアラ。一人ぼっちで行かせやしない。寂しいだろ。俺と一緒に行こう」
私はレンの優しさに包まれた。このまま腕の中でいつまでも優しさに包まれていたいと思った。
『ドドドド!』
いきなり馬車が人混みをかき分けてロマノフと私達の間に割って入って来た。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています
浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】
ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!?
激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。
目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。
もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。
セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。
戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。
けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。
「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの?
これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、
ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。
※小説家になろうにも掲載中です。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。
カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?
転生したら、実家が養鶏場から養コカトリス場にかわり、知らない牧場経営型乙女ゲームがはじまりました
空飛ぶひよこ
恋愛
実家の養鶏場を手伝いながら育ち、後継ぎになることを夢見ていていた梨花。
結局、できちゃった婚を果たした元ヤンの兄(改心済)が後を継ぐことになり、進路に迷っていた矢先、運悪く事故死してしまう。
転生した先は、ゲームのようなファンタジーな世界。
しかし、実家は養鶏場ならぬ、養コカトリス場だった……!
「やった! 今度こそ跡継ぎ……え? 姉さんが婿を取って、跡を継ぐ?」
農家の後継不足が心配される昨今。何故私の周りばかり、後継に恵まれているのか……。
「勤労意欲溢れる素敵なお嬢さん。そんな貴女に御朗報です。新規国営牧場のオーナーになってみませんか? ーー条件は、ただ一つ。牧場でドラゴンの卵も一緒に育てることです」
ーーそして謎の牧場経営型乙女ゲームが始まった。(解せない)
お兄様、冷血貴公子じゃなかったんですか?~7歳から始める第二の聖女人生~
みつまめ つぼみ
ファンタジー
17歳で偽りの聖女として処刑された記憶を持つ7歳の女の子が、今度こそ世界を救うためにエルメーテ公爵家に引き取られて人生をやり直します。
記憶では冷血貴公子と呼ばれていた公爵令息は、義妹である主人公一筋。
そんな義兄に戸惑いながらも甘える日々。
「お兄様? シスコンもほどほどにしてくださいね?」
恋愛ポンコツと冷血貴公子の、コミカルでシリアスな救世物語開幕!
『身長185cmの私が異世界転移したら、「ちっちゃくて可愛い」って言われました!? 〜女神ルミエール様の気まぐれ〜』
透子(とおるこ)
恋愛
身長185cmの女子大生・三浦ヨウコ。
「ちっちゃくて可愛い女の子に、私もなってみたい……」
そんな密かな願望を抱えながら、今日もバイト帰りにクタクタになっていた――はずが!
突然現れたテンションMAXの女神ルミエールに「今度はこの子に決〜めた☆」と宣言され、理由もなく異世界に強制転移!?
気づけば、森の中で虫に囲まれ、何もわからずパニック状態!
けれど、そこは“3メートル超えの巨人たち”が暮らす世界で――
「なんて可憐な子なんだ……!」
……え、私が“ちっちゃくて可愛い”枠!?
これは、背が高すぎて自信が持てなかった女子大生が、異世界でまさかのモテ無双(?)!?
ちょっと変わった視点で描く、逆転系・異世界ラブコメ、ここに開幕☆
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる