メルトアイネ

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第02章 異世界転移

第04話 異世界確定

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 ルシファーラの報告が終わり、今度はセビスチャンの報告だ。

「それじゃ、セビスチャン報告を」
「はっ、わたくしどもはダンジョンを出たのですが、そこは森でした」
「えっ!」
「渓谷じゃなくてか?」

 俺たちのダンジョンは荒野の渓谷、谷間にある洞窟の先にある。だから、本来であればダンジョンを出るとごつごつとした岩が転がる渓谷に出るはずだ。決して森などではない。

「そうか、まぁある程度予想はしていたが」
「まさかの森、ね」
「こう来ると、やっぱりって感じだよね」
「だな。それで、その森は調査したんだろ」
「はい、森の中には多くの魔物が生息しておりましたが、その強さはおよそ30から40と思われます」

 この数字はレベルこれぐらいなら俺たちなら余裕だな。

「それぐらいなら問題ないな。でも、ダンジョン内にはいいてきても面倒だな」
「適当に排除した方がいいのかな」
「だな、上層の魔物たちでは入ってきたら対処できないし」
「ああ、そうだよね」
「上層は基本新人向けだからね」

 俺たちのダンジョンは上層、中層、下層とあるわけだが、上層エリアは主に新人から限界突破クエを受けるまでの連中向け、つまりレベルで言うと50までというわけだ。ちなみに中層はそれ以上で隠しクエを見つけていない者たち向け、つまり最大で100となる。また下層となるとそのクエを受けた後の俺たち向けというわけだ。

「そうだよね。あっ、だったら入り口に結界張っとく?」
「ああ、そうした方がいいか、ルナ3頼めるか?」
「任せて、サナリースと2人がかりでやっておくよ」
「ええ、任せて頂戴」

 ということで当面ダンジョンは開店休業とした。

「それでセビス、森の外はどうだったの」

 フローレンが続きを促した。

「はい、森を出ますと街道が東西に延びておりましたので、ひとまず西へ向かうことといたしました」

 今回は時間を制限していたために西に絞っての調査となったという。今度本格的に調査するときは両側調べたほうがいいだろう。

「いい判断ね。それで、その先は?」
「はい奥様」

 この奥様というのは誰のことかというとアリアロッテのことだ。言っておくが別にアリアロッテと俺が夫婦とかそういう関係ではないぞ。ただ俺がギルマスで旦那様、アリアロッテが副ギルマスのようなものなのでそういう言い方になっただけだ。

「街道を進みますと程なく防壁が見えてきました」
「防壁? 街か?」
「はいその通りでございます」
「街か、どんなとこだった」
「はい、到着した時刻が真夜中だったこともあり、門は開いておりませんでしたのでやむなく防壁を超えて侵入を試み、調査を行いました」

 こればかりは仕方ないとしておこう。

「そうか、それで何か得られたの」
「はい、まず我々の通貨は使うことができませんでした」

 これはしょうがない俺たちの持つ通貨はゲーム内でしか使えない、ここが、いやここまでくるとほぼ確信だが、異世界とすると同じ通貨を使っているわけがない。というか同じ通貨だったらそっちの方が驚くわ。

「まぁ、そうだろうな」
「はい、ですので朝になったところで宝石商のところへ赴き手持ちの宝石をいくつか売り金銭へと変えさせていただきました。こちらがその通貨にございます」

 そう言ってセビスチャンが取り出したのは数枚の金貨だった。

「へぇ、金貨か、ていうかこれ本物だな」
「そりゃぁ、そうだろ。ていうか俺たちが使っているものだって一応本物だぞ」
「そういえばそうだったな」

 俺たちが使っているゲーム内通貨の金貨も、ゲームの世界では一応本物の金でできている。ゲーム内でしか使えないものだからあまり気にしたことなかった。

「というかこれずいぶんと神々しいデザインだな」

 ガルマジオが金貨を一つつかみ眺めながらそういったので、俺も1つつかみ眺めてみると表には人物が描かれているんだが、なんというかその姿がいかにも神様って感じだ。そして裏側には1人を中心にした8人の人物が描かれている。

「セビス、どういう意味か分かる?」

 サナリースがセビスチャンに訪ねた。

「はいサナリース様、表に描かれているのはこの世界の神ブランドース、裏に描かれているのは1人の大賢者と7人の賢者とのことです」

 神と賢者、それはまた宗教的だけど、ここは宗教国家か。

「宗教国家なの?」
「いえ、この国はカワメリア王国という国です。通貨に関してですが、これはブランドース聖法王国という国が鋳造している者が世界中に流通しているとのことです」
「えっと、つまりこの世界ってすべての国が同じ通貨を使っているってこと」
「その通りでございます」
「なるほどな。まぁ、それはそれでわかりやすくていいな」
「だな、国によって通貨が違ったら両替とか面倒だしな」
「ほんとほんと」

 今現在の俺たちには特にほかの国へ行く言う考えはないが、みんなの言う通りたとえ国をまたいで動こうと思ったらいちいち両替をしなければならないのは面倒だ。世界中で同じ通貨を使っているのならそれに越したことはないな。

「本当にな。それでセビスチャン他に分かったことは?」

 通貨のことはこのぐらいとして次の話を聞こうとなった。

「はい、あまりありませんが先ほどの神ブランドールと賢者についての神話がございます」
「神話かぁ、どんな話?」

 この世界は神ブランドールが作り上げた世界、当初は争いもない平和な世界だったが、ある時突如異世界から邪神がやってきた。しかもその邪神はブランドールよりも力の強い神であり、世界はあっという間に混沌となってしまった。そこで、神はある1人の男と7人の弟子に力を与え、邪神の封印するように命じたという。そうして、彼らは力を合わせて何とか邪神を封印することができた、その封印場所に現在聖法王国聖都があるという。

「へぇ、なんかよくある話よねぇ」
「だな、それでそいつらが聖法王国を作ったって話だろ」
「はい、1人の男が神の代弁者として教皇の座に就き、彼の子孫が代々国主となっております。そしてその弟子だった7人もまた、それぞれが聖法王国を囲むように王国を作っています」

 セビスチャンが聞いた話では、そもそもこの世界は円形のような大陸があり、その中心が聖法王国で、その周りを7分割して7人の賢者たちの子孫が王を務めている。そうして、その周囲はその属国がいくらかあるらしい。

「ここカワメリア王国は属国の1つです。それから、ダンジョンがある森は未開の森と呼び、正確にはどの国も属していない土地とのことです」
「あっ、そうなんだ。それじゃ私たちは別に不法に占拠したというわけでもないのね」
「はい」

 フローレンが安堵したようにそういった。確かにどこかの国の土地だったら俺たちは勝手に住み着いたようなものだからな。

「そっか、なるほどねぇ」
「はい、異常がわたくしからの報告となります。申し訳もございません」

 報告を終えたセビスチャンがそういって頭を下げた。

「いえ、セビスチャン時間が足りなかった中でのこれは十分です。ご苦労様でした」

 セビスチャンがなぜ誤っているのかわからず首をかしげているとアリアロッテがそういってねぎらっている。ああ、セビスチャンが誤ったのは得てきた情報が少ないからか、別に俺は気にしてないんだけどな。

「そうだな。むしろよくここまでの情報を得てきたよ。よくやったなセビスチャン」
「そうそう」
「まったくだな。これからも頼むぜ」
「あ、ありがとう存じます」

 こうしてセビスチャンの報告も終わったのだった。しかし、これで間違いなく異世界転移確定だな。となるとなぜ俺たちがそろって転移してきたのか、それが分からない。こういう場合俺たちに邪神や魔王の討伐がありそうだけど、邪神はすでに封印されているから用なしだと思うんだけどな。まぁ、なんにせよこれからもいろいろ調べてみればわかるべ。
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