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第01章 最低な始まり

01 最悪のスタート地点からの脱出

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 さて、どうしたものか。

 異世界転生したら、奴隷からって最悪にもほどがある。

「まぁ、何はともあれ、記憶を取り戻したからにはこのままって選択肢はないな」

 ということで、行動開始である。

「そんじゃ、まずは、こいつを外すか、鑑定」

 俺が最初にやったことは、首輪を外すことだ。
 この世界において、奴隷となると奴隷の首輪というものがはめられる。
 それには、名前の剥奪、服従などの機能がある。
 しかも、一度付けたら二度と外せないというありがたくない機能もついている。
 それじゃ、外せないじゃん、っておもうかもしれないが、鑑定の結果。
 ああ、鑑定というのは俺が神から与えられた力の1つで、”叡智ある者メティスル”の権能の1つであらゆるものの情報を見ることができる。
 っで、それによると、どうやらこの奴隷の首輪は暗黒魔法という属性魔法の一種で呪いがかかっていることが分かった。
 まぁ、それについては鑑定するまでもなく、何となくそうじゃないかと思っていたけどな。
 それで、こいつを外すにはどうするかということだが、これは簡単、暗黒の反対である神聖魔法の解呪という魔法を使えば問題ない。

 じゃぁ、なんで一度付けると二度と外せないなどといったのかというと、実はこの呪いはとてつもなく強く普通の神聖魔法の使い手では手に負えないからだ。
 だが、神から与えらえれたメティスルは世界のあらゆる魔法を行使できるというとんでもスキルと、無限ともいえる膨大な魔力を与えられた俺には朝飯前となる。
 というわけで、さっそく解呪魔法を行使。

「解呪っと」

 通常魔法の行使には長ったらしい魔法の詠唱が必要になるが、俺が持つメティスルには詠唱破棄というものがあるために、中二病ばりの詠唱をしなくてもいいのでありがたい。
 まぁ、本来魔法名を言う必要もないんだけど、最初だし、イメージしやすさから今回は魔法名を言ってみた。

 そして、その結果だが、ボトッという音を立てて奴隷の首輪が外れ、地面へと落下した。

「よしっ、これで、あとはここを脱出だな」

 現在俺は檻の中、さらなる自由を手にれるためにはここを脱出する必要がある。

「そうなると、どうする。派手に行くか、隠密か」

 ここから出ることは今の俺にはおそらく容易、問題はこれまでの恨みとともに派手に破壊などをして脱出する方法と、静かに前世で遊んだ暗殺者のゲームの如く誰にも気が付かれることなく脱出する方法がある。

 考えた末、後者を選んだ。
 というのも、俺が今いる場所は街中にある。もし派手にやればいろいろ面倒ごとが起きる。例えば指名手配とか、さすがにそれは面倒だ。
 だったら、静かに脱出すればたとえばれても逃亡奴隷として手配されるだけ、でも、それには奴隷の首輪が必要不可欠、だが、俺はすでに外しているので問題は全くもってないというわけだ。

「そんじゃま、行きますかねぇ」

 というわけで脱出開始である。


 脱出するには牢屋のカギを開ける必要がある。
 でも、俺にはそんなの関係ない、なにせ

「素材化」

 鉄格子に手を向けそう唱える。
 すると、俺がイメージした場所の鉄格子が一瞬にして消えたのだった。
 これは素材化という、大地魔法の一種で、金属や石、大地に関するものを物体から素材へ変化させる魔法だ。
 まぁ、要するに鉄格子が鉄のインゴットに変化するというわけだな。

「よしっと」

 あとは脱出である。
 俺は牢からわずかに顔を出して、あたりを見渡し見張りがいないことを確認する。

(いないな)

 廊下に出ると周囲には俺が入れられていたものと同じような牢屋が並んでいる。
 幸いというべきか、現在ここには俺のほかに3人ぐらいしかいない。
 しかも、彼らはさっきまでの俺と同様自分のことで手一杯であり、周囲に目を向けていない。
 普通なら、一緒に脱出と行きたいところだが、あいにく俺は前世と今世の影響でほぼ人間不信の人嫌いとなっている。そんな俺が助けたところで、どうしようもない、というわけで放置だ。
 それから、少し歩くと……おっと、見張りか。
 前方に1人の男が立っていた。
 他の道はないか、となると、無力化しかないな。
 すぐに決断して、素早く魔法を行使。
 すると、その瞬間男は気を失った。
 俺が今行使した魔法は雷属性のスタン、つまり麻痺させたわけだ。
 現在隠密の為、魔法名を言わない。
 そうして、気を失った男を飛び越えて再び歩き出す。
 さて、ちょっと寄り道してからさっさと出るか。

 こうして、俺はついに奴隷商の店から脱出を果たしたのである。

「ふぅ、さてと、やっと出たはいいけど、まず、どうすっかな」

 脱出したはいいけど、見たところ現在夜らしい、あたりは真っ暗だ。
 そういえば、神が進化がないって言ってたしな、となると、文明レベルも低いってことか。
 実際、街中だと思うんだけど、街灯の1つもない。
 まぁ、その方が好都合か。
 なにせ、現在俺の格好は襤褸切れぼろきれのような布をただ纏っただけで、体も洗ていないこともあり正直自分でも臭い。
 これじゃ、宿に泊まろうにも拒否されるだろう。
 まぁ、尤も見た目がこんな子供を泊める宿ははなっから存在しないだろうけどな。

「いつまでもここにいてもしょうがないし、仕方ない、とりあえずこの街は出るか」

 そう決断すると、俺は近くにあった建物の上に飛び上がった。
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