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Episode5
しおりを挟む〈龍族の血婚〉とは、龍族のみが結べる契約であり効力が強く、世界にある契約の中でも1番と言っていいほど、お互いが強固な繋がりを結べるものだ。
「準備するから少し待ってくれ」
「ところで、僕はいつまで待てば貴方のお名前を呼べるのでしょうか?」
まだ優夜は、彼の名前を教えて貰っていない。名も知らぬ相手と急に契約を結ぶほどお人好しではないのだ。
「あ~……教えてもいいが多分分からない、というか発音出来ないし聞き取れないと思うぞ。」
地面に魔力で大きな魔法陣を描く指を止めてこちらを見上げる。
「と、いいますと?」
「俺の名前は龍の名だから、龍族の言葉が分からないとダメなんだよ」
「なるほど。ですが、スキルに言語理解があるのでいけると思いますよ、僕。」
「ん~。まぁ物は試しで言ってみるか、俺の名は ■■■■■■■■■」
「■■■■■■■■■。」
少し発音しづらい音だがスキルの影響で、発音も聞き取りも出来た。
「へぇ~!すごいな!でも君しか言えないし聞き取れないだろうな」
この世界の中にも学者などがいるため、龍族について研究しているもの達も少なからず存在するし龍族の言葉を話せはしないが聞き取れるものも少数だがいる。
しかし、古代に滅んだとされている彼の名前や龍族の言葉は今の世の龍族が話している言葉とは違うため分かるものはほぼ居ないだろう。
「では貴方のことはなんと呼べば?」
「まだ言ってなかったけど〈龍族の血婚〉を結ぶときには、君から俺に新しい名をつけてもらうことになっているんだよ。」
新しい名を付けることにより、龍の真名は契約者が貰い受けることになっている。
優夜は知らないが古代の龍、特に白龍と位を持つ龍にとって本名を知られるのは魂を握られているのと同等の意味をもつ。
「できた!」
魔法陣を描き終え、中心に2人で立ち優夜の左手を包み込むように握る。
「我─白龍の位を授かりし者。真名を■■■■■■■■■。
我が名において、彼─狂波優夜を主君として仕えることをここに誓う。」
淡く足元で輝いていた白い光が、彼の言葉に合わせ2人のことをこの世界から切り離し2人っぼちの世界を作り上げるかのように覆い被さる。
まるでチャペルだ。
これでは本当に結婚式を挙げているみたいだと優夜は独りごちた。
「俺の新しい名を呼んで、優夜」
「イノリ」
優夜が名を呼んだ瞬間、シャラシャラと軽やかな音を奏でながら1本の細い鎖が2人の左手の薬指を繋いだ。
パキッと氷が砕ける音と似た音を出して、細い鎖は指輪へと変化した。
お互いの左手の薬指には、揃いの指輪が飾られた。
──────────────────────────
揃いの指輪がつけれて満足してます。
名前の由来はまた後日です。
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