4 / 13
4
しおりを挟む
「なんで居るんですか……」
「なんでって、迎えに来たのよ、嬉しいでしょ?」
俺はバイト先まで俺を訪ねて来たという相手と、店のテーブルで顔を合わせた。
案の定、その相手は俺の予想通り先輩だった。
俺はその人の顔を見た瞬間、溜息を吐き回りを見る。
バイトの同僚、店にいた客、すべての人間が先輩に視線を向けていた。
まぁ、性格をしらなければ、見てくれだけはこの人はピカイチだからな……。
「こう言うのは、今度からやめて下さいよ」
「なんで? もう恋人同士なんだから別に良いでしょ?」
「先輩が来ると目立つんですよ! 俺はそれが嫌なんです!」
「仕方ないでしょ? 私が可愛いんだから」
「はぁ……ホントにこの人は……」
どんだけ自分が大好きなんだよ……。
俺は溜息を吐きながら、席を立つ。
「とりあえず、ここで待ってて下さい。着替えて来るんで」
「早くしてね、待つのとか私苦手だから」
「はいはい」
俺は先輩にそう言って、スタッフルームに戻った。
早く着替えて、先輩をこの店から遠ざけよう。
そう考えながら、スタッフルームのドアを開けると、そこにはまだ愛実ちゃんが居た。
「あれ? まだ居たの?」
「はい、それより先輩、知り合いって誰だったんですか?」
「あぁ……大学の先輩……」
「あ! もしかしてあの苦手な先輩ですか! なんなら、私が一言言ってやりましょうか?」
「いや、大丈夫……多分、ややこしい事になるから……」
俺は更衣室に入り、素早く着替えを済ませ、コートを着る。
「じゃあ、俺は今日は帰るから、愛実ちゃんも気を付けてね」
いつもは一緒に上がる時は、愛実ちゃんと一緒に帰るのだが、今日は先輩が来ているため、一緒には帰れない。
「あ、はい……あの、どんな人か見ても良いですか?」
「え? 見ても面白くなんか無いよ?」
「いえ、なんだかバックヤードの人たちがすっごい美人が先輩を尋ねて来たって、盛り上がっているので……」
あいつら……。
正直先輩とこの可愛い後輩である愛実ちゃんは合わせたく無い。
先輩は、俺と他の女の子が仲良くなるのを良く思って居ない。
前に仲良くなった女の子達も、先輩にバレた瞬間に邪魔をされ、俺から距離を置いて疎遠になって行った。
愛実ちゃんは本当に良い子だし、先輩に誤解されて、疎遠になるのは少し嫌だ。
下心とかでは無く、純粋にこの子は良い子なので、友人として関係を長く続けて行きたいと思っていた。
なので俺は、愛実ちゃんの為に言う。
「い、いや、大した人じゃないし、愛実ちゃん早く帰らないと、お母さんも心配するから……って居ねーし!」
話しをしている間に、愛実ちゃんはスタッフルームからバックヤードを通って、店内のフロアに先輩を見に行ってしまった。
「すいません、愛実ちゃんは?」
「あぁ、岬か。お前やるなぁ~あんな美人な彼女が居たなんてよ~」
「そんな事より、愛実ちゃんは?」
「あぁフロアに出て行ったぞ? お前、二股はやめておけよ、痛い目見るぞ?」
バイト先の先輩である大道寺(だいどうじ)さんに愛実ちゃんが向かった場所を聞き、俺は荷物を持って先輩の元に向かう。
すると、そこには先輩と向かい合う愛実ちゃんが居た。
それを見た瞬間、俺の本能が愛実ちゃんを守らなくてはと思い、急いで先輩の座る席に向かう。
「せ、先輩! お、お待たせしました! ささ、帰りましょ! あ、愛実ちゃんお疲れ~」
俺は先輩の背中を押し、無理矢理帰ろうとするが、先輩が笑顔のまま全く動こうとしない。 そんな時、先輩が恐ろしい笑顔で、俺に尋ねてきた。
「次郎君、この子は誰? 急に私に貴方は先輩のなんなんですか? って言ってきたんだけど? それはこっちの台詞なんだけど」
「私は先輩のバイト先の後輩で、石川愛実って言います。貴方と先輩はどう言う関係なんですか? 良く先輩から、大学で困った先輩が居るって話しを聞くんですけど……」
「へぇ……そうなんだぁ……」
「い、いや……先輩の事じゃ無いですよ……はい」
恐い、本当に恐い。
愛実ちゃんが遠回しに、俺に迷惑を掛けてるのは貴方じゃないんですか?
的な事を言うから、先輩は黒い笑顔で俺を見てくる。
俺はこの状況をなんとかしようと二人の間に入る。
「ま、愛実ちゃんごめんね! ちょっと急いでるから! 先輩! 行きますよ!」
俺はそう言って先輩の手を取り、店を後にした。
先輩は何故か顔を頬を赤らめ、俺に引っ張られて店を出る。
「はぁ……よかった……」
「何が?」
「こっちの話しですよ……言っておきますけど、あの子はバイトの後輩で、凄く良い子なんですから、ちょっかい出さないで下さいよ」
「ふぅ~ん、でも仲良いのね、大学の困った先輩って誰かしらねぇ~?」
「は、早く帰りますよ!」
俺はこれ以上ここに居るのはまずいと思ったのと、これ以上詮索されるのも面倒なので、先輩の手を離して歩き始める。
「あ、待ちなさいよ!」
「早く行きますよ……寒くなって来ましたし」
「そうじゃ無くて……手」
「手? 手が何か?」
先輩はそう言って、俺に手を差し出して来る。
「恋人同士は繋ぐでしょ……もう馬鹿…」
「な……いや、それは恥ずかしいと言うか……」
「何よ、私とは繋げないって言うの?」
「いや、そうじゃなくて……付き合ってまだ二日目ですよ?」
「関係無いわよ! 兎に角、私が繋ぎたいから繋ぐの!」
そう言って先輩は俺の手を取り、歩き始める。
先ほどは急いでいて気がつかなかったが、先輩の手は柔らかくて小さかった。
手を繋ぎ、前を歩く先輩の横顔を見ると、先輩の頬は赤くなっていた。
なんだよ……自分も恥ずかしいんじゃん……。
俺はそんな先輩の横に並び、家に帰宅する。
「で、困った先輩って、誰の事かしら?」
「あ、はい……すいません」
やっぱり愛実の言葉を忘れたわけでは無かったらしい。
先輩は家に帰ってきた瞬間、俺を壁際に追い詰めて、黒い笑顔で尋ねる。
今日もなかなか眠れそうにはなかった。
「なんでって、迎えに来たのよ、嬉しいでしょ?」
俺はバイト先まで俺を訪ねて来たという相手と、店のテーブルで顔を合わせた。
案の定、その相手は俺の予想通り先輩だった。
俺はその人の顔を見た瞬間、溜息を吐き回りを見る。
バイトの同僚、店にいた客、すべての人間が先輩に視線を向けていた。
まぁ、性格をしらなければ、見てくれだけはこの人はピカイチだからな……。
「こう言うのは、今度からやめて下さいよ」
「なんで? もう恋人同士なんだから別に良いでしょ?」
「先輩が来ると目立つんですよ! 俺はそれが嫌なんです!」
「仕方ないでしょ? 私が可愛いんだから」
「はぁ……ホントにこの人は……」
どんだけ自分が大好きなんだよ……。
俺は溜息を吐きながら、席を立つ。
「とりあえず、ここで待ってて下さい。着替えて来るんで」
「早くしてね、待つのとか私苦手だから」
「はいはい」
俺は先輩にそう言って、スタッフルームに戻った。
早く着替えて、先輩をこの店から遠ざけよう。
そう考えながら、スタッフルームのドアを開けると、そこにはまだ愛実ちゃんが居た。
「あれ? まだ居たの?」
「はい、それより先輩、知り合いって誰だったんですか?」
「あぁ……大学の先輩……」
「あ! もしかしてあの苦手な先輩ですか! なんなら、私が一言言ってやりましょうか?」
「いや、大丈夫……多分、ややこしい事になるから……」
俺は更衣室に入り、素早く着替えを済ませ、コートを着る。
「じゃあ、俺は今日は帰るから、愛実ちゃんも気を付けてね」
いつもは一緒に上がる時は、愛実ちゃんと一緒に帰るのだが、今日は先輩が来ているため、一緒には帰れない。
「あ、はい……あの、どんな人か見ても良いですか?」
「え? 見ても面白くなんか無いよ?」
「いえ、なんだかバックヤードの人たちがすっごい美人が先輩を尋ねて来たって、盛り上がっているので……」
あいつら……。
正直先輩とこの可愛い後輩である愛実ちゃんは合わせたく無い。
先輩は、俺と他の女の子が仲良くなるのを良く思って居ない。
前に仲良くなった女の子達も、先輩にバレた瞬間に邪魔をされ、俺から距離を置いて疎遠になって行った。
愛実ちゃんは本当に良い子だし、先輩に誤解されて、疎遠になるのは少し嫌だ。
下心とかでは無く、純粋にこの子は良い子なので、友人として関係を長く続けて行きたいと思っていた。
なので俺は、愛実ちゃんの為に言う。
「い、いや、大した人じゃないし、愛実ちゃん早く帰らないと、お母さんも心配するから……って居ねーし!」
話しをしている間に、愛実ちゃんはスタッフルームからバックヤードを通って、店内のフロアに先輩を見に行ってしまった。
「すいません、愛実ちゃんは?」
「あぁ、岬か。お前やるなぁ~あんな美人な彼女が居たなんてよ~」
「そんな事より、愛実ちゃんは?」
「あぁフロアに出て行ったぞ? お前、二股はやめておけよ、痛い目見るぞ?」
バイト先の先輩である大道寺(だいどうじ)さんに愛実ちゃんが向かった場所を聞き、俺は荷物を持って先輩の元に向かう。
すると、そこには先輩と向かい合う愛実ちゃんが居た。
それを見た瞬間、俺の本能が愛実ちゃんを守らなくてはと思い、急いで先輩の座る席に向かう。
「せ、先輩! お、お待たせしました! ささ、帰りましょ! あ、愛実ちゃんお疲れ~」
俺は先輩の背中を押し、無理矢理帰ろうとするが、先輩が笑顔のまま全く動こうとしない。 そんな時、先輩が恐ろしい笑顔で、俺に尋ねてきた。
「次郎君、この子は誰? 急に私に貴方は先輩のなんなんですか? って言ってきたんだけど? それはこっちの台詞なんだけど」
「私は先輩のバイト先の後輩で、石川愛実って言います。貴方と先輩はどう言う関係なんですか? 良く先輩から、大学で困った先輩が居るって話しを聞くんですけど……」
「へぇ……そうなんだぁ……」
「い、いや……先輩の事じゃ無いですよ……はい」
恐い、本当に恐い。
愛実ちゃんが遠回しに、俺に迷惑を掛けてるのは貴方じゃないんですか?
的な事を言うから、先輩は黒い笑顔で俺を見てくる。
俺はこの状況をなんとかしようと二人の間に入る。
「ま、愛実ちゃんごめんね! ちょっと急いでるから! 先輩! 行きますよ!」
俺はそう言って先輩の手を取り、店を後にした。
先輩は何故か顔を頬を赤らめ、俺に引っ張られて店を出る。
「はぁ……よかった……」
「何が?」
「こっちの話しですよ……言っておきますけど、あの子はバイトの後輩で、凄く良い子なんですから、ちょっかい出さないで下さいよ」
「ふぅ~ん、でも仲良いのね、大学の困った先輩って誰かしらねぇ~?」
「は、早く帰りますよ!」
俺はこれ以上ここに居るのはまずいと思ったのと、これ以上詮索されるのも面倒なので、先輩の手を離して歩き始める。
「あ、待ちなさいよ!」
「早く行きますよ……寒くなって来ましたし」
「そうじゃ無くて……手」
「手? 手が何か?」
先輩はそう言って、俺に手を差し出して来る。
「恋人同士は繋ぐでしょ……もう馬鹿…」
「な……いや、それは恥ずかしいと言うか……」
「何よ、私とは繋げないって言うの?」
「いや、そうじゃなくて……付き合ってまだ二日目ですよ?」
「関係無いわよ! 兎に角、私が繋ぎたいから繋ぐの!」
そう言って先輩は俺の手を取り、歩き始める。
先ほどは急いでいて気がつかなかったが、先輩の手は柔らかくて小さかった。
手を繋ぎ、前を歩く先輩の横顔を見ると、先輩の頬は赤くなっていた。
なんだよ……自分も恥ずかしいんじゃん……。
俺はそんな先輩の横に並び、家に帰宅する。
「で、困った先輩って、誰の事かしら?」
「あ、はい……すいません」
やっぱり愛実の言葉を忘れたわけでは無かったらしい。
先輩は家に帰ってきた瞬間、俺を壁際に追い詰めて、黒い笑顔で尋ねる。
今日もなかなか眠れそうにはなかった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
俺が宝くじで10億円当選してから、幼馴染の様子がおかしい
沢尻夏芽
恋愛
自他共に認める陰キャ・真城健康(まき・けんこう)は、高校入学前に宝くじで10億円を当てた。
それを知る、陽キャ幼馴染の白駒綾菜(しらこま・あやな)はどうも最近……。
『様子がおかしい』
※誤字脱字、設定上のミス等があれば、ぜひ教えてください。
現時点で1話に繋がる話は全て書き切っています。
他サイトでも掲載中。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
再婚相手の連れ子は、僕が恋したレンタル彼女。――完璧な義妹は、深夜の自室で「練習」を強いてくる
まさき
恋愛
「初めまして、お兄さん。これからよろしくお願いしますね」
父の再婚によって現れた義理の妹・水瀬 凛(みなせ りん)。
清楚なワンピースを纏い、非の打ち所がない笑顔で挨拶をする彼女を見て、僕は息が止まるかと思った。
なぜなら彼女は、僕が貯金を叩いて一度だけレンタルし、その圧倒的なプロ意識と可憐さに――本気で恋をしてしまった人気No.1レンタル彼女だったから。
学校では誰もが憧れる高嶺の花。
家では親も感心するほど「理想の妹」を演じる彼女。
しかし、二人きりになった深夜のキッチンで、彼女は冷たい瞳で僕を射抜く。
「……私の仕事のこと、親に言ったらタダじゃおかないから」
秘密を共有したことで始まった、一つ屋根の下の奇妙な生活。
彼女は「さらなるスキルアップ」を名目に、僕の部屋を訪れるようになる。
「ねえ、もっと本気で抱きしめて。……そんなんじゃ、次のデートの練習にならないでしょ?」
これは、仕事(レンタル)か、演技(家族)か、それとも――。
完璧すぎる義妹に翻弄され、理性が溶けていく10日間の物語。
『著者より』
もしこの話が合えば、マイページに他の作品も置いてあります。
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/658724858
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる