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14話 始まった冒険世界
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「そうだ。シュント君はエリーモア地方には行った事あるのでしたっけ?」
「ええと……ないですね」
あぶねぇ。
全クリ知識で隠しアイテムの場所まで全て知ってます! と言いかけてしまった。
オタク特有の知識をひけらかしたく癖は早く直なさいとな……。
彼女が言うエリーモア地方とは、ノーデンタークの屋敷から徒歩1日程度の距離にある小さな港町が集まった港湾都市であり、何を隠そう主人公が船でこの港町にやってくるところから青年期ノーデンターク編が始まるのだ。
そう言う意味では少々思い入れがある地方でもある。
「そうですか……。それではノーデンターク地方を出る前に私をホストとしたパーティーを組みましょう」
《マリナがシュントをパーティーに招待しています。参加しますか?》
[YES]
「よし。それではざっとステータスを確認しますね」
「うん」
「はい」
……はい。
はい?
「ヴァニラ様……。聖なるロッドを装備して攻撃力31ですね。防御力もまずまずです」
まずい……!
子パーティーになったら親ホストメンバーにあらゆるステータス情報が丸見えだ……!
レベル8の雑魚執事が攻撃力393なんてチート数値叩き出していたらソッコー怪しまれるし、まず【沈黙魔杖】を宝物庫から盗んだのがマリナさんにバレる……!
「シュント君は……。装備なしで攻撃力22ね。まぁこの年代の子にしては一般的な数値ですから安心していいですよ」
「――え?」
額から脂汗が止まらない。
まるであの頃の肥満体に戻ったようだ。
「どうしました? 少し顔色が悪いようですがどこかで休憩しますか?」
「シュント大丈夫?」
「い、いえ……お構いなくぅぅ」
おそらく【沈黙魔杖】には姿や魔法だけでなく、他人に存在情報を知られることすらプロテクトする隠蔽魔法がかけられているのだろう。
なんとか偽の笑顔でその場を凌いだが、心臓は爆音を奏でながら俺の体に血液を供給する。
マリナは一通りのステータスを確認後、今回の作戦内容を俺たちに伝えた。
「今回討伐するイノディクトは突進のみで攻撃してくる単純なモンスターですが、その一回が命取りになりかねません」
「ですので今回編成するパーティは縦列隊列にします。先攻が剣士である私。中盤に援護魔法が可能なヴァニラ様。そして後方に戦闘経験の無いシュント君。いいかしら?」
「うん……!」
「はい」
「予め言っておきますが別にシュント君を守っているわけじゃないですよ? もしも後方から何かに襲われてもヴァニラ様をお守りできるように配慮した結果ですのでくれぐれも気を抜かないようにお願いします」
メイド服姿の剣士が厳しめに釘を刺す。
「あ。はい。頑張ります……」
「シュント! 攻撃力が上のヴァニラがいつでも守ってあげるから安心してね!」
昨日の成功体験と俺の低能ステータスを見たヴァニラは意気揚々と俺を守る宣言をしてきた。
しかしそんな和やかな雰囲気の中、畑道から一匹の魔兎モンスターが現れた。
「――! 皆さん先程お教えした隊列を組んでください!」
剣を抜いたマリナの指示で咄嗟に隊列を組む。
「――風刃斬!!」
マリナの超速剣撃の衝撃波は周りの風を瞬時に巻き込みながら敵モンスターを見事に切り裂いた。
《ゾックスを倒した 12EX獲得》
「ふう。では道中油断せず参りましょう」
体が震えているのが分かる。
それは怖さではなく圧倒的興奮だ。
やっと始まった。
これだ……!
これこそが俺が愛した『スレイブ・フロンティア』の世界……!
「ええと……ないですね」
あぶねぇ。
全クリ知識で隠しアイテムの場所まで全て知ってます! と言いかけてしまった。
オタク特有の知識をひけらかしたく癖は早く直なさいとな……。
彼女が言うエリーモア地方とは、ノーデンタークの屋敷から徒歩1日程度の距離にある小さな港町が集まった港湾都市であり、何を隠そう主人公が船でこの港町にやってくるところから青年期ノーデンターク編が始まるのだ。
そう言う意味では少々思い入れがある地方でもある。
「そうですか……。それではノーデンターク地方を出る前に私をホストとしたパーティーを組みましょう」
《マリナがシュントをパーティーに招待しています。参加しますか?》
[YES]
「よし。それではざっとステータスを確認しますね」
「うん」
「はい」
……はい。
はい?
「ヴァニラ様……。聖なるロッドを装備して攻撃力31ですね。防御力もまずまずです」
まずい……!
子パーティーになったら親ホストメンバーにあらゆるステータス情報が丸見えだ……!
レベル8の雑魚執事が攻撃力393なんてチート数値叩き出していたらソッコー怪しまれるし、まず【沈黙魔杖】を宝物庫から盗んだのがマリナさんにバレる……!
「シュント君は……。装備なしで攻撃力22ね。まぁこの年代の子にしては一般的な数値ですから安心していいですよ」
「――え?」
額から脂汗が止まらない。
まるであの頃の肥満体に戻ったようだ。
「どうしました? 少し顔色が悪いようですがどこかで休憩しますか?」
「シュント大丈夫?」
「い、いえ……お構いなくぅぅ」
おそらく【沈黙魔杖】には姿や魔法だけでなく、他人に存在情報を知られることすらプロテクトする隠蔽魔法がかけられているのだろう。
なんとか偽の笑顔でその場を凌いだが、心臓は爆音を奏でながら俺の体に血液を供給する。
マリナは一通りのステータスを確認後、今回の作戦内容を俺たちに伝えた。
「今回討伐するイノディクトは突進のみで攻撃してくる単純なモンスターですが、その一回が命取りになりかねません」
「ですので今回編成するパーティは縦列隊列にします。先攻が剣士である私。中盤に援護魔法が可能なヴァニラ様。そして後方に戦闘経験の無いシュント君。いいかしら?」
「うん……!」
「はい」
「予め言っておきますが別にシュント君を守っているわけじゃないですよ? もしも後方から何かに襲われてもヴァニラ様をお守りできるように配慮した結果ですのでくれぐれも気を抜かないようにお願いします」
メイド服姿の剣士が厳しめに釘を刺す。
「あ。はい。頑張ります……」
「シュント! 攻撃力が上のヴァニラがいつでも守ってあげるから安心してね!」
昨日の成功体験と俺の低能ステータスを見たヴァニラは意気揚々と俺を守る宣言をしてきた。
しかしそんな和やかな雰囲気の中、畑道から一匹の魔兎モンスターが現れた。
「――! 皆さん先程お教えした隊列を組んでください!」
剣を抜いたマリナの指示で咄嗟に隊列を組む。
「――風刃斬!!」
マリナの超速剣撃の衝撃波は周りの風を瞬時に巻き込みながら敵モンスターを見事に切り裂いた。
《ゾックスを倒した 12EX獲得》
「ふう。では道中油断せず参りましょう」
体が震えているのが分かる。
それは怖さではなく圧倒的興奮だ。
やっと始まった。
これだ……!
これこそが俺が愛した『スレイブ・フロンティア』の世界……!
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