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32話 風魔法とサラビアの盾
しおりを挟む「あっっははは!! ビビらせといて結局下級魔法の『風突』かよ! さすがあの雑魚の執事なだけあるぜ!」
「――そうだな。確かにお前の言う通り『風突』は誰でも習得出来る下級魔法とされている。だがな――」
「俺の地元にこんな言葉がある。『弘法筆を択ばず』俺もあんまり詳しくは知らないけど簡単に言えばスゲー奴は何使ってもスゲーってな……!」
その瞬間、訓練場内を覆う巨大な竜巻が発生し、訓練場のあらゆる物々を巻き込んだ。
触れる者皆を切りつける威力で回り続ける風の集合体は、台風の暴風域をも遥かに凌駕する凄まじさであり更に加速を続ける。
「――は……なんだよこれ……?」
「ただの『風突』であろうに……。なぜ……こんな……」
「す、凄い……お父様の神楓魔法にも匹敵するかも……」
轟音靡かせ加速する竜巻と開いた口が塞がらない3人。
「――結集しろ」
その時、風は止み轟音は訓練場から一瞬で姿を消した。
俺の一言で巨大な竜巻はたちまちサイズを変え、手のひらにスッポリと収まる大きさになり【沈黙魔杖】の先端にプカプカと浮遊する。
「――勢力が衰えた……? は、はっ! あの巨大な竜巻が数秒で手のひらに乗っちまう大きさになるなんて可哀想な奴め」
コイツ原作の時からやられるフラグ立てるの好きなんだよな。
そんなセリフ吐いて逆転できる悪役キャラクターが存在するとでも思っているのか……。
「衰えた……? 逆だ……あの勢いだった竜巻を全て10センチ四方に圧縮したんだ」
「――圧縮だと?」
「ああ、あのままぶつけても良かったがお前には風塵のひとつまで残さずくらわせたくてな。最高密度で味わってくれ」
「筆を択ばずってのは単純に『安い筆』を使っても『上手く字が書ける』って事だ。この場合俺にとっては『風突』が『安い筆』ってことになる。そして『上手く字が書ける』ってのは――」
姿無き杖をデビスに向けて構え直す。
家族ぐるみ……いや屋敷ぐるみであそこまで俺やヴァニラを騙していたんだ報いは必ず取ってもらう。
そして何より俺のヒロインにあそこまでの仕打ちをしたコイツは、『スレイブ・フロンティア』花嫁論争においてヴァニラリアを推薦していたガチオタとして許しておけない。
「『自由自在に魔法を操れる』ってことだぁぁ!!!!」
「――風よ……軌跡を描きここに放たれよ……!!」
圧縮された突風の塊の爆発音にも似た凄まじい射出音は衝撃波となりその姿を可視化させる。
デビス目がけて迅雷を超える速さで射出された『風突』は、奴の愛剣達を無惨にも粉々に打ち砕く。
「――や、やばいぃぃ!! ままぁぁ!!!」
「で、デビス!!」
咄嗟にガードしたはずの双剣が打ち砕かれ絶望するデビス。
それを見て信じられないと驚愕するが成す術も無いエマ。
しかし。
「――障壁魔法 サラビアの盾!!」
突然、俺渾身の『風突』とデビスの間に強靭な聖盾が姿を現し、爆発音と共に『風突』を見事に打ち消した。
「――さすが天才だな」
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