53 / 321
フィリスのお願い
しおりを挟む
「聖女様って……ルカ……様の事?」
「はい、やっぱりダメでしょうか?」
「いや……ダメって言うか……」
ルカとフィリスさんを会わせる……?
ルカなら良いと言うかもしれないけれど……でも、ルークとエミリアは
なんて言うだろう……
けれど、フィリスさんがこんな事を言って来た理由も気になるし……
私は、悩んだ末にこう答えを出した。
「沙羅さん?」
「あ、ごめんね……!聖女様に……だったよね!分かった、皆に聞いてみるね!」
「ほんとうですか!ありがとうございます!」
私がそう答えると、フィリスさんは顔をパァっと明るくさせて喜んでいた。
フィリスさんは、いつもカッコよくて綺麗な人だから、こんな風に喜ぶだなんて
思ってなくて、ちょっとびっくりしてしまった。
けれど、ちょっぴり可愛いなと思っちゃったのは内緒にしておこう。
「それでは、失礼します。また明日教室で」
「うん!また明日、おやすみなさい」
「おやすみなさい」
そう挨拶をして、フィリスさんは自分の部屋に戻っていった。
フィリスさんが帰ってから、私は色々な考えで頭の中が一杯だった。
フィリスさんは一体ルカに何の用事があるんだろう、そもそも私に来て欲しかった場所ってどこだったんだろう?とか、色々考えることがあるけれど
今はとりあえず、ルカにフィリスさんの事をメールで送り、眠りについた。
*****
昨日色々あってあんまりよく眠れなかった……
時計を見ると、時間はもう七時を過ぎている、急いで身支度を整え、教室に向かった。教室に入ると、もうフィリスさんは登校していて、自分の席に座っていた。
「おはよう!フィリスさん!」
「おはようございます、沙羅さん。昨日は遅くに押しかけてしまってすいませんでした」
「ううん、大丈夫だよ~それと、聞きたい事があったんだけど……」
「なんでしょうか?」
「私と行きたかった所って……」
「あぁ、それはですね」
フィリスさんは、鞄の中から紙を取り出して机の上に広げた。
そこには、地図のようなものが書いてあった。
この辺り一帯を詳細に書いたものらしい。
「ここです、どこだか分かりますか?」
フィリスさんは、その場所を指さしながら聞いてきた。
私は、その場所をじっと見つめて考えてみた。
……あれ?これってもしかして……?
「裏の森……?」
「そうです、正解ですよ」
フィリスさんは、微笑みながらそう言った。
けれど、どうしてこの場所に行きたがっていたのかが分からない。
「どうしてこの場所に?って顔をしてますね?」
「そうだよ!なんで学園の裏の森なんかに……」
「ふふ、実は裏の森で精霊を見た人がいたらしいんです。それでその精霊を私も
見てみたいと思いまして……」
「でも、何で私と……」
「だって沙羅さんは聖女でしょう?きっと、何か不思議な力を持っているんじゃないかと思ったんですよ。なので、一緒に見に行って貰えないかと思って……」
なるほど、そういう事だったのか。
確かに、私には精霊を見ることが出来る、その証拠にムルとお話が出来たり
しているから。
けれど、何でフィリスさんは精霊に会いたがっているんだろか?
「なんで精霊に会いたいんだ?みたいな顔をしていますね」
「そうだよ!だって普通精霊に会いたいだなんて……」
私は、言いかけた言葉を途中で止めた。
フィリスさんが、私の手を握っていたからだ。
そして、私の目を見つめて話し出した。
なんだか、凄くドキドキしてしまう。
「どうしても、試したいことがあるの。だからお願い、私と一緒に来てくれない?」
そう言って、フィリスさんは私の顔を見つめている。
どうしよう、このままだと心臓が破裂してしまいそうなくらい鼓動が早くなっているのが自分でも分かる。
「分かったよ……フィリスさん」
私はそう返事をした。
すると、フィリスさんは嬉しそうに笑ってくれた。
そんな顔を見て、私はやっぱり可愛いな……と思ってしまった。
「あ、週末の事もよろしくお願いしますね」
「うん!」
そんなやり取りをしていた時、授業開始を告げるチャイムが鳴り
この話はそこで終わった。
「はい、やっぱりダメでしょうか?」
「いや……ダメって言うか……」
ルカとフィリスさんを会わせる……?
ルカなら良いと言うかもしれないけれど……でも、ルークとエミリアは
なんて言うだろう……
けれど、フィリスさんがこんな事を言って来た理由も気になるし……
私は、悩んだ末にこう答えを出した。
「沙羅さん?」
「あ、ごめんね……!聖女様に……だったよね!分かった、皆に聞いてみるね!」
「ほんとうですか!ありがとうございます!」
私がそう答えると、フィリスさんは顔をパァっと明るくさせて喜んでいた。
フィリスさんは、いつもカッコよくて綺麗な人だから、こんな風に喜ぶだなんて
思ってなくて、ちょっとびっくりしてしまった。
けれど、ちょっぴり可愛いなと思っちゃったのは内緒にしておこう。
「それでは、失礼します。また明日教室で」
「うん!また明日、おやすみなさい」
「おやすみなさい」
そう挨拶をして、フィリスさんは自分の部屋に戻っていった。
フィリスさんが帰ってから、私は色々な考えで頭の中が一杯だった。
フィリスさんは一体ルカに何の用事があるんだろう、そもそも私に来て欲しかった場所ってどこだったんだろう?とか、色々考えることがあるけれど
今はとりあえず、ルカにフィリスさんの事をメールで送り、眠りについた。
*****
昨日色々あってあんまりよく眠れなかった……
時計を見ると、時間はもう七時を過ぎている、急いで身支度を整え、教室に向かった。教室に入ると、もうフィリスさんは登校していて、自分の席に座っていた。
「おはよう!フィリスさん!」
「おはようございます、沙羅さん。昨日は遅くに押しかけてしまってすいませんでした」
「ううん、大丈夫だよ~それと、聞きたい事があったんだけど……」
「なんでしょうか?」
「私と行きたかった所って……」
「あぁ、それはですね」
フィリスさんは、鞄の中から紙を取り出して机の上に広げた。
そこには、地図のようなものが書いてあった。
この辺り一帯を詳細に書いたものらしい。
「ここです、どこだか分かりますか?」
フィリスさんは、その場所を指さしながら聞いてきた。
私は、その場所をじっと見つめて考えてみた。
……あれ?これってもしかして……?
「裏の森……?」
「そうです、正解ですよ」
フィリスさんは、微笑みながらそう言った。
けれど、どうしてこの場所に行きたがっていたのかが分からない。
「どうしてこの場所に?って顔をしてますね?」
「そうだよ!なんで学園の裏の森なんかに……」
「ふふ、実は裏の森で精霊を見た人がいたらしいんです。それでその精霊を私も
見てみたいと思いまして……」
「でも、何で私と……」
「だって沙羅さんは聖女でしょう?きっと、何か不思議な力を持っているんじゃないかと思ったんですよ。なので、一緒に見に行って貰えないかと思って……」
なるほど、そういう事だったのか。
確かに、私には精霊を見ることが出来る、その証拠にムルとお話が出来たり
しているから。
けれど、何でフィリスさんは精霊に会いたがっているんだろか?
「なんで精霊に会いたいんだ?みたいな顔をしていますね」
「そうだよ!だって普通精霊に会いたいだなんて……」
私は、言いかけた言葉を途中で止めた。
フィリスさんが、私の手を握っていたからだ。
そして、私の目を見つめて話し出した。
なんだか、凄くドキドキしてしまう。
「どうしても、試したいことがあるの。だからお願い、私と一緒に来てくれない?」
そう言って、フィリスさんは私の顔を見つめている。
どうしよう、このままだと心臓が破裂してしまいそうなくらい鼓動が早くなっているのが自分でも分かる。
「分かったよ……フィリスさん」
私はそう返事をした。
すると、フィリスさんは嬉しそうに笑ってくれた。
そんな顔を見て、私はやっぱり可愛いな……と思ってしまった。
「あ、週末の事もよろしくお願いしますね」
「うん!」
そんなやり取りをしていた時、授業開始を告げるチャイムが鳴り
この話はそこで終わった。
0
あなたにおすすめの小説
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
お前のような地味な女は不要だと婚約破棄されたので、持て余していた聖女の力で隣国のクールな皇子様を救ったら、ベタ惚れされました
夏見ナイ
恋愛
伯爵令嬢リリアーナは、強大すぎる聖女の力を隠し「地味で無能」と虐げられてきた。婚約者の第二王子からも疎まれ、ついに夜会で「お前のような地味な女は不要だ!」と衆人の前で婚約破棄を突きつけられる。
全てを失い、あてもなく国を出た彼女が森で出会ったのは、邪悪な呪いに蝕まれ死にかけていた一人の美しい男性。彼こそが隣国エルミート帝国が誇る「氷の皇子」アシュレイだった。
持て余していた聖女の力で彼を救ったリリアーナは、「お前の力がいる」と帝国へ迎えられる。クールで無愛想なはずの皇子様が、なぜか私にだけは不器用な優しさを見せてきて、次第にその愛は甘く重い執着へと変わっていき……?
これは、不要とされた令嬢が、最高の愛を見つけて世界で一番幸せになる物語。
だから聖女はいなくなった
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
「聖女ラティアーナよ。君との婚約を破棄することをここに宣言する」
レオンクル王国の王太子であるキンバリーが婚約破棄を告げた相手は聖女ラティアーナである。
彼女はその婚約破棄を黙って受け入れた。さらに彼女は、新たにキンバリーと婚約したアイニスに聖女の証である首飾りを手渡すと姿を消した。
だが、ラティアーナがいなくなってから彼女のありがたみに気づいたキンバリーだが、すでにその姿はどこにもない。
キンバリーの弟であるサディアスが、兄のためにもラティアーナを探し始める。だが、彼女を探していくうちに、なぜ彼女がキンバリーとの婚約破棄を受け入れ、聖女という地位を退いたのかの理由を知る――。
※7万字程度の中編です。
【完結】王子は聖女と結婚するらしい。私が聖女であることは一生知らないままで
雪野原よる
恋愛
「聖女と結婚するんだ」──私の婚約者だった王子は、そう言って私を追い払った。でも、その「聖女」、私のことなのだけど。
※王国は滅びます。
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
私を裁いたその口で、今さら赦しを乞うのですか?
榛乃
恋愛
「貴様には、王都からの追放を命ずる」
“偽物の聖女”と断じられ、神の声を騙った“魔女”として断罪されたリディア。
地位も居場所も、婚約者さえも奪われ、更には信じていた神にすら見放された彼女に、人々は罵声と憎悪を浴びせる。
終わりのない逃避の果て、彼女は廃墟同然と化した礼拝堂へ辿り着く。
そこにいたのは、嘗て病から自分を救ってくれた、主神・ルシエルだった。
けれど再会した彼は、リディアを冷たく突き放す。
「“本物の聖女”なら、神に無条件で溺愛されるとでも思っていたのか」
全てを失った聖女と、過去に傷を抱えた神。
すれ違い、衝突しながらも、やがて少しずつ心を通わせていく――
これは、哀しみの果てに辿り着いたふたりが、やさしい愛に救われるまでの物語。
冤罪で殺された聖女、生まれ変わって自由に生きる
みおな
恋愛
聖女。
女神から選ばれし、世界にたった一人の存在。
本来なら、誰からも尊ばれ大切に扱われる存在である聖女ルディアは、婚約者である王太子から冤罪をかけられ処刑されてしまう。
愛し子の死に、女神はルディアの時間を巻き戻す。
記憶を持ったまま聖女認定の前に戻ったルディアは、聖女にならず自由に生きる道を選択する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる