若い聖女が現れたから私はお役御免！？それならこっちから婚約破棄します！ ～今更私の力に気づいて戻ってきてと言ってももう遅いです～

学園へ

二人が帰った部屋は、しん……と静まり返り少し寂しい気分になる。
けれど、不思議と不安な気持ちは無くなっていて
きっと、二人が私の話を聞いてくれて、気遣ってくれたおかげだろう。
そんな二人に心の中で感謝しつつ、私はベットに入り目を瞑った……
******
次の日の朝。
いつもよりも、体と心が軽いようなそんな気分になった。
私がベッドから起き上がりカーテンを開け窓を開く、窓からは朝の爽やかな
風が吹き込んできて私の髪を揺らす。
心地よい風と、優しい朝日に目が覚めていく。
「ふぅ……いい朝ね」
空を眺めながらそんな事を呟く。
すると、扉からノックの音が聞こえて私は返事をすると扉が開きメイドが入って来た。
「お嬢様、朝食の準備が出来ました」
「分かったわ、着替えたら向かうと伝えて置いてください」
「分かりました、それでは失礼致します」
そう言って、メイドはお辞儀をして部屋から出ていった。
「さて、急いで着替えないと……」
そう呟いて、クローゼットへと向かい、急いで着替えを済ませて部屋を後にした。
そして、食堂に着き中に入るとお父様達が既に席に着いていた。
「おはようございます」
「あぁ、おはよう」
「ルカちゃんおはよう」
「ルカおはよう、昨日はよく眠れた？」
そんなやり取りをしながら、私は空いている席に腰掛けた。
お兄様の言葉に、私は笑顔で頷く。
すると、お兄様は嬉しそうに笑ったので私も釣られて笑ってしまう。
そんな私達のやり取りを見ていたお母様が不思議そうな顔をしていたので 私は誤魔化す様に咳払いをした。
お母様には、まだあの事を話せていない……
けれど、話すのは今じゃ無い。
話すタイミングは、お母様とゆっくり話せる時間が出来た時にしよう。
きっと、その時は来るはずだから……。
そんな事を考えながら、朝食を食べた。
******
朝食も済み、準備も済んだ私は
学園へと向かっていた。
「ふぅ、なんだかこうやって学園に行くのも久しぶりね……
あの時は、沙羅の事を頼みに行ったんだっけ」
そんな事を思い出しながら、私は学園までの道のりを
歩いた。
暫く歩いていると、やっと学園に到着した。
この時間は、授業中なのか生徒達の姿が見当たらない。
静かな学園の中を歩き、目的地の学園長室の前に着くと
ふぅ、と深呼吸をして扉をノックする。
「はい、どうぞ」
「失礼します……お久しぶりです、学園長」
「おぉ、ルカ君待っていたよ。さぁ、ここに座って」
「はい、失礼します」
学園長に促され私はソファに腰掛ける。
私が座るのを確認したのち、学園長も私の向かい側のソファへと腰を下ろした。
「さて……今日来たのは、この間の事だろう？」
「はい、大丈夫だと思っていますが、やっぱり自分の目で確かめたかったので……」
「そうかそうか、安心しなさい。あの子達なら大丈夫だよ」
そう言って学園長はにっこりと笑った。
良かった……ちゃんとウィル先生に話すことが出来たんだ、そう思った瞬間
肩の力がフッと抜けた気がした。
ずっと緊張していたのだろう、学園長の話を聞いた瞬間 心が軽くなった気がした。