若い聖女が現れたから私はお役御免！？それならこっちから婚約破棄します！ ～今更私の力に気づいて戻ってきてと言ってももう遅いです～

ウィル先生とアマミヤさん

「う～ん……思ってたより、彼女達の成長は早そうだなぁ……」
教員室に戻る道中、僕はそんな事をポツリと呟く。
元から、あの二人は飲み込みが早く、教え甲斐があるとは思っていたが まさか此処までとは……
この調子で行けば、今週中にでも、実践に向けての練習が出来るかもしれない
そんな事を考えていると、不意に後ろから声を掛けられた。
「ウィル先生、お疲れ様です」
「あぁ、アマミヤさん。お疲れ様です、どうですか？あの子達はちゃんと勉強
出来ていましたか？」
「はい、あの子達凄いですね……私が学生の時よりもずっと優秀で」
そう言って、アマミヤさんは感心した様に言った。
「アマミヤさんも、優秀な生徒だったと僕は思いますよ？」
「そんな！ウィル先生がいなかったら、私はここを追い出されてました」
そう言って、アマミヤさんは苦笑する。
確かに、アマミヤさんの言う通り、僕が話を付けなければアマミヤさんは
この学園から追い出されていたかもしれない。
何故、僕がそんな事をしたかというと……こっちが勝手に呼んだくせに
魔力が無くなったから、いらない。そんな態度を取った上の人間達が
ムカついたのと、アマミヤさんは学園の為に色々と活躍していたから
その優秀な人材をこんなくだらない事で無くすのは惜しい。そう思ったから
そもそも、アマミヤさんを追い出そうとしていたのは、学園長では無く
その下の、副学園長だったので、僕は学園長に協力を仰いで、アマミヤさんが学園に残れる様に色々と根回しをした。
今となっては、懐かしい思い出だ……
「まぁ……あの時は、僕も若かったからねぇ～」
「そんな！ウィル先生は今でも若々しいじゃ無いですか？なんなら私がいた頃と変わらないくらい……」
「ははは、お世辞はやめてよ～僕だってもうオジサンだよ？」
僕がそう言うと、アマミヤさんはクスクスと笑った。
それに釣られて、僕もクスクスとと笑いあった。
「アマミヤさん、余裕があれば、あの子達の事面倒みてあげてくれないかな？」
「私が……ですか？」
「うん、君なら同じ異世界から来た仲間として、高木さんの相談とか乗ってあげられると思うからさ」
僕がそう言うと、アマミヤさんは少し考えた後で、分かりました。と返事をしてくれた。
それに、僕はありがとう。と答えると、アマミヤさんはニコッと笑って私も聖女様達の力になれて嬉しいんです。と答えてくれた。
しばらく歩いていると、目的地の教員室の目の前まで辿り着いたので それじゃあ、また。よろしくお願いします。
とアマミヤさんに伝えるとアマミヤさんは、はい、こちらこそよろしくお願いします。と言ってアマミヤさんと別れた。
教員室に入り、自分の机に腰掛けると、さっきまでは置かれていなかった書類が
置かれてあった。
その書類を見て、僕はため息を吐きながらも内容に目を通した。
その内容は要約すると、明日緊急の会議があるから必ず参加をしてください。
という事だった。
正直、面倒くさいと思うけれど、参加しない訳にはいかないし
仕方ない、めんどくさいけど書類を片付けて、会議に備えておこう
そんな事を考えながら、僕は黙々と書類を片付ける。
「これ……終わるのかな……」
そんな事を呟きながら、僕は書類としばらく格闘する事になるのだった。