若い聖女が現れたから私はお役御免!?それならこっちから婚約破棄します! ~今更私の力に気づいて戻ってきてと言ってももう遅いです~

桜乃

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熱にうなされ

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「か……ルカ……」
私の名前を呼ぶ声がし、私はゆっくりと目を開ける。
寝る前よりも熱が上がって来たのか、私の頭はぼんやりとしていた。
辺りを見渡せば、お父様とお兄様が私の側に来ていた。
そして、その隣には白衣を着た見た事の無い初老な男性が立っている。
きっと、彼がお医者様なのだろう……と私は察した。
そして、その男性の隣にはメイドさん達が数人立っていた。
お父様とお医者様は何かを話していて、お兄様はそれを見守る様に私の隣に座っていた。
まだ少しだけ熱でぼーっとしているせいか上手く頭が働かない。
「今お医者様が診てくれるからね、大丈夫だから」
「はい……」
私達がそんな会話をしていると、お医者様が私の方を見て、今から診察
しますので少し触りますね。と言い、私の胸に聴診器を当てたり 腕や足などを触診したりして行く。
その間も私はされるがままだった。
しばらくすると診察を終えたのか、お医者様は今度はお父様の方を向くといくつか質問をし始めていて、それを私はボーっと見つめていた。
そして、お父様との会話が終わったお医者様が、私の方を向き
疲労や環境の変化で風邪をこじらせたのでしょう、と私に告げる。
最近、色んな事があったから、体調を崩すのも無理は無い話だ。
それからはお医者様は、一週間程休めば体調も良くなると思います、と言い
お医者様は一週間分のお薬を私に処方して帰って行った。
「お兄様、お父様……ご迷惑をかけてしまってごめんなさい……」
「そんな事気にするな、ルカは風邪を治す事だけを考えなさい」
お医者様が帰った後、私はベッドの中で横になりながら二人に謝ると お父様は優しくそう返してくれた。
「あの……お母様には……」
「俺から伝えておくよ、だから今は安心して眠って」
「はい……」
「起きたら、薬も飲まないといけないしな」
そう言って、お兄様が私の頭をそっと撫でる。
その優しい手に安心したのと、熱のせいか睡魔に襲われた私はすぐに眠りについたのだった。
********
目が覚めた時、私の部屋には誰もいなかった。
起きたらこれを鳴らして、と言われていた鈴を鳴らすと、すぐにメイドさんが
部屋の中に入ってきて、お加減はいかがですか?と聞かれる。
私はそれに、まだ体が熱くてボーっとすると答えると、今お食事とお薬を
お持ちしますので、待っててください。と言い、部屋から出て行った。
暫くして、メイドさんがお食事と薬を持って私の部屋に来てくれたので 私はそれを食べさせてもらい、薬を飲むとまた横になる。
私が薬を飲んだことを確認したメイドさんは、失礼します。と言って
私の部屋から出て行った。
私はこんな風に寝てる暇は無いのに……そう思いながら、机の上に置かれていた書類の山を眺める。
「少しだけなら……」
フラフラの体を無理やり起こして、ベッドから出ようとした時。
部屋のドアが開き、お兄様が部屋に入って来た。
私は慌ててまたベッドに潜り込もうとしたが、その前にお兄様に見つかってしまい ベッドの側に椅子を置いてそこに座られる。
「やっぱり、来てみて正解だったな」
「お、お兄様……」
「ルカ……無理はするなって言ったよね?」
「はい…………でも!お薬も飲みましたし……」
「お医者様は、一週間休めと言っていたの、忘れたのか?」
お兄様は、怒ったようにそう言う。
私はお兄様に、ごめんなさい……と謝ると、さっきまでの怒った様な表情は
無くて、優しい顔で私を見てくれた。
そして、私の頭を撫でながら無理はしないで?と言うのだった。
それから、私は薬が効いて来たこともあり、うとうとし始める。
「お休みルカ……いい夢を」
寝る前に聞こえたお兄様の声は、とても暖かく優しかった。
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