若い聖女が現れたから私はお役御免!?それならこっちから婚約破棄します! ~今更私の力に気づいて戻ってきてと言ってももう遅いです~

桜乃

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お見舞いに来た人は

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風邪を引いてから、大体三日程経った。
お医者様から処方された薬が効いたのか、熱は大分下がっていたけれど
それでも、まだ熱があるようで私はベッドの上で安静に過ごしていた。
明日には、熱も下がって動けるようになるといいな、なんてそんな事を考えていたら、コンコンと扉をノックする音が聞こえた。
はい、と返事を返したかったけれど、まだ喉が痛くて小さく声を発する事しか出来なかった。
「…………ルカ、入るよ」
その声と一緒にルークが
部屋の中に入って来る。
そして、私の側まで来ると少し心配そうに私を見つめると大丈夫?と聞いてくるので私は小さく頷いて返事をするとルークは安心した様に笑ってくれた。
「ルカが風邪を引いたって聞いて……お見舞いに来たんだけど、寝てた?」
ルークがそう聞きながら、私のベッドサイドに置かれた椅子に腰掛ける。
私は首を左右に小さく振り、大丈夫……と小さく答えた。
すると、ルークはそっか……と言いながら私の手を握ってくれた。
「ルカが風邪を引いたのは……俺のせい……だよね」
「そんなこと……」
「あるよ、ルカが風邪を引いた日……あの日、俺と一緒に外で寝ちゃっただろ? それで、風邪を引かせちゃった……」
申し訳なさそうに言うルークに私は首を左右に小さく振って答える。
「お医者様は……疲れからだとおっしゃってました……なので、最近無理しすぎた私のせいです」
改めて考えると、無理して、体を壊して、皆に心配させて……
本当にバカだなぁ、と自分でも思う。
私が苦笑いしながらそう言えば、ルークは悲しそうな顔をして
ルカに無理をさせたのは、俺のせいだ。と言って、私を見つめる。
そんな事無いのに……と私が思っているとルークが私の頭を撫でてくれる。
「ルカの風邪が治ったら、お互いが無理しないって約束しよう」
ルークはそう言うと、小指を立てて私に向かって差し出してくる。
私もそれに応えるように、自分の小指を絡めて指切りをする。
そして、私が絡めた指を離すとルークが優しく微笑んでくれるから、私は少しだけ安心した。
「あまり長居するのも、ルカの体調に悪いと思うし……そろそろ帰るね」
ルークが立ち上がりながらそう言い、私は小さく頷く。
そして、それじゃあまた来るからと言って私に手を振ってくれるので私も手を振り返すと、ルークはニコッと笑ってくれた。
そして、ルークが部屋を出ると同時に、メイドさんが薬と食事を持って、私の部屋に入って来た。
ルークは、メイドさんに挨拶をし部屋から出て行った。
そして、私はメイドさんからご飯を受け取る。
まだ、あまり量は食べられないけれど、ご飯をちゃんと食べないと
薬も飲めないし、治るものも治らないと言われたので、頑張って食べる事にした。
********
ご飯も食べ、薬を飲んだ私は、またベッドで横になる。
薬が効いてくるまで、窓の外をボーっと眺めながら早く良くなって
沙羅の事や、あの資料の事を調べて、そして、少しでも皆の役に立てるように 頑張らないといけない。
「早く治さないと……」
そんな事を考えていれば、だんだんと瞼が重くなってきて私はゆっくりと目を閉じたのだった。
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