若い聖女が現れたから私はお役御免!?それならこっちから婚約破棄します! ~今更私の力に気づいて戻ってきてと言ってももう遅いです~

桜乃

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アイクの話

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「私は田舎の小さな村に生まれ、決して裕福とは言えませんが幸せに
暮らしていました。私には妹と弟がいて、それはそれは可愛く目に入れても痛くないと言うのはこの事か、と幼心ながら思いました」
そう言ってアイクは少し照れくさそうに笑った。
きっと、その子達はアイクにとってとても大切で、大好きな家族だったのだろう。
「そんなにかわいい子達なのね、いつか私も見てみたいわ」
私がそう言うと、彼は悲しそうな表情を浮かべ、それは難しいと思います。
と言って、力なく笑った。
「何故か………聞いてもいい?」
「…………平和だった村にある日、聖女と名乗る人物とその召使の様な人達が
現れました。その人達は、私達にこう言いました」
アイクはそこまで話すと、一度言葉を切った。
その表情は苦しそうで辛そうで……
けれど、アイクの言葉に少しの違和感を覚えた、聖女と名乗る人物が現れたと言うけれど、私はその村に訪れた事はまだ無かったし、私以外の聖女もその村を訪れたなんて話も聞いた事がない。
「ここに居る人間は全て無能な人間なの、だから消えて頂戴。
そう言って、聖女を名乗る者たちは村に魔物を放ち村は瞬く間に火の海になりました」
私は、その話を聞いて思わず言葉を失った。
恐らく、村に魔物を放った犯人はマリー達だろう。
自分達を聖女だと偽り、村を壊滅状態にした。
そして、村の人々に聖女への憎しみを植え付けた。
「その後村の方々は……どうなったんですか?」
ルークがそう問いかけると、彼は小さく首を横に振った。
そして、ゆっくりと口を開く。
「生き残ったのは片手で数えられる程しか居ませんでした……」
そう言って、彼は拳を握り締めた。
きっと彼の弟と妹もその時に……
そう思うと、胸が締め付けられる様に痛んだ。
「あの出来事からでしょうか、残った村人達は私を疫病神だ、お前のせいで村がこうなった……毎日毎日詰められ殴られ罵られ……こんな風になったのもすべて聖女のせいだ、アイツらさえいなければ……そう毎日思っていました」
「……おそらく村を襲ったのは魔女です、あの人達は聖女の名を騙って 村を壊滅させた」
私がそう言うとアイクは驚いた様に目を見開き、魔女が……?と信じられないと言いたそうな表情を浮かべた。
「はは…………私が長年恨んでいた相手は聖女でも無く魔女だったのか……」
彼はそう言って乾いた笑い声を漏らした。
そして力なく項垂れると、小さな声で呟いた。
それはとても小さな声だったけれど、しっかりと私の耳に届いた。
「…………敵を取って下さい」
彼のその言葉に、私は大きく頷いた。
そして彼にしっかりと視線向けて口を開く。
必ず、貴方の無念は晴らして見せると……そう心に誓いながら。
それから私達はアイクに別れを告げると、私達はある人物が収容されている部屋へと足を運ぶ。
「ルカ、まさかアイツらに会うつもりか?」
「えぇ、アイクの話を聞いたら……少し話を聞いてみたくて」
私がそう言うと、ルークは複雑そうな表情を浮かべた後、分かった。と 小さく頷いた。
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