321 / 321
お昼休みに
しおりを挟む
昼休み、お昼を食べ終わった私達は約束通りウィル先生の元へと向かった。
コンコンと、職員室の扉をノックし、失礼しますと声を掛けてから中に入る。
キョロキョロと部屋の中を見回して、先生の姿を探すけれど見当たらない。
「あら?皆揃ってどうしたの?誰か探してるのかしら?」
たまたま私達の近くを一人の先生が通りかかり声を掛けてくれた。
なので、私はその先生にウィル先生がどこにいるか聞くことにした。
「ウィル先生なら化学準備室じゃないかしら」
「ありがとうございます、行ってみます」
私達は先生にお礼を言って化学準備室へと向かう。
そして、部屋の前まで来た後ノックをすると、部屋の中から気の抜けた返事が返って来て私は失礼しますと言いながら扉を開けた。
すると、中にはコーヒーカップを片手に書類と睨めっこしているウィル先生の姿があった。
私達が部屋に入ってきたのに気付いた先生は、書類から目を離しこちらに目を向ける。
「いらっしゃい~今日は随分賑やかなメンツね」
ウィル先生は私達の顔を見渡しながらそう言った。
そして、好きな所に座っていいよと言い、私達の分のコーヒーを淹れてくれた。
私はありがとうございますと言ってから席に着き、皆もそれぞれ近くの席に座る。
「君達が来たって事は、僕に何か頼みがあって来たって事だよね?」
「はい。実は……生徒会の事についてなのですが……」
会長がそう切り出し、私達はウィル先生に生徒会の現状をすべて話した。
それを黙って聞いていたウィル先生は、少し考え込んだ後、こう口を開いた。
「それは大変だったね………」
「はい……それで私達で話し合って、ウィル先生なら何かアイディアをくれるんじゃないかと、そう思ってここへ来たんです」
会長の言葉にウィル先生はふむ……と顎に手を当て考え始めた。
そして少しして、ウィル先生はそうだ!と声を上げた。
私達はそんなウィル先生の声に驚きながらも、期待の眼差しを向ける。
そんな私達にウィル先生は笑顔でこう言った。
「二人も生徒会に入ったらいいんじゃない?」
「えっ!?その……話聞いてました?私とフィリスは生徒会に入れないって」
私がそう言うと、ウィル先生はキョトンとした顔をしながら言った。
それは勿論知っているよ?と言った。
この先生は本当に何を考えているのか分からない。
「まぁ、それは冗談だけど。僕もちゃんと考えておくよ、流石に生徒に仕事を押し付ける訳にはいかないからね」
そう言って笑うウィル先生を見て、私はため息を吐いた。
そんな私達のやり取りをフィリスはクスクスと笑いながら見ていたけれど、 会長は不思議そうに首を傾げていた。
やっぱりウィル先生は何処か変わっていると言うか、不思議な人だ。
でも、ウィル先生のおかげで少し元気が出た気がする。
ありがとうと先生にお礼を言うと、先生は笑いながらどういたしましてと言った。
「何かいい案を思いついたら君達に教えればいいかな?」
「はい、よろしくお願いします」
そうしてウィル先生との話を終えた私達は、化学準備室を後にした。
コンコンと、職員室の扉をノックし、失礼しますと声を掛けてから中に入る。
キョロキョロと部屋の中を見回して、先生の姿を探すけれど見当たらない。
「あら?皆揃ってどうしたの?誰か探してるのかしら?」
たまたま私達の近くを一人の先生が通りかかり声を掛けてくれた。
なので、私はその先生にウィル先生がどこにいるか聞くことにした。
「ウィル先生なら化学準備室じゃないかしら」
「ありがとうございます、行ってみます」
私達は先生にお礼を言って化学準備室へと向かう。
そして、部屋の前まで来た後ノックをすると、部屋の中から気の抜けた返事が返って来て私は失礼しますと言いながら扉を開けた。
すると、中にはコーヒーカップを片手に書類と睨めっこしているウィル先生の姿があった。
私達が部屋に入ってきたのに気付いた先生は、書類から目を離しこちらに目を向ける。
「いらっしゃい~今日は随分賑やかなメンツね」
ウィル先生は私達の顔を見渡しながらそう言った。
そして、好きな所に座っていいよと言い、私達の分のコーヒーを淹れてくれた。
私はありがとうございますと言ってから席に着き、皆もそれぞれ近くの席に座る。
「君達が来たって事は、僕に何か頼みがあって来たって事だよね?」
「はい。実は……生徒会の事についてなのですが……」
会長がそう切り出し、私達はウィル先生に生徒会の現状をすべて話した。
それを黙って聞いていたウィル先生は、少し考え込んだ後、こう口を開いた。
「それは大変だったね………」
「はい……それで私達で話し合って、ウィル先生なら何かアイディアをくれるんじゃないかと、そう思ってここへ来たんです」
会長の言葉にウィル先生はふむ……と顎に手を当て考え始めた。
そして少しして、ウィル先生はそうだ!と声を上げた。
私達はそんなウィル先生の声に驚きながらも、期待の眼差しを向ける。
そんな私達にウィル先生は笑顔でこう言った。
「二人も生徒会に入ったらいいんじゃない?」
「えっ!?その……話聞いてました?私とフィリスは生徒会に入れないって」
私がそう言うと、ウィル先生はキョトンとした顔をしながら言った。
それは勿論知っているよ?と言った。
この先生は本当に何を考えているのか分からない。
「まぁ、それは冗談だけど。僕もちゃんと考えておくよ、流石に生徒に仕事を押し付ける訳にはいかないからね」
そう言って笑うウィル先生を見て、私はため息を吐いた。
そんな私達のやり取りをフィリスはクスクスと笑いながら見ていたけれど、 会長は不思議そうに首を傾げていた。
やっぱりウィル先生は何処か変わっていると言うか、不思議な人だ。
でも、ウィル先生のおかげで少し元気が出た気がする。
ありがとうと先生にお礼を言うと、先生は笑いながらどういたしましてと言った。
「何かいい案を思いついたら君達に教えればいいかな?」
「はい、よろしくお願いします」
そうしてウィル先生との話を終えた私達は、化学準備室を後にした。
5
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(24件)
あなたにおすすめの小説
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
お前のような地味な女は不要だと婚約破棄されたので、持て余していた聖女の力で隣国のクールな皇子様を救ったら、ベタ惚れされました
夏見ナイ
恋愛
伯爵令嬢リリアーナは、強大すぎる聖女の力を隠し「地味で無能」と虐げられてきた。婚約者の第二王子からも疎まれ、ついに夜会で「お前のような地味な女は不要だ!」と衆人の前で婚約破棄を突きつけられる。
全てを失い、あてもなく国を出た彼女が森で出会ったのは、邪悪な呪いに蝕まれ死にかけていた一人の美しい男性。彼こそが隣国エルミート帝国が誇る「氷の皇子」アシュレイだった。
持て余していた聖女の力で彼を救ったリリアーナは、「お前の力がいる」と帝国へ迎えられる。クールで無愛想なはずの皇子様が、なぜか私にだけは不器用な優しさを見せてきて、次第にその愛は甘く重い執着へと変わっていき……?
これは、不要とされた令嬢が、最高の愛を見つけて世界で一番幸せになる物語。
だから聖女はいなくなった
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
「聖女ラティアーナよ。君との婚約を破棄することをここに宣言する」
レオンクル王国の王太子であるキンバリーが婚約破棄を告げた相手は聖女ラティアーナである。
彼女はその婚約破棄を黙って受け入れた。さらに彼女は、新たにキンバリーと婚約したアイニスに聖女の証である首飾りを手渡すと姿を消した。
だが、ラティアーナがいなくなってから彼女のありがたみに気づいたキンバリーだが、すでにその姿はどこにもない。
キンバリーの弟であるサディアスが、兄のためにもラティアーナを探し始める。だが、彼女を探していくうちに、なぜ彼女がキンバリーとの婚約破棄を受け入れ、聖女という地位を退いたのかの理由を知る――。
※7万字程度の中編です。
【完結】王子は聖女と結婚するらしい。私が聖女であることは一生知らないままで
雪野原よる
恋愛
「聖女と結婚するんだ」──私の婚約者だった王子は、そう言って私を追い払った。でも、その「聖女」、私のことなのだけど。
※王国は滅びます。
老聖女の政略結婚
那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。
六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。
しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。
相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。
子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。
穏やかな余生か、嵐の老後か――
四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
私を裁いたその口で、今さら赦しを乞うのですか?
榛乃
恋愛
「貴様には、王都からの追放を命ずる」
“偽物の聖女”と断じられ、神の声を騙った“魔女”として断罪されたリディア。
地位も居場所も、婚約者さえも奪われ、更には信じていた神にすら見放された彼女に、人々は罵声と憎悪を浴びせる。
終わりのない逃避の果て、彼女は廃墟同然と化した礼拝堂へ辿り着く。
そこにいたのは、嘗て病から自分を救ってくれた、主神・ルシエルだった。
けれど再会した彼は、リディアを冷たく突き放す。
「“本物の聖女”なら、神に無条件で溺愛されるとでも思っていたのか」
全てを失った聖女と、過去に傷を抱えた神。
すれ違い、衝突しながらも、やがて少しずつ心を通わせていく――
これは、哀しみの果てに辿り着いたふたりが、やさしい愛に救われるまでの物語。
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
聖女様は何て慈悲深くて、何て残酷な方だ…
こんな終生牢にいることになった者に『貴女の力を認め幸せにしてくれる方がきっと現れる』なんて、無理だろーー!!
なんて残酷な事を言うんだ!
精神を病み、夢の中で幸せな方と出会い、幸せな気分になり、眠るように息を引き取る。それしか無理だよー それは幸せなのか?
死に顔は幸せかもしれないが、普通の人は幸せとは感じないな!
罪人には慈悲だが、事情を知る者や被害者には呪いだなー
何て傍迷惑な慈愛の精神なんだ……
この聖女様、転移魔法とか規格外な魔法は使えるくせして、まさに光属性な魔法、クリーンやヒールは使えないんですか?
数日着替えないで仕事した、薄汚れたルークをキレイに浄化する【クリーン】とか、
仕事疲れなルークを癒す【ヒール】とか、
こんな、ど定番の魔法はないんですかー?
やっぱりムルで合ってたのね。
ついに二人目の精霊!?って期待してたから、そんな事情があったのですね。すみません
魔力の譲渡なら、魔女マリーにやった方法でいけるのでは?
学生時代のルカの成長中の聖女パワーで形成された子なのだから、力の回復も同じなのでは?