クラフト生活をしながら同級生にコスプレさせて異世界をスローライフします

春風

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第7話〜予期せぬ感情〜

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第7話~予期せぬ感情~




朝靄が立ち込める村の中心部。黒瀬は今日も村の発展に貢献するため、新たなプロジェクトに取り組んでいた。広場の一角に建てられた小規模な作業場で木材を加工する姿が見える。

「よし、これで大丈夫そうだな」

完成した木製ベンチを確認しながら呟く。最近は村人から
「生活を豊かにする道具を作ってほしい」
という依頼が増えている。今日の仕事は広場に設置する休憩スペースの制作だった。

一方、その頃白石彩音は村の集会所で別の仕事をしていた。

「白石さん、この服の刺繍お願いできるかしら?」
「はい!任せてください!」

明るい笑顔で応える彩音。彼女は今や村の女性たちにとって欠かせない存在になっていた。刺繍や裁縫の手伝いを通じて村の伝統工芸品を作る手助けをしているのだ。

「本当に器用ねぇ」
「いえいえ。それより……」
「あら?」
「あの……この模様なんですが……」

真剣に作業に取り組む彩音。最近ではただ手伝うだけでなく、自ら考案したデザインを提案することもある。意外な才能を発揮していた。

---

昼過ぎ—

「ちょっと休憩しましょうか」
「はい!」

お茶の準備が整うと自然と会話が始まる。話題は最近の村の噂話へ。

「そういえば聞いた?」
「何をですか?」
「黒瀬さんのことよ」

突然海斗の名前が出てきて驚く彩音。

「黒瀬くんが何か?」
「ええ。若い娘たちがあの人を狙ってるらしいわよ」
「え!?」

思わず声が上ずる。

「ほら、最近特にね。彼が作った道具を使ってる娘たちがよく話してるのよ」
「そ、そうですか……」
「で?あんた達って付き合ってるの?」

核心を突く質問に固まる彩音。

「いえ!違います!」
「そうなの?でも一緒に住んでるんでしょ?」
「それは……事情があって……」
「ふーん……」

ニヤニヤしながら見つめる女性たち。彼女たちの勘は鋭い。

「まあいいわ。でも気をつけなさいよ?あの人はモテるから」
「はい……」

曖昧な返事をするしかない彩音。胸の奥で何かが引っかかる感覚があった。

---

夕方になり作業を終えて帰路につく。空は茜色に染まり始めていた。

「今日も大変だったな」
「うん……」

何やら考え込む様子の彩音。いつもの元気がない。

「どうした?何かあったのか?」
「え?いや!なんでもない!」

慌てて取り繕う彼女。その様子を見て察する。

「昼間おばさんたちに何か言われた?」
「うっ……やっぱりわかる?」

苦笑する彩音。

「うん。ちょっとね」
「何を言われた?」
「それは……」

言い淀む彼女。

「無理に答えなくてもいい」

「ううん。大丈夫」

深呼吸をして続ける。

「黒瀬くんがモテてるって」
「……」
「それで……私たち付き合ってるのかって聞かれて……」
「それで?」
「否定したけど……なんだか複雑な気分で……」

俯く彩音。彼女の瞳には不安と困惑が浮かんでいた。

「なぜ?」
「わかんない……」
「白石さん」

歩みを止め彼女の目を見る。

「俺たちはパートナーだ。それ以上でも以下でもない」
「……うん」
「今はこの異世界で生きていくことが最優先だろ?」
「そうだよね……」

納得したように頷く彩音。しかし内心ではモヤモヤが残っているのが見て取れた。

「心配しなくても俺の一番は君だよ」
「え?」
「この世界で一番信頼できるのは白石さんだからな」
「……ありがとう」

ようやく笑顔が戻る。その瞬間彼女の心に温かいものが広がった。

---

小屋に戻り夕食の準備をする。普段通りの日常なのに今日は少し違う雰囲気だった。

「ねぇ黒瀬くん」
「なに?」
「もし……他の誰かと一緒に暮らすことになったらどうする?」
「え?」
「例えば村の娘さんとか……」

真剣な眼差しで問いかける彩音。その言葉には何らかの決意が込められているようだった。

「考えたこともなかったな」
「そっか……」
「でも多分変わらないと思う」
「変わらない?」
「ああ。俺にとっては白石さんが特別だから」

その言葉に彩音の鼓動が高鳴る。

「それってどういう意味?」
「そのままの意味だよ」

淡々と答える海斗。しかし彼女には分かる。これは単なる友人以上の感情だと。

「私も……黒瀬くんのこと特別に思ってる」

「ありがとう」
「だから……これからも一緒にいてほしい」

素直な気持ちを伝える彩音。二人の間に流れる空気が変わった。

「当然だよ」
「本当に?」
「ああ。何があっても守る」

力強く宣言する海斗。その言葉に彩音の頬が紅潮する。

「約束だよ?」
「約束する」

互いに見つめ合い笑顔を交わす。微妙な距離感ながらも確かな絆がそこにはあった。

---

夜—
外で星を眺めながら海斗が呟く。

「今日は星が綺麗だな」
「うん……本当に綺麗」

隣に座る彩音も同じように空を見上げる。その横顔はいつもより大人びて見えた。

「白石さん」
「なに?」
「これからもよろしく」
「こちらこそ!」

明るく返事をする彼女。しかし内心では複雑な感情が渦巻いていた。

(私……本当に黒瀬くんのこと好きなのかな?)

自問自答する彩音。まだ自分でも分からない感情に戸惑いながらも一つだけ確かなことがある。

(でもこの関係を壊したくない)

その想いが胸に広がっていく。そして二人のクラフトライフは新たな局面を迎えようとしていた。

 
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