クラフト生活をしながら同級生にコスプレさせて異世界をスローライフします

春風

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第20話~新酒場建設~

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第20話~新酒場建設~




朝の陽光が家の窓から差し込む中、海斗は書斎で設計図を引き終えたところだった。クラフト能力で木材の加工方法を考えながらペンを走らせている。

「こんな感じかな……」

満足げに設計図を見直す彼の耳に、玄関のベルが鳴る音が響いた。

「誰だ?」

海斗は立ち上がり、扉に向かう。
開けると、そこには村長トムソンと若い村人が立っていた。普段より少し格式張った服装をしている。

「おはようございます、黒瀬さん」

トムソンが丁寧に頭を下げる。

「こんな朝早くにどうしたんですか?」
「実は大事な相談があって来ました」

トムソンは深刻な表情で海斗を見つめる。

「相談……ですか?」

「はい。村の将来に関わる重大な案件です」

彼は一歩前に出て、低い声で続けた。

「新しく酒場を建てたいのです」


「酒場?」

海斗は驚いた表情を浮かべる。

「今まで私たちの村には簡易的な飲食店しかありませんでした」

トムソンは懐から古い羊皮紙を取り出す。

「これが計画書です」

広げられた羊皮紙には荒削りな建物の絵が描かれていた。海斗は詳しく見ていく。

「……規模が大きいですね」


「ええ。村の中心となる施設にしたいのです」

トムソンは真剣な眼差しで海斗を見つめる。

「この計画が成功すれば、村の活性化につながります」


「なるほど……」

海斗は考え込む。

「そこで黒瀬さんの力を借りたいのです」

トムソンは頭を下げる。

「正直に申し上げると、この規模の建物を短期間で完成させるには黒瀬さんの能力が必要不可欠です」


「……」

海斗は少し考える。クラフト能力を使えば確かに可能だが、自分が村のために動くことは新たな責任を負うことにもなる。

「報酬はいかほどで……」


「そんなものを望む立場ではありません」

トムソンは優しく微笑む。

「私たちが黒瀬さんに求めるのは友情と信頼だけです」

海斗は迷いながらも決断する。

「分かりました。お引き受けしましょう」


「本当ですか!?」

トムソンの顔が明るくなる。

「ただし条件があります」


「なんなりと」


「まず第一に……」

海斗は真剣な表情で続ける。

「僕だけでなくマフユと彩音にも協力してもらいます」


「マフユさんと彩音さん?」

トムソンは意外そうな顔をする。

「はい。あの二人も重要な戦力ですから」


「了解しました」

トムソンは頷く。

「第二に……」

「第三に……」

海斗はさらに細かい条件を提示していく。全てを聞き終えたトムソンは安堵の表情を浮かべた。

「全て承知しました。黒瀬さんの提案を採用します」


「ありがとうございます」

海斗は微笑む。

「では早速準備を始めましょう」


「よろしくお願いします」

トムソンは深々と頭を下げた。

---

リビングに戻った海斗は二人を呼び集める。

「二人とも聞いてくれ」


「何よ?」

彩音が眠そうな目を擦りながら現れる。マフユも松葉杖をついて歩いてきた。

「村長からの依頼だ」

海斗は簡潔に説明する。

「新しく酒場を建てるんだが……」


「えー!?」

彩音が飛び起きる。

「そんなの大仕事じゃん!」


「そうだな」

海斗は頷く。

「でも俺たちでやらないといけない」


「どうしてよ?」

彩音が不満そうに聞く。

「村のためだから」

海斗は真剣な表情で言う。

「それに……」

彼は設計図をテーブルに広げる。

「クラフト能力なら可能だ」


「へぇ~」

彩音が目を輝かせる。

「どんな酒場なの?」


「とりあえず基本的なレイアウトはこの通りだ」

海斗はペンで主要な部分を指し示す。

「一階は飲食スペースと厨房。二階は宿泊施設。屋根裏部屋も作れる」


「すごーい!」

彩音が拍手する。

「私にも何かできるかな?」


「当然だ」

海斗は笑顔で答える。

「彩音には内装デザインをお願いしたい」


「任せて!」

彩音が自信満々に胸を叩く。

「私は何をすればいい?」

マフユが静かに聞く。

「マフユには実務全般を担当してもらう」
「実務全般?」
「建材の選定や組み立て方法などだ」

海斗は具体的に説明する。

「クラフト能力には限界があるからな」


「了解した」

マフユは頷く。

「全力を尽くそう」


「よし!」

海斗は立ち上がる。

「早速今日から始めるぞ!」


「おー!」

彩音が元気よく返事をする。マフユも静かに頷いた。

---

翌日。村の中央広場に臨時の工事現場が設営された。既に木材が積み上げられている。

「おはようございます!」

海斗が到着すると、トムソンが駆け寄ってきた。

「朝早くから申し訳ありません」


「いえいえ」

海斗は笑顔で答える。

「それより作業員の方々は?」


「すでに集合しています」

トムソンが指差す方向を見ると、数人の村人が道具を持って待機していた。

「それでは早速始めましょう」

海斗は設計図を広げる。

「まずは基礎工事からだ」


「私に任せて!」

彩音が前に出る。

「デザインは私の得意分野だから!」


「いや……まずは基本構造からだ」

海斗が冷静に言う。

「彩音には後で内装を担当してもらう」


「えー?」

彩音が不満そうに唇を尖らせる。

「じゃあ何すればいいの?」


「資材運搬を手伝ってくれ」

海斗は優しく指示する。

「了解!」

彩音は渋々ながらも従う。一方マフユは既に作業を始めていた。

「基礎部分はどうする?」

マフユが質問する。

「土台は石と鉄骨で補強する」

海斗は即答する。

「壁はレンガと木材の混合だ」


「了解した」

マフユは素早く指示を理解する。

「では始めよう」

海斗の合図で作業がスタートした。彼は早速クラフト能力を発動し、石材の加工に取り掛かる。

「すごい……」

近くで見ていた村人たちが感嘆の声を上げる。海斗の手によって無造作な岩が瞬く間に整ったブロックへと変貌していく。

「これなら予定よりも早く完成するかもしれませんね」

トムソンが嬉しそうに言う。

「まだまだこれからです」

海斗は謙虚に答える。

「今日は基礎部分だけ完了させましょう」


「了解しました」

トムソンは頷いた。

---

作業が進む中、彩音は他の村人と協力して木材を運んでいた。

「重い~!」


「あと少しで休憩だから頑張って!」

女性村人が励ます。

「ほんと?」

彩音が明るい表情になる。

「じゃあ頑張る!」

彼女は意外と力持ちだった。ギャルの見た目とは裏腹に体力はあるらしい。

一方マフユは精密な作業に没頭していた。彼女の銀髪が風に揺れる姿は美しい彫刻のようだ。

「マフユさん!」

若い男性村人が声をかける。

「この部品どうすればいいですか?」


「右側の溝に合わせろ」

マフユは簡潔に指示する。

「分かりました!」

村人は敬意を込めて作業に戻る。白狼族の血を引く彼女の知識と技術は確かなものだった。

海斗は全体を見渡しながら細かい調整を行っていく。時に自分の能力で加工し、時に村人に指示を出す。

「このペースなら予定より早く完成しそうだな……」

彼は呟く。しかし油断はできない。何せ巨大な建造物の建設なのだ。

「海斗!」

彩音が駆け寄ってくる。

「ちょっと休憩しない?」


「そうだな」

海斗は頷く。

「みんなにも伝えよう」

彼はホイッスルを吹いて作業を中断させる。

「10分間の休憩です!」

村人たちが一斉に飲み物を手に取る。彩音はさっそく海斗の隣に座った。

「疲れた~」


「よく頑張ってるな」

海斗が褒める。

「だって大事な仕事だもん!」

彩音が真剣な表情で言う。

「村の人たちのためだし……」


「それもあるけど……」

海斗は小さく笑う。

「マフユと二人で決めたことがあるんだ」


「え?何よ?」

彩音が好奇心いっぱいの目で見る。

「秘密」

海斗は誤魔化す。

「教えてよー!」

彩音が肩を叩く。

「後でな」

海斗は優しく諭す。

「それより……」

彼は話題を変える。

「午後の作業で気をつけてほしいことがある」


「何?」


「高い所での作業が多いから安全第一で頼む」


「了解!」

彩音が敬礼のポーズを取る。

「それと……」

海斗は少し言い淀む。

「無理はするなよ」


「分かってるって!」

彩音は明るく笑う。

「私って意外と体力あるのよ?」


「知ってる」

海斗は微笑む。

「でも心配なんだ」


「もう!」

彩音が照れたように頬を染める。

「海斗って心配性よね」


「そうかもな」

海斗は認めつつも視線を逸らす。

「でも……」

彼は小声で言う。

「大切な人だから」


「え?」

彩音が聞き返す。しかし海斗は何も答えず立ち上がった。

「さぁ!休憩終わりだ!」

彼は大きく伸びをする。

「午後も頑張ろう!」


「あ!待ってよ!」

彩音が慌てて追いかける。マフユも無言で彼らの後ろについていった。

---

夕暮れ時。予定通り基礎工事が完了した。巨大な四角形の土台が村の中央に聳え立っている。

「今日の作業はここまでにしましょう」

トムソンが満足げに言う。

「皆さんお疲れ様でした」

村人たちが一斉に拍手する。海斗とマフユ、そして彩音も互いに労い合う。

「明日からは壁の建設だな」

海斗が言う。

「楽しみ!」

彩音が両手を挙げる。

「次は私のデザイン案が生きる番だもん!」


「期待してるぞ」

海斗は笑顔で答える。

「マフユも頼む」


「当然だ」

マフユは静かに頷く。

「三人で必ず完成させよう」


「おー!」

彩音が元気よく叫ぶ。その横でマフユも微かに口角を上げていた。

「それでは解散しましょう」

トムソンが告げる。

「皆さん本当にありがとうございました」

村人たちがぞろぞろと帰路につく中、海斗たちは三人並んで歩いていく。

「明日も早いから早めに寝よう」

海斗が言う。

「了解!」

彩音が元気よく返事する。

「でもその前に……」

彼女は悪戯っぽく笑う。

「さっきの話の続き聞かせてよ!」


「まだ気にしているのか?」

海斗が苦笑する。

「当たり前じゃん!」

彩音がぷりぷり怒る。

「教えてくれるまで眠れないよ!」


「分かった分かった」

海斗は観念したように言う。

「でもここじゃなくて家でな」


「やった!」

彩音が飛び跳ねる。

「早く帰ろう!」


「焦るな」

マフユが冷静に言う。

「まだ暗くなっていないのに走ると危険だ」


「はーい」

彩音が素直に従う。三人は再び歩き出した。

夕焼けに染まる村道を進みながら、海斗は思う。この奇妙な共同生活がいつまで続くのか分からないが、少なくとも今は楽しい時間だ。そして何より……大切な仲間がいることが心強かった。

「ねぇねぇ!」

彩音が急に立ち止まる。

「どうした?」

海斗が振り返る。

「明日も頑張ろうね!」

彼女は満面の笑みで言う。

「もちろん!」

海斗は力強く答える。

「必ず最高の酒場を作ろう!」


「おー!」

三人の声が夕暮れの村に響き渡った。それぞれの想いを胸に秘めながら……。
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