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僕の褐色むちむち執事/人外ショタ×褐色執事、筋肉受け
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しおりを挟む…あの一夜から数日後。
ノワールの屋敷に、王都から1人の騎士がやって来ていた。
「こちらになります」
「…お預かり致しました」
「では、これで」
屋敷の玄関でアレンに羊皮紙の手紙を渡すと、騎士は顔色ひとつ変えず足早に踵を返す。
アレンは深々と頭を下げ、騎士が見えなくなるとノワールの部屋に向かった。
「ノワール様。『賢王』より信書が届きました」
「ふーん。貸してみてよ」
アレンは手紙の封蝋を剥がし、中身を取り出してから手渡す。
それを受け取ったノワールは手紙の中身に目を通すと小さくため息をついた。
「はぁ…またかぁ」
「如何されました?」
「『対価』を払うから政敵を消してくれってさ。僕は便利屋じゃないのに」
可愛らしく頬を膨らませるノワール。
アレンも思う所があるのか、珍しく浮かない顔をしていた。
「人間ってほんとに貪欲だよねぇ。大した力も持ってないくせに、自尊心と欲望だけは有り余ってるんだから」
「…そう、ですね…」
「…やっぱり気になる?アレンも、僕に支払われた『対価』だもんね」
「…………」
ノワールの言葉に、アレンは小さく俯く。
「いつだっけ…『隣国との戦争に勝たせて欲しい』って言われたから、対価として金銀財宝と『身の回りの世話を任せられる人間』を要求したんだよね。前のは壊れかけてたから」
「…はい。そして私が、ノワール様の元へ連れてこられた」
この国の王は代々、人を超越した存在であるノワールと『対価』と引き換えに願いを叶える契約をしていた。
ノワールも『暇つぶし感覚』でその契約を続け、貴族としての肩書きを与えられたことで人間に紛れて生活している。
そして…アレンと出会ったのもその契約の一環だ。
今から25年前、隣国との戦争に勝利するためにノワールを頼った王に『身の回りの世話を任せられる人間』を対価として要求した。
『前のはすぐに壊れちゃったから今度は丈夫な子がいいなぁ。あと、毛色の違う子とかだと嬉しいかも』
その要求に応えるために連れてこられたのが、当時奴隷として販売されていたアレンだった。
「あのころの私はまだ幼く…ご迷惑をかけるばかりでしたね」
「でも楽しかったよ?もちろん今も。…少なくとも、この国の人間を皆殺しにするよりはね」
無邪気に微笑み、ノワールはアレンの手を握る。
「でもアレンも人間だからいつかは死んじゃうんだよね…」
「その時にはまた新しい者がノワール様にお仕えするでしょう」
「うん、そうなんだろうけど…なんか、モヤモヤする」
それはノワールが初めて抱いた『寂しい』という感情だったが、本人はまだよく理解出来ていなかった。
「…とにかく、この依頼は受けてあげよう。ちょうど僕も欲しいものがあったし」
「欲しいもの、ですか?資金ならば王都から潤沢に贈られていますが…」
「この街じゃ買えないんだ。…王都の職人に頼むんだし」
ニヤリと微笑むと、ノワールは自らペンを手にする。
そして真新しい便箋に書いた内容は…
『その依頼承る。対価として、うちの執事の夜伽用衣装数着を所望。詳細はまた後日』
「えへへ」
にこにこと楽しそうに笑い手紙を折りたたむと、ノワールはアレンに見せないままそれを封筒に入れた。
「これ、封蝋してから出しておいて」
「かしこまりました」
「あと来週ぐらいに王都に行くから。覚えておいてね♡」
「はい。ノワール様の御心のままに」
アレンは手紙を受け取ると、深々と頭を下げた。
そして言われた通り手紙に封蝋を施すと静かに部屋を後にする。
その背中を見送り、ノワールはぺろりと舌なめずりをした。
「衣装が出来たらアレンをめいっぱい可愛がってあげよう♡褐色雄っぱいもたっぷり調教して…今度はピアスも付けようかな」
天使のような微笑みで卑猥な欲望を呟き、そっと目を細める。
(でも…今までの人間と同じ。アレンもいつかはいなくなる。そうしたら…その時には…)
『この国、戯れに滅ぼしてみようかな』
そんな無邪気な言葉は誰の耳にも届かず、虚空に溶けて消えるのであった。
…………………………………………………………
褐色筋肉雄っぱいは至高。
以下簡単な人物設定。
ノワール 外見10歳程度。
白い肌に銀の髪を持つ美少年。
その正体は強大な力を持つ人外で、ある者には『神』と、またある者には『悪魔』と呼ばれてきた。
また歴代の王と契約関係にあり、現在の貴族としての肩書きも契約の対価として貰ったもの。
少年の姿は本来の姿ではないらしいが真の姿は誰にもわからない。
アレン 32歳。
25年前に先代王とノワールの契約で対価として連れてこられた元奴隷。
遠方の国で生まれた褐色肌はこの国では珍しいため、街に出るとあまりいい顔をされない。
元は可愛らしい少年だったが家事全般を1人でこなすうちに筋肉ムチムチになってしまった。
王様 現在8代目
魔法の国を治める王様。
『賢王』とは呼ばれているが、実はその名声は代々契約しているノワールの功績。
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