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第2章: こぼれたミルクを嘆く
2-6. ちょっとした謀略を添えて
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「4人でいいの?」
「ん? 何が?」
びっくりするほどふんわりとした声が返ってきて、バラエティ番組のひな壇で話す芸人さんが崩れるような動きになってしまった。
「いっしょに遊ぶって言ってもさ、4人でいいのかな、って思って。ふたりきりの方が良くない?」
「あー、……うん。まぁ、ほら、最初はね。やっぱり、ちょっと」
――最初?
「ま・さ・か、とは思うんだけど、……ナミたち、まだデートしてないわけじゃないよね?」
もちろん『そうじゃありませんように』と願いながら訊いたつもりではいたけれど、アタマの中ではナミからの答えはもうしっかりとシミュレーションできてしまっていた。
「……まだ」
――やっぱりか。
小さくも明らかにナミにはわかるようにため息をつく。残念ながら、ナミからの答えはアタシのシミュレーション通りになってしまった。
「そんなことだろうとは思ったけどもさ」
「だってフウマくん、いつも部活だし」
「……まぁ、たしかにアイツはそうだけど」
ナミがそういうのもわかる。たしかに事前の予想は的中させてしまったアタシだったけれど、それを含めてもちょっと不用意な発言だったとは思う。
アタシたちとは違ってフウマはスポーツ特待の、さらに上位層で入学しているだけに、部活での待遇――という言い方が正しいのかはよくわからないけれど――が違う。クラス分けも一年生のときは全課程ごちゃ混ぜで組まれるけれど、二年生になれば少なくともフウマは完全にアタシたちとは別のカリキュラムになることが決まっていた。
そういうこともあって、今まで以上にフウマとは距離が遠くなるかもしれない未来が見え隠れしているわけだけれど。
「……もしかして、ちょっと緊張しそうだから助けて、とかいう話だったりする?」
「あはは……、セナはやっぱりスゴいなぁ」
これも図星だったらしい。ナミはロングヘアを小さく揺らしながら、苦笑いを浮かべた。
別に、今更そこまで緊張しなくても――なんてことは言わない。言うはずが無い。大好きな男の子――ってそれがフウマなのがイマイチすっと納得できないけれど――とのファーストデート。いくら見知った相手でも、それはきっと緊張するモノだ。
そういうことなら、協力してあげてもいいかな、なんて思う。たしかに緊張はしているのだろうけど、ナミの言葉を信じるのなら、このふたりは告白の前と告白の後でそこまで大きく関係が変わったわけでも無さそうだ。深く考えすぎていても仕方が無い。結局はどんなことだって、なるようにしかならないのだから。
「……うん、わかった。そういうことなら協力するよ」
「ほんと?」
「しれっとふたりきりにもしてあげるから、覚悟してなさいな?」
「あはは……」
ナミ、再度の苦笑いだった。
「でも、よかった。やっぱりセナに言うのがいちばんだなー」
「……そっか」
全幅の信頼をアタシに向けてくれるのは嬉しいけれど、わずかに罪悪感みたいなモノが湧き上がってきてしまう。
「それに、アストくんとセナがイイ感じってことらしいし、ダブルデートみたいな感じにもなってイイかな、なんて思ったんだけど」
「えっ!?」
「ちょっ。セナ、声……っ」
「あ、……すみません」
思わず大きい声を出してしまって、即座に身体を小さくする。できるならば座席の影に隠れたかった。
「……ちょ、ちょっと。何よそれ」
「私もアストくんとセナがふたりきりになれるようにするからね」
「待って。ちょっと話が違う、ってかアタシ今そんな話してないっしょ!」
アタシの文句は風に飛ばされてしまったように、ナミの耳には入らない。さっきまでの緊張していた感は何だったのかというくらいに、アタシを完全にイジりに来ているじゃないの。これでは元々どっちが相談に来ていたのかが解らなくなってしまったじゃないの。
本当にこれで良かったのかと自問自答するアタシや、すでにゴールデンウイークのことを想像しているナミと、アタシの煩いリアクションをチラチラと見るその他の生徒たちを乗せたバスは、もうすぐスクールバスの終点である啓林台のバスターミナルに着くところだった。
「ん? 何が?」
びっくりするほどふんわりとした声が返ってきて、バラエティ番組のひな壇で話す芸人さんが崩れるような動きになってしまった。
「いっしょに遊ぶって言ってもさ、4人でいいのかな、って思って。ふたりきりの方が良くない?」
「あー、……うん。まぁ、ほら、最初はね。やっぱり、ちょっと」
――最初?
「ま・さ・か、とは思うんだけど、……ナミたち、まだデートしてないわけじゃないよね?」
もちろん『そうじゃありませんように』と願いながら訊いたつもりではいたけれど、アタマの中ではナミからの答えはもうしっかりとシミュレーションできてしまっていた。
「……まだ」
――やっぱりか。
小さくも明らかにナミにはわかるようにため息をつく。残念ながら、ナミからの答えはアタシのシミュレーション通りになってしまった。
「そんなことだろうとは思ったけどもさ」
「だってフウマくん、いつも部活だし」
「……まぁ、たしかにアイツはそうだけど」
ナミがそういうのもわかる。たしかに事前の予想は的中させてしまったアタシだったけれど、それを含めてもちょっと不用意な発言だったとは思う。
アタシたちとは違ってフウマはスポーツ特待の、さらに上位層で入学しているだけに、部活での待遇――という言い方が正しいのかはよくわからないけれど――が違う。クラス分けも一年生のときは全課程ごちゃ混ぜで組まれるけれど、二年生になれば少なくともフウマは完全にアタシたちとは別のカリキュラムになることが決まっていた。
そういうこともあって、今まで以上にフウマとは距離が遠くなるかもしれない未来が見え隠れしているわけだけれど。
「……もしかして、ちょっと緊張しそうだから助けて、とかいう話だったりする?」
「あはは……、セナはやっぱりスゴいなぁ」
これも図星だったらしい。ナミはロングヘアを小さく揺らしながら、苦笑いを浮かべた。
別に、今更そこまで緊張しなくても――なんてことは言わない。言うはずが無い。大好きな男の子――ってそれがフウマなのがイマイチすっと納得できないけれど――とのファーストデート。いくら見知った相手でも、それはきっと緊張するモノだ。
そういうことなら、協力してあげてもいいかな、なんて思う。たしかに緊張はしているのだろうけど、ナミの言葉を信じるのなら、このふたりは告白の前と告白の後でそこまで大きく関係が変わったわけでも無さそうだ。深く考えすぎていても仕方が無い。結局はどんなことだって、なるようにしかならないのだから。
「……うん、わかった。そういうことなら協力するよ」
「ほんと?」
「しれっとふたりきりにもしてあげるから、覚悟してなさいな?」
「あはは……」
ナミ、再度の苦笑いだった。
「でも、よかった。やっぱりセナに言うのがいちばんだなー」
「……そっか」
全幅の信頼をアタシに向けてくれるのは嬉しいけれど、わずかに罪悪感みたいなモノが湧き上がってきてしまう。
「それに、アストくんとセナがイイ感じってことらしいし、ダブルデートみたいな感じにもなってイイかな、なんて思ったんだけど」
「えっ!?」
「ちょっ。セナ、声……っ」
「あ、……すみません」
思わず大きい声を出してしまって、即座に身体を小さくする。できるならば座席の影に隠れたかった。
「……ちょ、ちょっと。何よそれ」
「私もアストくんとセナがふたりきりになれるようにするからね」
「待って。ちょっと話が違う、ってかアタシ今そんな話してないっしょ!」
アタシの文句は風に飛ばされてしまったように、ナミの耳には入らない。さっきまでの緊張していた感は何だったのかというくらいに、アタシを完全にイジりに来ているじゃないの。これでは元々どっちが相談に来ていたのかが解らなくなってしまったじゃないの。
本当にこれで良かったのかと自問自答するアタシや、すでにゴールデンウイークのことを想像しているナミと、アタシの煩いリアクションをチラチラと見るその他の生徒たちを乗せたバスは、もうすぐスクールバスの終点である啓林台のバスターミナルに着くところだった。
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