ヒロインの性格が死ぬほど悪い乙女ゲームに転生したけど、私は当て馬悪役令嬢で幼馴染に振られるはずの人間だった。

海瀬

文字の大きさ
15 / 18

13.

しおりを挟む
七星レイくん。私のクラスメイトだが、あまり会話したことがない男の子だ。まぁ、私が男の子と話そうとしたらシオンが殺そうとするから。……相手を。



「どうかしたの?」



「一人でいるから話しかけようと思って。いつもは邪魔がいるから。」



邪魔ってまさかシオンのこと?  強いひとだなあ、七星くんは。私だったらそんなこと怖くて言えないよ。



「私と話したかったの?  あ、ごめんね質問ばっかりで。」



「大丈夫。俺の事知って欲しいし。実は俺、君のことが好きなんだ。」



「へ……?」



思いもよらない言葉に変な声が出てしまった。すき……?  私のことを?  今まで話したことないのにどうして急に……。



「返事はいいよ。一応入江さんには婚約者がいるしね。じゃ、またね。これからは気にしないで話しかけるようにするよ。」



どうしよう……。断るしかないんだけど、それよりも……。



「さっきの何?」



「ひっ……」



断る方法よりもシオンに話す言い訳を考える方が断然難しい。


✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼


「へぇ。リオは七星くんを選ぶの?」



「そんなわけ……!  ……私が好きなのはシオンなのに。」



「ごめん、嫉妬しちゃった。だから、泣きそうな顔しないで?」



放課後私はシオンに生徒会室に連れていかれた。シオンに信じてもらえなくて泣きそうだったがシオンに抱きしめられて涙が引っ込んだ。シオンはずるいよ……。



「シオン、好き。」



「知ってるよ。でも、僕の方が好きの気持ちが大きいと思う。」



そんなことないよ、絶対私の方が大きいよ。私ってば授業中でもシオンのこと考えてる。それに、よくシオンの事見てるからぼーっとしてるって、注意されるんだよ。初めはシオンと距離を置いた方がいいとか考えたりもしたけど今はそんな未来考えられない。私にはシオンが必要なんだよ。



「シオン……」



私は上目遣いでシオンを見る。



「もう、可愛いなぁ。んっ」



私がこの顔をする時はシオンとキスをしたい時。シオンはそれをよく知っている。シオンは毎日、「可愛い」「好き」と伝えてくれる。心配することなんてひとつもないのにやっぱりヒロインの存在は無視できない。



「シオン、私、続き……してみたい。」



前シオンと少しだけえっちなことをした。初めはディープキス。苦しくて大変だったけど私頑張った、本当に。その後は胸を揉まれた。ママの遺伝かもうCカップもあるんだよね。前世では永遠のAカップだったのに。



「っ、ダメだよ。」



「ご、ごめんなさいっ! こんな変態な婚約者嫌だよね……。」



私ってばなんでこんなこと……。昔は小さい子に手を出すのは犯罪だって思ってたのに今ではすっかり精神年齢が小学生だ。えっちなことしたいって思ってる時点でませてるよね。



「違う。」



シオンはもう一度私をぎゅっと抱きしめる。



「ここでは出来ないってこと。僕の家行こっか?」



えっ……?


✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼


「お、お邪魔します……。」



久しぶりのシオンの部屋だ。シオンは私の家によく来るけど私が行くことはほとんどない。



「今日は両親いないからね。兄さんも今日はリクくんと勉強するって図書館に行ったから。」



そういえばお兄ちゃん今日は帰るの遅くなるって言ってたかも。



……って私たち2人っきり!?



「今更警戒しても遅いよ……?」



シオンのベッドに腰掛けていると急にシオンに押し倒された。



「きゃ、」



シオンは私にキスをしたかと思うと口内に舌を入れてきた。



「んっ、ふぅっ……し、シオンっ!」



「ん?」



そんな色気のある顔で見ないで下さいっ!!



「私この後何するか知らないよ……?」



セックスとかえっちとか言葉は知っている。でも、私はやり方を知らない。もちろん保健の授業で学んだことは覚えているけど実践なんてないから知らないのだ。前世では経験もなかったし……。彼氏いない歴=年齢だし……。



「最後まではしないよ。リオのお父さんと約束したから。でも、触るのはいいよね?」



数分後、私は丸裸にされこんなことを言ったのは間違いだったかもしれないと後悔する。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました

美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

【完結】転生したら悪役継母でした

入魚ひえん@発売中◆巻き戻り冤罪令嬢◆
恋愛
聖女を優先する夫に避けられていたアルージュ。 その夜、夫が初めて寝室にやってきて命じたのは「聖女の隠し子を匿え」という理不尽なものだった。 しかも隠し子は、夫と同じ髪の色。 絶望するアルージュはよろめいて鏡にぶつかり、前世に読んだウェブ小説の悪妻に転生していることを思い出す。 記憶を取り戻すと、七年間も苦しんだ夫への愛は綺麗さっぱり消えた。 夫に奪われていたもの、不正の事実を着々と精算していく。 ◆愛されない悪妻が前世を思い出して転身したら、可愛い継子や最強の旦那様ができて、転生前の知識でスイーツやグルメ、家電を再現していく、異世界転生ファンタジー!◆ *旧題:転生したら悪妻でした

【完結】モブのメイドが腹黒公爵様に捕まりました

ベル
恋愛
皆さまお久しぶりです。メイドAです。 名前をつけられもしなかった私が主人公になるなんて誰が思ったでしょうか。 ええ。私は今非常に困惑しております。 私はザーグ公爵家に仕えるメイド。そして奥様のソフィア様のもと、楽しく時に生温かい微笑みを浮かべながら日々仕事に励んでおり、平和な生活を送らせていただいておりました。 ...あの腹黒が現れるまでは。 『無口な旦那様は妻が可愛くて仕方ない』のサイドストーリーです。 個人的に好きだった二人を今回は主役にしてみました。

混血の私が純血主義の竜人王子の番なわけない

三国つかさ
恋愛
竜人たちが通う学園で、竜人の王子であるレクスをひと目見た瞬間から恋に落ちてしまった混血の少女エステル。好き過ぎて狂ってしまいそうだけど、分不相応なので必死に隠すことにした。一方のレクスは涼しい顔をしているが、純血なので実は番に対する感情は混血のエステルより何倍も深いのだった。

冗談のつもりでいたら本気だったらしい

下菊みこと
恋愛
やばいタイプのヤンデレに捕まってしまったお話。 めちゃくちゃご都合主義のSS。 小説家になろう様でも投稿しています。

処理中です...