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セシェ島編
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セリオスの口もとには愉快そうな笑みが浮かぶ。なぜ、そのような表情をするのかよくわからないが、怒っていないのはわかる。
「まあ、仕方ない。セシェ島は神に捨てられた島。古来から神が住まないと言われている。本来であれば、神の前で誓いを交わすはずが、それがないのだから、戸惑うのは無理はない」
「私は……、あなた様を夫として支えることを神に誓います。神はどこにいても胸の中にいらっしゃるのだと、お父さまは教えてくれました」
「では、俺も誓おう。おまえをレオナ・ダムハートとして、生涯守り抜くと」
セリオスは力強くそう言い放つと、ナイトドレスを拾いあげ、寝椅子へ投げるように放った。
「今夜、あれはいらないだろう」
「なぜですか……?」
「結婚の儀式は、ふたりで身を清め、夜をともにすることで完了するものだからだ」
「……そうなのですね」
しかし、ナイトドレスがいらない理由は、レオナにはさっぱりわからなかった。
「本当に何も知らないのだな。公爵家のメイドは何を教えているのだ」
セリオスはひどく楽しげだ。何が楽しいのかもレオナにはわからず、監獄ではよほど楽しみがないのだろうと思わせる。
「公爵家に罪はありません。結婚する予定がなくて、教える必要がなかったのだと思います」
「ロデリックは結婚させる気がなかったのか」
セリオスは少々不満げだ。
「あの……、そういうわけではないのです。近々、結婚相手を探してくださるとおっしゃってましたので」
「では、その相手は俺ではないな。口では祝福しながら、腹の底はあの男であってもわからないものだな」
ベネット公爵の忠誠心を疑われた気がして、レオナはあわてる。
「お父さまはお相手がセリオス王子であれば、迷うことはないと常々おっしゃってました。幽閉されたと聞き、本当に心を痛めていたのです」
そう言うと、セリオスは「ほう」と息をつき、満足したようにうっすら笑みを浮かべると、手を伸ばしてくる。
「その言葉、信じてみようか」
「何をなさって……」
セリオスの指が背中をさぐり、一本のひもを引っ張る。それはするりと簡単にほどけ、肩をなでられるとぱさりと足もとにドレスが落ちた。その一連の動作は優しい仕草だったのに、セリオスの目の前へ何も身につけていない身体がさらされると、心臓は跳ね上がった。
あわてて胸もとを隠すレオナの手首をつかみ、セリオスはゆっくりとまばたきをし、目を細めた。
「おまえはこの世でもっとも美しい娘であろう」
そんなはずがないことは、誰よりも知っている。身体に力が入ると、セリオスは耳もとに唇を近づけてくる。
「おまえが緊張するのも無理はない。だが、俺の腕の中でなら心配はいらない。何があっても、おまえを守ると決めたのだから」
「はい……」
どうしてそこまで言ってくれるのかわからない。しかし、力強いセリオスの言葉に、レオナは戸惑いながらもうなずいた。
セリオスはレオナの手を引いた。導かれて湯に入る。温かい湯が肌を包み込むと、ひどく身体が冷えていたことに気づいた。セリオスの胸板に背中を預けると、心臓の鼓動がそのまま伝わってきて、ますます身体に熱が帯びていった。
「おまえの髪は、濡れると銀色のように光るのだな」
湯に浮かぶレオナの長い髪をつかみ取り、セリオスはそうつぶやく。薄汚いねずみの色だと思っていたが、セリオスの目にはそのように映るのだと驚いた。
「何より、すべてが美しい」
セリオスの大きな手のひらが胸もとにすべり込み、何が起きるのだろうと、レオナは息をつめて手の動きに集中した。
するすると肌をなでていた手のひらが、不意にふくらみを包み込む。はじめは右側だけだったが、レオナがじっとしていると、左側も同じようにされた。両方のふくらみをもみしだくように動いていた指が、途端に先端をもてあそぶ。押したりつまんだりと、何をしているのだろうか。初めてのことに戸惑うばかりだが、柔らかかった先端が硬くなっていくのに気づいたときには、彼の親指がそれをくるくると回した。
これが、儀式なのだろうか。そうだとしたら、あまりにも恥ずかしい。夫婦になるためには、こんな羞恥も乗り越えなければならないのだろうか。
「感じているな……」
セリオスが甘いようなため息を吐き、首筋に唇をつけてくる。そうしながら、彼の指先はお腹の上をすべり、下腹部に入ってきた。
「あ……っ」
レオナは太ももを閉じた。いくらなんでも、誰にも見せたことのない場所に深く入り込む指を受け入れるなんてできなかった。
「怖がるな」
「でも……」
と言いかけたが、すぐにそれはため息に変わった。セリオスの足によって太ももを押し広げられ、彼の指先が股の間をするすると上下する。
なんとも言えない感情が押し寄せてくる。それが快楽であると知るのはもっと先のことで、レオナはただされるがままになっていた。
いつまでそうしていたのか、レオナはセリオスの胸にぐったりと身体を預けた。のぼせてしまいそうだった。すると、彼はレオナを抱き寄せたまま立ち上がった。
「まあ、仕方ない。セシェ島は神に捨てられた島。古来から神が住まないと言われている。本来であれば、神の前で誓いを交わすはずが、それがないのだから、戸惑うのは無理はない」
「私は……、あなた様を夫として支えることを神に誓います。神はどこにいても胸の中にいらっしゃるのだと、お父さまは教えてくれました」
「では、俺も誓おう。おまえをレオナ・ダムハートとして、生涯守り抜くと」
セリオスは力強くそう言い放つと、ナイトドレスを拾いあげ、寝椅子へ投げるように放った。
「今夜、あれはいらないだろう」
「なぜですか……?」
「結婚の儀式は、ふたりで身を清め、夜をともにすることで完了するものだからだ」
「……そうなのですね」
しかし、ナイトドレスがいらない理由は、レオナにはさっぱりわからなかった。
「本当に何も知らないのだな。公爵家のメイドは何を教えているのだ」
セリオスはひどく楽しげだ。何が楽しいのかもレオナにはわからず、監獄ではよほど楽しみがないのだろうと思わせる。
「公爵家に罪はありません。結婚する予定がなくて、教える必要がなかったのだと思います」
「ロデリックは結婚させる気がなかったのか」
セリオスは少々不満げだ。
「あの……、そういうわけではないのです。近々、結婚相手を探してくださるとおっしゃってましたので」
「では、その相手は俺ではないな。口では祝福しながら、腹の底はあの男であってもわからないものだな」
ベネット公爵の忠誠心を疑われた気がして、レオナはあわてる。
「お父さまはお相手がセリオス王子であれば、迷うことはないと常々おっしゃってました。幽閉されたと聞き、本当に心を痛めていたのです」
そう言うと、セリオスは「ほう」と息をつき、満足したようにうっすら笑みを浮かべると、手を伸ばしてくる。
「その言葉、信じてみようか」
「何をなさって……」
セリオスの指が背中をさぐり、一本のひもを引っ張る。それはするりと簡単にほどけ、肩をなでられるとぱさりと足もとにドレスが落ちた。その一連の動作は優しい仕草だったのに、セリオスの目の前へ何も身につけていない身体がさらされると、心臓は跳ね上がった。
あわてて胸もとを隠すレオナの手首をつかみ、セリオスはゆっくりとまばたきをし、目を細めた。
「おまえはこの世でもっとも美しい娘であろう」
そんなはずがないことは、誰よりも知っている。身体に力が入ると、セリオスは耳もとに唇を近づけてくる。
「おまえが緊張するのも無理はない。だが、俺の腕の中でなら心配はいらない。何があっても、おまえを守ると決めたのだから」
「はい……」
どうしてそこまで言ってくれるのかわからない。しかし、力強いセリオスの言葉に、レオナは戸惑いながらもうなずいた。
セリオスはレオナの手を引いた。導かれて湯に入る。温かい湯が肌を包み込むと、ひどく身体が冷えていたことに気づいた。セリオスの胸板に背中を預けると、心臓の鼓動がそのまま伝わってきて、ますます身体に熱が帯びていった。
「おまえの髪は、濡れると銀色のように光るのだな」
湯に浮かぶレオナの長い髪をつかみ取り、セリオスはそうつぶやく。薄汚いねずみの色だと思っていたが、セリオスの目にはそのように映るのだと驚いた。
「何より、すべてが美しい」
セリオスの大きな手のひらが胸もとにすべり込み、何が起きるのだろうと、レオナは息をつめて手の動きに集中した。
するすると肌をなでていた手のひらが、不意にふくらみを包み込む。はじめは右側だけだったが、レオナがじっとしていると、左側も同じようにされた。両方のふくらみをもみしだくように動いていた指が、途端に先端をもてあそぶ。押したりつまんだりと、何をしているのだろうか。初めてのことに戸惑うばかりだが、柔らかかった先端が硬くなっていくのに気づいたときには、彼の親指がそれをくるくると回した。
これが、儀式なのだろうか。そうだとしたら、あまりにも恥ずかしい。夫婦になるためには、こんな羞恥も乗り越えなければならないのだろうか。
「感じているな……」
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「あ……っ」
レオナは太ももを閉じた。いくらなんでも、誰にも見せたことのない場所に深く入り込む指を受け入れるなんてできなかった。
「怖がるな」
「でも……」
と言いかけたが、すぐにそれはため息に変わった。セリオスの足によって太ももを押し広げられ、彼の指先が股の間をするすると上下する。
なんとも言えない感情が押し寄せてくる。それが快楽であると知るのはもっと先のことで、レオナはただされるがままになっていた。
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