25 / 99
旅路編
3
しおりを挟む
「ごめんなさい。ガルドさんの姿が見えて、つい……」
「いえ、怒っているわけではないです。団長の機嫌は少々悪いんですけどね」
ベリウスは苦笑いする。セリオスは勝手にいなくなったことを怒っているのだろう。
「……あの、ベリウス卿、お尋ねしたいことがあるのですが」
「なんです?」
「なぜ、レオナ様と?」
おずおずと聞くと、ベリウスは一瞬、戸惑ったような表情を見せた。レオナが呼び方を気にしないとでも思っていたのだろうか。
「あー、それはですね。奥様とお呼びするのは、公にはいろいろと不都合があるらしく、旅の間はレオナ様とお呼びすることになったんですよ」
「それは、セリオス様が決めたのですか?」
レオナがおそるおそる問いかけると、ベリウスは困ったような顔を見せたが、すぐにいつもの明るい調子で言う。
「ご心配には及びませんよっ。団長なりにお考えがあるのでしょう。ただ、何があろうとも、フォルフェス騎士団がレオナ様を団長の奥様として認めていることに変わりはありませんから」
その言葉には勇気づけられ、救われたような気がした。けれど、心の底では、不安が消えてない自分がいることに気づいていた。
セリオスとの結婚は国民に知らされていない。ダリウスによれば、枢密院が反対しているからだ。しかし、セリオスまでもが公になるのを不都合に感じているなら、枢密院を敵に回してまで繋ぎ止めるほど、彼にとってレオナは価値のある存在ではないのかもしれない。ならば、離縁もありえるだろう。それも秘密裏に。何事もなかったようにセリオスが王宮で平然と暮らしていけるように。
今なら、旅へついていかない選択は残されている。しかし、王宮にいるベネット公爵のもとへ行っても、セリオスから離れてはいけないと諭されるだろう。ひとりでクレストル領にいる養母のもとへ帰ったら、素直に受け入れてもらえるだろうか……。そんな不安が胸をよぎる。公爵である父が受けた屈辱を、母が仕方ないことだと受け止めているとは思えない。
レオナは痛む胸を押さえた。養父母のもとへ行っても、セリオスのそばにいても……、どこにいても、自分を受け入れてくれる場所などないと思えた。ダリウスの言うように、バルターの提案を拒んだとき、レオナは安寧も栄華も、そして自分の居場所さえも手放してしまったのだ。そう思わずにはいられなかった。
セリオスはイリスのそばに立ち、いらだったように腕を組んでいた。ずいぶん探したのだろうか。待たせたことに怒っているように見える。レオナはベリウスとともに、あわてて駆け寄る。
じっとこちらを見下ろすセリオスの黒髪が、潮風に吹かれて光を浴び、藍色のように輝いてみえる。このような髪色を持つ男はエルアルム王国の中でも珍しいだろう。異国から正妃として迎え入れられたというセリオスの母、アリティア王妃譲りなのだろうか。
こんなときでも、その特別な美しさに見とれてしまう。この人と結婚したい娘はいくらでもいるだろう。いつか、離れていってしまうのではないかと怖くなる。ダムハート国王が第二王妃を迎えたときのように。
「団長、レオナ様をお連れしました」
ベリウスが敬礼すると、セリオスは無言でうなずき、レオナの手首をつかんだ。
「こっちへ来い。おまえに渡したいものがある」
「渡したいものって何ですか?」
「見ればわかる」
セリオスはまっすぐ馬車へ向かっていく。その馬車は、フォルフェス騎士団の紋章が刻まれた豪華なものだった。ルドアースがタイミングよく開けたドアに押し込まれるようにして入る。馬車の中はほんのり薄暗かった。
「なぜ、布が……?」
広めの車内の周囲すべてが厚手の布で覆われている。太陽の日差しがほのかに透けているが、外の様子はまったくわからない。
「そのドレスで長旅は無理だ。王宮の神官にかたびらを作らせた。すでに防御魔法をかけ、羽毛のように軽くし、鋼の強さを持たせている。レオナの身を守るものだ。完璧ではないが、街で買うものよりは数倍も安心できる」
レオナは開いたトランクに目を移す。蓋に引っ掛けるようにして、鎖かたびらとローブが置かれている。
「私のために、わざわざ……?」
「俺の妻なのだから、足りないぐらいだ」
「やはり、このようなものを着ないと危ないのでしょうか……?」
今は回復魔法が使えない。もし、ケガをしたらどうしよう。この嘘もたちまちにバレてしまうだろう。
「あ、あの……」
言わなきゃ。話してしまえばいい。そうしたら、セリオスの足手まといにはならない。けれど、失望されるだろう。そうと知っていたら、結婚しようとも思わなかったと言われるかもしれない。
レオナはごくりとつばを飲み込んだ。やはり、言えるはずがなかった。セリオスのそばにいたいという感情は捨てられない。
セリオスはうつむくレオナの顔をのぞき込む。
「不安か?」
「私を連れていけば、後悔すると思います……」
「本音を言えば、俺だって連れていきたくない。好んで危ない目に遭わせたいわけじゃないが、俺のそばにいるのが一番安全だから連れていく」
「……本当に行くのですか?」
「すでにバルターは、ストークス家を迎えに行くと周囲に漏らして王都を出ている。なぜそこまでするのかと、いぶかしむ貴族もいるようだ。根回しを怠っているところを見ると、バルターは相当焦っているのだろうな」
セリオスはうっすらと口もとに笑みを浮かべる。貴族たちのバルターへの信頼が損なわれていくのを喜ぶかのようだ。
エルアルムの宮殿は、異国から羨まれるほどの華やかさに満ちた世界だと思っていた。しかし、その実態は、権力争いが絶えず、人々が互いに足を引っ張り合う世界のようだ。そんな世界に足を踏み入れてしまったのだと、レオナは痛感する。公爵の屋敷で穏やかに暮らしていたあの日々が、今は懐かしい。
「さあ、着替えよう」
セリオスはレオナの首の後ろに腕を回すと、背中のひもをするりとほどく。あたりまえのようにするその仕草に、レオナは戸惑う。簡単なドレスなら、セリオスの手を借りなくても着られるようになったことを彼は忘れたのだろうか。
「ひとりで着れます……」
「着替えるまで待つのだから、俺が着せようが同じだ」
「でも……」
「おまえの身体は目を閉じていても隅々まで思い出せる。今さら、恥じることはない」
「いえ、怒っているわけではないです。団長の機嫌は少々悪いんですけどね」
ベリウスは苦笑いする。セリオスは勝手にいなくなったことを怒っているのだろう。
「……あの、ベリウス卿、お尋ねしたいことがあるのですが」
「なんです?」
「なぜ、レオナ様と?」
おずおずと聞くと、ベリウスは一瞬、戸惑ったような表情を見せた。レオナが呼び方を気にしないとでも思っていたのだろうか。
「あー、それはですね。奥様とお呼びするのは、公にはいろいろと不都合があるらしく、旅の間はレオナ様とお呼びすることになったんですよ」
「それは、セリオス様が決めたのですか?」
レオナがおそるおそる問いかけると、ベリウスは困ったような顔を見せたが、すぐにいつもの明るい調子で言う。
「ご心配には及びませんよっ。団長なりにお考えがあるのでしょう。ただ、何があろうとも、フォルフェス騎士団がレオナ様を団長の奥様として認めていることに変わりはありませんから」
その言葉には勇気づけられ、救われたような気がした。けれど、心の底では、不安が消えてない自分がいることに気づいていた。
セリオスとの結婚は国民に知らされていない。ダリウスによれば、枢密院が反対しているからだ。しかし、セリオスまでもが公になるのを不都合に感じているなら、枢密院を敵に回してまで繋ぎ止めるほど、彼にとってレオナは価値のある存在ではないのかもしれない。ならば、離縁もありえるだろう。それも秘密裏に。何事もなかったようにセリオスが王宮で平然と暮らしていけるように。
今なら、旅へついていかない選択は残されている。しかし、王宮にいるベネット公爵のもとへ行っても、セリオスから離れてはいけないと諭されるだろう。ひとりでクレストル領にいる養母のもとへ帰ったら、素直に受け入れてもらえるだろうか……。そんな不安が胸をよぎる。公爵である父が受けた屈辱を、母が仕方ないことだと受け止めているとは思えない。
レオナは痛む胸を押さえた。養父母のもとへ行っても、セリオスのそばにいても……、どこにいても、自分を受け入れてくれる場所などないと思えた。ダリウスの言うように、バルターの提案を拒んだとき、レオナは安寧も栄華も、そして自分の居場所さえも手放してしまったのだ。そう思わずにはいられなかった。
セリオスはイリスのそばに立ち、いらだったように腕を組んでいた。ずいぶん探したのだろうか。待たせたことに怒っているように見える。レオナはベリウスとともに、あわてて駆け寄る。
じっとこちらを見下ろすセリオスの黒髪が、潮風に吹かれて光を浴び、藍色のように輝いてみえる。このような髪色を持つ男はエルアルム王国の中でも珍しいだろう。異国から正妃として迎え入れられたというセリオスの母、アリティア王妃譲りなのだろうか。
こんなときでも、その特別な美しさに見とれてしまう。この人と結婚したい娘はいくらでもいるだろう。いつか、離れていってしまうのではないかと怖くなる。ダムハート国王が第二王妃を迎えたときのように。
「団長、レオナ様をお連れしました」
ベリウスが敬礼すると、セリオスは無言でうなずき、レオナの手首をつかんだ。
「こっちへ来い。おまえに渡したいものがある」
「渡したいものって何ですか?」
「見ればわかる」
セリオスはまっすぐ馬車へ向かっていく。その馬車は、フォルフェス騎士団の紋章が刻まれた豪華なものだった。ルドアースがタイミングよく開けたドアに押し込まれるようにして入る。馬車の中はほんのり薄暗かった。
「なぜ、布が……?」
広めの車内の周囲すべてが厚手の布で覆われている。太陽の日差しがほのかに透けているが、外の様子はまったくわからない。
「そのドレスで長旅は無理だ。王宮の神官にかたびらを作らせた。すでに防御魔法をかけ、羽毛のように軽くし、鋼の強さを持たせている。レオナの身を守るものだ。完璧ではないが、街で買うものよりは数倍も安心できる」
レオナは開いたトランクに目を移す。蓋に引っ掛けるようにして、鎖かたびらとローブが置かれている。
「私のために、わざわざ……?」
「俺の妻なのだから、足りないぐらいだ」
「やはり、このようなものを着ないと危ないのでしょうか……?」
今は回復魔法が使えない。もし、ケガをしたらどうしよう。この嘘もたちまちにバレてしまうだろう。
「あ、あの……」
言わなきゃ。話してしまえばいい。そうしたら、セリオスの足手まといにはならない。けれど、失望されるだろう。そうと知っていたら、結婚しようとも思わなかったと言われるかもしれない。
レオナはごくりとつばを飲み込んだ。やはり、言えるはずがなかった。セリオスのそばにいたいという感情は捨てられない。
セリオスはうつむくレオナの顔をのぞき込む。
「不安か?」
「私を連れていけば、後悔すると思います……」
「本音を言えば、俺だって連れていきたくない。好んで危ない目に遭わせたいわけじゃないが、俺のそばにいるのが一番安全だから連れていく」
「……本当に行くのですか?」
「すでにバルターは、ストークス家を迎えに行くと周囲に漏らして王都を出ている。なぜそこまでするのかと、いぶかしむ貴族もいるようだ。根回しを怠っているところを見ると、バルターは相当焦っているのだろうな」
セリオスはうっすらと口もとに笑みを浮かべる。貴族たちのバルターへの信頼が損なわれていくのを喜ぶかのようだ。
エルアルムの宮殿は、異国から羨まれるほどの華やかさに満ちた世界だと思っていた。しかし、その実態は、権力争いが絶えず、人々が互いに足を引っ張り合う世界のようだ。そんな世界に足を踏み入れてしまったのだと、レオナは痛感する。公爵の屋敷で穏やかに暮らしていたあの日々が、今は懐かしい。
「さあ、着替えよう」
セリオスはレオナの首の後ろに腕を回すと、背中のひもをするりとほどく。あたりまえのようにするその仕草に、レオナは戸惑う。簡単なドレスなら、セリオスの手を借りなくても着られるようになったことを彼は忘れたのだろうか。
「ひとりで着れます……」
「着替えるまで待つのだから、俺が着せようが同じだ」
「でも……」
「おまえの身体は目を閉じていても隅々まで思い出せる。今さら、恥じることはない」
3
あなたにおすすめの小説
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
その出会い、運命につき。
あさの紅茶
恋愛
背が高いことがコンプレックスの平野つばさが働く薬局に、つばさよりも背の高い胡桃洋平がやってきた。かっこよかったなと思っていたところ、雨の日にまさかの再会。そしてご飯を食べに行くことに。知れば知るほど彼を好きになってしまうつばさ。そんなある日、洋平と背の低い可愛らしい女性が歩いているところを偶然目撃。しかもその女性の名字も“胡桃”だった。つばさの恋はまさか不倫?!悩むつばさに洋平から次のお誘いが……。
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
寵愛の花嫁は毒を愛でる~いじわる義母の陰謀を華麗にスルーして、最愛の公爵様と幸せになります~
紅葉山参
恋愛
アエナは貧しい子爵家から、国の英雄と名高いルーカス公爵の元へと嫁いだ。彼との政略結婚は、彼の底なしの優しさと、情熱的な寵愛によって、アエナにとってかけがえのない幸福となった。しかし、その幸福を妬み、毎日のように粘着質ないじめを繰り返す者が一人、それは夫の継母であるユーカ夫人である。
「たかが子爵の娘が、公爵家の奥様面など」 ユーカ様はそう言って、私に次から次へと理不尽な嫌がらせを仕掛けてくる。大切な食器を隠したり、ルーカス様に嘘の告げ口をしたり、社交界で恥をかかせようとしたり。
だが、私は決して挫けない。愛する公爵様との穏やかな日々を守るため、そして何より、彼が大切な家族と信じているユーカ様を悲しませないためにも、私はこの毒を静かに受け流すことに決めたのだ。
誰も気づかないほど巧妙に、いじめを優雅にスルーするアエナ。公爵であるあなたに心配をかけまいと、彼女は今日も微笑みを絶やさない。しかし、毒は徐々に、確実に、その濃度を増していく。ついに義母は、アエナの命に関わるような、取り返しのつかない大罪に手を染めてしまう。
愛と策略、そして運命の結末。この溺愛系ヒロインが、華麗なるスルー術で、最愛の公爵様との未来を掴み取る、痛快でロマンティックな物語の幕開けです。
〜仕事も恋愛もハードモード!?〜 ON/OFF♡オフィスワーカー
i.q
恋愛
切り替えギャップ鬼上司に翻弄されちゃうオフィスラブ☆
最悪な失恋をした主人公とONとOFFの切り替えが激しい鬼上司のオフィスラブストーリー♡
バリバリのキャリアウーマン街道一直線の爽やか属性女子【川瀬 陸】。そんな陸は突然彼氏から呼び出される。出向いた先には……彼氏と見知らぬ女が!? 酷い失恋をした陸。しかし、同じ職場の鬼課長の【榊】は失恋なんてお構いなし。傷が乾かぬうちに仕事はスーパーハードモード。その上、この鬼課長は————。
数年前に執筆して他サイトに投稿してあったお話(別タイトル。本文軽い修正あり)
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる