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旅路編
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「セリオス様、ここが洞窟の入り口ですか?」
セリオスの後ろから、おそるおそる縦穴をのぞく。中は闇のように暗くて何も見えず、時折、冷たい風が強く吹いてくる。
「おそらく。少し中を見てこよう」
「大丈夫ですか……?」
「すぐに戻る。ルドアース、おまえも来い」
心配しすぎだと言わないばかりの笑みをセリオスは浮かべたあと、ルドアースとともに穴の中へ入っていく。
「レオナはベリウスと待っていろ」
穴の中をのぞいていると、セリオスの声が洞窟の中に響いた。そのまま足音は遠ざかっていき、次第には聞こえなくなる。
ざわざわと木々が揺れて、レオナは振り返る。遠目に、金髪の男を介抱するベリウスの姿が見える。ぽつりと、ひとり取り残されたような気分になって怖くなり、あわててベリウスのもとへ駆け戻った。
「ベリウス卿、どうですか?」
大木に背を預けて目を閉じる男の様子をうかがいながら尋ねる。
「食事も取れましたし、少し休めば大丈夫でしょう」
「本当ですか? よかった」
レオナがほっと胸をなでおろすと、男がうっすらとまぶたを持ち上げる。透き通った青い瞳が、レオナを真正面からとらえる。何を考えているのかわからないようなうつろな目が、やがて鋭くなっていき、その視線はレオナの淡い黒色の瞳から砂色の髪へと移っていく。
異国のものならば、レオナの髪色がエルアルム国で珍しい色だとは気づかないだろう。そうは思っても、まるで、髪色を注視したような視線の動きにレオナは落ち着かなくなって、フードを深くかぶり直す。
「あなたも魔法使いですか?」
男の尋ねは冷静だったが、レオナは責められたような気がして、ローブの胸もとをぎゅっと握りしめた。そうだと言ったら、男は怒るだろうか。なぜ、助けなかったのかと。
「誰かのケガを治したことはないのです……」
レオナは小さな声を絞り出す。
「そうなんですかっ?」
驚きの声をあげたのは、ベリウスだった。
「それなのに団長は旅に連れていくって言ってたんですか。それは不安になりますよね」
「セリオス様に勘違いさせている私がいけないのです」
レオナはベリウスの誤解をとくように言ったあと、男へと目を向ける。
「助けたくなかったわけではないのです。痛むところはありませんか?」
「そちらの方の言う通り、少し休めば歩けるようになります。さっきの人たちは、あの穴に入っていったんですか?」
「はい……。すぐに戻ると言ってましたけど」
レオナがつぶやいたとき、縦穴からセリオスが顔を出す。そして、ルドアースとともにこちらへ戻ってくる。
「中はずいぶん広いな。道も悪くない」
セリオスはそう言いながら、金髪の男の前へひざを折る。
「気分はどうだ?」
「助かりました。あのまま気を失っていたら、どうなっていたか……」
「顔色もいいようだな。俺はフォルフェス騎士団団長、セリオス・ダムハート。あなたにぜひ、話を聞きたい」
「フォルフェス……」
男はつぶやき、レオナのローブにあるフォルフェスの紋章に目をとめた。そして、少し考え込んでいたが、ほどなくして首を横に振った。
「申し訳ないですが、フォルフェス騎士団は知らない」
大陸最強の騎士団の名を知らないなんて。やはり、この男は異国のものなのだろう。
「しかし、ダムハートが王家の名であることぐらいは知っています。エルアルムの王子が、なぜここにいるのですか?」
男は続けてそう言うと、セリオスの青い瞳を見つめた。ダムハート家の王子が青い目をしていることはきっと知っているのだろう。彼の王国に対する知識が限定的なところを見ると、異国からの旅人というところだろうか。
「それは俺が聞きたい。あなたは洞窟を通って、どこから来たのか」
「リーヴァ……、リーヴァから来ました」
その名を聞いた途端、セリオスとルドアースが目を合わせた。レオナだって驚きを隠せない。これから向かおうとしている場所から、この男はモンリス山を越えてきたというのだ。
「本当か? それは」
「まさか、あんなにも魔物がいるとは思わなかったですね。モンリス山を越えた先に王都があるとリーヴァで聞いたのですが、たばかられたのでしょうか」
男はため息をついて天を仰ぐが、思い出した何かを払うように頭を振る。壮絶な山越えだったのだろう。
「いや、ここは王都のはずれだ。王都をめざしてきたのか?」
「本当ですか? では、王都には着いたんですね。……地図はありますか?」
セリオスはすぐさま地図を広げる。男はリーヴァを見つけると、細い指でモンリス山をたどり、王都の周囲をぐるりと眺めた。
「リーヴァの東を南下して、モンリス山をさけて王都へ回ればよかったんですね。王都はモンリス山の向こうにある、を真に受けて、森へ入ってしまったのか」
後悔するように彼は息をつくと、洞窟の入り口へ目を向ける。
「あなたたちはあの洞窟を行くつもりですか?」
「俺たちはリーヴァへの道を急いでいる。あなたが通ってきた道を行くつもりだ」
男は思案げに黙り込み、セリオスからルドアース、そして、ベリウス、レオナへと視線を移していった。
「ダムハートの王子ならば、一流の剣士でしょう。それに、ほかにも剣士がふたり。魔法使いもいるとなれば、可能でしょう」
「道案内を頼めるか?」
「私にまたあの道を戻れというのですか?」
顔をしかめる男を見て、レオナが口を挟む。
「セリオス様、この方は王都を目指してこられたのです。リーヴァには戻れないでしょう」
そんなことはわかっているから黙っていろとばかりに、セリオスはレオナへ手のひらを向けると、男に尋ねる。
「王都へは何をしに?」
「何って……、魔石です」
男は一瞬、目をさまよわせてからそう言った。
「魔石?」
「エルアルムは鉱山に恵まれた大陸。王都には各地から珍しい鉱石や魔石が集まると聞いています。魔法使いであれば、その珍しい魔石を手にしたくなるものでしょう」
「それだけか?」
「ええ」
男が短くうなずくと、セリオスは満足そうに笑む。
「では、すぐに用事は済むだろう。ベリウス、今から魔石屋へ連れていってやれ。ほしいだけ調達したら、すぐに戻ってこい」
「セリオス様、本当にこの方に道案内を頼むおつもりですか?」
レオナは黙っていられずに声をあげた。
「道案内だけではない。魔法使いとしての腕も期待している。ひとりでモンリスを越えてきたというのであれば、かなりの使い手だろう」
男を頼るのは、レオナが頼りないからだろうか。男のケガの前でおびえたレオナを見て、傷一つ治せないのでは、モンリス山を越えていけないと思ったのだろう。
失望されたと気づいて、レオナは口をつぐむ。悲しむレオナを見て、セリオスは眉をさげたが、今は一刻を争う事態。レオナにかまってはいられないと、男へ目を向ける。
「あなたを雇いたい。俺たちにはあなたの力が必要だ。承知してくれるか」
下手に出るような態度に男は驚いたようだった。
「王子ともあろう人がいいのですか? 信用できないかもしれない魔法使いを雇い、あの山を越えるなんて無謀ではありませんか」
「信用できないとなれば、斬るまで。俺はそれを容易にやれる男だ。ここにいる、ルドアースやベリウスも同じ。レオナに傷ひとつでもつけてみろ。あなたの身体が故郷に還る日はないだろう」
罪人だったセリオスの言葉は、ただの脅しではないだろう。しかし、男はセリオスが国王暗殺を企てた男とまでは知らないかもしれない。断ったら、どうなるか。レオナが固唾を飲んで見守っていると、男は小さく笑った。
「故郷に還る日はない、ですか。それは困りましたね。……わかりました。お供しましょう。魔石はいくらでもいただけるのですよね?」
男の目は、美しい容姿に似合わない欲深な光でギラついた。利害が一致したのをセリオスも感じ取ったようだ。
「交渉成立といこうか。名は、何という?」
差し出されたセリオスの手を、男はしっかりと握りしめる。
「私の名はレイヴン・カーライル。エルアルムの隣国、ノクシスの魔法使いです」
セリオスの後ろから、おそるおそる縦穴をのぞく。中は闇のように暗くて何も見えず、時折、冷たい風が強く吹いてくる。
「おそらく。少し中を見てこよう」
「大丈夫ですか……?」
「すぐに戻る。ルドアース、おまえも来い」
心配しすぎだと言わないばかりの笑みをセリオスは浮かべたあと、ルドアースとともに穴の中へ入っていく。
「レオナはベリウスと待っていろ」
穴の中をのぞいていると、セリオスの声が洞窟の中に響いた。そのまま足音は遠ざかっていき、次第には聞こえなくなる。
ざわざわと木々が揺れて、レオナは振り返る。遠目に、金髪の男を介抱するベリウスの姿が見える。ぽつりと、ひとり取り残されたような気分になって怖くなり、あわててベリウスのもとへ駆け戻った。
「ベリウス卿、どうですか?」
大木に背を預けて目を閉じる男の様子をうかがいながら尋ねる。
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「本当ですか? よかった」
レオナがほっと胸をなでおろすと、男がうっすらとまぶたを持ち上げる。透き通った青い瞳が、レオナを真正面からとらえる。何を考えているのかわからないようなうつろな目が、やがて鋭くなっていき、その視線はレオナの淡い黒色の瞳から砂色の髪へと移っていく。
異国のものならば、レオナの髪色がエルアルム国で珍しい色だとは気づかないだろう。そうは思っても、まるで、髪色を注視したような視線の動きにレオナは落ち着かなくなって、フードを深くかぶり直す。
「あなたも魔法使いですか?」
男の尋ねは冷静だったが、レオナは責められたような気がして、ローブの胸もとをぎゅっと握りしめた。そうだと言ったら、男は怒るだろうか。なぜ、助けなかったのかと。
「誰かのケガを治したことはないのです……」
レオナは小さな声を絞り出す。
「そうなんですかっ?」
驚きの声をあげたのは、ベリウスだった。
「それなのに団長は旅に連れていくって言ってたんですか。それは不安になりますよね」
「セリオス様に勘違いさせている私がいけないのです」
レオナはベリウスの誤解をとくように言ったあと、男へと目を向ける。
「助けたくなかったわけではないのです。痛むところはありませんか?」
「そちらの方の言う通り、少し休めば歩けるようになります。さっきの人たちは、あの穴に入っていったんですか?」
「はい……。すぐに戻ると言ってましたけど」
レオナがつぶやいたとき、縦穴からセリオスが顔を出す。そして、ルドアースとともにこちらへ戻ってくる。
「中はずいぶん広いな。道も悪くない」
セリオスはそう言いながら、金髪の男の前へひざを折る。
「気分はどうだ?」
「助かりました。あのまま気を失っていたら、どうなっていたか……」
「顔色もいいようだな。俺はフォルフェス騎士団団長、セリオス・ダムハート。あなたにぜひ、話を聞きたい」
「フォルフェス……」
男はつぶやき、レオナのローブにあるフォルフェスの紋章に目をとめた。そして、少し考え込んでいたが、ほどなくして首を横に振った。
「申し訳ないですが、フォルフェス騎士団は知らない」
大陸最強の騎士団の名を知らないなんて。やはり、この男は異国のものなのだろう。
「しかし、ダムハートが王家の名であることぐらいは知っています。エルアルムの王子が、なぜここにいるのですか?」
男は続けてそう言うと、セリオスの青い瞳を見つめた。ダムハート家の王子が青い目をしていることはきっと知っているのだろう。彼の王国に対する知識が限定的なところを見ると、異国からの旅人というところだろうか。
「それは俺が聞きたい。あなたは洞窟を通って、どこから来たのか」
「リーヴァ……、リーヴァから来ました」
その名を聞いた途端、セリオスとルドアースが目を合わせた。レオナだって驚きを隠せない。これから向かおうとしている場所から、この男はモンリス山を越えてきたというのだ。
「本当か? それは」
「まさか、あんなにも魔物がいるとは思わなかったですね。モンリス山を越えた先に王都があるとリーヴァで聞いたのですが、たばかられたのでしょうか」
男はため息をついて天を仰ぐが、思い出した何かを払うように頭を振る。壮絶な山越えだったのだろう。
「いや、ここは王都のはずれだ。王都をめざしてきたのか?」
「本当ですか? では、王都には着いたんですね。……地図はありますか?」
セリオスはすぐさま地図を広げる。男はリーヴァを見つけると、細い指でモンリス山をたどり、王都の周囲をぐるりと眺めた。
「リーヴァの東を南下して、モンリス山をさけて王都へ回ればよかったんですね。王都はモンリス山の向こうにある、を真に受けて、森へ入ってしまったのか」
後悔するように彼は息をつくと、洞窟の入り口へ目を向ける。
「あなたたちはあの洞窟を行くつもりですか?」
「俺たちはリーヴァへの道を急いでいる。あなたが通ってきた道を行くつもりだ」
男は思案げに黙り込み、セリオスからルドアース、そして、ベリウス、レオナへと視線を移していった。
「ダムハートの王子ならば、一流の剣士でしょう。それに、ほかにも剣士がふたり。魔法使いもいるとなれば、可能でしょう」
「道案内を頼めるか?」
「私にまたあの道を戻れというのですか?」
顔をしかめる男を見て、レオナが口を挟む。
「セリオス様、この方は王都を目指してこられたのです。リーヴァには戻れないでしょう」
そんなことはわかっているから黙っていろとばかりに、セリオスはレオナへ手のひらを向けると、男に尋ねる。
「王都へは何をしに?」
「何って……、魔石です」
男は一瞬、目をさまよわせてからそう言った。
「魔石?」
「エルアルムは鉱山に恵まれた大陸。王都には各地から珍しい鉱石や魔石が集まると聞いています。魔法使いであれば、その珍しい魔石を手にしたくなるものでしょう」
「それだけか?」
「ええ」
男が短くうなずくと、セリオスは満足そうに笑む。
「では、すぐに用事は済むだろう。ベリウス、今から魔石屋へ連れていってやれ。ほしいだけ調達したら、すぐに戻ってこい」
「セリオス様、本当にこの方に道案内を頼むおつもりですか?」
レオナは黙っていられずに声をあげた。
「道案内だけではない。魔法使いとしての腕も期待している。ひとりでモンリスを越えてきたというのであれば、かなりの使い手だろう」
男を頼るのは、レオナが頼りないからだろうか。男のケガの前でおびえたレオナを見て、傷一つ治せないのでは、モンリス山を越えていけないと思ったのだろう。
失望されたと気づいて、レオナは口をつぐむ。悲しむレオナを見て、セリオスは眉をさげたが、今は一刻を争う事態。レオナにかまってはいられないと、男へ目を向ける。
「あなたを雇いたい。俺たちにはあなたの力が必要だ。承知してくれるか」
下手に出るような態度に男は驚いたようだった。
「王子ともあろう人がいいのですか? 信用できないかもしれない魔法使いを雇い、あの山を越えるなんて無謀ではありませんか」
「信用できないとなれば、斬るまで。俺はそれを容易にやれる男だ。ここにいる、ルドアースやベリウスも同じ。レオナに傷ひとつでもつけてみろ。あなたの身体が故郷に還る日はないだろう」
罪人だったセリオスの言葉は、ただの脅しではないだろう。しかし、男はセリオスが国王暗殺を企てた男とまでは知らないかもしれない。断ったら、どうなるか。レオナが固唾を飲んで見守っていると、男は小さく笑った。
「故郷に還る日はない、ですか。それは困りましたね。……わかりました。お供しましょう。魔石はいくらでもいただけるのですよね?」
男の目は、美しい容姿に似合わない欲深な光でギラついた。利害が一致したのをセリオスも感じ取ったようだ。
「交渉成立といこうか。名は、何という?」
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