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旅路編
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重たいまぶたを二度三度と持ち上げる。冷たい空気が肌をさし、レオナは思わず毛布を引き寄せる。ほの明るい炎の光が視界に入ると同時に、腰に巻きつく腕の温もりに気づいた。
セリオス様……? 目をあげると、静かな寝息を立てるセリオスの寝顔があった。さらに視線をあげていくが、星のまたたく空は見えず、代わりにゴツゴツとした岩肌が見えた。ここは洞窟の中のようだ。
レオナはセリオスの腕をすり抜けるようにして上体を起こす。ピチャンッと水の跳ねる音が聞こえて、そちらへ目を移す。
「ここは……」
目の前には、池のような水面が広がっていた。もしかして、ここが地底湖なのだろうか。そのほとりには、魔石で炎を灯すレイヴンと、剣を抱えたまま目を閉じるベリウスがいる。
ルドアースは? と辺りを見回すと、少し離れた場所で横になっていた。今は夜なのだろうか。洞窟の中ではそれを知ることができないが、今夜はここで野宿することにしたのだろう。
「ああ、レオナさん、目覚めましたか」
湖のほとりへ向かって歩いていくと、足音に気づいたレイヴンが笑顔を見せる。
「あの……、ゴブリンは?」
「ご安心ください。一匹残らず倒しましたよ。あの短時間であれほどの量の魔物を倒すとは、フォルフェス騎士団とは恐ろしい強さですね。あ、どうぞ、お座りください」
勧められて、レイヴンとうたたねするベリウスの間にある岩の上へ腰かける。
「私は……気を失ってしまったのですか?」
「セリオス殿のあわてぶりには驚きました。ルドアース卿から奪い取るようにしてあなたを抱きあげた姿は、この世でもっとも恐ろしい狂人のようでしたよ」
冗談っぽくレイヴンは笑って言うと、パンと水をレオナに差し出す。
「そういう仲なのですか?」
「えっ」
驚きの声をあげてしまい、レオナは口もとに手をあてて辺りを見回す。ベリウスの身体が一瞬、起き上がったように見えたが、すぐにまた彼は剣に持たれかかるようにして眠りにつく。
「そ、そういうとは……」
「恋仲という意味です」
レオナは真っ赤になったが、魔石から燃えあがる炎の色と同化して、気づかれてないことを祈りながらパンにかじりつき、心を落ち着けてから答える。
「大切に想ってくださってるみたいです」
妻なのだとは言えない。だからといって、恋仲だというのも違う気がした。セリオスは愛おしいと言ってくれたが、同じぐらいの愛情を彼に対して持っていると答えるのは、恐れ多い気がしたのだ。
「そのようですね。ですから、このような無謀な旅に連れているのですか?」
「ずっとそばにいるように言われています」
「なるほど。ということは、私はセリオス殿に雇われている限り、レオナさんとも一緒にいられるということですね?」
「え……?」
レオナはいきなり腕を伸ばしてくるレイヴンに驚いて、まばたきをした。その一瞬で、彼の指先はレオナのフードを引っ張った。
ふわりと、レオナの髪が広がる。炎に照らされた髪は何色に見えているだろうか。レイヴンはレオナの髪に顔を近づけて、目を細める。
「こうしてみると、銀色のようですね。光の反射で見え方が変わるのでしょうか」
「銀……では、ありません」
セリオスも言っていたのだったか。レオナの髪は水に濡れると銀色に輝くのだと。
「楽園ユーラス、あそこに住むステラサンクタという民は皆、銀色の髪を持つのだとか」
レオナの否定など意味のない言葉だったようだ。レイヴンは聞き流して、一人語りするように話し出す。
「実は、楽園を目指して、私はエルアルムへ来たのです。ノクシスからエルアルムに入るには、リーヴァの北にある港が一番近いのですが、そこである話を聞きました」
「どのような?」
「楽園ユーラスの入り口は先の戦争以降、閉ざされている。今は誰も受け付けず、出入りが許されているのはステラサンクタのみだと。ステラサンクタについて知りたければ、まずはリーヴァへ行けと言われました」
「それで、リーヴァに行かれたのですね」
レイヴンは一つうなずくと、柔らかな笑みを浮かべる。
「リーヴァは興味深い街ですね。街の中央にある広場には、ステラサンクタである教皇の像がありました。なんでも、リーヴァの民はステラサンクタに親しみを持っているのだとか。かつては、はるか南にある楽園からステラサンクタがやってきて、王都の貴族とリーヴァで落ち合い、恋をしていたそうで」
「そうなのですか?」
「結婚は許されぬ禁断の恋だったそうですが」
「許されない……」
では、レオナもそうなのだろうか。いくら、セリオスと愛し合っていても、結婚はできない。彼はその逸話を知っているから、妻であることを隠しているのだろうか。
「ステラサンクタはステラサンクタ同士の結婚しか認められていなかったそうです。悲恋はいくつもあったのでしょうね」
「今でも、そうなのでしょうか」
「さあ、そこまでは私も知りません。楽園が閉ざされてからは、ステラサンクタがリーヴァを訪れることもなくなったようですから」
「レイヴンは楽園を目指しているとおっしゃいましたね」
レオナはほんの少し前のめりになって尋ねた。今は閉ざされている楽園にどうやっていく気だったのだろう。王都へ向かっていたのは、魔石以外にも目的があったのではないかと気になった。
「ええ。これもリーヴァで聞いたのですよ。閉ざされた楽園の門を開くためには、ステラサンクタを連れていく必要がある。しかし、楽園の外にいるステラサンクタはこの大陸でただ一人しかいないと」
「ただひとり……」
「はい。それは、銀色の髪を持つ、あなたではありませんか?」
レイヴンに見つめられ、レオナはとっさにフードをかぶった。ずっと薄汚い砂色だと思っていたこの髪が、ステラサンクタである証になるとは思いもしない。
「リーヴァの人はこうも言いました。そのステラサンクタは、クレストル領の公爵令嬢ではないかといううわさがあると。公爵の名は、ベネット。あなたは、レオナ・ベネットなのでしょうか?」
「それで、王都へ?」
否定も肯定もせず、レオナは尋ねた。
「はい。リーヴァからクレストルへは王都を通るのが一番の近道ですから。モンリスを越えるのは過酷で死を意識しましたが、おかげであなたに出会えた。私にもまだ運が残っているようです」
「私には、楽園の門を開く力はありません……」
「楽園へ行かれたことは?」
レオナは首を横に振る。
「行ってみたいと思われたことは?」
レオナは迷って、うなずけなかった。
行ってみたい気持ちはあった。小さなころの記憶でしか知らない自身の両親が、どんな人だったのか知りたかった。公爵家の娘として生きていく窮屈な毎日。自身の居場所は楽園にあるのではないか。そう考えた日がないわけではない。
「私と一緒に楽園へ行きませんか?」
それは甘美な誘いだった。しかし今は、レオナにはセリオスがいる。セリオスから離れるわけにはいかなかった。
困り果てて黙っていると、レイヴンは小さな息を漏らして笑う。
「仕方ありませんね。あなたが楽園へ一緒に行ってくれるというまで、私はセリオス殿に雇われることにしましょう。せいぜい、お役に立ってみせますよ」
重たいまぶたを二度三度と持ち上げる。冷たい空気が肌をさし、レオナは思わず毛布を引き寄せる。ほの明るい炎の光が視界に入ると同時に、腰に巻きつく腕の温もりに気づいた。
セリオス様……? 目をあげると、静かな寝息を立てるセリオスの寝顔があった。さらに視線をあげていくが、星のまたたく空は見えず、代わりにゴツゴツとした岩肌が見えた。ここは洞窟の中のようだ。
レオナはセリオスの腕をすり抜けるようにして上体を起こす。ピチャンッと水の跳ねる音が聞こえて、そちらへ目を移す。
「ここは……」
目の前には、池のような水面が広がっていた。もしかして、ここが地底湖なのだろうか。そのほとりには、魔石で炎を灯すレイヴンと、剣を抱えたまま目を閉じるベリウスがいる。
ルドアースは? と辺りを見回すと、少し離れた場所で横になっていた。今は夜なのだろうか。洞窟の中ではそれを知ることができないが、今夜はここで野宿することにしたのだろう。
「ああ、レオナさん、目覚めましたか」
湖のほとりへ向かって歩いていくと、足音に気づいたレイヴンが笑顔を見せる。
「あの……、ゴブリンは?」
「ご安心ください。一匹残らず倒しましたよ。あの短時間であれほどの量の魔物を倒すとは、フォルフェス騎士団とは恐ろしい強さですね。あ、どうぞ、お座りください」
勧められて、レイヴンとうたたねするベリウスの間にある岩の上へ腰かける。
「私は……気を失ってしまったのですか?」
「セリオス殿のあわてぶりには驚きました。ルドアース卿から奪い取るようにしてあなたを抱きあげた姿は、この世でもっとも恐ろしい狂人のようでしたよ」
冗談っぽくレイヴンは笑って言うと、パンと水をレオナに差し出す。
「そういう仲なのですか?」
「えっ」
驚きの声をあげてしまい、レオナは口もとに手をあてて辺りを見回す。ベリウスの身体が一瞬、起き上がったように見えたが、すぐにまた彼は剣に持たれかかるようにして眠りにつく。
「そ、そういうとは……」
「恋仲という意味です」
レオナは真っ赤になったが、魔石から燃えあがる炎の色と同化して、気づかれてないことを祈りながらパンにかじりつき、心を落ち着けてから答える。
「大切に想ってくださってるみたいです」
妻なのだとは言えない。だからといって、恋仲だというのも違う気がした。セリオスは愛おしいと言ってくれたが、同じぐらいの愛情を彼に対して持っていると答えるのは、恐れ多い気がしたのだ。
「そのようですね。ですから、このような無謀な旅に連れているのですか?」
「ずっとそばにいるように言われています」
「なるほど。ということは、私はセリオス殿に雇われている限り、レオナさんとも一緒にいられるということですね?」
「え……?」
レオナはいきなり腕を伸ばしてくるレイヴンに驚いて、まばたきをした。その一瞬で、彼の指先はレオナのフードを引っ張った。
ふわりと、レオナの髪が広がる。炎に照らされた髪は何色に見えているだろうか。レイヴンはレオナの髪に顔を近づけて、目を細める。
「こうしてみると、銀色のようですね。光の反射で見え方が変わるのでしょうか」
「銀……では、ありません」
セリオスも言っていたのだったか。レオナの髪は水に濡れると銀色に輝くのだと。
「楽園ユーラス、あそこに住むステラサンクタという民は皆、銀色の髪を持つのだとか」
レオナの否定など意味のない言葉だったようだ。レイヴンは聞き流して、一人語りするように話し出す。
「実は、楽園を目指して、私はエルアルムへ来たのです。ノクシスからエルアルムに入るには、リーヴァの北にある港が一番近いのですが、そこである話を聞きました」
「どのような?」
「楽園ユーラスの入り口は先の戦争以降、閉ざされている。今は誰も受け付けず、出入りが許されているのはステラサンクタのみだと。ステラサンクタについて知りたければ、まずはリーヴァへ行けと言われました」
「それで、リーヴァに行かれたのですね」
レイヴンは一つうなずくと、柔らかな笑みを浮かべる。
「リーヴァは興味深い街ですね。街の中央にある広場には、ステラサンクタである教皇の像がありました。なんでも、リーヴァの民はステラサンクタに親しみを持っているのだとか。かつては、はるか南にある楽園からステラサンクタがやってきて、王都の貴族とリーヴァで落ち合い、恋をしていたそうで」
「そうなのですか?」
「結婚は許されぬ禁断の恋だったそうですが」
「許されない……」
では、レオナもそうなのだろうか。いくら、セリオスと愛し合っていても、結婚はできない。彼はその逸話を知っているから、妻であることを隠しているのだろうか。
「ステラサンクタはステラサンクタ同士の結婚しか認められていなかったそうです。悲恋はいくつもあったのでしょうね」
「今でも、そうなのでしょうか」
「さあ、そこまでは私も知りません。楽園が閉ざされてからは、ステラサンクタがリーヴァを訪れることもなくなったようですから」
「レイヴンは楽園を目指しているとおっしゃいましたね」
レオナはほんの少し前のめりになって尋ねた。今は閉ざされている楽園にどうやっていく気だったのだろう。王都へ向かっていたのは、魔石以外にも目的があったのではないかと気になった。
「ええ。これもリーヴァで聞いたのですよ。閉ざされた楽園の門を開くためには、ステラサンクタを連れていく必要がある。しかし、楽園の外にいるステラサンクタはこの大陸でただ一人しかいないと」
「ただひとり……」
「はい。それは、銀色の髪を持つ、あなたではありませんか?」
レイヴンに見つめられ、レオナはとっさにフードをかぶった。ずっと薄汚い砂色だと思っていたこの髪が、ステラサンクタである証になるとは思いもしない。
「リーヴァの人はこうも言いました。そのステラサンクタは、クレストル領の公爵令嬢ではないかといううわさがあると。公爵の名は、ベネット。あなたは、レオナ・ベネットなのでしょうか?」
「それで、王都へ?」
否定も肯定もせず、レオナは尋ねた。
「はい。リーヴァからクレストルへは王都を通るのが一番の近道ですから。モンリスを越えるのは過酷で死を意識しましたが、おかげであなたに出会えた。私にもまだ運が残っているようです」
「私には、楽園の門を開く力はありません……」
「楽園へ行かれたことは?」
レオナは首を横に振る。
「行ってみたいと思われたことは?」
レオナは迷って、うなずけなかった。
行ってみたい気持ちはあった。小さなころの記憶でしか知らない自身の両親が、どんな人だったのか知りたかった。公爵家の娘として生きていく窮屈な毎日。自身の居場所は楽園にあるのではないか。そう考えた日がないわけではない。
「私と一緒に楽園へ行きませんか?」
それは甘美な誘いだった。しかし今は、レオナにはセリオスがいる。セリオスから離れるわけにはいかなかった。
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