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旅路編
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「枯渇するとどうなるのですか?」
「おまえが言ったではないか。魔力がなくなったと。魔法が使えなくなったと思っているのは、魔石が力をなくしたからだ」
セリオスは断言すると、レオナの指を優しくこすり、魔石としての価値以上を感じているかのように敬意を持って丁寧に、指輪をもとあった場所に戻した。
「おまえは広場でフィリス教皇の銅像を見ただろう? この指輪はステラサンクタのみに与えられる星魔石の指輪。おまえの母は、楽園を離れるおまえがステラサンクタであるという証拠になるものとしてだけでなく、楽園の外に出ても魔法を使えるようにとロデリックに渡したのだろう」
「私には何もわかりません……」
レオナは首を振る。セリオスの話がうそか真実か、それすらレオナには判断がつけられない。
「おまえに魔法を教えたやつは、そんな基本的なことも教えなかったのか?」
あきれを通り越し、セリオスは少々いらだっていた。しかし、レオナが知らないように、彼が知らないこともある。レオナは言い訳するように言う。
「楽園に生まれたものは、赤子が立ち上がったり歩けるようになるのと同じように、気づけば自然と魔法が使えるようになっているものなのです。誰に教わったとかはなく、魔石の力が必要とは知りませんでした」
「それが本当ならば、まさしく、ステラサンクタは神の申し子なのだな。想像でしかないが、おまえは母の魔法を見よう見まねで倣ううちに使えるようになったのだろう」
セリオスの考えは否定できない。母の魔法はそのぐらい身近にあった。
「でも、私は小さなころに星魔石を持たされたことはありません」
「楽園にいたからだろう? 公爵の養女になったのは、15年前だったな。知らないのも無理はないか。楽園には巨大な星魔石があり、楽園全体にその力を惜しみなく与えていると聞く。楽園の中でなら、星魔石を持たなくともその力を利用することはできるのだろう」
「では、星魔石があれば、また回復魔法が使えるようになるのですか?」
「そうだ。しかし、星魔石は楽園でしか採れない特別な鉱石だ。神がこの地を離れるときに流した涙の結晶とも言われている神秘の魔石。楽園へ行かねば、星魔石は絶対に手に入らない」
魔法使いの誰もがあこがれるという、レイヴンが欲しがっている魔石は、星魔石のことなのだ。なぜ、あれほどまでにレイヴンが楽園に固執するのか、ようやくレオナは理解した。
「しかし……」
セリオスは苦渋に満ちた目をして、歯ぎしりをした。
「今はルカの保護が最優先だ。許せ、レオナ」
「許すとは……?」
首をかしげると、セリオスは表情をやわらげる。
「今回の件が落ち着いたら、必ずや、おまえを楽園ユーラスへ連れていってやる。おまえをないがしろにする気はないのだ」
「連れていってくださるのですか?」
セリオスがそこまでしてくれるとは思ってなくて、レオナは素直に驚いた。
「愛する妻のためならば、大したことではない。だからおまえは、俺から離れようなどと考えたらいけない」
レオナはもじもじとうつむいた。彼から離れたらすべてが解決すると信じていたことが、どれほど浅はかだったか。それでも、まだセリオスに話さなければいけないことがある。
「あの……」
レオナが顔をあげると、セリオスはその長い指でレオナのあごを支え、口づけをする。レオナが楽園へ逃げようとしたことを許すかのような優しいキスに、レオナは一瞬流されそうになる。
「セリオス様……、あの……」
深くなるキスをとどめて、レオナは彼の肩を押す。
「なんだ? キスぐらい好きにさせてはくれないか」
「大事なお話があるのです」
「まだ何かあるのか?」
彼はすべて解決したと思っているようだ。レオナの胸もとへ手を滑り込ませると、いつものようにふくらみを優しくなでる。抱く気はないのに、レオナにばかりその気にさせる。
「待って……ください。本当に、お話が……」
レオナはセリオスの首にしがみつき、下腹部へ下がっていく指を感じながら、彼の耳もとに唇を寄せ、消え入りそうな声で言う。
「ステラサンクタは楽園の外では子どもを授かれないそうです……」
セリオスの指がぴたりと止まった。それはどんな言動よりも、彼が動揺したことの証だった。
「ですから、はるか昔からステラサンクタはステラサンクタとしか結婚しなかったそうです」
「……その話は知らないでもない」
レオナの目をのぞくセリオスは、頼りない目をしていた。やはり、逸話ではなく、真実なのではないかと不安になる。
「私は……セリオス様のお子を生むことができないのです」
「そんなものは迷信だ」
「迷信ではなかったら、取り返しがつきません」
「過去にないからといって、未来にないと決めつけるな」
セリオスはレオナをベッドへ沈めると、両腕を突きたて、レオナを見下ろした。その瞳は苦しみに満ちている。
「俺はレオナがほしい。レオナとの子どももほしい。だが、おまえを楽園に住まわせる気はない」
ずいぶん勝手なことを言う。レオナの未来を奪うのに、自分の未来を望むなんて。しかし、レオナはそれでもかまわないと思った。短命でも、子どもが授かれなくても、セリオスが大丈夫だと信じてくれている限り、レオナはずっと幸福でいられる。セリオスと離れ、楽園へ戻る幸せよりも、それはもっと幸せなことのように思えた。
「私を愛しているのですか……?」
レオナはセリオスのほおをなでた。
「何を今さら。これほど愛おしく、大事に想う娘はいない」
彼はレオナの手をつかみ、そのひらに口づけをする。
「抱いてくれるのですか?」
「子どもができてもかまわないのか?」
それはとても虚しい問いに聞こえたが、レオナはうなずいた。セリオスは逸話を信じていない。それが何よりも希望になった。
セリオスはシャツを脱ぎ捨てると、レオナにかぶさった。みすぼらしい砂色の髪に指をうずめ、薄く開いた桃色の唇を吸い、身体に沿わせておろしていく指で、ふたたび、下腹部に触れる。
「まだ慣れないのか」
太ももをきつく閉じるレオナの足を大きく広げ、セリオスは柔らかな場所に幾度も長い指を滑らせる。ビクビクと震えるレオナを、彼は目を細めて見つめ、揺れる胸を優しくなでた。
「おまえは清らかで美しいな」
ささやきながら、彼は身体の中へ入ってくる。しっかりと受け止めると、彼はうっすら笑み、大きく腰を揺らした。レオナは悲鳴をあげ、激しく打ちつけてくる彼を必死に受け止めた。いつもより激しかった。そのいつもも、ずいぶん前のことだったが、こんなにも身体の奥底が震える行為だったのかと驚いた。
初めて抱かれたときは単なる儀式だった。次に欲しいと言われたのは、それから数日後のことだったか。
あの痛みが怖くてレオナはおびえていたが、セリオスがどうしてもと言うから許した。恐怖だけではないと知ったのはそのときだった。初めてのときのような痛みはなくて、彼の下半身がこすれるたびに気持ちのよい感覚に襲われた。それから何度か身体を重ねたが、今日ほど、身体の底から湧き上がるような快楽を覚えたことはなかった。
「ずっとこうしておまえを抱きたくて仕方なかった。それは叶ったのに、まだまだ抱きたくてたまらない。おまえはどうしようもなく俺を狂わせたいらしい……」
一方的な恨み節をレオナはどう受け止めていいかわからなかった。しかし、彼はふたたび激しく揺れ、レオナを攻めたてた。並外れた体力を持つ王国最強と言われる騎士は、ぐったりとするレオナから離れないまま横になる。
「セリオス様……」
「このままでよい。しばらくしたら、また抱いてやる」
「え……あの……」
「なんだ、不服か? ずっと我慢してきたのだ。今日ぐらいは朝までおまえを感じさせてくれ」
レオナは恥ずかしくてたまらず、セリオスのゆったりと上下する胸にほおをこすりつけた。彼は笑ったが、ゆるりと頭をなでてくれる手のひらが心地よくて、レオナはいつしか深い眠りに落ちた。
「おまえが言ったではないか。魔力がなくなったと。魔法が使えなくなったと思っているのは、魔石が力をなくしたからだ」
セリオスは断言すると、レオナの指を優しくこすり、魔石としての価値以上を感じているかのように敬意を持って丁寧に、指輪をもとあった場所に戻した。
「おまえは広場でフィリス教皇の銅像を見ただろう? この指輪はステラサンクタのみに与えられる星魔石の指輪。おまえの母は、楽園を離れるおまえがステラサンクタであるという証拠になるものとしてだけでなく、楽園の外に出ても魔法を使えるようにとロデリックに渡したのだろう」
「私には何もわかりません……」
レオナは首を振る。セリオスの話がうそか真実か、それすらレオナには判断がつけられない。
「おまえに魔法を教えたやつは、そんな基本的なことも教えなかったのか?」
あきれを通り越し、セリオスは少々いらだっていた。しかし、レオナが知らないように、彼が知らないこともある。レオナは言い訳するように言う。
「楽園に生まれたものは、赤子が立ち上がったり歩けるようになるのと同じように、気づけば自然と魔法が使えるようになっているものなのです。誰に教わったとかはなく、魔石の力が必要とは知りませんでした」
「それが本当ならば、まさしく、ステラサンクタは神の申し子なのだな。想像でしかないが、おまえは母の魔法を見よう見まねで倣ううちに使えるようになったのだろう」
セリオスの考えは否定できない。母の魔法はそのぐらい身近にあった。
「でも、私は小さなころに星魔石を持たされたことはありません」
「楽園にいたからだろう? 公爵の養女になったのは、15年前だったな。知らないのも無理はないか。楽園には巨大な星魔石があり、楽園全体にその力を惜しみなく与えていると聞く。楽園の中でなら、星魔石を持たなくともその力を利用することはできるのだろう」
「では、星魔石があれば、また回復魔法が使えるようになるのですか?」
「そうだ。しかし、星魔石は楽園でしか採れない特別な鉱石だ。神がこの地を離れるときに流した涙の結晶とも言われている神秘の魔石。楽園へ行かねば、星魔石は絶対に手に入らない」
魔法使いの誰もがあこがれるという、レイヴンが欲しがっている魔石は、星魔石のことなのだ。なぜ、あれほどまでにレイヴンが楽園に固執するのか、ようやくレオナは理解した。
「しかし……」
セリオスは苦渋に満ちた目をして、歯ぎしりをした。
「今はルカの保護が最優先だ。許せ、レオナ」
「許すとは……?」
首をかしげると、セリオスは表情をやわらげる。
「今回の件が落ち着いたら、必ずや、おまえを楽園ユーラスへ連れていってやる。おまえをないがしろにする気はないのだ」
「連れていってくださるのですか?」
セリオスがそこまでしてくれるとは思ってなくて、レオナは素直に驚いた。
「愛する妻のためならば、大したことではない。だからおまえは、俺から離れようなどと考えたらいけない」
レオナはもじもじとうつむいた。彼から離れたらすべてが解決すると信じていたことが、どれほど浅はかだったか。それでも、まだセリオスに話さなければいけないことがある。
「あの……」
レオナが顔をあげると、セリオスはその長い指でレオナのあごを支え、口づけをする。レオナが楽園へ逃げようとしたことを許すかのような優しいキスに、レオナは一瞬流されそうになる。
「セリオス様……、あの……」
深くなるキスをとどめて、レオナは彼の肩を押す。
「なんだ? キスぐらい好きにさせてはくれないか」
「大事なお話があるのです」
「まだ何かあるのか?」
彼はすべて解決したと思っているようだ。レオナの胸もとへ手を滑り込ませると、いつものようにふくらみを優しくなでる。抱く気はないのに、レオナにばかりその気にさせる。
「待って……ください。本当に、お話が……」
レオナはセリオスの首にしがみつき、下腹部へ下がっていく指を感じながら、彼の耳もとに唇を寄せ、消え入りそうな声で言う。
「ステラサンクタは楽園の外では子どもを授かれないそうです……」
セリオスの指がぴたりと止まった。それはどんな言動よりも、彼が動揺したことの証だった。
「ですから、はるか昔からステラサンクタはステラサンクタとしか結婚しなかったそうです」
「……その話は知らないでもない」
レオナの目をのぞくセリオスは、頼りない目をしていた。やはり、逸話ではなく、真実なのではないかと不安になる。
「私は……セリオス様のお子を生むことができないのです」
「そんなものは迷信だ」
「迷信ではなかったら、取り返しがつきません」
「過去にないからといって、未来にないと決めつけるな」
セリオスはレオナをベッドへ沈めると、両腕を突きたて、レオナを見下ろした。その瞳は苦しみに満ちている。
「俺はレオナがほしい。レオナとの子どももほしい。だが、おまえを楽園に住まわせる気はない」
ずいぶん勝手なことを言う。レオナの未来を奪うのに、自分の未来を望むなんて。しかし、レオナはそれでもかまわないと思った。短命でも、子どもが授かれなくても、セリオスが大丈夫だと信じてくれている限り、レオナはずっと幸福でいられる。セリオスと離れ、楽園へ戻る幸せよりも、それはもっと幸せなことのように思えた。
「私を愛しているのですか……?」
レオナはセリオスのほおをなでた。
「何を今さら。これほど愛おしく、大事に想う娘はいない」
彼はレオナの手をつかみ、そのひらに口づけをする。
「抱いてくれるのですか?」
「子どもができてもかまわないのか?」
それはとても虚しい問いに聞こえたが、レオナはうなずいた。セリオスは逸話を信じていない。それが何よりも希望になった。
セリオスはシャツを脱ぎ捨てると、レオナにかぶさった。みすぼらしい砂色の髪に指をうずめ、薄く開いた桃色の唇を吸い、身体に沿わせておろしていく指で、ふたたび、下腹部に触れる。
「まだ慣れないのか」
太ももをきつく閉じるレオナの足を大きく広げ、セリオスは柔らかな場所に幾度も長い指を滑らせる。ビクビクと震えるレオナを、彼は目を細めて見つめ、揺れる胸を優しくなでた。
「おまえは清らかで美しいな」
ささやきながら、彼は身体の中へ入ってくる。しっかりと受け止めると、彼はうっすら笑み、大きく腰を揺らした。レオナは悲鳴をあげ、激しく打ちつけてくる彼を必死に受け止めた。いつもより激しかった。そのいつもも、ずいぶん前のことだったが、こんなにも身体の奥底が震える行為だったのかと驚いた。
初めて抱かれたときは単なる儀式だった。次に欲しいと言われたのは、それから数日後のことだったか。
あの痛みが怖くてレオナはおびえていたが、セリオスがどうしてもと言うから許した。恐怖だけではないと知ったのはそのときだった。初めてのときのような痛みはなくて、彼の下半身がこすれるたびに気持ちのよい感覚に襲われた。それから何度か身体を重ねたが、今日ほど、身体の底から湧き上がるような快楽を覚えたことはなかった。
「ずっとこうしておまえを抱きたくて仕方なかった。それは叶ったのに、まだまだ抱きたくてたまらない。おまえはどうしようもなく俺を狂わせたいらしい……」
一方的な恨み節をレオナはどう受け止めていいかわからなかった。しかし、彼はふたたび激しく揺れ、レオナを攻めたてた。並外れた体力を持つ王国最強と言われる騎士は、ぐったりとするレオナから離れないまま横になる。
「セリオス様……」
「このままでよい。しばらくしたら、また抱いてやる」
「え……あの……」
「なんだ、不服か? ずっと我慢してきたのだ。今日ぐらいは朝までおまえを感じさせてくれ」
レオナは恥ずかしくてたまらず、セリオスのゆったりと上下する胸にほおをこすりつけた。彼は笑ったが、ゆるりと頭をなでてくれる手のひらが心地よくて、レオナはいつしか深い眠りに落ちた。
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