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王都編
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「何を今さら」
あきれたような、いぶかしむようなセリオスに、ルドアースは冷静に続ける。
「これまでもアメリア様は乗り気ではないご様子でしたが、ルカ様を国王にはしないと、本日ははっきり明言されました」
「今になって、なぜだ」
「話し合いがじゅうぶんなされないまま、ルカ様に晩餐会への参加を勧めたからではないかと」
その報告に、セリオスがピリッとしたのがこちらにも伝わってくる。
「まさか、フロストが勧めたのか?」
「いえ、ドレン元帥です」
「ドレンか……」
セリオスは何か心当たりがあるのだろうか。思案げにあごをさする。
「その場では、アメリア様は何もおっしゃらなかったようですが、すぐに宰相閣下を呼び付け、元帥が口を出しすぎだと苦言を呈したようです」
「なるほど。そういうことなら、まずは、アメリアの言い分を聞こう」
「ご案内します」
「待て。レオナをひとりにはできない。連れていく。メイドを呼んでくれ」
ルドアースが頭をさげているうちに、セリオスは扉を閉めるとベッドの脇へ戻ってくる。
「話は聞こえたか?」
「は、はい。アメリア様は大丈夫でしょうか?」
そう尋ねると、セリオスはふっと笑う。
「心配するならフロストの方だな。今ごろ、困り果てているだろう。……しかし、困った。ドレンも何を焦ったか」
セリオスは途中からひとりごとのようにつぶやくと、身支度を整える。そうするうちに、数人のメイドがやってきて、レオナはあっという間に彼女たちに取り囲まれた。彼女たちは淡々とレオナにドレスを着せ、乱れた髪や化粧を直すと、素早く一礼して出ていった。
あっけに取られていると、セリオスが言う。
「心配するな。王宮のメイドは驚くほど口が硬い。レオナがこの部屋にいたことすら、周囲に漏れることはないだろう」
「あ……、何も心配していません」
「まあ、俺はかまわないがな。この世でもっとも稀有で美しい娘とうわさになるのは光栄なことだ」
「美しい人ならたくさんいます……。オリビアさんとか……」
「オリビアの名など出して、嫉妬でもしているのか? そもそも、レオナ以外の娘は論外。おまえは俺の好みなのだ」
そういう論で言えば、オリビアは美しいが、セリオスの好みではないのだろう。安堵することはないが、レオナは納得させられて、セリオスと部屋を出た。
部屋の前で待っていたルドアースとともに歩き出し、レオナは尋ねる。
「アメリア様はどちらに?」
「自室にいるだろう。あれは父王の気に入りで、結婚前から使っていた部屋がそのまま残してある。フロストを呼びつけるにはちょうどいい」
ルドアースはちらりとこちらを振り返り、廊下を曲がる。否定しないところを見ると、セリオスの言う通りなのだろう。
中庭が見える長い廊下を抜けた先に、扉の開いた部屋があった。その前には、見張りの兵士が立っている。ルドアースが扉の前で立ち止まると、セリオスはそのまま部屋の中へ進んだ。
部屋の中にいるのは、二人だけだった。アメリアと白髪の男。彼がフロスト宰相だろう。厳しい顔つきをしていたが、どこか柔らかみがある。枢密院の一員から反発を受けようとも、セリオスとの結婚に裁可を下した、レオナの命の恩人だ。今は前へ出る時ではない。レオナが人知れず一礼すると、彼もまたまばたきで返した。
「フロストを困らせていると聞いたが、少しは落ち着いたか?」
セリオスが、そっぽを向いたままのアメリアに、愉快そうに話しかける。アメリアの不機嫌をやわらげようとしたのだろう。
「兄さま、ちょうどいいところに来てくれたわ。……あら、レオナさんも一緒なのね」
「お久しぶりでございます、アメリア様」
レオナが丁寧に頭をさげる。すると、アメリアはわざわざ椅子から立ち上がり、レオナの手を取った。
「兄さまから無事だと聞いて安心していたけれど、お顔が見られてよかったわ」
レオナは驚いた。少なくとも、アメリアにはよく思われていないと思っていた。
「リーヴァからご同行ができず、ご心配をおかけしました」
「それはあなたのせいではないでしょう。バルター兄さまの所業にはあきれ果てました。ステラサンクタが王族になるのはいばらの道でしょうが、ここまで来たらあなたには覚悟してもらわなければなりません」
「覚悟はしています」
レオナははっきりと断言した。養母のクラリスに言われたからだ。覚悟がないならあきらめなさいという段階ではもうない。覚悟がなくとも、自分を信じて覚悟を持つしかないのだと。
アメリアはじっとレオナの瞳を見つめていたが、しばらくすると、ゆっくりうなずいた。認められたような気がした。
「兄さま、レオナさん、それに、フロスト。よく聞いて。私はルカをこの国の王にする気はありません。彼が生まれる前からその思いはありましたが、今はその思いが間違いではなかったと確信しています」
「どういうことか説明してほしい」
「兄さまもわかっているでしょう? ストークス家にはかつて、ステラサンクタが嫁いでいます。その子孫に何が起きているか」
「身体が弱いという話をしているのか? アランも丈夫ではないと聞くが、心配はいらないように見える。ルカもまた、心配いらないだろう」
貴族に嫁いだステラサンクタは幸せにはなれなかった。そう話したのは、アメリアだった。
ステラサンクタは身体が弱く、楽園以外では長く生きられない……。ステラサンクタにまつわるいくつかの逸話。それは真偽不明であり、レオナはセリオスと幸せになれると信じているが、アメリアはその逸話が嘘ではないと、何か知っているのだろうか。
「ステラサンクタは子孫に禍根を残しました」
アメリアの言葉に、レオナはハッとする。フィリス教皇も言っていた。だからこそ、ステラサンクタはステラサンクタと結婚するのが望ましいのだと。
「ステラサンクタに貴族の生活は向きません。レオナさんを見ていてもそう感じます。もし、兄さまとの間に子を授かっても、呪われた子が生まれる可能性は否定できない」
「そういう話はやめてくれないか」
「兄さまは目を背けるの? ストークス家は長くこの問題を抱えているわ。呪いともいうべきステラサンクタの血は今でも続いているの」
「ストークス家に嫁いだステラサンクタがそうであったというだけだ」
「そうよ。レオナさんは大丈夫かもしれない。だから、覚悟してるのかと尋ねた。覚悟しているなら、私は結婚するなとは言えない。でも、ルカはダメよ。あの子に王になる資質はないのよ」
「そうは見えない。あれほど聡明な少年はどこを探しても見つからないだろう」
「ルカの目はアランと同じなのよ」
アメリアはため息をつくように吐き出した。
「目?」
セリオスは眉をひそめる。
「そう。あの子、いつもルーペを持ち歩いているでしょう? どうしてか、近くのものがよく見えないのよ。王になれば、毎日毎日膨大な文書を読むことになるでしょう。ルカにはそれをこなしていくのは無理なのよ」
「本当か、それは」
「詭弁じゃないわ。ルカは自然豊かなグレイシルで育つ方が幸せなの。いずれ、ストークス家の主となる道を歩ませます」
「しかし、亡き国王陛下の遺言は守らねばなりません」
フロストが口を挟むと、アメリアがうんざりする顔をした。さっきからずっとこの話で堂々巡りしているのだろう。
「あんなことがなければ、お父さまはセリオス兄さまを王にしたでしょう。レオナさんも覚悟しているとおっしゃっています。セリオス兄さまこそ、王にふさわしいわ」
ルカを王にする覚悟は持てない。アメリアはそう言ったのだ。
では、自分は? とレオナは胸のうちに問いかける。もし、セリオスが王となり、彼との間に子どもを授かることができても、王になる器ではない子が生まれるかもしれない。そうなれば、エルアルム国全土を巻き込む問題が生まれるかもしれない。そこまでの覚悟はできているのか……。
「レオナ、一度部屋へ戻ろう」
青ざめていたかもしれない。セリオスは心配そうにレオナの腰を抱くと、アメリアとフロストへ目を向ける。
「この話は俺に預けろ。フロストはドレンの動きに注視し、ルカに関する情報が漏れぬよう徹底しろ。アメリアも、もうこの件に口出しはするな。悪いようにはしない」
フロストは胸に手をあてて頭を深くさげ、アメリアは「信じているわよ」と祈る目をした。
あきれたような、いぶかしむようなセリオスに、ルドアースは冷静に続ける。
「これまでもアメリア様は乗り気ではないご様子でしたが、ルカ様を国王にはしないと、本日ははっきり明言されました」
「今になって、なぜだ」
「話し合いがじゅうぶんなされないまま、ルカ様に晩餐会への参加を勧めたからではないかと」
その報告に、セリオスがピリッとしたのがこちらにも伝わってくる。
「まさか、フロストが勧めたのか?」
「いえ、ドレン元帥です」
「ドレンか……」
セリオスは何か心当たりがあるのだろうか。思案げにあごをさする。
「その場では、アメリア様は何もおっしゃらなかったようですが、すぐに宰相閣下を呼び付け、元帥が口を出しすぎだと苦言を呈したようです」
「なるほど。そういうことなら、まずは、アメリアの言い分を聞こう」
「ご案内します」
「待て。レオナをひとりにはできない。連れていく。メイドを呼んでくれ」
ルドアースが頭をさげているうちに、セリオスは扉を閉めるとベッドの脇へ戻ってくる。
「話は聞こえたか?」
「は、はい。アメリア様は大丈夫でしょうか?」
そう尋ねると、セリオスはふっと笑う。
「心配するならフロストの方だな。今ごろ、困り果てているだろう。……しかし、困った。ドレンも何を焦ったか」
セリオスは途中からひとりごとのようにつぶやくと、身支度を整える。そうするうちに、数人のメイドがやってきて、レオナはあっという間に彼女たちに取り囲まれた。彼女たちは淡々とレオナにドレスを着せ、乱れた髪や化粧を直すと、素早く一礼して出ていった。
あっけに取られていると、セリオスが言う。
「心配するな。王宮のメイドは驚くほど口が硬い。レオナがこの部屋にいたことすら、周囲に漏れることはないだろう」
「あ……、何も心配していません」
「まあ、俺はかまわないがな。この世でもっとも稀有で美しい娘とうわさになるのは光栄なことだ」
「美しい人ならたくさんいます……。オリビアさんとか……」
「オリビアの名など出して、嫉妬でもしているのか? そもそも、レオナ以外の娘は論外。おまえは俺の好みなのだ」
そういう論で言えば、オリビアは美しいが、セリオスの好みではないのだろう。安堵することはないが、レオナは納得させられて、セリオスと部屋を出た。
部屋の前で待っていたルドアースとともに歩き出し、レオナは尋ねる。
「アメリア様はどちらに?」
「自室にいるだろう。あれは父王の気に入りで、結婚前から使っていた部屋がそのまま残してある。フロストを呼びつけるにはちょうどいい」
ルドアースはちらりとこちらを振り返り、廊下を曲がる。否定しないところを見ると、セリオスの言う通りなのだろう。
中庭が見える長い廊下を抜けた先に、扉の開いた部屋があった。その前には、見張りの兵士が立っている。ルドアースが扉の前で立ち止まると、セリオスはそのまま部屋の中へ進んだ。
部屋の中にいるのは、二人だけだった。アメリアと白髪の男。彼がフロスト宰相だろう。厳しい顔つきをしていたが、どこか柔らかみがある。枢密院の一員から反発を受けようとも、セリオスとの結婚に裁可を下した、レオナの命の恩人だ。今は前へ出る時ではない。レオナが人知れず一礼すると、彼もまたまばたきで返した。
「フロストを困らせていると聞いたが、少しは落ち着いたか?」
セリオスが、そっぽを向いたままのアメリアに、愉快そうに話しかける。アメリアの不機嫌をやわらげようとしたのだろう。
「兄さま、ちょうどいいところに来てくれたわ。……あら、レオナさんも一緒なのね」
「お久しぶりでございます、アメリア様」
レオナが丁寧に頭をさげる。すると、アメリアはわざわざ椅子から立ち上がり、レオナの手を取った。
「兄さまから無事だと聞いて安心していたけれど、お顔が見られてよかったわ」
レオナは驚いた。少なくとも、アメリアにはよく思われていないと思っていた。
「リーヴァからご同行ができず、ご心配をおかけしました」
「それはあなたのせいではないでしょう。バルター兄さまの所業にはあきれ果てました。ステラサンクタが王族になるのはいばらの道でしょうが、ここまで来たらあなたには覚悟してもらわなければなりません」
「覚悟はしています」
レオナははっきりと断言した。養母のクラリスに言われたからだ。覚悟がないならあきらめなさいという段階ではもうない。覚悟がなくとも、自分を信じて覚悟を持つしかないのだと。
アメリアはじっとレオナの瞳を見つめていたが、しばらくすると、ゆっくりうなずいた。認められたような気がした。
「兄さま、レオナさん、それに、フロスト。よく聞いて。私はルカをこの国の王にする気はありません。彼が生まれる前からその思いはありましたが、今はその思いが間違いではなかったと確信しています」
「どういうことか説明してほしい」
「兄さまもわかっているでしょう? ストークス家にはかつて、ステラサンクタが嫁いでいます。その子孫に何が起きているか」
「身体が弱いという話をしているのか? アランも丈夫ではないと聞くが、心配はいらないように見える。ルカもまた、心配いらないだろう」
貴族に嫁いだステラサンクタは幸せにはなれなかった。そう話したのは、アメリアだった。
ステラサンクタは身体が弱く、楽園以外では長く生きられない……。ステラサンクタにまつわるいくつかの逸話。それは真偽不明であり、レオナはセリオスと幸せになれると信じているが、アメリアはその逸話が嘘ではないと、何か知っているのだろうか。
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アメリアの言葉に、レオナはハッとする。フィリス教皇も言っていた。だからこそ、ステラサンクタはステラサンクタと結婚するのが望ましいのだと。
「ステラサンクタに貴族の生活は向きません。レオナさんを見ていてもそう感じます。もし、兄さまとの間に子を授かっても、呪われた子が生まれる可能性は否定できない」
「そういう話はやめてくれないか」
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「ストークス家に嫁いだステラサンクタがそうであったというだけだ」
「そうよ。レオナさんは大丈夫かもしれない。だから、覚悟してるのかと尋ねた。覚悟しているなら、私は結婚するなとは言えない。でも、ルカはダメよ。あの子に王になる資質はないのよ」
「そうは見えない。あれほど聡明な少年はどこを探しても見つからないだろう」
「ルカの目はアランと同じなのよ」
アメリアはため息をつくように吐き出した。
「目?」
セリオスは眉をひそめる。
「そう。あの子、いつもルーペを持ち歩いているでしょう? どうしてか、近くのものがよく見えないのよ。王になれば、毎日毎日膨大な文書を読むことになるでしょう。ルカにはそれをこなしていくのは無理なのよ」
「本当か、それは」
「詭弁じゃないわ。ルカは自然豊かなグレイシルで育つ方が幸せなの。いずれ、ストークス家の主となる道を歩ませます」
「しかし、亡き国王陛下の遺言は守らねばなりません」
フロストが口を挟むと、アメリアがうんざりする顔をした。さっきからずっとこの話で堂々巡りしているのだろう。
「あんなことがなければ、お父さまはセリオス兄さまを王にしたでしょう。レオナさんも覚悟しているとおっしゃっています。セリオス兄さまこそ、王にふさわしいわ」
ルカを王にする覚悟は持てない。アメリアはそう言ったのだ。
では、自分は? とレオナは胸のうちに問いかける。もし、セリオスが王となり、彼との間に子どもを授かることができても、王になる器ではない子が生まれるかもしれない。そうなれば、エルアルム国全土を巻き込む問題が生まれるかもしれない。そこまでの覚悟はできているのか……。
「レオナ、一度部屋へ戻ろう」
青ざめていたかもしれない。セリオスは心配そうにレオナの腰を抱くと、アメリアとフロストへ目を向ける。
「この話は俺に預けろ。フロストはドレンの動きに注視し、ルカに関する情報が漏れぬよう徹底しろ。アメリアも、もうこの件に口出しはするな。悪いようにはしない」
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