何万回囁いても

水城ひさぎ

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別離

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***


 俺に抱きつく静香は、引きはなそうとしても何度もしがみついてくる。

「私は佑樹が好きなのっ」

 俺を重いと言ってふったのに?

「あの子の何がいいのっ?」

 何がいい?
 結衣の良さを静香に聞かせてやる必要はないだろう。

「結衣の代わりになりたいっていったよな」
「……ええ」

 俺を見上げる静香の肩に手を置き、そっと押す。

「結衣の代わりなんていないよ。まして、静香に代わりなんてつとまらない。結衣は俺にとってかけがえのない女性なんだ」

 結衣の代わり?そんなこと考えたくもない。

「ゆう……」
「帰ってくれ。やり直す気はない」

 わかってくれ、静香。
 君は俺の運命の相手じゃない。
 そうしたのは、君だろう?

「佑樹……」

 静香は俺から離れると、泣き出しそうな顔で出ていった。

 俺は玄関ドアにもたれ、天井を仰いだ。

 結衣、君は知っているだろうか。
 君を一目見て、俺は運命を感じたんだ。

 その運命の糸をたぐりよせたのは、俺なんだよ、結衣。
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