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すれ違う祈り
12
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***
俺の中に嫌な予感があった。
那波がどれほどの思いを抱えて今まで生きてきたのか。それを俺は知らない。
彼女が思い直して、あの日を取り戻す計画を中止にしてくれたなんて、安易に考え過ぎていただろうか。
彼女は俺をだましたか。
失望が浮かぶ中、必死に自転車を走らせながら考える。
しかし答えはノーだ。那波は嘘をついていない。俺が勝手に勘違いしただけだ。
那波は俺に相談せず、予定通りに輝を家に呼んだ。
計画を反対する俺には告げられず、自分を取り戻すため、見えない神という存在に一人で立ち向かおうとしている。
俺は肝心な時に彼女の支えになれていないのだ。
那波の屋敷にたどり着いた時には、午後2時15分になっていた。
はやる気持ちをこらえながら、立ちはだかる荘厳な門に取り付けられたチャイムを押す。すると思いがけずすぐに女性の声が応答した。
「木梨と言います。飛流……、あの、那波さんはいらっしゃいますか?」
「木梨、凪さん?」
「あ、はいっ、そうです」
そうインターフォンに返事した後、ほどなくして大きな門が自動で開いた。
俺はすぐさま中に飛び込み、玄関まで走った。長い石畳がもどかしい。息を切らして玄関に到着する頃には、玄関前に綺麗な女性が出迎えに現れていた。
一目で、飛流姉妹の母親だとわかった。芽依によく似ている。アッシュブラウンの髪も、大きなシナモン色の瞳も、芽依を連想させる。
那波とは全く違う風貌なのに、彼女を取り囲む雰囲気がなぜだか那波に似ているようだと感じた。
「あのっ、木梨凪です、はじめまして。那波さんの同級生で、同じ部活に入ってます」
頭をさげると、那波の母親は静かに言う。
「聞いています、芽依から。確か、約束は三時と」
「……すみません、少し早く来てしまって」
「三時にまたいらしてください。約束は守って頂かないと困りますから」
取りつく島もない言い方に、招かれざる客なのだと思えてくるが、引くわけにはいかず訴えた。
「少し前に樋野輝先輩が来てるはずです。俺、どうしても話があって。三時じゃ遅いんですっ」
那波は二時半に計画を実行するだろう。だからこそ、那波は俺に三時を指定したのだ。
三時に会えるのは、芽依だろうか。それとも那波か。もしかしたら二人ともにも会えないかもしれない。
いま会わなければ、俺は一生後悔するかもしれないのだ。
焦りが判断する能力を奪って、その考えから離れられない俺を、那波の母親は冷静に見つめている。
「あの子が……、那波が何をしているかは関与していません。私が聞いているのは、三時に木梨凪さんがいらっしゃることだけ。他に申し上げることはないわ」
「そんな……、だって那波さんもあなたの娘でしょう? もしかしたらいなくなるかもしれないのに、関与してないなんて言葉で済ますなんて」
「何を言われようとも、あの子のことはあの子に任せています。あの子は一人で生きていけるよう、私たちも育ててきましたから」
「……それは言い訳です。ただ関わりたくないから、そんな大義名分を掲げてるだけでしょう」
無感情に俺を見つめていた那波の母親は、スッと眉をひそめて目を逸らした。
「誰があの子を愛せますか。育ててきただけでも感謝されていいはずです」
彼女は那波がこれからしようとしていることを知っている。それを容認している。俺のことも知っていて、俺の存在を煙たがっている。だから俺を追い返そうとしている。そんな気がしてならない。
「だから、見殺しにしてもかまわない理由にはならないでしょう?」
「見殺し……、おかしなことを言われるのね。あの子はとっくの昔に死んでいるのに」
「それは、嘉木野ナミさんの話でしょう?心はあなたの娘の芽依ですよね」
「そんなこと言って、誰が理解するの。笑われるか、頭がおかしいと噂されるだけ。あなたもあの子に関わるのはやめなさい」
「ご存知なんですよね? 那波さんが今日何をしようとしてるのか。知ってて、知らぬふりをするんですよね」
「芽依は……、本当に私たちの自慢の娘だったのよ。それがあんな……」
那波の母親は、絶望を浮かべた表情を隠すように片手を顔に当てる。
その仕草が那波そのものに見えて。ああ、やはり親子なのだと思えてならない。
「後悔します、きっと。那波さんが生まれて、悪いことばかりでもなかったですよね。これから先だって、楽しいこともあるかもしれないのに全部なかったことにするなんて、那波さんがかわいそうです」
「あなたに何がわかるの。那波が現れた時の恐怖があなたにわかるわけがない。はやく消えて欲しい。何度も娘に対して願う親の気持ちなどわからないでしょう」
感情を高ぶらせる母親は、苦しげに胸をおさえる。
飛流一家の苦しみを理解するのは無理だろう。ここで話し合って、理解し合う時間もない。だが、このまま引き下がるわけにもいかない。
「那波さんに会わせてもらえませんか?」
「それは出来ません。あの子が自ら消えて、私たちの芽依を返してくれるなら、あの子を止める理由はありません」
「芽依は今のままでも十分自慢の娘でしょう? 那波さんは俺にとって必要な存在なんです。もっと話し合う時間が欲しいんです。このまま別れるなんて考えられない」
「……芽依は、自慢の娘なんかじゃないわ」
那波の母親は定まらない視線をそのままに言う。
「あの日から芽依は私たちを煩わせない子供になったけれど、心がないの。私たち夫婦の理想の娘なだけ。それに比べて那波は違ったわ。私たちを煩わせはするけど、あの子には心があった。私に似たところもたくさんあって……、まるで芽依の方が人形のようだったわ」
「芽依が?」
「芽依は私たちに与えられた人形よ。思い通りになる子供を模した人形。私たちの操り人形ね……。自分の意思でなんて生きてない」
「……そんなことは」
息を飲む俺に、那波の母親は祈るような目を向ける。
「あなたは那波を大切に思うのね。それは私たち夫婦も同じよ。昔のように幸せな家庭を取り戻したい。それが願いよ」
「俺は……」
間違っているだろうか、俺は。
那波を失いたくない。そう思っているのは俺だけで、那波も彼女の両親も元通りになることを望んでいる。わがままを言っているのは俺だけなのだろうか。
「俺は……、もう少し那波さんと話がしたい」
納得できない別れに苦しめられる俺の気持ちを、那波の母親なら理解できるだろう。ある日、突然娘を神に奪われた彼女なら。
「あなたの気持ちは考慮できないわ。あの子が芽依を私たちに返してくれる気にようやくなったのよ。お願いだから、あの子を止めないで。私たちに本当の芽依を返してちょうだい……」
那波の母親は玄関ドアに手をかけて俺に背を向ける。もう話し合う余地はない。時間もない。
腕時計に視線を落とす。時刻は二時半を過ぎようとしている。
那波が消えてしまう。焦りは失せて、虚しさが胸に広がる。
「……それで、飛流さんは幸せになれますか」
ぽつりとつぶやく俺を、那波の母親は無言で振り返る。
「幸せになれるなら……、俺はそれでいい」
ぽたぽたと、手の甲に雫が落ちた。
「なさけねぇ……」
泣くなんてみっともない。そう思うのに、何度ぬぐっても涙があふれてくる。
俺は那波が好きだった。たとえ計画が成功し、芽依の中に彼女が息づいたとしても、また好きになれる自信はない。俺が出会った飛流那波が、俺にとってすべての那波だった。
「那波のために泣いてくれる子が……、いるのね」
那波の母親は大きくドアを開いた。
突然訪れた招かれざる客が不躾に気持ちを押し付けたのに、誠意を見せて気持ちを話してくれた母親は、やはり那波に似ている気がする。
本当の芽依は、那波の中にある心。
その心をナミの体にとどめ続けたいと願う俺は、飛流一家の幸福を奪っているのかもしれない。
それでも俺は、盲目で。何が善で、何が悪かなんて判断できなくて。
「あの子は影見神社にいます。最後にお別れを伝えてきなさい。そしてあの子のことはお忘れなさい」
決して喜ばしい言葉ではなかったものの、俺は一礼してドアの中に駆け込んだ。
そして那波と歩いて向かった影見神社までの清らかな道を走った。もう遅いかもしれない。それでも、俺は伝えたくて走り続けた。
できることなら、那波のままの彼女を愛し続けさせて欲しい。それが俺の祈りだ。
俺の中に嫌な予感があった。
那波がどれほどの思いを抱えて今まで生きてきたのか。それを俺は知らない。
彼女が思い直して、あの日を取り戻す計画を中止にしてくれたなんて、安易に考え過ぎていただろうか。
彼女は俺をだましたか。
失望が浮かぶ中、必死に自転車を走らせながら考える。
しかし答えはノーだ。那波は嘘をついていない。俺が勝手に勘違いしただけだ。
那波は俺に相談せず、予定通りに輝を家に呼んだ。
計画を反対する俺には告げられず、自分を取り戻すため、見えない神という存在に一人で立ち向かおうとしている。
俺は肝心な時に彼女の支えになれていないのだ。
那波の屋敷にたどり着いた時には、午後2時15分になっていた。
はやる気持ちをこらえながら、立ちはだかる荘厳な門に取り付けられたチャイムを押す。すると思いがけずすぐに女性の声が応答した。
「木梨と言います。飛流……、あの、那波さんはいらっしゃいますか?」
「木梨、凪さん?」
「あ、はいっ、そうです」
そうインターフォンに返事した後、ほどなくして大きな門が自動で開いた。
俺はすぐさま中に飛び込み、玄関まで走った。長い石畳がもどかしい。息を切らして玄関に到着する頃には、玄関前に綺麗な女性が出迎えに現れていた。
一目で、飛流姉妹の母親だとわかった。芽依によく似ている。アッシュブラウンの髪も、大きなシナモン色の瞳も、芽依を連想させる。
那波とは全く違う風貌なのに、彼女を取り囲む雰囲気がなぜだか那波に似ているようだと感じた。
「あのっ、木梨凪です、はじめまして。那波さんの同級生で、同じ部活に入ってます」
頭をさげると、那波の母親は静かに言う。
「聞いています、芽依から。確か、約束は三時と」
「……すみません、少し早く来てしまって」
「三時にまたいらしてください。約束は守って頂かないと困りますから」
取りつく島もない言い方に、招かれざる客なのだと思えてくるが、引くわけにはいかず訴えた。
「少し前に樋野輝先輩が来てるはずです。俺、どうしても話があって。三時じゃ遅いんですっ」
那波は二時半に計画を実行するだろう。だからこそ、那波は俺に三時を指定したのだ。
三時に会えるのは、芽依だろうか。それとも那波か。もしかしたら二人ともにも会えないかもしれない。
いま会わなければ、俺は一生後悔するかもしれないのだ。
焦りが判断する能力を奪って、その考えから離れられない俺を、那波の母親は冷静に見つめている。
「あの子が……、那波が何をしているかは関与していません。私が聞いているのは、三時に木梨凪さんがいらっしゃることだけ。他に申し上げることはないわ」
「そんな……、だって那波さんもあなたの娘でしょう? もしかしたらいなくなるかもしれないのに、関与してないなんて言葉で済ますなんて」
「何を言われようとも、あの子のことはあの子に任せています。あの子は一人で生きていけるよう、私たちも育ててきましたから」
「……それは言い訳です。ただ関わりたくないから、そんな大義名分を掲げてるだけでしょう」
無感情に俺を見つめていた那波の母親は、スッと眉をひそめて目を逸らした。
「誰があの子を愛せますか。育ててきただけでも感謝されていいはずです」
彼女は那波がこれからしようとしていることを知っている。それを容認している。俺のことも知っていて、俺の存在を煙たがっている。だから俺を追い返そうとしている。そんな気がしてならない。
「だから、見殺しにしてもかまわない理由にはならないでしょう?」
「見殺し……、おかしなことを言われるのね。あの子はとっくの昔に死んでいるのに」
「それは、嘉木野ナミさんの話でしょう?心はあなたの娘の芽依ですよね」
「そんなこと言って、誰が理解するの。笑われるか、頭がおかしいと噂されるだけ。あなたもあの子に関わるのはやめなさい」
「ご存知なんですよね? 那波さんが今日何をしようとしてるのか。知ってて、知らぬふりをするんですよね」
「芽依は……、本当に私たちの自慢の娘だったのよ。それがあんな……」
那波の母親は、絶望を浮かべた表情を隠すように片手を顔に当てる。
その仕草が那波そのものに見えて。ああ、やはり親子なのだと思えてならない。
「後悔します、きっと。那波さんが生まれて、悪いことばかりでもなかったですよね。これから先だって、楽しいこともあるかもしれないのに全部なかったことにするなんて、那波さんがかわいそうです」
「あなたに何がわかるの。那波が現れた時の恐怖があなたにわかるわけがない。はやく消えて欲しい。何度も娘に対して願う親の気持ちなどわからないでしょう」
感情を高ぶらせる母親は、苦しげに胸をおさえる。
飛流一家の苦しみを理解するのは無理だろう。ここで話し合って、理解し合う時間もない。だが、このまま引き下がるわけにもいかない。
「那波さんに会わせてもらえませんか?」
「それは出来ません。あの子が自ら消えて、私たちの芽依を返してくれるなら、あの子を止める理由はありません」
「芽依は今のままでも十分自慢の娘でしょう? 那波さんは俺にとって必要な存在なんです。もっと話し合う時間が欲しいんです。このまま別れるなんて考えられない」
「……芽依は、自慢の娘なんかじゃないわ」
那波の母親は定まらない視線をそのままに言う。
「あの日から芽依は私たちを煩わせない子供になったけれど、心がないの。私たち夫婦の理想の娘なだけ。それに比べて那波は違ったわ。私たちを煩わせはするけど、あの子には心があった。私に似たところもたくさんあって……、まるで芽依の方が人形のようだったわ」
「芽依が?」
「芽依は私たちに与えられた人形よ。思い通りになる子供を模した人形。私たちの操り人形ね……。自分の意思でなんて生きてない」
「……そんなことは」
息を飲む俺に、那波の母親は祈るような目を向ける。
「あなたは那波を大切に思うのね。それは私たち夫婦も同じよ。昔のように幸せな家庭を取り戻したい。それが願いよ」
「俺は……」
間違っているだろうか、俺は。
那波を失いたくない。そう思っているのは俺だけで、那波も彼女の両親も元通りになることを望んでいる。わがままを言っているのは俺だけなのだろうか。
「俺は……、もう少し那波さんと話がしたい」
納得できない別れに苦しめられる俺の気持ちを、那波の母親なら理解できるだろう。ある日、突然娘を神に奪われた彼女なら。
「あなたの気持ちは考慮できないわ。あの子が芽依を私たちに返してくれる気にようやくなったのよ。お願いだから、あの子を止めないで。私たちに本当の芽依を返してちょうだい……」
那波の母親は玄関ドアに手をかけて俺に背を向ける。もう話し合う余地はない。時間もない。
腕時計に視線を落とす。時刻は二時半を過ぎようとしている。
那波が消えてしまう。焦りは失せて、虚しさが胸に広がる。
「……それで、飛流さんは幸せになれますか」
ぽつりとつぶやく俺を、那波の母親は無言で振り返る。
「幸せになれるなら……、俺はそれでいい」
ぽたぽたと、手の甲に雫が落ちた。
「なさけねぇ……」
泣くなんてみっともない。そう思うのに、何度ぬぐっても涙があふれてくる。
俺は那波が好きだった。たとえ計画が成功し、芽依の中に彼女が息づいたとしても、また好きになれる自信はない。俺が出会った飛流那波が、俺にとってすべての那波だった。
「那波のために泣いてくれる子が……、いるのね」
那波の母親は大きくドアを開いた。
突然訪れた招かれざる客が不躾に気持ちを押し付けたのに、誠意を見せて気持ちを話してくれた母親は、やはり那波に似ている気がする。
本当の芽依は、那波の中にある心。
その心をナミの体にとどめ続けたいと願う俺は、飛流一家の幸福を奪っているのかもしれない。
それでも俺は、盲目で。何が善で、何が悪かなんて判断できなくて。
「あの子は影見神社にいます。最後にお別れを伝えてきなさい。そしてあの子のことはお忘れなさい」
決して喜ばしい言葉ではなかったものの、俺は一礼してドアの中に駆け込んだ。
そして那波と歩いて向かった影見神社までの清らかな道を走った。もう遅いかもしれない。それでも、俺は伝えたくて走り続けた。
できることなら、那波のままの彼女を愛し続けさせて欲しい。それが俺の祈りだ。
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