14 / 58
見せられないカラダと刻印
3
しおりを挟む
*
セオの白銀の髪は月明かりを受けて闇の中に浮かび上がり、輝いていた。
背後に立つ小柄の中年女性はセオの髪結ルベだろうか。見落としてしまいそうなほど存在感のない女性だ。
真凛は久しぶりにセオに会えた喜びから、相手が王子であることも忘れたように手を振った。
セオも真凛に気づき何か言いかけた、その時、不意に後ろから抱き寄せられて、目の前の窓が閉じられてしまう。
「マリン、あまり夜風にあたるのは良くないですよ」
「ベリル王子。今ね、セオ王子が外に……」
「わかっています。マリンに会いに来たのでしょう」
「私に? そうなの? 私もセオの横笛を近くで聞いてみたいわ。次はいつ会えるかしらと心待ちにしてるの」
そう言って、ベリルの腕に包まれたまま彼を見上げる。髪を撫で下ろしてくる指先の優しさそのままに、真凛を見つめる青い眼差しも情愛に満ちる。
「ベリル王子?」
「休みましょう。夏の夜でも人肌恋しくなることはあるものですね」
ベリルは軽々と真凛を抱き上げると、ベッドへと連れていく。
毎晩ともに過ごすベッドの触り心地には馴染んだが、ベリルの腕の中で眠るのはなかなか慣れない。
「今日は触れても?」
甘えるような流し目で、横たえる真凛の胸元をスッとベリルがなでる。
「あー、よ、よくはないと思うわ。ほら、エスカレートしたら余計につらいでしょ?」
何がつらいのかもわかってないが、慌てて胸元を隠して自衛すれば、ベリルは残念そうに枕に頭をうずめる。
「マリンの言う通りです。高まる情熱をどこへぶつけたらいいものかと悩むのも心憂えます。羨ましく思う気持ちはすでに行き場をなくして苦しんでいますが……」
「羨ましい?」
アウイのような栄光ある未来を約束された王子ではないものの、全てと言っても過言ではないほどの豊かさを手中にできるベリルが羨むものとは何であろう。
「キスぐらいはしたいものです」
それは親愛の、だろうか。兄が妹へ送るキスにも違和感はあるが、ベリルはほんの少し首をあげて、真凛のひたいにキスをする。
「マリンを守れるのは私だけですよ。それだけは覚えていてください」
切なげにベリルは言うと、腕の中の真凛を優しく包み込むように抱きしめて、まぶたを閉じる。
真凛はわずかに身じろぎして赤い天蓋を見上げた。
遠くから笛の音色が聞こえている。ベリルの耳に届かないはずはないのに、彼は微動だにすることなく深い眠りに落ちていくようだった。
翌朝は晴天で、窓辺で鳴く鳥のさえずりで目が覚めた。いまだ眠るベリルのベッドから抜け出し、サンの部屋へ移動する。サンはすでに朝支度を済ませ、真凛の着替えを手伝う。
真凛が髪を結い上げて整え終える頃、ガラスの花瓶を手にサンは言う。
「マリン、今朝は中庭にムクゲが咲いていますから、ふた花ほど摘んできてくれる?」
昨夜用意したジャスミンと取り替えるのだろう。
「すぐに行ってくるわ」
真凛は切りバサミを胸元へしまい、サンの部屋を出て中庭へ向かう。
衛兵たちは真凛とすれ違うとほおを赤らめてひそひそ話をする。髪結というのは侍従の中ではかなり高位の職らしい。彼らはうわさ話はしても、決して気安く話しかけてはこなかった。
穏やかな日々が続いている。王宮から出ること以外は、比較的自由にさせてくれている。
タンザ国王陛下の葬儀がつつがなく終えられたことは衛兵たちの噂で知った。
数日前、ベリルは質素な衣服にきらびやかな勲章を身につけ外出した。あの日がタンザ国王との最期の別れだったのだろう。
ほんの少しだけ、父の顔を見てみたい思いはあった。しかしそれを口にすることはできなかった。
優しいベリルなら、もしかしたら葬儀に参列することを許したかもしれないと今でも思わないでもないが、きっと何の感慨もなく、父の死を他人事のようにしか受け取れない気もした。それもなんだか怖かった。
中庭へ到着すると、すぐにムクゲを見つけることができた。夜にはしおれる儚い花だが、その一瞬の美しさをベリルに楽しんでもらおうというサンの気配りを感じる。
彼女より勝る髪結にはなれないだろう。ベリルの側にいつまでいられるだろうか。そんなことも時々思う。
ムクゲを二本切り取り、すぐに部屋へ戻ろうとする真凛の前へ青年が現れる。白銀の髪が美しいその青年はセオだ。
「気持ちのいい朝だな、真凛。俺にもそのムクゲを分けてくれるか?」
セオは1日の始まりにふさわしく爽やかに微笑む。
時折、彼はあどけない少年のような、そして成熟した大人になろうと背伸びするような話し方をする。
すぐに大人になってしまうだろう青年に、真凛も笑顔で応える。
「ええ、いくつ?」
「それでは三本」
「三本ね」
「兄上より多い方が気分がいい」
兄に勝ることができるのはそれぐらいだ、とセオは苦笑いする。
真凛は三本のムクゲを切り取ると、胸元から取り出したハンカチで束ね、セオに手渡す。
「セオ王子にはセオ王子の良さがあるじゃない。それは数の多さでは測れないものでしょう?」
セオは少々驚いたようにハッと小さく息を飲む。
「たとえば、どのような?」
「そうねー、たとえば、その横笛、髪の色、あなたが生まれ落ちた地位も、すべて」
「横笛はひまつぶしだ。ご覧の髪の色は誇れるものでもない。……だが、真凛に出会えたのだから、王子として生まれたことは誇れる」
「誇りがあるのはいいことよ。横笛の音色は時々部屋まで聞こえるの。いつか近くで聞いてみたいわ。髪もとても綺麗よ。誇れないなんてことないわ」
自信をもって、と励ますのは弟への思いというより、純粋にそう感じたからだ。
自信に満ち溢れたアウイに比べ、ベリルもセオもどこか憂えたところがある。その差がなんなのか真凛にはわからない。
「時間があるならすぐに聞かせよう」
セオは横笛を見せてそう言う。
「ごめんなさい。すぐに戻らないと」
「いつなら会える?」
髪結に自由になる時間などないことは知っているはずなのに、セオは会いたいと言う。
「夜……、なら」
真凛はしばらく悩んでそう答えた。ベリルが寝静まった後なら部屋を抜け出すことも可能だろう。
「では今夜、ここで」
「必ずと約束はできないけれど」
「毎夜待つ。あなたに会えるまで、雨の日でもここを訪れよう」
「セオ王子……」
真凛はほんのり胸が熱くなるのを感じた。
「なぜセオ王子の髪結にならなかったのかしら。アウイ王子もベリル王子も私を大切に思ってくれているけれど、少しセオ王子は違う気がするの。うまく言えないけれど」
「兄上は忙しいから真凛の話をゆっくり聞く時間がないのかもしれない」
「……そう。そうね、きっとそれね。アルマンにもまだ会えていないし、少し気弱になってるんだわ。今夜、きっと来るわ。セオ王子に話を聞いてもらいたいの」
セドニーへ来てから弱音を吐いたことはなかった。恵まれた生活の中に空虚さを感じていた。それに気づかせてくれるのはセオだった。
悩みを話すのは甘えだ。それでも甘えたいと思う。それがアウイにもベリルにも持てない感情なのだと真凛は知る。
「待ってるから」
切なげに言うセオの手の中のハンカチに真凛は触れる。
「今夜、ハンカチを取りに来るわ」
名目があれば会える。そんな風に考えてしまうほど、真凛もまたセオと同様、大人になりきれない子どもで、すぐに大人になれてしまう年頃でもあった。
セオの白銀の髪は月明かりを受けて闇の中に浮かび上がり、輝いていた。
背後に立つ小柄の中年女性はセオの髪結ルベだろうか。見落としてしまいそうなほど存在感のない女性だ。
真凛は久しぶりにセオに会えた喜びから、相手が王子であることも忘れたように手を振った。
セオも真凛に気づき何か言いかけた、その時、不意に後ろから抱き寄せられて、目の前の窓が閉じられてしまう。
「マリン、あまり夜風にあたるのは良くないですよ」
「ベリル王子。今ね、セオ王子が外に……」
「わかっています。マリンに会いに来たのでしょう」
「私に? そうなの? 私もセオの横笛を近くで聞いてみたいわ。次はいつ会えるかしらと心待ちにしてるの」
そう言って、ベリルの腕に包まれたまま彼を見上げる。髪を撫で下ろしてくる指先の優しさそのままに、真凛を見つめる青い眼差しも情愛に満ちる。
「ベリル王子?」
「休みましょう。夏の夜でも人肌恋しくなることはあるものですね」
ベリルは軽々と真凛を抱き上げると、ベッドへと連れていく。
毎晩ともに過ごすベッドの触り心地には馴染んだが、ベリルの腕の中で眠るのはなかなか慣れない。
「今日は触れても?」
甘えるような流し目で、横たえる真凛の胸元をスッとベリルがなでる。
「あー、よ、よくはないと思うわ。ほら、エスカレートしたら余計につらいでしょ?」
何がつらいのかもわかってないが、慌てて胸元を隠して自衛すれば、ベリルは残念そうに枕に頭をうずめる。
「マリンの言う通りです。高まる情熱をどこへぶつけたらいいものかと悩むのも心憂えます。羨ましく思う気持ちはすでに行き場をなくして苦しんでいますが……」
「羨ましい?」
アウイのような栄光ある未来を約束された王子ではないものの、全てと言っても過言ではないほどの豊かさを手中にできるベリルが羨むものとは何であろう。
「キスぐらいはしたいものです」
それは親愛の、だろうか。兄が妹へ送るキスにも違和感はあるが、ベリルはほんの少し首をあげて、真凛のひたいにキスをする。
「マリンを守れるのは私だけですよ。それだけは覚えていてください」
切なげにベリルは言うと、腕の中の真凛を優しく包み込むように抱きしめて、まぶたを閉じる。
真凛はわずかに身じろぎして赤い天蓋を見上げた。
遠くから笛の音色が聞こえている。ベリルの耳に届かないはずはないのに、彼は微動だにすることなく深い眠りに落ちていくようだった。
翌朝は晴天で、窓辺で鳴く鳥のさえずりで目が覚めた。いまだ眠るベリルのベッドから抜け出し、サンの部屋へ移動する。サンはすでに朝支度を済ませ、真凛の着替えを手伝う。
真凛が髪を結い上げて整え終える頃、ガラスの花瓶を手にサンは言う。
「マリン、今朝は中庭にムクゲが咲いていますから、ふた花ほど摘んできてくれる?」
昨夜用意したジャスミンと取り替えるのだろう。
「すぐに行ってくるわ」
真凛は切りバサミを胸元へしまい、サンの部屋を出て中庭へ向かう。
衛兵たちは真凛とすれ違うとほおを赤らめてひそひそ話をする。髪結というのは侍従の中ではかなり高位の職らしい。彼らはうわさ話はしても、決して気安く話しかけてはこなかった。
穏やかな日々が続いている。王宮から出ること以外は、比較的自由にさせてくれている。
タンザ国王陛下の葬儀がつつがなく終えられたことは衛兵たちの噂で知った。
数日前、ベリルは質素な衣服にきらびやかな勲章を身につけ外出した。あの日がタンザ国王との最期の別れだったのだろう。
ほんの少しだけ、父の顔を見てみたい思いはあった。しかしそれを口にすることはできなかった。
優しいベリルなら、もしかしたら葬儀に参列することを許したかもしれないと今でも思わないでもないが、きっと何の感慨もなく、父の死を他人事のようにしか受け取れない気もした。それもなんだか怖かった。
中庭へ到着すると、すぐにムクゲを見つけることができた。夜にはしおれる儚い花だが、その一瞬の美しさをベリルに楽しんでもらおうというサンの気配りを感じる。
彼女より勝る髪結にはなれないだろう。ベリルの側にいつまでいられるだろうか。そんなことも時々思う。
ムクゲを二本切り取り、すぐに部屋へ戻ろうとする真凛の前へ青年が現れる。白銀の髪が美しいその青年はセオだ。
「気持ちのいい朝だな、真凛。俺にもそのムクゲを分けてくれるか?」
セオは1日の始まりにふさわしく爽やかに微笑む。
時折、彼はあどけない少年のような、そして成熟した大人になろうと背伸びするような話し方をする。
すぐに大人になってしまうだろう青年に、真凛も笑顔で応える。
「ええ、いくつ?」
「それでは三本」
「三本ね」
「兄上より多い方が気分がいい」
兄に勝ることができるのはそれぐらいだ、とセオは苦笑いする。
真凛は三本のムクゲを切り取ると、胸元から取り出したハンカチで束ね、セオに手渡す。
「セオ王子にはセオ王子の良さがあるじゃない。それは数の多さでは測れないものでしょう?」
セオは少々驚いたようにハッと小さく息を飲む。
「たとえば、どのような?」
「そうねー、たとえば、その横笛、髪の色、あなたが生まれ落ちた地位も、すべて」
「横笛はひまつぶしだ。ご覧の髪の色は誇れるものでもない。……だが、真凛に出会えたのだから、王子として生まれたことは誇れる」
「誇りがあるのはいいことよ。横笛の音色は時々部屋まで聞こえるの。いつか近くで聞いてみたいわ。髪もとても綺麗よ。誇れないなんてことないわ」
自信をもって、と励ますのは弟への思いというより、純粋にそう感じたからだ。
自信に満ち溢れたアウイに比べ、ベリルもセオもどこか憂えたところがある。その差がなんなのか真凛にはわからない。
「時間があるならすぐに聞かせよう」
セオは横笛を見せてそう言う。
「ごめんなさい。すぐに戻らないと」
「いつなら会える?」
髪結に自由になる時間などないことは知っているはずなのに、セオは会いたいと言う。
「夜……、なら」
真凛はしばらく悩んでそう答えた。ベリルが寝静まった後なら部屋を抜け出すことも可能だろう。
「では今夜、ここで」
「必ずと約束はできないけれど」
「毎夜待つ。あなたに会えるまで、雨の日でもここを訪れよう」
「セオ王子……」
真凛はほんのり胸が熱くなるのを感じた。
「なぜセオ王子の髪結にならなかったのかしら。アウイ王子もベリル王子も私を大切に思ってくれているけれど、少しセオ王子は違う気がするの。うまく言えないけれど」
「兄上は忙しいから真凛の話をゆっくり聞く時間がないのかもしれない」
「……そう。そうね、きっとそれね。アルマンにもまだ会えていないし、少し気弱になってるんだわ。今夜、きっと来るわ。セオ王子に話を聞いてもらいたいの」
セドニーへ来てから弱音を吐いたことはなかった。恵まれた生活の中に空虚さを感じていた。それに気づかせてくれるのはセオだった。
悩みを話すのは甘えだ。それでも甘えたいと思う。それがアウイにもベリルにも持てない感情なのだと真凛は知る。
「待ってるから」
切なげに言うセオの手の中のハンカチに真凛は触れる。
「今夜、ハンカチを取りに来るわ」
名目があれば会える。そんな風に考えてしまうほど、真凛もまたセオと同様、大人になりきれない子どもで、すぐに大人になれてしまう年頃でもあった。
0
あなたにおすすめの小説
冷徹公爵の誤解された花嫁
柴田はつみ
恋愛
片思いしていた冷徹公爵から求婚された令嬢。幸せの絶頂にあった彼女を打ち砕いたのは、舞踏会で耳にした「地味女…」という言葉だった。望まれぬ花嫁としての結婚に、彼女は一年だけ妻を務めた後、離縁する決意を固める。
冷たくも美しい公爵。誤解とすれ違いを繰り返す日々の中、令嬢は揺れる心を抑え込もうとするが――。
一年後、彼女が選ぶのは別れか、それとも永遠の契約か。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました
美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
前世の記憶しかない元侯爵令嬢は、訳あり大公殿下のお気に入り。(注:期間限定)
miy
恋愛
(※長編なため、少しネタバレを含みます)
ある日目覚めたら、そこは見たことも聞いたこともない…異国でした。
ここは、どうやら転生後の人生。
私は大貴族の令嬢レティシア17歳…らしいのですが…全く記憶にございません。
有り難いことに言葉は理解できるし、読み書きも問題なし。
でも、見知らぬ世界で貴族生活?いやいや…私は平凡な日本人のようですよ?…無理です。
“前世の記憶”として目覚めた私は、現世の“レティシアの身体”で…静かな庶民生活を始める。
そんな私の前に、一人の貴族男性が現れた。
ちょっと?訳ありな彼が、私を…自分の『唯一の女性』であると誤解してしまったことから、庶民生活が一変してしまう。
高い身分の彼に関わってしまった私は、元いた国を飛び出して魔法の国で暮らすことになるのです。
大公殿下、大魔術師、聖女や神獣…等など…いろんな人との出会いを経て『レティシア』が自分らしく生きていく。
という、少々…長いお話です。
鈍感なレティシアが、大公殿下からの熱い眼差しに気付くのはいつなのでしょうか…?
※安定のご都合主義、独自の世界観です。お許し下さい。
※ストーリーの進度は遅めかと思われます。
※現在、不定期にて公開中です。よろしくお願い致します。
公開予定日を最新話に記載しておりますが、長期休載の場合はこちらでもお知らせをさせて頂きます。
※ド素人の書いた3作目です。まだまだ優しい目で見て頂けると嬉しいです。よろしくお願いします。
※初公開から2年が過ぎました。少しでも良い作品に、読みやすく…と、時間があれば順次手直し(改稿)をしていく予定でおります。(現在、146話辺りまで手直し作業中)
※章の区切りを変更致しました。(9/22更新)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる