溺愛王子と髪結プリンセス

水城ひさぎ

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セオの髪結になるということ

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 やめろっ!

 その言葉は声にはならなかった。アウイと幾度もキスを交わす真凛は抵抗しながらも、溺れていくようにも見えた。

 見たくない。今すぐここから立ち去りたい。そう思いながらも動くことができなかった。

 真凛を助けて連れ戻すのだ。その信念だけはあるのに、透ける身体ができることは何一つない。

 好きな女ひとり助けることのできない能力で満足していた過去を悔いる。なぜ王宮から出られるような努力をしてこなかったのか。生身であれば、真凛を助けられるのに。

 こぶしを握りしめた時、真凛のドレスにアウイの手がかけられるのが見えた。すぐにアウイはドレスの片側を剥いだ。左胸がぷるんっとドレスの中から現れる。

 暗闇で真凛を抱いた。その形も大きさも、手のひらの中に感触は残る。誰にも触らせたくない。独占欲をわかせるにはじゅうぶんなほど柔らかかった胸に、アウイの指が触れる。

 程よい膨らみのある真っ白な胸の頂きに、ピンクの可愛らしいつぼみがある。ほんの少しピンと立つそれを、アウイは指先で転がす。

「あ……っ」

 真凛の可愛らしい唇から甘い息が漏れる。同時につぼみは固くなっていき、アウイの口の中へ含まれて見えなくなる。

 また真凛の口から吐息が漏れた。嫌がりながらも、気持ちがいいのだろう、恍惚とした表情がかいま見える。

 真凛と暗闇で抱き合っていた時も、彼女はあんなにも美しく妖艶に感じていたのだろうか。

「甘いな。一晩中かけて愛そうか」

 アウイの指先が湿って光るつぼみをつまむ。つぼみを親指の平で転がしながら、柔らかな胸をもみあげる。

 薄く口を開いたままの真凛の唇からは甘い息しか漏れてこない。

 セオは後ずさる。何もできないことが悔しい。今この透ける手のひらにナイフが握られたなら、迷うことなくアウイに突き刺しているだろう。そう思うことすら嫌悪する。

「マリン、たっぷりと可愛がってやるぞ」

 アウイがドレスのすそをめくり上げる。現れた白い足には小さなあざがいくつかある。昨夜愛し合った証拠だ。無我夢中に彼女に吸い付いた。好きでたまらなくてやめられなかった。

「セオは節操のないキスをするものだ」

 アウイは薄く笑うと、真凛の太ももに指を這わす。

 セオは苦しくなる胸をおさえ、青いじゅうたんの上にひざをついた。そのまま頭を抱え込み、うずくまる。これ以上、アウイに凌辱される真凛を見ることはできなかった。
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