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チタとアイ
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「この方が……、チタ様?」
「チタ様と藍様は双子の姉妹でした。とてもよく似ていましたね。性格は正反対なのに、お顔立ちは瓜二つ」
アルマンは青い廊下に飾られた、一枚の肖像画を前にそう答える。若い頃に描かれたものだろう。母によく似た、可愛らしい少女のような女性が微笑んでいる。
「前にセオ様から聞いたわ。チタ様は貴族の生まれじゃないって」
「ええ、そうです。あまりにお美しいので貴族の間ではうわさになっていたようですが」
「それで、タンザ様も知ったのね」
「いえ」
アルマンは短く答え、アウイの部屋へ向かって歩き出す。
「違うの?」
「話せば長くなりますが、お聞きになりますか?」
「ええ、聞きたいわ。お母さんが幸せだったのか知りたいの」
そうアルマンの背に問えば、彼はゆっくり振り返り、廊下の窓から見える城下を見下ろした。
「藍様はお亡くなりになるその時まで、確かに幸せだったと思いますよ。離れていても、そのぐらいタンザ様を愛しておられた」
「この方が……、チタ様?」
「チタ様と藍様は双子の姉妹でした。とてもよく似ていましたね。性格は正反対なのに、お顔立ちは瓜二つ」
アルマンは青い廊下に飾られた、一枚の肖像画を前にそう答える。若い頃に描かれたものだろう。母によく似た、可愛らしい少女のような女性が微笑んでいる。
「前にセオ様から聞いたわ。チタ様は貴族の生まれじゃないって」
「ええ、そうです。あまりにお美しいので貴族の間ではうわさになっていたようですが」
「それで、タンザ様も知ったのね」
「いえ」
アルマンは短く答え、アウイの部屋へ向かって歩き出す。
「違うの?」
「話せば長くなりますが、お聞きになりますか?」
「ええ、聞きたいわ。お母さんが幸せだったのか知りたいの」
そうアルマンの背に問えば、彼はゆっくり振り返り、廊下の窓から見える城下を見下ろした。
「藍様はお亡くなりになるその時まで、確かに幸せだったと思いますよ。離れていても、そのぐらいタンザ様を愛しておられた」
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