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愛するがゆえに
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王宮から出てみたいと思っていた幼い頃の好奇心は、真凛を迎えに来た兄のベリルを見た瞬間に強い意志へと変わった。
真凛が来れないならば、自らがおもむけばいい。そう思った。
まるでこの日を待ちわびていたかのように、真新しい衣服をルベは用意していた。白い布に銀糸の刺繍が施された正装着。袖を通せば身が引き締まる。
「真凛は母上の屋敷にまだいるのだろうか」
「そのように聞いております」
ルベは即答すると、身を引く。そのように聞いている。
誰から? とセオは思ったが、ルベがその問いを拒絶しているような気がして尋ねなかった。ベリルから聞いたのだろうとも思ったのだ。
「兄上のいない王宮から出ていくことは簡単だった。なぜ気づかなかったのだろう」
「当たり前だと思っていることから視野を広げるのは難しいでしょう」
「そうだな。真凛は何度もその当たり前から逃れて俺に会いに来た。今度は俺が迎えに行こう」
「真凛様もお喜びになりますでしょう」
ルベは真凛を真凛様と呼ぶ。不思議には思うが、それも問いはしなかった。
小さな疑問を自己完結させて問わないことの罪をセオは知らなかった。それでも真凛に会いたい一心で、それを口にする。
「俺はもうここへは戻らない。真凛とともに異国で暮らす」
「困難な道のりとの覚悟は?」
「やるだけやってみようと思う」
「反対はいたしません。真凛様ならば、良き道を選び取ってくださるでしょう」
セオはルベの細い手を取る。シワのある白い肌だ。苦労を重ねてきたルベの手に申し訳なさも感じる。
「ルベも来い。あなたの生涯にも責任を持とう」
ルベは恐縮し、背を丸めて一礼する。その仕草を肯定ととらえたセオはうなずく。
「では行こうか」
そう言って、セオは枕元に置かれた笛を胸元にしまうと、壁にかけられた剣を右手に握った。
王宮から出てみたいと思っていた幼い頃の好奇心は、真凛を迎えに来た兄のベリルを見た瞬間に強い意志へと変わった。
真凛が来れないならば、自らがおもむけばいい。そう思った。
まるでこの日を待ちわびていたかのように、真新しい衣服をルベは用意していた。白い布に銀糸の刺繍が施された正装着。袖を通せば身が引き締まる。
「真凛は母上の屋敷にまだいるのだろうか」
「そのように聞いております」
ルベは即答すると、身を引く。そのように聞いている。
誰から? とセオは思ったが、ルベがその問いを拒絶しているような気がして尋ねなかった。ベリルから聞いたのだろうとも思ったのだ。
「兄上のいない王宮から出ていくことは簡単だった。なぜ気づかなかったのだろう」
「当たり前だと思っていることから視野を広げるのは難しいでしょう」
「そうだな。真凛は何度もその当たり前から逃れて俺に会いに来た。今度は俺が迎えに行こう」
「真凛様もお喜びになりますでしょう」
ルベは真凛を真凛様と呼ぶ。不思議には思うが、それも問いはしなかった。
小さな疑問を自己完結させて問わないことの罪をセオは知らなかった。それでも真凛に会いたい一心で、それを口にする。
「俺はもうここへは戻らない。真凛とともに異国で暮らす」
「困難な道のりとの覚悟は?」
「やるだけやってみようと思う」
「反対はいたしません。真凛様ならば、良き道を選び取ってくださるでしょう」
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「ルベも来い。あなたの生涯にも責任を持とう」
ルベは恐縮し、背を丸めて一礼する。その仕草を肯定ととらえたセオはうなずく。
「では行こうか」
そう言って、セオは枕元に置かれた笛を胸元にしまうと、壁にかけられた剣を右手に握った。
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