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②不自然で不器用な愛の形
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「ねぇ、彰人…智基君と、順調に続いているんでしょ?」
朝の朝食をとっていると、突然彼女が言った。
化粧をしてなくても、明るくて綺麗で瑞々しい活力に満たされている彼女…。
自慢の、俺の妻だ。
「ああ、おかげさまで」
そう、彼女のおかげで、俺は結婚しながらも恋人を得ている。
通常の夫婦では、ありえないことなのだが……彼女は、俺の恋に賛成なのだ。
もちろん、彼女とはしっかり夜の関係もあるし、仮面夫婦なわけでもない。
俺がバイであるという事実を知っている彼女は、「男を作ってもいい」というのである。
そして、最近告白してきた少年と付き合うようにと後押ししたのも…何を隠そう、妻である彼女なのだ。
俺の相手…佐藤智基。まだ高校2年生だが、男の顔をしたとても魅力的な子だ。
俺が結婚しているという事実を知ったのにもかかわらず、告白をしてきたとても強くて真剣な目をしていた。
「ねえ彼に会いたいわ」
彼女が細く白い指で上品にコーヒーカップを持ち上げながら言った。
俺は彼女がそう言うのを初めて聞いた。
いつも俺の彼氏についての興味は話だけで、会いたいなんて言ったことがなかった。
女の勘だろうか、指摘したら声を立てて笑った。
「だって、彰人、楽しそうなんだもん。そんなに楽しそうな彰人は久しぶりに見たわ。彰人にそんな顔をさせる智基君に、会ってみたいと思うのは自然なことだと思わない?」
「…えっと俺の妻だよね?」
わかってはいたことだが、思わず確認してしまう。
自分の夫が恋人が出来て今まで以上に楽しそう…それでいいのか?
「言ったでしょ、あなたが男の人を好きならしょうがないって。私への愛が変わらないならかまわないわ。それとも嫌いになった?」
悪戯っぽく彼女は楽しそうに聞く。
「まさか。昔より愛は深くなって、MAXは常に更新されているよ」
「でしょ?」
満足げに笑う彼女に、俺はしばし目を奪われた。
毎日見ている夫の俺が、息を呑むほど綺麗に笑うのだ。
「誰も私のようには愛さないとわかるから。嫉妬もできないわ」
「君のようにって?」
「ふふふ。絶対に私の事を嫌いにならないし、彰人は、決して私を放さないってわかっているからよ。自信じゃなくて事実だから」
彼女の言うことは正しい…。
俺は彼女がいなければきっと、智基を愛することも出来ない。
彼女がいるという前提があるからこそ、俺は智基を愛することが出来るのだ。
俺はきっと、この世で一番幸せものなんだと思う。
「僕は寛大な妻を持って幸福だな。でも僕は心が狭いから誰にも君に指一本触らせたくない」
我侭なことだとはわかっている。俺は二人を愛しているのに、彼女には俺だけを見ていて欲しい。
「安心して。私は貴方以外いらないわ。彼は?智基君も私と同じくあなた一人で充分なのかしら?」
ふと、考えるように彼女は可愛らしく首をかしげた。
「僕は自分勝手だからね、僕だけを愛してほしい。他の人を見ないでほしい。」
本当に我侭で自分勝手。
「自分はよそ見するのに?」
「君と一緒の時は君だけさ」
「智基君と一緒のときは智基君ってわけね。ほんとに勝手ね」
そう言いつつも、彼女は俺に怒っているわけでも、呆れているわけでもない。
ただの言葉遊び。だから俺も続ける。
「だけどだからといって僕をすてないでくれよ」
すると、彼女はころころと声を立てて笑う。
「ふふふ。それは智基君に会ってからね?智基君が「いい男」じゃなかったら、あなたの評価を変えますからね」
「怖いな…。でも、きっと君は満点を出すと思うよ」
これは確信だ。
だって…智基以上にいい男はいない。
すると、妻は驚くでもなく、嬉しそうに、「これからが楽しみだ」と笑った。
そう…これから始まるのだ。
俺たちの新しい愛のカタチが………。
2005/05/15
※これはこれで終わりです。
好きな話ですが、続きは今のところ考えていません。
朝の朝食をとっていると、突然彼女が言った。
化粧をしてなくても、明るくて綺麗で瑞々しい活力に満たされている彼女…。
自慢の、俺の妻だ。
「ああ、おかげさまで」
そう、彼女のおかげで、俺は結婚しながらも恋人を得ている。
通常の夫婦では、ありえないことなのだが……彼女は、俺の恋に賛成なのだ。
もちろん、彼女とはしっかり夜の関係もあるし、仮面夫婦なわけでもない。
俺がバイであるという事実を知っている彼女は、「男を作ってもいい」というのである。
そして、最近告白してきた少年と付き合うようにと後押ししたのも…何を隠そう、妻である彼女なのだ。
俺の相手…佐藤智基。まだ高校2年生だが、男の顔をしたとても魅力的な子だ。
俺が結婚しているという事実を知ったのにもかかわらず、告白をしてきたとても強くて真剣な目をしていた。
「ねえ彼に会いたいわ」
彼女が細く白い指で上品にコーヒーカップを持ち上げながら言った。
俺は彼女がそう言うのを初めて聞いた。
いつも俺の彼氏についての興味は話だけで、会いたいなんて言ったことがなかった。
女の勘だろうか、指摘したら声を立てて笑った。
「だって、彰人、楽しそうなんだもん。そんなに楽しそうな彰人は久しぶりに見たわ。彰人にそんな顔をさせる智基君に、会ってみたいと思うのは自然なことだと思わない?」
「…えっと俺の妻だよね?」
わかってはいたことだが、思わず確認してしまう。
自分の夫が恋人が出来て今まで以上に楽しそう…それでいいのか?
「言ったでしょ、あなたが男の人を好きならしょうがないって。私への愛が変わらないならかまわないわ。それとも嫌いになった?」
悪戯っぽく彼女は楽しそうに聞く。
「まさか。昔より愛は深くなって、MAXは常に更新されているよ」
「でしょ?」
満足げに笑う彼女に、俺はしばし目を奪われた。
毎日見ている夫の俺が、息を呑むほど綺麗に笑うのだ。
「誰も私のようには愛さないとわかるから。嫉妬もできないわ」
「君のようにって?」
「ふふふ。絶対に私の事を嫌いにならないし、彰人は、決して私を放さないってわかっているからよ。自信じゃなくて事実だから」
彼女の言うことは正しい…。
俺は彼女がいなければきっと、智基を愛することも出来ない。
彼女がいるという前提があるからこそ、俺は智基を愛することが出来るのだ。
俺はきっと、この世で一番幸せものなんだと思う。
「僕は寛大な妻を持って幸福だな。でも僕は心が狭いから誰にも君に指一本触らせたくない」
我侭なことだとはわかっている。俺は二人を愛しているのに、彼女には俺だけを見ていて欲しい。
「安心して。私は貴方以外いらないわ。彼は?智基君も私と同じくあなた一人で充分なのかしら?」
ふと、考えるように彼女は可愛らしく首をかしげた。
「僕は自分勝手だからね、僕だけを愛してほしい。他の人を見ないでほしい。」
本当に我侭で自分勝手。
「自分はよそ見するのに?」
「君と一緒の時は君だけさ」
「智基君と一緒のときは智基君ってわけね。ほんとに勝手ね」
そう言いつつも、彼女は俺に怒っているわけでも、呆れているわけでもない。
ただの言葉遊び。だから俺も続ける。
「だけどだからといって僕をすてないでくれよ」
すると、彼女はころころと声を立てて笑う。
「ふふふ。それは智基君に会ってからね?智基君が「いい男」じゃなかったら、あなたの評価を変えますからね」
「怖いな…。でも、きっと君は満点を出すと思うよ」
これは確信だ。
だって…智基以上にいい男はいない。
すると、妻は驚くでもなく、嬉しそうに、「これからが楽しみだ」と笑った。
そう…これから始まるのだ。
俺たちの新しい愛のカタチが………。
2005/05/15
※これはこれで終わりです。
好きな話ですが、続きは今のところ考えていません。
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