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存在
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※レイプなどの蹂躙があります。苦手な方はお避けください。
どうしてこんなことになったのか…
暗い体育倉庫の中、3人の少年の影が蠢いていた。
そして、その視線の先、床の上には……もうひとりの姿があった。
裸にされ、両手両足を縛られた少年…。
無残と思えるその姿の正体は……高坂琢磨だった。
「さっきまでの威勢はどうしたぁ?」
からかうような声が、琢磨の頭上で響いた。
「さすがの生徒会長さまもこうなっちゃえばなぁ~」
「きゃはははは…」
笑い声があたりを支配する。
「いい格好だよなぁ。そそるぜ」
下品な笑い声に、琢磨は生理的な嫌悪を抱いていた。
そんな琢磨の雰囲気をわかっているのか、少年達は楽しそうだ。なぜなら、あの、高坂琢磨を思うように出来るのだから。
普段、高潔で傲慢で、いつも命令口調…そして決して誰にも屈しないというプライドの高い、綺麗な生き物を自由に出来る。その事実に、少年達は酔いしれていた。
だが、それだけで少年達の欲望が止まる訳ではない。
琢磨を騙して、罠にかけ、自由を奪って、裸にした……その後にやることはひとつしかない。
「さてと、こっからが本番だな」
リーダー格なのだろう髪を長く伸ばした少年が、二人に言う。
二人は、待っていたとばかりに、いやらしい笑みを浮かべて琢磨へと近づいて、その露になっている肌に手を伸ばす。
「…くっ…やめ…ろ……っ」
叫んだり、抵抗することで、更に少年達を煽ってしまうということがわかっていても、琢磨は制止の言葉を口にする。
もちろん、それが聞き入られるはずもなく、脇腹、首筋、柔らかな内腿…敏感なところを狙って中途半端な刺激の愛撫が琢磨に与えられる。
「あれれれ?琢磨様ったら、勃っていらっしゃいますぜ?」
「ははは、まだ肝心なところ触ってないのに。さすがは生徒会長様ってコトだ」
事実、直接的な刺激はあたえられていないのにもかかわらず、少年たちの指摘どおり琢磨の物は、ぶるりと震えその存在を示し始めていた。
当たり前のところではない、身体の弱点をひとつひとつ明らかにされていく屈辱…そして、悔しさの中で無理やりに引き出される快感。血が滲むほど唇を噛み締めて耐えようとしても、身体には正直に現れてしまう。
「立派なもんだな。もう蜜垂らしてる」
そう笑いながら、少年が琢磨の性器を掴んだ。
「っくぅっ…」
巧みに根元を圧迫し、その動きは琢磨の意思とは裏腹に、高めようとさせる。
さきほどまでの執拗な愛撫に加えて、性器への刺激。
それを琢磨が抑えることは到底出来るものではなく、とろりと先走りを溢す。
くちくちゅとその雫を先端全体に塗り込められ、広げられる。
腰が、身体がその刺激に揺れると、そのたびに卑猥な蔑みの声が笑い声とともに降りかかる。
琢磨には、ただなるべく声を出さず、身体を反応させないように耐えるしか術はなかった。
一人の少年の指が、琢磨の秘所を探り始めた。
「ひぁ…ぅ……くっ……ン…ぅぅ」
その感触に、琢磨の背が反り返った。それを凌辱者が見逃すはずはない。
「おっ。琢磨様は経験がおありのようで…」
「じゃあ、遠慮なくやってもいいんだな」
不埒な指が琢磨を蹂躙する。
二本、三本と増えていく指を、琢磨は絶望的な思いで受け止めるしかなかった。
「ぃいっっ、ゃ、やめぇっ……ろぉっ」
前立腺を探り当てられ、声の掠れた琢磨が叫んだ。
仰け反るように白い喉を晒して、必死に首を振るが、それが更に少年達の欲情を煽っていく。
「こっちの方はどうかな」
弾んだ声がしたと思ったら、琢磨の胸の飾りを摘みあげていた。
「ひぃぁぁぁ………っ……ぁぁ………っ」
思いがけない刺激に、琢磨の身体が大きく跳ね、白濁した液を吹き上げた。
「おおっ、達きやがった」
性器を弄っていた少年が驚きつつ、楽しそうに声をあげた。
「すげぇ……」
琢磨の達した瞬間の顔を見た、少年はその美しさに言葉を失った。
きつい瞳が潤み、泣きボクロが濡れている…、声を押さえるため紅く染まった唇が薄く開いて、射精直後で荒い息をついている…まさしく芸術的ともいえる美しい姿……。
艶っぽい姿に、背筋がぞくりと、震え……思わず息を呑む。
ここでこの少年の理性はあっけなく弾け飛んだ。
琢磨の口に、自分の性器を押し込んだ。
いきなり男の性器を突っ込まれて、琢磨は苦しさに喘いだ。
喉の奥深くまで押し入ってくるその堅さに、気持ち悪くなる…止らない不快感から、込み上げてくる吐き気を強引に押さえこむ。
少年の先走りや、性器を口にする自分の唾液を飲み込めなくて、だらだらと口元からあふれ出るのが、耐え難い。
少年が快感に前後左右に腰を振るから、がくがくと琢磨の顎も揺さぶられる。
だが、琢磨はそれだけではなく、胸や性器、そして肛門への陵辱をも受けていた。
増えた奥部への愛撫は最終段階まで来ていた。
少年の欲望に濡れた切っ先が、宛がわれる。
その先を思い立って、琢磨が今までよりも激しく抵抗したが、それももう一人の少年によってあっけなく封じられる。
「っ―うぅ――ぅぐっ―っっ」
口を塞がれて声にならない琢磨の叫びもむなしく、それはずぶりと埋め込まれていく。
我が物顔で内部を蠢く他人の性器。
無理やり蹂躙されるのが、こんなに苦しく、惨めで辛いものだとは思わなかった。
そして、快感が、これほどまで苦痛になるのだとは思わなかった。
体中を揺さぶられ、蹂躙され、苦しくて苦しくて……。
「ぅぐっ―――っ、――っっっ」
少年達によって、無理やり迎えた絶頂は苦く惨めなもので、満足感など欠片もない終わりを味わった。
少年達の欲望は尽きることがないのか、入れ替わり立ち代り、琢磨の身体はいいようにされた…。
何度も精を浴び、注ぎ込まれ、そして自身も吐き出した。
声は叫びすぎて掠れ、ぜぃぜぃという息しかその口から漏れるものはない。
もう、精も根も尽き果てて、もう何も考えられずに少年達のなすがまま、ぐったりとした琢磨の耳に、幻のような声が聞こえてきた。
「琢磨っ、琢磨っ」
響いた声は誰よりも良く知る声で…安心する持ち主のもの。そう思ったとき、すでに琢磨の意識は闇の中へとおちていった。
目覚めると、そこは見慣れた自分の部屋の、自分のベットだった。
失った記憶を探ろうとして、琢磨は眉を顰めた。
浮かび上がった禍々しい記憶が、まぎれもない現実だということを、身体に残る痛みは、はっきりと教えてくれる。
そして、途切れた記憶の最後は、たくましい、誰よりも信じられる温かな腕…。
地獄のような時から救い出してくれたのは、やはり、ただひとりの存在だったのだと知る。
「透」
琢磨が掠れた声でその名を口にした時、丁度良いタイミングで、琢磨の部屋の扉が開いた。
入ってきた人物は、ベットから上半身を起こしている琢磨の姿を見つけて、ほっとしたように笑顔を見せた。
「大丈夫か?」
佐川透。琢磨の家庭教師兼ボディーガード。
時間通りに現れない琢磨を、必死になって探して…見つけたあの時の姿をみて、胸の奥に冷たいものが走った。
見つけたとき、何も考えられなくて、ただただ、琢磨の姿が焼きついたように離れなかった。
気を失った琢磨を運んだ時も、そしてベットの中の琢磨を改めてみたときも、透は、不安でしょうがなかった。
そんな透の身体を気遣って労わる言葉に、琢磨もうっすらと笑みまで浮かべて見せた。
「ああ……すまなかった」
「とんでもない、もっと早く助けにいけなくて…琢磨には嫌な思いをさせてしまった」
自分のこと以上に、悔いてくれる人間がいる。心配して苦しんでくれる人間がいる。
その幸せなこと…琢磨は、透の身体を抱きしめた。
「琢磨?」
意外な行動に、訝しげな声で問うと、琢磨は抱きついたまま顔を見ることなく透の耳元に囁いた。
「抱けよ」
「っ…琢磨」
「嫌なんだ…あの記憶…とどめておきたくない。消してくれ」
込められた想いに、透はそっとその身を抱きしめる。
それがかすかに震えているコトには気づかないフリをして。
透は、愛撫と同時進行で、琢磨の身体に残る痕を自分のもので変えていく。
自分のものではない痕跡が目に入るたびに、口惜しく、苦々しい…なんともいえない感情が嵐のように透を襲う。
その気持ちは、相手への憎悪以上に、琢磨を守りきれなかった不甲斐ない自分への自己嫌悪であることをわかっている。
だが、自分以上に琢磨の心が傷つけられているから…それを押し殺して、ただ琢磨の傷を癒そうと、塗り替えようと勤めていく。
「んぁ…透、透…はぁ…っ」
甘い声が琢磨の口から零れる。
望んだ相手との情事は、これほどまでに甘美を生むのだと、琢磨は泣きそうになる。
身体を重ねることが、幸せな時間であることを強く感じて、目を閉じた。
瞼に落ちてくるのは、誰よりも優しいキスで、誰よりも深い愛情で…。
目を閉じていても、相手を感じることが出来る…。
もしかしたら、透は穢れた自分をもう、抱きはしないかもしれないと、どこかで不安だった。
だけど、透は優しくて、温かくて…自分への愛情しかなかった。
だからこそ、自分も先ほどのような凌辱行為ではなく、愛情の行為なのだ…と、透の身体をその身に受け入れることが出来たのだ。
穢れた身体が、透の手で、唇で、身体で癒され、浄化されていくような気がする。
もちろんそれだけじゃなく、それは快感も伴って……耐え切れなくなって、琢磨は透を呼ぶ。
「透…もう…もういいから…だから……っ」
琢磨の全身を愛撫することに夢中になっていた透は、その声に我に返った。
「あ…悪い…そうだな……いいか?」
問われて、琢磨はこくこくと頷いた。
飛びそうになる理性を押し込んで、弾けそうになる熱を慎重に、琢磨に埋め込んで、そっと抱く。
琢磨が息をつめているのを見て、ゆっくりと動き出す。
透に突かれて、歓喜の声をあげる。
「もっ………と…強く…………透っ………っ」
喉を震わせて、琢磨が透を呼ぶ。
「………これ以上強くしたら、壊れてしまうよ」
柔らかく透が応えて、琢磨の前髪をかきあげて、現れた額に口付けを落としてやる。
激しさではなく、優しさに包まれて、琢磨は幸福感を感じた。
陶酔したように微笑む琢磨を見下ろし、その望みを可能な限りかなえようと、透は動く。
緩く、強く、最奥部を、熱い切っ先で突かれて、上り詰めた。
「ぁあっっ…透っっ、透――っっ、あぁっっ――っっ、あっ―――っっ!!」
琢磨の意識は、白く弾けて…彼方へと飛んだ。
「ありがとう」
透の優しく力強い腕に抱きしめられて、目覚めた琢磨の呟きは、二人の口付けの中に消えた。
……すべてを解き放ってくれる存在は……ただひとり……それだけでいい。
2005/02/15
どうしてこんなことになったのか…
暗い体育倉庫の中、3人の少年の影が蠢いていた。
そして、その視線の先、床の上には……もうひとりの姿があった。
裸にされ、両手両足を縛られた少年…。
無残と思えるその姿の正体は……高坂琢磨だった。
「さっきまでの威勢はどうしたぁ?」
からかうような声が、琢磨の頭上で響いた。
「さすがの生徒会長さまもこうなっちゃえばなぁ~」
「きゃはははは…」
笑い声があたりを支配する。
「いい格好だよなぁ。そそるぜ」
下品な笑い声に、琢磨は生理的な嫌悪を抱いていた。
そんな琢磨の雰囲気をわかっているのか、少年達は楽しそうだ。なぜなら、あの、高坂琢磨を思うように出来るのだから。
普段、高潔で傲慢で、いつも命令口調…そして決して誰にも屈しないというプライドの高い、綺麗な生き物を自由に出来る。その事実に、少年達は酔いしれていた。
だが、それだけで少年達の欲望が止まる訳ではない。
琢磨を騙して、罠にかけ、自由を奪って、裸にした……その後にやることはひとつしかない。
「さてと、こっからが本番だな」
リーダー格なのだろう髪を長く伸ばした少年が、二人に言う。
二人は、待っていたとばかりに、いやらしい笑みを浮かべて琢磨へと近づいて、その露になっている肌に手を伸ばす。
「…くっ…やめ…ろ……っ」
叫んだり、抵抗することで、更に少年達を煽ってしまうということがわかっていても、琢磨は制止の言葉を口にする。
もちろん、それが聞き入られるはずもなく、脇腹、首筋、柔らかな内腿…敏感なところを狙って中途半端な刺激の愛撫が琢磨に与えられる。
「あれれれ?琢磨様ったら、勃っていらっしゃいますぜ?」
「ははは、まだ肝心なところ触ってないのに。さすがは生徒会長様ってコトだ」
事実、直接的な刺激はあたえられていないのにもかかわらず、少年たちの指摘どおり琢磨の物は、ぶるりと震えその存在を示し始めていた。
当たり前のところではない、身体の弱点をひとつひとつ明らかにされていく屈辱…そして、悔しさの中で無理やりに引き出される快感。血が滲むほど唇を噛み締めて耐えようとしても、身体には正直に現れてしまう。
「立派なもんだな。もう蜜垂らしてる」
そう笑いながら、少年が琢磨の性器を掴んだ。
「っくぅっ…」
巧みに根元を圧迫し、その動きは琢磨の意思とは裏腹に、高めようとさせる。
さきほどまでの執拗な愛撫に加えて、性器への刺激。
それを琢磨が抑えることは到底出来るものではなく、とろりと先走りを溢す。
くちくちゅとその雫を先端全体に塗り込められ、広げられる。
腰が、身体がその刺激に揺れると、そのたびに卑猥な蔑みの声が笑い声とともに降りかかる。
琢磨には、ただなるべく声を出さず、身体を反応させないように耐えるしか術はなかった。
一人の少年の指が、琢磨の秘所を探り始めた。
「ひぁ…ぅ……くっ……ン…ぅぅ」
その感触に、琢磨の背が反り返った。それを凌辱者が見逃すはずはない。
「おっ。琢磨様は経験がおありのようで…」
「じゃあ、遠慮なくやってもいいんだな」
不埒な指が琢磨を蹂躙する。
二本、三本と増えていく指を、琢磨は絶望的な思いで受け止めるしかなかった。
「ぃいっっ、ゃ、やめぇっ……ろぉっ」
前立腺を探り当てられ、声の掠れた琢磨が叫んだ。
仰け反るように白い喉を晒して、必死に首を振るが、それが更に少年達の欲情を煽っていく。
「こっちの方はどうかな」
弾んだ声がしたと思ったら、琢磨の胸の飾りを摘みあげていた。
「ひぃぁぁぁ………っ……ぁぁ………っ」
思いがけない刺激に、琢磨の身体が大きく跳ね、白濁した液を吹き上げた。
「おおっ、達きやがった」
性器を弄っていた少年が驚きつつ、楽しそうに声をあげた。
「すげぇ……」
琢磨の達した瞬間の顔を見た、少年はその美しさに言葉を失った。
きつい瞳が潤み、泣きボクロが濡れている…、声を押さえるため紅く染まった唇が薄く開いて、射精直後で荒い息をついている…まさしく芸術的ともいえる美しい姿……。
艶っぽい姿に、背筋がぞくりと、震え……思わず息を呑む。
ここでこの少年の理性はあっけなく弾け飛んだ。
琢磨の口に、自分の性器を押し込んだ。
いきなり男の性器を突っ込まれて、琢磨は苦しさに喘いだ。
喉の奥深くまで押し入ってくるその堅さに、気持ち悪くなる…止らない不快感から、込み上げてくる吐き気を強引に押さえこむ。
少年の先走りや、性器を口にする自分の唾液を飲み込めなくて、だらだらと口元からあふれ出るのが、耐え難い。
少年が快感に前後左右に腰を振るから、がくがくと琢磨の顎も揺さぶられる。
だが、琢磨はそれだけではなく、胸や性器、そして肛門への陵辱をも受けていた。
増えた奥部への愛撫は最終段階まで来ていた。
少年の欲望に濡れた切っ先が、宛がわれる。
その先を思い立って、琢磨が今までよりも激しく抵抗したが、それももう一人の少年によってあっけなく封じられる。
「っ―うぅ――ぅぐっ―っっ」
口を塞がれて声にならない琢磨の叫びもむなしく、それはずぶりと埋め込まれていく。
我が物顔で内部を蠢く他人の性器。
無理やり蹂躙されるのが、こんなに苦しく、惨めで辛いものだとは思わなかった。
そして、快感が、これほどまで苦痛になるのだとは思わなかった。
体中を揺さぶられ、蹂躙され、苦しくて苦しくて……。
「ぅぐっ―――っ、――っっっ」
少年達によって、無理やり迎えた絶頂は苦く惨めなもので、満足感など欠片もない終わりを味わった。
少年達の欲望は尽きることがないのか、入れ替わり立ち代り、琢磨の身体はいいようにされた…。
何度も精を浴び、注ぎ込まれ、そして自身も吐き出した。
声は叫びすぎて掠れ、ぜぃぜぃという息しかその口から漏れるものはない。
もう、精も根も尽き果てて、もう何も考えられずに少年達のなすがまま、ぐったりとした琢磨の耳に、幻のような声が聞こえてきた。
「琢磨っ、琢磨っ」
響いた声は誰よりも良く知る声で…安心する持ち主のもの。そう思ったとき、すでに琢磨の意識は闇の中へとおちていった。
目覚めると、そこは見慣れた自分の部屋の、自分のベットだった。
失った記憶を探ろうとして、琢磨は眉を顰めた。
浮かび上がった禍々しい記憶が、まぎれもない現実だということを、身体に残る痛みは、はっきりと教えてくれる。
そして、途切れた記憶の最後は、たくましい、誰よりも信じられる温かな腕…。
地獄のような時から救い出してくれたのは、やはり、ただひとりの存在だったのだと知る。
「透」
琢磨が掠れた声でその名を口にした時、丁度良いタイミングで、琢磨の部屋の扉が開いた。
入ってきた人物は、ベットから上半身を起こしている琢磨の姿を見つけて、ほっとしたように笑顔を見せた。
「大丈夫か?」
佐川透。琢磨の家庭教師兼ボディーガード。
時間通りに現れない琢磨を、必死になって探して…見つけたあの時の姿をみて、胸の奥に冷たいものが走った。
見つけたとき、何も考えられなくて、ただただ、琢磨の姿が焼きついたように離れなかった。
気を失った琢磨を運んだ時も、そしてベットの中の琢磨を改めてみたときも、透は、不安でしょうがなかった。
そんな透の身体を気遣って労わる言葉に、琢磨もうっすらと笑みまで浮かべて見せた。
「ああ……すまなかった」
「とんでもない、もっと早く助けにいけなくて…琢磨には嫌な思いをさせてしまった」
自分のこと以上に、悔いてくれる人間がいる。心配して苦しんでくれる人間がいる。
その幸せなこと…琢磨は、透の身体を抱きしめた。
「琢磨?」
意外な行動に、訝しげな声で問うと、琢磨は抱きついたまま顔を見ることなく透の耳元に囁いた。
「抱けよ」
「っ…琢磨」
「嫌なんだ…あの記憶…とどめておきたくない。消してくれ」
込められた想いに、透はそっとその身を抱きしめる。
それがかすかに震えているコトには気づかないフリをして。
透は、愛撫と同時進行で、琢磨の身体に残る痕を自分のもので変えていく。
自分のものではない痕跡が目に入るたびに、口惜しく、苦々しい…なんともいえない感情が嵐のように透を襲う。
その気持ちは、相手への憎悪以上に、琢磨を守りきれなかった不甲斐ない自分への自己嫌悪であることをわかっている。
だが、自分以上に琢磨の心が傷つけられているから…それを押し殺して、ただ琢磨の傷を癒そうと、塗り替えようと勤めていく。
「んぁ…透、透…はぁ…っ」
甘い声が琢磨の口から零れる。
望んだ相手との情事は、これほどまでに甘美を生むのだと、琢磨は泣きそうになる。
身体を重ねることが、幸せな時間であることを強く感じて、目を閉じた。
瞼に落ちてくるのは、誰よりも優しいキスで、誰よりも深い愛情で…。
目を閉じていても、相手を感じることが出来る…。
もしかしたら、透は穢れた自分をもう、抱きはしないかもしれないと、どこかで不安だった。
だけど、透は優しくて、温かくて…自分への愛情しかなかった。
だからこそ、自分も先ほどのような凌辱行為ではなく、愛情の行為なのだ…と、透の身体をその身に受け入れることが出来たのだ。
穢れた身体が、透の手で、唇で、身体で癒され、浄化されていくような気がする。
もちろんそれだけじゃなく、それは快感も伴って……耐え切れなくなって、琢磨は透を呼ぶ。
「透…もう…もういいから…だから……っ」
琢磨の全身を愛撫することに夢中になっていた透は、その声に我に返った。
「あ…悪い…そうだな……いいか?」
問われて、琢磨はこくこくと頷いた。
飛びそうになる理性を押し込んで、弾けそうになる熱を慎重に、琢磨に埋め込んで、そっと抱く。
琢磨が息をつめているのを見て、ゆっくりと動き出す。
透に突かれて、歓喜の声をあげる。
「もっ………と…強く…………透っ………っ」
喉を震わせて、琢磨が透を呼ぶ。
「………これ以上強くしたら、壊れてしまうよ」
柔らかく透が応えて、琢磨の前髪をかきあげて、現れた額に口付けを落としてやる。
激しさではなく、優しさに包まれて、琢磨は幸福感を感じた。
陶酔したように微笑む琢磨を見下ろし、その望みを可能な限りかなえようと、透は動く。
緩く、強く、最奥部を、熱い切っ先で突かれて、上り詰めた。
「ぁあっっ…透っっ、透――っっ、あぁっっ――っっ、あっ―――っっ!!」
琢磨の意識は、白く弾けて…彼方へと飛んだ。
「ありがとう」
透の優しく力強い腕に抱きしめられて、目覚めた琢磨の呟きは、二人の口付けの中に消えた。
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2005/02/15
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