囚われた姫騎士は熊将軍に愛される

ウサギ卿

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プロローグ ハッグ

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揺蕩う微睡みの中、愛しきつがいが儂の名を呼ぶ声がした・・・
その音に安堵が心に満ちていく

覚醒する意識の中で聴覚が反応した
「全く酷い事をするな・・・傷は癒した・・・ふふっここがハゲてしまったな」
耳と心が福音に酔いしれた

そして体毛ではなく皮膚に直接触れられる感覚を味わった
覚醒した触覚と心が擽ったさを覚えた

目に色が映り出した
優しくも力強い笑みを儂に向けてくれるブロンドの髪を靡かせた番がいる
覚醒した視覚と心が幸福で溢れた

「ああ・・・マリー・・・」

マリーは嫌いな色だと言った、儂の用意したドレスを身に纏ってくれている
儂は・・・上半身裸でボロボロのショースを履いているだけだ

・・・現状がわからん
何があった?思い出せん

辺りを見渡した
マリーの背後に見知った顔が二つあった
副将のワングとコーザンだ
遠く離れた所に我が軍の戦線が見えた

儂の背後には黒いローブの魔導師と騎士がおる
遠くに帝国の戦線が見えるな・・・

戦地・・・なのか?
何故ど真ん中におるのだ?
そうキョロキョロしておるとマリーが耳に幸福を届けた

「ダンスホールにしてはかなり広いが・・・壁の花にしておくには勿体無い、麗しの姫よ、最後の曲を私と踊って頂けませんか?」

うぐっ、か、揶揄われておるのか?
だが手を差し出すマリーも格好良くて美しい
そして愛らしい番のお強請りを断る理由は無い
小説の引用をそのまま返した

わたくしでよろしければ」

・・・手を取った儂の顔が真っ赤になっておる気がする
・・・ああっ!耳の中まで熱いっ!

ここは喧騒もない音楽もない
ただマリーの足枷の鎖だけがガチャガチャと野原に鳴り響いた
だが儂にはそれで充分だ
マリーさえいれば・・・

そして覚醒する脳が・・・儂らの別れを教えてくれた
そして過去を思い出させた
そして現状を把握させた

引用した小説のタイトルは[ラストダンスは貴方と踊りたい]
またマリーに怒られると判ってはいるが・・・涙が止まらない・・・

「こら、泣くな馬鹿者が」

そう言いつつも儂に優しく微笑んでくれる
この笑顔が見れなくなる、そう思うと心が抉られ痛みを叫ぶ

「・・・嫌だっ・・・」

「・・・諦めろ・・・」

「・・・は、離しだぐないっ・・・」

「・・・諦めろ・・・」

そう言い儂の胸に顔を埋めてくれた
儂はマリーの頭にそっと頬を寄せた

わかっている、これは全て儂のせいだ
助けてくれたのだろう、マリーが

この先を思う
長く険しいだろう道のりを思い描く
だが・・・この温もりの為ならば・・・

「・・・必ずっ・・・必ず迎えに行く・・・」

「・・・ああ、待っている・・・」


・・・待っていてくれ、マリー儂の番・・・


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